作者の異世界旅行譚   作:JAIL

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さて、少しでも多く2章目の書き溜めも増やさないと…


予兆

図書館でダンジョンの事を調べた翌日、ギルドに入ると何か騒いでいた。

 

(どうしたんだろう?)

 

辺りを見回すとアテナさんとレイさんを見付ける。

 

「アテナさん、レイさん。何かありました?」

「お、ジェイル君か。あれだよ」

 

レイさんが依頼の貼ってあるボードを指差す。

だがそこには1枚の張り紙があるだけで他の依頼は1枚も無かった。

そしてその張り紙には

 

【一定期間の依頼張り出しの中断について】

現在、一部の冒険者とダンジョンを専門とした研究者達がスタンピードの予兆を見付けたという報告があり、備えが必要と判断し、依頼の受付を一時的に中断しております。

冒険者各位は各々でスタンピードに対しての備えをお願いします。

 

と書いてあった。

 

「スタンピード…?」

「あぁ、アテナの報告で上位ランクの冒険者達を調査に寄越したらしいんだが、これは私達も忙しくなるな」

 

暫くは準備が必要?とアテナさんがレイさんに聞いていた。

恐らく以前のモンスターによる村襲撃でそれの現実味を帯びたんだろう。

だとしたら俺も準備が必要となる。

…けど準備って何をしたらいいんだろう?

新しい武器や装備の調達?それとも訓練?

スタンピードなんて日本では未経験だから分からない事だらけだ。

そして俺の横でもうーん…と考えてるアテナさんとレイさん。

その他の冒険者も張り紙を見て散り散りになっていく。

 

「悪いがジェイル君、私達もスタンピードに備える必要が出来たから今日は失礼するよ。君も準備を急いだ方がいい」

 

レイさんはそう言ってアテナさんとギルドを出て行った。

確かにスタンピードに備えるのは必要だ。

だが一つ気になる。

 

スタンピードは何時どこで始まる?

街にいる冒険者で出来る事は備えるだけか?

 

必死に頭を回転させる。

小説で様々な展開を思い浮かべてるならこういう時に機転を効かせないでどうするんだ。

目を閉じて様々な可能性を思い浮かべる。

 

仮にアテナさんが言ってたようにダンジョンから湧き出たモンスターなら?

 

仮にそれがスタンピードとして街に襲撃に来る時に対策は?

 

無い頭を必死に回して予想出来る程度の可能性を考える。

俺だって冒険者になったんだ。

ここで冒険者として戦えない国民を護らないで何が冒険者だ。

今までの事を必死に思い出し、何かスタンピードに関して対策出来る事は無いのだろうか。

その時レイさんとアテナさんが言っていた事、村での依頼をこなした時の事の全てを思い出す。

 

そしてある提案が頭に浮かんだ。

 

だがこれはギルド長に進言するしかない。

故に俺は急いでギルド長の居ると思われるギルド長室へ向かった。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

俺はギルド役員の1人を見付け、呼び止める。

 

「すみません。スタンピードについてなのですがギルド長の耳に入れたい事があります」

「分かりました。こちらにどうぞ」

 

役員の人が奥に案内し、ギルド長室だと思われる扉の前に立つ。

 

「直ちに住民の避難を優先せよ!」

 

部屋の中では既にスタンピードへの対策が始まっていた。

案内してくれた役員の人がノックして部屋に入り、俺も入室を促される。

 

「ギルド長、彼がスタンピードに対しての提案があるとの事です」

 

ギルド長と思われるスーツを着た老人が座っていた。

 

「…話だけでも聞こう」

 

ギルド長が俺をソファに促す。

俺は一礼してソファに座り、提案を話した。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

「…成程…確かにその方法ならある程度安全にモンスターを減らせる可能性がある…」

 

ギルド長はテーブルに地図を広げながら俺の提案を聞いていた。

俺の提案、それはスタンピードでのモンスターをアイル交易道跡地に誘導、その崖上から魔法使いの法撃、数が減ったら近接武器を持つ冒険者達を投入し、迎撃するという内容だ。

これなら冒険者達は安全な所から攻撃し、確実に数を減らせる。

だがギルド長はまだ熟考しているようだ。

そしてようやく口を開いた。

 

「君、今回の提案は採用しよう。だが──────この提案は私が考えた事にしてはもらえないか?」

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