魔法少女リリカルなのは!?「幻の残業局員」   作:ヘルカイザー

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ども〜

読んでくださっている方々、いつも有難うございます!

毎度毎度遅くて申し訳ないです。


後、今更どうかとも思うんですけど、書き方をまた変えさせていただきます。つまるところ視点を今回のように変更します。

そして今後、この作品完結後にリメイクという形で書き方を統一した物を設定を整えて書き直す予定です。作中で何回か書き方変更してあっちゃこっちゃメチャクチャなので。

まぁ〜

いつになるかわかりませんが。


予定では後2章で完結です。


ではでは長くなりましたが、よろしくお願いします!


第74話《たった一つの奇跡》

「はぁああああああああああああ!!! 」

「あぐっ!? かはっ」

 

「エンシェント・マトリクス!! 」

 

赤い魔力の針。ユーリはそれをウメのお腹を貫くとウメの魔力を強制的引き出し利用し始め、巨大な槍を生成。そしてそれをウメに向けてぶつけた。が、ウメはお腹を貫かれた状態でその槍を指一本で受け止め、何をどうやっているのかその状態で静止させる。

 

「う〜ん。悪くはないんだけど……その程度? 」

 

「っ!? くっ、まだだぁぁああああああ!!! 」

 

実際戦ってみてユーリは実感していた。出力が大幅に落ちているとはいえ、自分の中のエグザミアが機能の半分を取り戻しているのにも関わらずまるで歯が立っていない。これはユーリからすれば信じられない事だ。彼女もなんとなくわかっていたはいた。だがそれにしても力の差があり過ぎる。どれだけユーリが魔力量を大きくし、圧倒的と呼べる技を行使した所でウメはそれを簡単に受け止め、いなす。

 

「うおぉぉおおおおお!! 」

「愛殺……気竜流し……《天変地異》」

 

「ハッ、がっ!? ……え…………う、うわぁぁああああああああああ!? 」

 

ユーリは追い討ちをかけようとウメのお腹を貫いたまま後ろの壁へと押し出し始める。しかしその瞬間、ユーリがウメに向かって放った槍がいつの間にかユーリのお腹を貫き、逆に彼女が真後ろに吹っ飛ばされた。魔力攻撃とはいえ、かなりの魔力を引き出して生成した槍はユーリの意識を軽く飛ばす。例え意識を失うまではいかないにしても少しの間彼女はその場でのたうち回った。

 

「自分で作った物なんだから責任持って喰らわないと。だから返してあげた。にしてもつまらないの。大きく出た割には大した事ない。見掛け倒しの魔力。それじゃ……私には勝てない。と言うよりも、この時代の人間が私に勝てる可能性なんかないんだけど」

 

「あぐっ……まだ……ま……だ…………」

 

「ユーリさん!? 」

「動くな! ……ダメだよジッとしてないと、ヴィヴィオお姉様? じゃないと……どうなっても知らないよ? うふふ」

 

ダラリと動かない腕をおさえながらヴィヴィオは倒れているユーリに近付こうとする。だがウメがそれを殺気のこもった声だけで止めた。まるで邪魔をすれば殺すと言わんばかりに、おちゃらけたウメの雰囲気は完全に消え、戦闘モードになっていた。

 

「あ゛っ、い゛っ!? 」

 

「いつまでも寝てんなよ。自分からケンカ売ってきたんだからさっさと立て、よ!!! 」

「がっ!? うっ!? ……ごほっごほっ!? 」

 

ウメは寝ているユーリの髪を掴み無理矢理立たせるように持ち上げると彼女のお腹に軽く掌底を叩き込んだ。決して本気で打ち込んだわけではない。でもユーリの内臓はそれで一部破裂し、口から大量の血を吐き出す。最初に攻めていたのがどっちか、もはやわからない。ユーリはウメが本気を出すまでもなくボロボロになりつつあった。冷たく、虫けらを見るかのような瞳でウメはユーリをみる。

 

「ぁ……く……ぇ、ぇ…………」

 

「あ? なんのつもり? まだ何か……」

「ぐっ! エ、エターナルセイバー!!! 」

 

「なっ!? うぐあっ!? 」

 

渾身の力を振り絞り、ユーリは左右の手から炎剣を作り出しそれをクロスするようにウメを切り裂いた。流石に弱っていたユーリにそんな力はないと油断していたウメは今の攻撃をゼロ距離でモロに受ける。よってユーリのいる場所とは反対側の壁まで吹き飛び、大きな破壊音と共に壁を粉々に破壊した。

 

力の差は明らか。しかしユーリは折れなかった。自分の力が足りない事を今の彼女は理由にしない。どんなにボロボロになっても自分のなせることがある限り、彼女は立ち上がり立ち向かう。

 

 

 

全ては愛する家族の為に。

 

 

 

「ユーリさん……え…………」

 

 

「つっ!? クソっ、油断した。……なっ!? ……ぐっ!? うぐぅぅ! 外れない!? 」

 

「はぁ……はぁはぁ……へへ、私は……言ったはず……ですよ、ごほっ!? あ、くっ……わ、私と一緒に……死ねと! 」

 

 

ユーリはウメが倒れているわずかなスキを狙って彼女と距離を詰める。そして自分の背中にはやしている赤い魄翼を使い、ウメをガッチリと拘束するとまるで抱きしめるようにウメを抱え始めた。当然彼女も暴れるが、ユーリが全力で押さえつけている為逃げることは許されない。

 

「離せ!? 一体何を……うっ!? ……こ、この感覚……まさか!? クソっ!? 死ぬ気かお前!? 離せ!? 離せって!? くそぉぉぉおおおぁぁぁあああああああ!? 」

 

ウメは自分の中を走る違和感ともいうべき感覚に嫌な予感を覚え、ユーリを見た。すると彼女の目は悟っていた。これから死のうとする人間の目。それを見た時、ウメはユーリの狙いに気づいた。

 

 

 

魔力のオーバードライブ。

 

 

 

対象のリンカーコアに干渉し、自分のエグザミアを共鳴させる事で大きな魔力爆発を起こさせる自爆とも言える方法。その為ユーリははなからウメに対して勝気などなかった。目的は彼女をゼロ距離で押さえつける事。少しの間、ユーリがリンカーコアに干渉できる時間が稼げればそれでゲームセット。ユーリの勝ちが決まる。例え自分が死のうと、ウメを道ずれにすればそれは彼女の勝利に他ならない。

 

エグザミアの特性故、今消えてもいずれ復活するユーリだが、もう陸飛やみんなには会えない。彼女はそれをよくわかっていた。

 

 

「リンカーコア同期完了。これで……」

「調子に乗るな……この雑魚がぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!! 」

 

「いつ゛っ!? ぐっ……な……」

「愛殺気竜流し!! 《終極・絶流》!!! 」

 

大きな亀裂が起きる音。さらにそれと同時にウメを拘束していた魄翼は一瞬にして砕け散り、その瞬間よろけたユーリは走馬灯を見た。景色がゆっくりと動き、目の前のウメが大きく回転し両手を合わせながら迫ってくる。そしてその両手がユーリの胸部に触れた瞬間、ユーリの世界は終わった。

 

全身のあらゆる骨は砕け、ほとんどの内臓は一撃で機能を停止する。

 

「かふっ……ぁ……」

「ユーリさん!? ユーリさぁぁぁああああん!? 」

 

「はい、おしまい」

 

本来のユーリの力が戻っていればここまで一方的な状況は生まれなかった。しかし現実は違う。力を奪われ、少しずつ取り戻している力は半分がいいところ。ただそれでもウメを相手にしていなければ十分すぎるほどの力に違いない。

 

ユーリは運が悪かったのだ。

 

 

ただそれだけ。

 

 

でもたった一度。この時この瞬間……ユーリが諦めなかった事で、状況は大きく動き出した。全ては彼女の愛が起こした奇跡。

どの時間軸においても決して起きていないただ一度の奇跡。それをユーリは起こした。

 

 

「ぁ……ぁ……り……く……み……んな…………」

「うふふ……ユーリお姉様ご愁傷様〜。まだ息があるのは褒めてあげるけど。残念。ユーリお姉様……面倒くさいから今トドメさす事にするよ。それじゃ〜……バイバっ、んなっ!? うっ!? こ、この光は ……うぐっ!? あ゛っ……胸がぁぁあ、熱い……くぅぅ……何を……した!? 」

 

 

「もう……いっ……かい……いっ……しょにぃ……くらしたか……った……なぁ〜……え……へへ……パ、パラダイム……アブ……ソリュート」

 

「くぐぅぅぅ……ハッ!? しまっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さよう……なら。私の……世界で一番大好きな……家族……」

 

 

 

 

 

 

 

 

かすれるようなユーリの言葉はまるでスイッチであるかのように。ウメとユーリを巻き込みその場で大爆発を起こす。ユーリの筋書き通り。彼女は命を賭して家族を守ろうとした。自分の身を一切考えず、刺し違えてウメを殺しにきた。

 

「うあ゛っ、あぐっ!? はぁぁ……い゛うっ、うわぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!? 」

 

この自爆は相手のリンカーコアに干渉する為、どんなに頑丈な人間だろうとタダでは済まない。当然ウメも例外ではない。爆発の中、断末魔にも似た悲鳴が響き渡る。

そしてヴィヴィオはそんな様子を爆風に耐えながらただ見ているしなかなった。ただ全てが終わるまで。

 

だがユーリの起こした奇跡というのはこの状況ではない。何故ならこの自爆をもってしても、ウメはその場に立っているのだから。

 

 

「そん……な…………」

 

「はぁ……はぁはぁ……うくっ、やられた……いづっ!? 流石の私もこれはいなしきれない。でも……ふふ。最後だったのはユーリお姉様の方だったみたいだね! あは、あははは! 血まみれでいい格好だよ? ユーリお姉様〜? うふふふ、あっはははは! 」

 

ウメの前に転がるユーリを彼女は蔑むように笑い飛ばす。ユーリは今の一撃で完全に終わっていた。心臓と呼吸が完全に停止し、もはや魂の抜けた人形も同然。誰が見ても彼女が生きていると言える者などいないほどに、彼女は致命傷だった。

床には血が広がり、目はもう一点の光すら宿していない。

 

 

 

彼女は全ての力と命を燃やし尽くしたのだ。

 

 

 

「そんな……ぃや……ユーリ……さ……ぁ……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ!? うわ゛ぁあああああああああああああああ!? 」

 

短く数ヶ月もない付き合いだが、ヴィヴィオとユーリは友人だ。だからそんな人間の死を目の前で見て取り乱さないわけがない。ヴィヴィオは泣き叫びながらユーリに駆け寄り、近くでその姿を見て改めて絶望する。何故なら短な仲間の死を彼女はまだ経験したことがない。ヴィヴィオにしても泣いてる時じゃない事は自分自身理解はしていた。だがこの状況ではヴィヴィオには無理だった。ましてやそれを初等科の子に求めるのは酷な事だろう。

 

 

「ちっ……魔力みんな持ってかれた。この時代だったらもしかしたら一番強いかもしれない。でも……ふふふ。これで本当に終わりだね! 」

 

「ウメちゃん……どうして……こんな事するの? ……どうしてぇ…………」

 

 

「ヴィヴィオお姉様……私だって誰も殺す気なんかなかったよ」

「だったらどうして!? 」

 

「だって……私の邪魔するんだもん」

 

「え…………」

 

 

ヴィヴィオは今更ながら気づいた。気づいてしまった。ウメの中の闇。壊れてしまってる部分に。ウメは話を理解しているが目的以外は見えていない。正常な判断ができるのに目的以外はどうなっても知ったことではない。故に、結果的に誰が死のうが関係ないと言うことだ。ヴィヴィオは今更ながらそれに気づき、拳を握り締める。話し合えばわかってくれる。最後にはわかってくれるはずだ。そんな思い込みを彼女はしていた。ウメが壊れてさえいなければあるいはできたかもしれない。しかし今の彼女には通用しない考え方。ヴィヴィオは戦意を完全に喪失した。

 

 

「あれれ? どうしたの? ヴィヴィオお姉様? さっきまでの威勢が嘘みたいだよ? まぁ〜面倒がなくていいけど。それじゃ〜その両足……貰うから。邪魔されると面倒だし」

 

「……ぁ……ぃ……ゃ…………」

 

 

右手を上げ、ウメはヴィヴィオに狂気とも言える笑みを見せる。だが完全に心の折れたヴィヴィオはもう立ち上がれなかった。

 

「愛・殺・拳……《断愛手刀》……っ!? 」

 

「ふぇ? 」

 

 

ウメがヴィヴィオの両足めがけて手刀を振り下ろした瞬間、それは起きた。これがユーリの起こしたただ一つの奇跡。

 

「この光……馬鹿な!? こいつはもう死んでるはずなのに!? 」

 

《プログラム……破損。修復と情報改善。防衛強化の為、ユーリ・エーベルヴァインの記憶から最も強い記憶を算出。鈴木陸飛を読み取り完了。本人情報確認の為、該当人物検索……ここから真下70メートルの位置と判明。人格コピーとユーリ・エーベルヴァインの記憶とのドッキング開始……》

 

「うっ!? 一体何が……」

 

突然ユーリを中心に光り輝き出した何かは、独特な電子音声と共に光をさらに強くし、ウメの視界を完全に奪った。さらに真下に光の光線とも言うべき何かを放つ。実は陸飛が苦しみだす少し前、ディアーチェ達の見ていないところで陸飛はこの光線に当てられていた。

 

そしてこの時ディアーチェ達が見たのは陸飛から出てくるもう1人の陸飛。衰弱している陸飛が分裂した瞬間だった。また分裂した陸飛は光線に引っ張られる形で上へ飛んでいき、光に吸収される。でもウメは光の強さ故に何が起きているのか全く認識できていない。当然ヴィヴィオも。

 

《鈴木陸飛の人格……ユーリ・エーベルヴァインの記憶上の人間と不一致。別回答……検出不可。よってユーリ・エーベルヴァインの記憶の方を優先し、鈴木陸飛の破損している記憶をベースに新たな人格を形成……完了。ユーリ・エーベルヴァインの生命維持可能レベルまで蘇生……リブート後、彼女の守護騎士として形成した人格をリアライズします》

 

 

「見えない……ユ、ユーリさ……え!? ち、小さい……お兄さん? 」

 

 

「パ……パ……いや、違う。お前は誰だ!! 」

 

『……およ? 』

 

 

光がおさまり、そこから現れたのは高校生ぐらいまで若返った『もう1人の陸飛』だった。

 

 

 




短編・絶望のコロナちゃん劇場


第5話《希望と絶望の狭間で》


「えぐっ、ひぐっ……ごめんな……さい……ごべんな゛ざい゛……」

コロナはキャロが部屋から出て行った後、1人でフラフラとある場所へ向かっていた。それはウメの所でも陸飛の所でもない。陸飛がいる場所からさらに地下深く。まるで何かを幽閉しているかのような大きな扉。鎖で何重にも補強され、とてもたった1人の人間を閉じ込めているようには見えない。

「うっ、うっ……もう゛……嫌われた。絶対き゛ら゛わ゛れだよ゛ぉぅぅ……ヴィヴィオにも゛リ゛オ゛にも゛っ、だけどぉ……これ以上は……ま゛ぢがえ゛ら゛れない゛がら!! だからお願い、ゴライアス!!! 」


鼻水をたらし、涙を流し、コロナは泣きじゃくった。でも自分が誰に嫌われようと今自分がしなければいけないことだけはよくわかっていた。もう間違えられない。これからどんな目に、どんなに傷つくことがあったとしても、コロナは逃げられなかった。

コロナの叫びがゴーレムを創り上げ、ゴライアスは大きな拳で頑丈なその扉を叩き壊す。

「……ぁ……言い訳する気は……な゛い゛です……でも゛、わだぢは……間違ってまじた……だから……だから゛っ、ヴィヴィオを……みんなを……だずけて゛ぐだざい-……」

コロナは地面にうなだれ、土下座にも似た格好で中から出てきた彼女に懇願する。自分にそんな事を言う資格がないのはわかっていながら、それでもコロナは言葉に出した。


恐れを殺し、覚悟を決め、コロナは向かってくる拳を受け入れる。


今までの自分に罰を与える為に。


「ギンガさん…………」





to be continued…………












次回もよろしくお願いします!
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