俺の二度目の人生は、魔王から先生へ   作:トラソティス

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どーも、戦術対抗戦で一昨日1位を取った先生です。名前は志村転弧!
最近長くなっちゃうよぉ、一話投稿するだけでも…。皆んなポンポンポンポン短時間で投稿できるの凄すぎるのだわ!?


11話『自警団』

 

 

 

 

 

 

「無駄な抵抗なんて考えるなよ!痛い思いをしたくなかったらな!!」

「早く金庫を開けて中のものを全部出せ!!」

 

「ひいいィィイぃ!!よりによってこんな…」

 

 

 よォ、俺は志村転転――なんて当たり前のような挨拶ムーブは今更だろうが、今物凄く面倒くさい局面に陥ってる。

 銃口(武力)を向けながら、ゲラゲラと笑い恐喝をするコンビニ強盗犯のスケバン不良が二人。

 カウンターのレジには両手を頭の上に組みながらうつ伏せになっている自律思考型のロボット。

 他にもうさぎの顔をした市民…親子だな。それもかなり怯えた様子だ。

 ここにいる人数は俺を含めて少ないことが、不幸中の幸いと呼んで良いものなのか…。

 

 そう、つまり俺はたった今――強盗の被害に遭っているのである。

 

 ――さて、どうしてこうなったものか…。

 

 

 

 

 時は遡り、ワカモと1日の夜を過ごして数日が経った。

 積もり溜まったシャーレの業務、郊外出張、チナツの書類整理の手伝いから、何からなにまで仕事働き。どうやら楽してゲームで遊んでたツケが回ってきたらしい。

 全くもって、THE・自業自得だぜッてやつだ。

 大人の労働時間は1日に平均9時間――残業によって日々変わる為絶対とは言えないが、本格的に先生としての仕事に見舞われた俺の労働時間は、1日21時間もシャーレの溜まった仕事を消費したなんて日もあった。

 ディスクと面向けて睨めっこ、リンから会議に合わせた日程で仕事を解決したり、アユムが申し訳なさそうに鬼の書類を持ってきたときは思わず「死ねって言ってんのか」と口に出してしまった。

 そんな俺にアユムは「すみませんすみません!!これも決算や新しく追加でと頼まれたモノでして…うぅ…ッ 。あ、あと、アオイさんからこれは今日中に訂正をと…」と、終えた書類の訂正まできやがった。アオイって誰だったっけ。

 終わらせ提出した書類が訂正という文字で返却してくるなら、本当にぶっ壊して最初っから無かったことにした方が合理的じゃないか?という思考回路に至った。

 

 なんて俺の正論( と思うのは志村転弧しかいない ) も虚しく却下され、リンから阿呆なことを抜かさないで下さいと言われた。だったらこの阿呆な書類量を俺に差し出すな。

 これでも一般人なら過労でぶっ倒れても可笑しくないのだが、俺がこんなブラック企業も認めるシャーレの激務( 半分自業自得 ) を倒れることなく平気でやれてるのは、やっぱり前世から蓄積した経験が活かされてるのだろう。

 

 トリニティの用事を終え、昼飯がてら眠気覚ましのオトモ(栄養ドリンク)を購入しようと、コンビニに立ち寄ってからだ。

 

『おらぁ!!動くな!あんたたち、全員手を頭の上に組んでうつ伏せになれ!ここはあたしらが占拠した!!』

 

 久し振りに買い物したな、と息吐けばコレである。

 コンビニの自動ドアが開かれることなく、蹴破る勢いで侵入しては窓ガラスが割れ、店内は瞬く間にパニックである。

 そんで現在に至るッてワケ――シャーレ占領の件といい、今回のコンビニ強盗といい……未成年のガキが暴行( の域を遥かに超えている )へと走る景色に、トガヒミコとマスタードはマシだったのではないか、と変な方向に考えが行ってしまう。

 

 

 

「…こ、こんなことをしてタダで済むと思っているんですか!?大体、ここはトリニティ自治区…!直ぐに正義実現委員会がやってきて…」

 

「ハッ!さっきも言ったろ、期待するだけ無駄だって!正義実現委員会なら今この辺りにいない、確認済みだ!」

 

(へェ…コイツら、バカかと思ったがアホじゃねえんだな。無計画かと思いきや、ハスミ達の行動パターンは筒抜けね……)

 

 正義実現委員会といえば羽川ハスミ――シャーレ奪還、そのパーティーメンバーとして大きく戦果に貢献した優秀なスナイパー。

 一緒にドーナツ食って以来、あんまり関わることもなければ委員会としての業務に追われてるらしい。

 モモトークで軽い話をする位、信頼を置けるようになっている彼女の他にメンバーは存在するらしいが、まだ面識もなければ名前すら知らん。

 

「とはいえ、アホじゃねえってだけだな…」

 

 衝動に赴く敵は腐るほどいるのは飽きるほど知ってる。そして計画を練って犯行に及ぶ輩も少なくない。その辺は元いた世界とも変わらないので、まあ…だからなに?ではあるけども…。

 

「お?ありゃあ……オイ、誰だお前?」

 

 などと我関せずと棒立ちしていると、不良生徒の一人が此方に気づく。…気付くというか、そりゃあ伏せろと言ってんのに我が物顔で棒立ちしてるのだから、気付かない方が可笑しいわけで…。

 

「伏せろッて言ったろ?それともなんだ、怖くてビビってしゃがむこともできないか!ギャハハははっ!!」

 

「こんな真っ昼間――街外れの田舎コンビニとはいえ、大人だからって一人じゃ危ないぞぉ〜?まっ、アンタも運が悪いな!」

 

 なんだコイツら――と面倒くさそうな視線を送る転弧など気にも留めず、上から目線でゲラゲラ笑う不良生徒の二人組に呆れる表情を浮かべる。

 

「アロナ――ハスミにSOSのトーク出しとけ。住所特定位置出しとけば、来ないはずの正義実現委員会は必ずやってくる」

 

『!了解です、転弧先生!!』

 

 小さな声でもシッテムの箱は音声キャッチ可能なので、かなり便利だ。アロナは「がってん承知!」と敬礼のポーズを決めて即、コンビニの住所をハスミに転送してくれた。

 

「あ?お前なにボソボソ喋ってんだ?正義実現委員会とかほざいてたが…」

 

「なぁ、お前らさ――こうやって田舎のコンビニに襲撃したとか言ってるけど……ぶっちゃけいつから計画練ってたの?」

 

「は?なんだコイツ……急に…」

 

 なんだコイツはこっちの台詞だわ――と喉から口に出そうになる衝動を何とか飲み込み、俺は平然と…それこそ普通の、旧知の慣れ親しんだ友人のように語りだす。

 自然に会話へと摺り込み、あたかも敵対心を煽らない話し方は、相手の警戒心を緩ます対話術である。

 

「いやな?正義実現委員会ってエリートが集まる組織的な集団だろ?数えきれない程の人員がいるとも聞いてる。そんな奴らの素性と行動パターンを調べるなんて、一朝一夕でやれるもんじゃないだろ。二人して大掛かりな事前調査なんて、すげぇじゃん」

 

「きゅ、急に褒めやがるぞ、この変な大人……なんだか気持ち悪い……」

 

 褒めたのに罵るな、はっ倒すぞ。

 まあ…だが、時間稼ぎにはなるだろう。アロナからも既読が付いて即向かってると報告が来た。報連相ってやっぱり大事だわ、うん。

 志村転弧も不良二人が会話してる最中、察したハスミは物凄い勢いで駆けつけてくれてる。

 荼毘が前に言ってた『ヒーローは必ず人命救助を優先する』ッて言葉を思い出した。

 

「ははッ !なんだ、命乞いか?どうにか媚び売って、自分だけ助けて下さいって腹づもりか?」

 

「どこをどう聞いたら媚び売ってる、なんて捉えることができるんだよ」

 

 まッ、調査して成果を出す熱量は素直に褒めてるんだけどな。その熱意を勉強とか効率の良い方法とか…大層なモノへ向けりゃあ良いんだが…コイツらの品格じゃ無理な話か。

 

「で、なに?お前ら二人だけでコンビニの銀行強盗してるの?見た感じ、手慣れたやり方…お前ら初犯じゃないだろ。どんだけ儲けてんだ?」

 

「はぁ?それを聞いて何になんだ?それとも何か?この状況にブルってちびってんじゃねェのか!?あっはは!」

 

「ほらほら、金目のモノ置いてきゃ命だけは助けてやるぜ??銃口向けられながらも平然と話す大人の度胸に免じて、さっさと財布から金を出しな!そうすりゃ悪いようにはしないしな!」

 

 ――ダメだ、品格どうこう以前に終わってる。

 自分達を優位な立場に置いて、上から良い気になって愉悦に浸る輩は存在すれど、ここまでくると一種のやられ役にしか見えなくなるな。

 

 

「お前ら、本ッ当に暇なんだな――」

 

「……は?」

 

 

 だからこそ、思ったことを無神経に吐露する志村転弧の発言に、今までお高く止まっていた二人の表情が崩壊するのは当然であって、ピシリと擬音が残るようにわかりやすく、顔色が変わる。

 

「緻密に計画を練って、やることがコンビニの銀行強盗?随分と暇人なんだな…。もっと大層な目標並べて挑んでみろよ。たかがコンビニ強盗でイキってたところで、程度が知れてるッて言ってんだよ」

 

 ――まあ…言うて連合(俺ら)異形排斥主義者(シーラカンス)の拠点へカチ込んで、派手に皆殺し(暴れて)金目のモン漁ってたから人のこと言えたもんじゃないんだけどさ。

 

「テんめぇ……大人だからって馬鹿にしてんのか!?!あぁ!?こっちがちょっと優しくしてやってるからって偉そうによォ!!」

 

「馬鹿にはしてねェよ。やりたいこと、やることを否定はしないってだけ。理解はできても『はいそうですか』なんて微塵も思ったことはない。自分がやったことを他人に言われて怒るくらいなら、最初っからするなよな――」

 

「「テメェブッ殺す!!!」」

 

 ガチャリ!!重々しい銃の構える音が木霊する。

 不良生徒の二人組は額に青筋を浮かべながら、侮辱を受けたことに憤慨し、怒気を孕んだ声で殺害宣言した。

 

『先生ェ!?なんで煽っちゃうんですか!?ちょっと、ちょっと!!ここは穏便に済ました方が良かったのにぃ!!』

 

 ――間違ったことは言ってないだろ。俺が頭下げてりゃあコイツらは銃を納めてたか?とはいえ思わず本音が漏れてしまえば、時間稼ぎは叶わなくなったワケなので、ここは致命的な失態である。

 

 アロナがびえぇぇん!!先生が危ないですよぉ!!とシッテムの箱を通して泣きじゃくるのを他所に「うるせぇ…」とため息を吐く。アロナからすれば誤った選択肢を選んだゲームオーバーなので、当然の反応といえば当然なのだが。

 

(至近距離……距離を離そうにもこれは不味いな……さて、どうしたものか……状況的に考えて……)

 

 立ち位置的に隣に陳列した商品コーナーの棚が置かれている。そうなれば一旦アレを倒して視界を遮るか…一瞬の隙があればまだワンチャン…。そっから対応して…

 

 頭の回転が良く回る。

 1秒にも満たない研ぎ澄まされた状況判断、分析、冷静さは今までの幾千錬磨を潜り抜けた賜物だろう。

 銃を向けられても一切怯むことも、動揺する素振りも、恐怖心も見せないのは、感覚に慣れてしまったことで麻痺しているからか。

 人は銃口を向けられれば恐怖で頭が一杯になり、パニックになってしまう。況してや学園都市キヴォトスという世界では殊更そうだろう。

 だが思考はクリア――正常な判断も、洞察力も、分析も申し分ない。

 ニヤリと口角を釣り上げながら、臨戦態勢の構えをしようとした途端――

 

 

 カチッ――硬い音がこの緊迫とした空間へ放り込まれた。

 

「あ?なんだこれ?」

 

 床に放り投げられた物体には見覚えがあった。瞬時に閃光弾であることを把握した俺は、咄嗟に目を瞑りしゃがみこむ。

 

 

 バン!!――キイイィィィン!!!

 

 

「うぉ!?ま、眩しっ…!何も見えない…!!」

「ぐわあぁぁ!!目が、目がああぁぁ!!!」

 

 耳障りな閃光弾の音

 眩い白へと支配していく視界

 一瞬にして隙が生じる

 

 この投擲された、見慣れた閃光弾――それを主体に得意とする戦術は間違いない。

 

 

「念の為にパトロールに来ていて正解でした――やはり貴方達でしたか」

 

 

 そして視界が封じられ、手も足も出ない状態の不良生徒二人相手に、瞬時に懐へ潜り込めば、ダン!バキッ!!ドガ、グズ!!…と、明らかに過剰防衛的な殴る蹴るの暴行の音がより鮮明に聞こえた。目をゆっくりと開けば、コンビニ強盗の二人組が見事、ノックアウトされていた。

 

「懲りない人達ですね、本当に……」

 

 心底、と言わんばかりに呆れたように鎮圧された不良を見下ろしながら、はぁ…とため息を吐く生徒――守月スズミ。

 シャーレ占領奪還戦に於いて、ユウカと俺のサポートに尽力してくれたトリニティ自警団である。

 

 

「…?ッてあれ、先生?どうしてこんなところに…」

 

「全く以って同意だね――まるでヒーローみたいな登場だな」

 

 

 スズミは此方の存在に気付いていなかった様子で、不良を鎮圧した後に先生を見て表情が変わった。

 その言葉は心の底から感じた言葉なのか、それともヒーローの原点が自警団だという常識観念から来る言葉なのか、はたまた元いた世界のヒーローと重なったのか…これを皮肉と捉えるかは別として…。

 

「ヒーロー…??あ、いえ…その、そんな大それたつもりではないのですが…とはいえ、いつか先生にお逢い出来たらと思ってはいましたが、まさかこんなに早く実現するだなんて思いませんでした」

 

 俺も別の意味で予想外だったよ。

 助けてくれたのは嬉しいが、ハスミにSOS申請を送った後なのでタイミングが良いと喜ぶべきなのか悪いというべきなのか…。

 

「然し…大人とはいえ、どうしてこんなトリニティ自治区でも目立たないコンビニに…」

 

「なんだよ、俺がこんな所にいたらダメだって言いたいのか?」

 

「いえっ!決してそんなつもりでは…」

 

「俺はゴチャついた人混みより静かなところが好みなんだよ。それにトリニティの用事済まして、眠気覚ましと昼飯買いにここへ寄っただけだ。そしたらコイツらに絡まれた」

 

「成る程…運悪く、と言う形で……ですが、先生は前にも言った通り銃弾一つ浴びれば致命傷は避けられません。買い物するにしても、護衛の生徒を雇うか、それとも護身用に何か武器を身に付けてはどうです?」

 

「ここだけ聞くとRPGみたいな感じだな」

 

 どこをどう聞いて捉えたらRPGのようになるのだろうか、とスズミは困惑する。だが転弧からすれば武器や防具を持つか、仲間を連れてエンカウントする敵を対策しろと言ってるようなものだ。

 理屈は分かる――神野区後、先生なき連合が弱い段階の頃に警察の捜査を眩ます為に分散したものだ。

 その際も自分の近くに必ず誰かしら護衛を置いていたことはあった。とはいえここは前いた世界とは立場も違えば、連絡先を知ってる生徒は数えるほどしかないので護衛を雇うのは難しいのである。

 狐坂ワカモを周辺防衛として雇うにしろ、目立ちすぎて逆に仕事が捗らないし、シャーレを占領し凡ゆるダツゴクを指揮、破壊活動や煽動をしていたことで指名手配を食らっているのだ。それでも俺の立場を上手く利用すれば良いのでは?と思うにしろ、シャーレの先生赴任直後にワカモを周辺防衛として雇ったとなれば、色々と不信感を抱くだろう。何事にも順序が必要だ。

 

「他の自治区の生徒達も忙しい…と言われたら、それまでですが…」

 

「それにさっきも言った通り仕事浸りなんだよこっちは……オマケに交流を深めた生徒も現状変わらずだ…」

 

「それはそうですが…」

 

「いつどこで誰が凶器を俺へ向けても可笑しくはないって言いたい顔だな。そんなことはとっくの昔に知ってるんだ…「するわけねェ」なんて考えはしてない――それを踏まえて俺はここにいるんだ。どうだ、満足か?」

 

 転弧先生の言葉に面を食らったスズミは、自分が言おうとした言葉をそのまま言われたことに硬直する。

 それを理解した上で転弧先生はさも気怠そうに答えたのだ。

 そう言えば、とシャーレ占領奪還戦の頃を思い出す。

 あの時の転弧先生は異様に素早く、身体能力は自分が想定した以上にポテンシャルが高かった。

 尤も――リ・デストロ曰く「これほどの機動力があれば神野でもプロ相手一人や二人は殺せていた」とお墨付きを貰い、確かな潜在能力は雄英高校に襲撃(ちょっかい)をした頃から秘めていたのだ。

 

「すみません……少し過保護に考えすぎておりました…」

 

「自警団だっけ、どっちにせよ本質はヒーローに近い……別に困るって訳でもないしな」

 

 

 ――『嘘をつけよ、本当は憎くて鬱陶しくて仕方がないだろう?』

 

 脳裏に真逆の言葉が頭を過り、反射的に辺りを見渡す。

 …今、誰かが声を投げたような……。

 

「先生?どうかしましたか?」

「…いや、空耳か。なんでもない…」

 

 取り乱した様子を不審に思ったスズミに、転弧は誤魔化すようになんでもないと言う。

 …なんでもない訳ではないが、空耳と済まさない以上なんて言えば良いかわからない…という本心が近い。

 それとも寝不足が続いた余り、幻聴でも聞こえたのだろうか。睡眠不足と過労は、脳へ身体へ深刻な負荷をかけ、幻聴や幻覚が見えるともいうし…。

 

「?そう、ですか…。まあ、良いでしょう。取り敢えずこの方達を拘束しましょう」

 

「あー…そうだな。また暴れる危険性もあるし…それにそろそろハスミが来る頃だろうしな…」

 

「え、ハスミさんが……?それはどういう…」

 

 

 

 ―――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「…成る程。いえ、道理で先生が落ち着きながら問題ないと言っていたことに合点がいきました」

 

「俺だって先生という立場とはいえ、ちゃんと生徒に頼る時は頼るぞ。ただシャーレ奪還の時は自分で検証したかっただけで」

 

 襲撃を受けたコンビニの電柱に不良達を縛り付けながら、耳元にヘッドホンで『オスティン・ビーバー』の『ベイビー』を大音量で流す絵面はまるで拷問のようだ。

 途中で「嫌だ!そんないつの時代の曲かも分からない古いセンスを押し付けるのは嫌だ!!」と首を横に振り、グロッキー状態である。

 コイツ…曲のセンスは古いんだな、と軽く心に留めておきながら、何事もないように会話を進めているのは転弧先生の適応力の賜物か。

 志村転弧は曲に対して深い拘りはないのだが、嗜好ゲームへのBGMや曲などは些か悪くないという一定の評価基準はあったりする。

 

「それならこの方達はハスミさん達正義実現委員会に任せても良さそうですね」

 

「ああ、助かったよ…」

 

 この件についての詳細をモモトークで送ろう。

 折角忙しいなか、駆けつけにきてるのに、実はもう事件は解決しましたなんて知ったら心労を掛けてしまう。

 それは転弧にとっても不本意である。

 

「その…転弧先生はこれからご帰宅ですか?」

 

「シャーレに戻ってディスク作業の続きな。楽したツケが回ってきたにしろ、提出した鬼の書類が殆ど訂正の文字で返されるの、どう考えてもクソゲーだろ」

 

 帰ったらまたブラック企業並みの社畜的な仕事漬けが待っているとなると気苦労が絶えず、もういっそのことボイコットしてやろうかと考えている。

 やれ上司だの管理職だの、厳しい立場の人間がいない以上はまだマシだ。なんやかんやリンやユウカも時偶に手伝っては、どこがどう間違いなのか指摘してくれるしな。

 

「仕事……やはり大人の…いえ、シャーレの先生は大変なのですね…。その、もし良ければ私、帰りまでエスコートしましょうか?」

 

「は?良いのか?パトロールは…?」

 

「パトロールは普段しておりますし…それにまた先生が不埒な輩に狙われる危険性が高いと考慮した結論です。もし、先生が宜しければ、ですので…無理に強要は致しませんが……ッ 」

 

「いや、まあ……要らんとは言ってない。寧ろ…――」

 

 守月スズミの言い分は尤もである。

 偶々今回、コンビニの銀行強盗で済んでいただけの話だが、もしこれが異例にも自分の身に危険が及ぶ迷惑行為に巻き込まれれば?

 ひょっとしたら最悪、組織同士の争いや不良同士の喧嘩による流れ弾でこっちに被弾すればそれこそ人生終了だ。

 

 何より…

 

「――話したいと思ってたんだ。お前のこと、自警団とか…色々とさ。一人で帰るのは慣れちまった…偶には誰かと会話を弾ませたいとも思ってたしな」

 

 自警団としての部活に興味を抱いた先生は、スズミに手を差し伸べた。

 

「お前が良けりゃあエスコートしてくれ。自警団とはいえ、スズミはよく周りを視て、俺たちのことも確り視てくれる。お前が側に居てくれると心強い」

 

 細かい気の配りや、瞬時に周りを視て状況判断し、相手の動向を見据え、視覚錯乱とサポーター…。ユウカ、チナツ、ハスミと言い、俺と邂逅した生徒は一人一人が良い『個性』であり、優秀だ。

 そして俺は『先生』の立場である以上、生徒の秀でてる個性的な長所を信用するべきである。

 真に先頭を歩むべき人間は、仲間を信頼し、統括し、嚮導するべきである。

 

「ッ !?〜〜〜ッ ゛!!は、はい!有難う、御座います…!」

 

 それに俺はかなりの寝不足だ。

 睡眠時間も最高で3時間、よくて1時間前後…一気に張り詰めて作業を進める俺がこんな睡眠不足の状態なら、万が一にも事故やトラブルが起きちまう時だってある。

 だからこそ、ここはスズミを信じるべきだと考えた。

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「先生は自警団のことを珍しそうにしておりましたが…やはり外の世界では私たちのような存在は珍しいのでしょうか?」

 

「ああ、昔の時代じゃヒーローの原点とも言われてた。それは無法時代…まだ法律が機能してない時期だったし…今となっては非合法。それにヒーローの真似事、なんて一部から批難を受けてたりもする。市民から英雄と称える者もいれば、犯罪者と変わらない、なんて奴もいる。時代が変わることで価値観も変わってくるッてのは、まぁ…よくある話だな」

 

 徒歩で桜が満開した川沿いを歩きながら、スズミと隣で雑談を交わしていた。

 スズミは転弧の言う自警団と自分たちの相違が何であるか興味が湧いたところ、これまた考え深いことだと大きな印象を受けている。

 

「ヒーロー…というのは何となく察することはできるのですが…犯罪者と同列にされるのは、なんと言いますか…納得がいかないような……」

 

「俺たちの世界には『個性』っていう……いや、混乱しちまうか。そうだな……例えば、俺がキヴォトスにも通用する武力を持っていたとしよう。犯罪者を裁すれば美談に、これを正義実現委員会に向ければ?」

 

「…つまり、力への方向性によって犯罪者にもハスミさん達のようにもなれる存在…ということですか?」

 

「そうだ。だが力とは言い換えれば純粋…方向性を抜きにすれば可能性。その可能性が万が一にも人を傷つけることがあれば犯罪になる。その可能性を危惧した結果、俺たちの世界には力を行使することを制限し、法律によって縛りを設けた。力を行使するには、明確な資格だの、公安だの複雑に絡んでくるようになったからな。法律もヒーローも存在すらしない暗黒時代、自警団ってのは輝いてたそうだ」

 

「成る程……私たちは法律があるからこそ、それが当たり前だと感じましたが…法律すらない時代にそのような歴史が…。チカラや武力行使は、確かに人を守ることも傷つけることもありますが……なんだか、凄く考えさせられますね。先生の言う自警団の話は…」

 

 自分達は非公認の部活とはいえ、こうもキヴォトスと先生の世界では意味合いが違うことになるとは…。それでもスズミにとっては、先生の話は考えさせられる。

 

「ん……それにキヴォトスと俺たちの世界じゃ構造や概念も違えば、当然法律とかも変わってくるからな。相違があるのは当たり前なんだけどな…。それでも俺は噂話でしか聞かなかったしな」

 

 

 例えば昔噂になってたナックルダスター

 ゴロツキ上等、一時期地下格闘技場での潜入捜査や自警団の行動…無個性に関して先生とは何かしらの縁があったとか。

 黒霧曰く、脳無の製造計画はNo.6がどうとか…。個性特異点がなんとか…小難しい話をしていた気がする。それに関しては無個性のゴロツキというより、海外に行ったヒーローが…とかの話をしてたな。

 

「……だから法律化が進み、次第に自警団という名はいつしか敵と呼ばれるようになった。それも変種…という意味を込めてのな。当然、警察にもヒーロー達にも狙われるわな。例え立派にヒーローへの願望や正義に対する志があったとしても…俺たちの世界じゃそのチカラや武力は簡単に人を殺せたりもできる。中にはそうやって生まれ持った奴 ( 俺も含めて )もいるわけだしな。

 自発的なボランティア活動……上からの許可や命令関係なく、他が為に行動を取るッて点を見りゃあ…スズミ達も俺たちの世界で言う自警団も変わらないんだろう」

 

「特別視する訳にも行かず、例外を許すことはあってはならない…そうなれば、法律という意味が為せなくなりますし……ふむ、これは中々歯痒いと言うか…何と言いますか……難しい話ですね…ッ 。私達は処罰を受けることがないので…そう考えると、私たちの存在は案外曖昧な方ですね…」

 

 苦笑しながら、それでも先生の話は有意義だなと実感する。先生の視点から見れば、自警団などあってもなくても変わらないんじゃないか?そう思い始めたスズミに転弧は口を開いた。

 

「そんなことはないんじゃないか、別に――」

 

「えっ?」

 

 意外にも、転弧先生からの言葉に、スズミは目を丸くして彼の顔を見た。対する先生は目の下に隈が顕著になりながらも、真っ直ぐ前を見ながら、無表情に答えた。

 

「さっきみたいに、正義実現委員会が不在のトラブルが起きた状況……

 幾ら実力が高く、評価もあれど、穴を突く人間もいれば緻密に計画を練る知能犯だっている。ハスミ達が常に完璧でいろとは言わない――だから、アイツらが溢した問題を、お前達自警団で解決する。それで良いと思うぜッ。それが例えエゴだったとしても、俺はスズミに助けられたしな――俺が保証するよ、お前達の部活が非公認だとしても、曖昧なんかじゃない…立派にやってるって」

 

 それに、正義実現委員会とやらの立場上、動けない事案でも自警団ならではという時はいずれやってくる。もしも、の可能性に備えて可能性を放棄してはダメだ。

 寧ろ組織立った行動より、自由思想で好きに動けるチームとじゃ立場も違えば思想も違い、行動規模も変わる。

 

「ッ 〜〜〜!!もう!先生は……ずるいですよ…」

 

「何が狡いんだよ。ちゃんと評価してるだろうが」

 

 変なところで鈍感なのは、以前のワカモを通したように『愛や好意を知らぬが故の無知』なのだろう。

 ここまで先生に褒められるとは思ってもいなかったのか、思わず頬が緩みそうになるのを堪え、紅潮に染めてしまう。

 

 

 転弧とスズミのなんてことのない雑談は、自警団の成り立ちから、同期のメンバーである宇沢レイサのことや、音楽の趣味、先生から見たトリニティの価値観やこれまでのキヴォトスの生活まで、幅広く話を聞いたのだった。

 

「ふぅん……トリニティとゲヘナって仲が悪いんだな。あれ?けどチナツとハスミが鉢合わせても歪み合う仲じゃなかったろ」

 

「そうですね、ゲヘナ学園の自治区は治安が悪く、素行の悪さや問題児の多さにトリニティから問題視されていたり…取り締まり役であるチナツさんは、私から見ても話が通じる方でしたし、全てが全て、ではないのでしょう」

 

「じゃあシャーレに赴いた風紀委員の采配は賢明な判断だった訳だ。その点、ゲヘナ風紀委員のボスはよく理解してるな…」

 

 ニヤリ、とどこか口角を釣り上げる。

 それはまるで少年が微笑むかのような、どこか面白そうな笑顔。

 

「それもありますが…何よりエデン条約機構(ETO)も控えてありますからね。お互い手出しをするのは悪効果だという説も」

 

「なんだそれ」

 

「え!?知らないんですか!?」

 

「…あー…なんだっけ、なんかリンが薄っすらそのようなことを後日説明するとか云々言ってたな…まだ赴任して直ぐは状況は飲み込めないだろうってことで、俺もよく聞かされてないんだよな」

 

 ああ、成る程…と、スズミは納得した。

 政治の話になれば、他の生徒達との交流に疎い先生にしてはまだ序盤にしてはハードルが高すぎる。

 互いの問題や紛争を解決…連邦生徒会長が定める筈だった条約は、不在によって中止――現在進行形で停止という形にはなっているものの、フィクサーとなる先生がシャーレに赴任したことで、停止した条約は少しずつ進んでいるのだ。

 

「そのレイサってやつはエデン条約とか、ゲヘナの事とかどう思ってんの?」

 

「え?さぁ…彼女、ある意味元気が良すぎると言うか…細かな点を気にする性質ではなく…」

 

「ああ、OK――何となく察した」

 

「あ、ただこの前…いつも公園で寛いでる場所に、何故かゲヘナの生徒が高笑いしながら大きな地図で色々描いてたことに、不審者がいたとか…」

 

 なんだそりゃ……と内心呟きながら、頬をポリポリと掻く。

 

「あっ!そうだ…先生、忘れるところでした」

 

 スズミが何か思い出したかのように懐から何かを取り出した。「なに?」と眉を顰めながら、彼女の差し出したモノを受け取った。

 見慣れた閃光弾――実物を手に触れたのは初めてである。

 

「これを、受け取ってください」

 

「急にどうした?なに、俺にくれんの?お近づきの印ってやつか?」

 

「いや、そう言う意図ではなくて……ごほんッ !先生は無防備で、武器も防具も備わってないんですよね?それならせめて護身用にこれを…と、思いまして…」

 

「お前がよく使ってるやつだよな?」

 

「はい――私が近くにいれば、当然先生をお守りします…ですが、もしまた先生が先程のように、独り身の時に狙われてしまえば、かなり危険です。ですので、少しでも外敵から身を守る為にこれをと……」

 

 転弧は物珍しそうに摘みながら、ジロジロと閃光手榴弾を観察する。手入れ、仕組み、構造…それらを観察しているのだろうか?と、手渡した張本人は見守る中…

 

「まあ、貰っとく――有難うな、感謝するよ」

 

 懐に入れた。スズミはホッと安堵の息を吐いた。これで先生の身の危険を少しでも減らせる…。そのことに表情が緩み、微かに口角が釣り上がる。

 

「いえ!先生の為ですし…それに身の安全を考慮した判断ですので…!」

 

 守月スズミ――彼女が閃光弾をメインに活用するのは、自警団としての部活と切っても切り離せない縁なのだろうと、転弧は感じた。

 自警団とは自発的なボランティア。

 主にルールや命令による人助けとは違い、心の底から自身で動く活動的な人助け。

 自警団を敵と認識する者が半数以上を占めていた最中、それでも彼らを擁護する人間がいるのは、市民を守ろうとする心の原点……市民を傷つけないこと。

 それが前提であり、これが手榴弾(フラググレネード)等の破壊的な凶器であれば、やってることは敵と変わらない。

 変な正義感を振り翳し、戯言を吠えるだけと変わらない――

 

 

『ヒーローが本来の意味を失い、偽物が蔓延るこの社会も、徒に力を振りまく犯罪者も…粛清対象だ――』

 

 

 ヒーロー殺しステインの言葉が脳裏に浮かぶ。

 英雄回帰を訴え、資格も無しに個性を使い、英雄になり得ぬ者、犯罪者への粛清――拗れ歪んだ思想を持つ存在。

 

 そうだ…だからこそ、スズミとステインは根本的に違う。

 …まあ、奴の場合はヒーローも粛清という形で気に入らないモンぶっ殺してるから、超えてはいけない一線(ライン)を踏み越えてしまったので、違いが生まれるのは当たり前だが…。

 

 一方でスズミは、自警団としての根本的な基礎を尊重している。その証拠がこの閃光弾――俺に渡したコレが答えなのだろう。

 他者を傷つけず、市民を守る為の原点(オリジン)――その想いが宿っていると、俺は解釈した。

 

「その点…スズミのような奴は本物って言って、生かす価値がどうとかほざくんだろうな…あの悪党の大先輩……」

 

 気に入らない。

 自分を基準に、贋物や犯罪者(気に入らない者)を排斥し、自分が神にでもなったかのようにお高くとまるイカれた人間。

 俺を生かしたのだって偶然――死を前にして俺の揺るがぬ本質を見据え、信念を見抜き、現代を壊すと言う利害の一致に見届けると言っていた。

 

(……どうだよ、ヒーロー殺し――何の因果か、俺は個性と何ら関わりのない、神秘の溢れた世界で先生やってるぞ )

 

 タルタロスに搬送され、ダツゴクした後も先生の後ろを歩まず、絶海とも呼べる隔離された刑務所から一人で泳いだんだっけ…。アイツの基礎能力も結構可笑しいだろうと思う。

 

「先生?先生!」

 

「ん?あー…悪い、ぼーっとしてたわ……」

 

「随分とお疲れな様子ですね……。シャーレとの距離はもう少しですし…頑張れますか?」

 

「ああ、スタミナだけは取り柄なんだ……」

 

 髪をクシャクシャと掻きながら、朦朧とする雑念を振り払うかのように、頭を左右に振る。

 少しでもスッキリさせて意識を持たねば、ぶっ倒れてしまいそうになる。そうなればスズミにも迷惑被る訳であって…。

 

「……本当に、無茶するんですから…」

 

 隣で歩くスズミは心配こそすれど、どこか誇らしく思えるのは、きっと先生を通してだろう。

 連邦捜査部――シャーレの担任。

 業務内容は機密事項も含めて詳細を知る術はないが、スケジュールやディスク業務、書類問題や会議から、押し寄せてくる問題の解決など、やることは山積みだ。

 経歴に鑑みて、先生という職業でさえ全くの未経験――そんな先生が愚痴こそ吐けど、懸命に食らいつき、本当の意味で投げ出さずに勤しんでるのは素直に尊敬する。

 

 自分のご厚意を受け止めてくれたり、雑談に花を咲かせたり、自警団について深く考えたり…本当に、面白くて、でもって変わった大人だ。

 

『そのレイサってやつ、猪突猛進的とか言われないか?大丈夫か…?まあ、お前が付いてるなら大事は起こしてないんだろうな』

 

『音楽の趣味?マジでねェぞ俺…。つまんねェかもしれないけど、俺は嫌いなものが多かったってだけで、好きなもんが殆ど少ねえんだ。だから、これから好きなもの探す……お前の聞いてた音楽、今度シャーレの手伝いがてら聞かせてくれよ。自分探し――初めてに挑戦するには良い機会だ』

 

『トリニティを見た感想?まだ全部廻った訳じゃないし、生徒なんてそれこそ話す機会もなかったが……まあ、宗教派閥の多い文化的なお嬢様学園ってところか?規律重んじすぎて腑煮えたぎりそうだけど』

 

『シャーレに赴いてから、最初はゲーム三昧で楽してた。そしたらユウカにブチギレられたな。ハスミやチナツとも会ったよ…偶然な。シャーレの争奪戦で、俺に協力してくれたお前らとここ一週間近くで出会うのは、最早因縁めいた何かを感じるよなァ……』

 

『あー…ゲーム?基本、ホラゲーかフロム……fpsも好んでやるけど、流石に金が底を尽きるから給料振り込みの日に期待だな』

 

 

 対等に、隣で一緒にエスコートをしながら他愛ない雑談が、こんなにも楽しくて、色が付くものなのか。

 普段、パトロールに老人や身体の弱い住人のエスコートなどをする事もあるのだが…転弧先生とこうして話していて、僅かながらにも面白いと思えるのは、同じ目線で語ってくれるからだろうか。

 

 

「あ、そろそろ着くな……」

 

 会話のやり取りを振り返っていると、転弧先生の言葉によって現実へと引き戻された。

 シャーレ――先生が仕事をする神聖なる場所…ああ、もう着いてしまったのか…と、どこか心が落胆的になってしまう。

 

「有難うな、スズミ――今回の道中、特に何もなかったけど…。またもし、お互い時間があればエスコート…頼むぜ」

 

 転弧先生は軽く手をヒラヒラしながら、感謝の意を述べた。

 ああ…もう終わってしまう――このままじゃ、また…!

 

 

「せ、先生!!あの!!」

 

 

 シャーレの玄関。

 自動ドアが開き、足を踏み入れようとしたその刹那――スズミから呼び止められ、振り返る。

 

「その…今度、もし良ければ私の方から、先生と一緒に過ごす時間をお誘いしても…宜しい、でしょうか?エスコートもそうなんですけど……もっとこう、先生とお話がしたいって思って……」

 

 少しでも一緒に時間を過ごしたい

 彼の隣で温もりを感じたい

 なんてことのない…友人との談笑に花を咲かせるような

 儚くとも、淡くとも、それでも少しでも満たされたいと願う先生との特別な一時を…。

 

 

「…ああ、勿論良いぜ。最悪、予定が合わなくてもスケジュール空けとくように調整はするからさ。スズミが良けりゃあ一緒にまた話そうぜッ」

 

 

 ハハッ――彼はそう、笑顔で応えた。

 中々に見せない先生の笑顔は、どこか健やかで爽やかで…それがとっても嬉しかった。

 口元が緩みそうになるのを、必死に閉ざし耐えながら、ぐぅぅぅ!!ッ と両手を握りしめる。

 

「はいッ――!!」

 

 

 だからこそ、スズミも最後には元気良く、笑顔で言葉を返した。

 こうしてお互い背中を合わせ、先生はシャーレに入り、再び地獄の業務に見舞われるのであった。

 アロナの『先生止まって!!』危険信号が8回鳴ったことなど、気にも病むことなく、明日はやってくるのであった。

 

 

 






実際のモモトーク

【志村転弧先生】
『ハスミ、SOS――求む』

【羽川ハスミ】
『先生?これは…?』
『どうかなさいましたか!?先生!』

『トリニティ自治区周辺――『オクトパス26』白羽市北地区5番地』

『!?住所…直ぐに向かいます!』


この発想、無意識にも保須市で緑谷が轟に住所だけ送ったという、ステイン編でやったことを転弧もここでしてるという。


その後

【志村転弧先生】
『ハスミ、悪い――丁度運良くスズミがきて不良二人、鎮圧してくれた。今頃電柱で拷問喰らってると思う』

【羽川ハスミ】
『たった今確認しました。後でスズミさんにはお礼を申し上げておきます。それに、怪我はありませんでしたか?』

【志村転弧先生】
『怪我はないな』
『シャーレの業務の都合上、帰らなきゃいけなくなってな。スズミが配慮聞かせてくれてボディーガードしてくれた。引き取り係のような役割担わせちまったの悪いな』

【羽川ハスミ】
『いえ、とんでもないです。ご無事でなにより…此方こそ、私を信頼してモモトークで連絡してくれたこと、嬉しく思いますから』



こう言う生徒想いな部分や気の配りが、連合の筆頭やれたりシャーレの先生やってるんだなと思います。


守月スズミ
彼女…うーん、難しい!!いけるか?と思いきや思ったよりノリノリで行けました。
実は彼女、全く出番も別衣装もないので「えぇ!?」となりました。恐らく当時の予定では、アズサポジションだったのかなと。証拠にヴァニタスという文字が刻まれていたとか……。ただ今年のPVではスズミとレイサが揃って出ていたことがあったので、ちょい楽しみですね!!


ステイン
そいや彼、スタンダールとして名を語り自警団やってたんです。志村転弧はヒーロー殺しという頃の名しか知り得なかったので、スズミの話を聞いても「ステインも自警団だったなぁ…」とはなりませんでした。
意識的にはナックルダスターや灰廻航一が先生の計画に一噛みしてたというのを聞いていただけなので、本当に詳細は知りません。


けっかおーらいの歌詞聞いてると
成りたいもんに成っていく=スズミは自警団として成りたいものになっていく。
成れないもんに成っていく=ステインの存在はどんどん理想の人間と離れていく。

THE・裏話!
尺がもしあったら今回の話でジュンコやヨシミの登場予定もあったんですよ!というちょっとした裏話。
小腹のジュンコ、ギャルのヨシミ、真面目なスズミ、モンちゃん大好きマン志村転弧。

転弧先生が初めての生徒とどう邂逅するか…楽しみですねェ !!








「次回、悪夢の先に見えたのは…乞うご期待」

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