暗い話にならないように書いては消してを繰り返した結果更新が遅くなったことも本当にすみません。
朝、炎秋が景元より譲ってもらえた家の中で鏡流は目覚めた。
まだ目覚めきっていない頭で彼女は内心驚いていた。
(……悪夢にうなされる日々を送っていた我がこうして安眠を取ることが出来るとはな)
彼女が目覚めたのは日が昇って久しい時刻だった。
そんな時間に目覚めたことなど今まで無かった。
【自分が安眠を得る事が出来た】
彼女にとってそれがどれほどの意味を持つものなのか。
鏡流にはそれがなんとなく理解出来ていた。
安らぎを得られる場所であるこの家の暖かさに包まれながら。
(我をここまで依存させた罪は重いぞ、炎秋)
そう思いながら横に寝ているであろう男の方を向く。
寝顔を見るために。
(…………。)
もっとも、そこに鏡流が望んだ光景は無かったが。
それもそのはず、時刻はとうに朝と呼ぶには時間が経ちすぎている。
炎秋が起きていないはずはないのだ。
彼女はまだ寝ぼけている。
景元がその光景をみたらどんな顔をするのだろうか。
きっと、驚きつつも笑いながらこう言うのだろう。
『歳ですね』
その後にぶっ飛ばされる景元の光景まで見えた。
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「その名を銀河に轟かせる仙舟「羅浮」が天舶司の主司であるアンタが一体何の用だ?」
朝、目覚めた炎秋は金人巷を散歩していた。
それは金人巷の道や店、住んでいる人を覚えるために行ったことであるはずだが、彼は金人巷とは関係のない人物に声をかけられた。
『【天舶司 主司】御空』
そんな人に声をかけられる覚えがない炎秋は少しだけ身構えてしまった。
「気持ちの良い散歩を邪魔したことは謝ります。でも、アナタの耳には入れておいて欲しいことがありまして」
「……俺の記憶が正しければ、俺たちは初対面だったはずだ。なんなら俺はアンタのことを名前と肩書でしか知らない。」
「それは一応こちらもです。しかし、貴方があの鏡流と一緒に住むという話を耳にした時に真っ先に貴方に伝えなければならないと思いまして。無冠剣神との初めての会話にしては、いささか物騒な話になるかもしれませんが…失礼は承知の上です」
「……その敬語だ」
「…はい?」
「俺と話がしたいなら敬語を使うのは勘弁してくれ。敬われるほどのことをした覚えはないし、敬語を使われるとこちらも敬語を使わないといけなくなる。罰ゲームじゃないんだぞ?」
「……私からしてみれば『あの無冠剣神に敬語で話せ』という方が余程罰ゲームなのですが?」
「その返しが出来るのなら話が早い。それで?話したいことって言うのは?」
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その後、炎秋は何処か難しい顔をしながら新たな自宅に帰ってきた。
御空と別れた後に寄り道をしてずいぶんのんびりとしていたためか帰って来るのに時間がかかってしまった。
家に帰るまではそれで良いと思っていた炎だったが、帰ってきた瞬間にその考えは間違いであったと知る。
「……遅いぞ」
めちゃくちゃ不機嫌な鏡流を見てしまってはそう思うのも無理は無いだろう。
「…悪かった」
「悪いことをした自覚があるのか?」
「怒っている鏡流を見れば俺が悪いことくらいわかる」
「怒ってはいない」
「……勝手に居なくなったことか?」
「……ふん」
「…本当に悪かったと思ってる、少なくとも本心でそう思うくらいには。言い訳をするのならば人と話をしていた、それで遅くなった。それだけなんだ。」
「そうか……いや、少し待て」
鏡流は何かに気付いたかのように炎秋に近付く。
「な、何を…!?」
あまりにも唐突な出来事であったためか戸惑う炎秋。
そんなのお構い無しとばかりに炎秋に顔を近づけ匂いをかぎ始めるではないか。
そして一言。
「……女か」
炎秋は思わず天を仰ぎそうになった。
「鏡流」
「我を置いて会ったのが女とはな」
「違う、そうじゃないんだ鏡流」
「それで遅くなったと」
「待ってくれ、鏡流」
「ほうほうほう…」
「まずは話を__」
会った経緯と話した内容を話せる範囲で伝えようとする炎秋だったが、それ以上口が開くことは無かった。
鏡流に、自身の首元に冷たい剣の切っ先を当たるか当たらないかギリギリのところまで近付けられてはそうなるのも無理は無いだろうが。
「先日、景元より運動にはちょうどいい場所を教えて貰った」
「…それは良かっ_」
「少し付き合え」
「………はい」
その時炎秋は覚悟を決めたとか決めなかったとか。
下手に登場人物を増やして手に負えなくなるってのはマズイんですけどね。
出てきても軽く関わるくらいかなと。
というか鏡流さんの微ヤンデレ具合を出すのが凄く難しい!
だがそれもまたいい!
あとなんか言う事……今来てる虚構叙事の4つ目に星取るの苦労しました。