作者の異世界旅行譚   作:JAIL

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久々の投稿でございますヽ(*´∀`*)ノ
やっと2章目が完成したので今回は幕間を…
それではどうぞ♪


幕間①

アイルミロク王国を離れて結構経ち、腕時計の短針は午後6時を指している。

ガラガラ…と木製の車輪が転がる音が鳴り続けているが俺には聞こえてない。

なぜならショルダーバッグに入っていた有線ヘッドホンを使い、曲を聴きながら備え付けのソファーで横になってのんびりしていたからだ。

時折、チラッと外の様子を見る。

外は夕焼けになっていて山と平原だけがあり、海は見えない。

 

(ここの大陸ってかなり大きいのか?そういえばアイルミロクでも海の幸はあまり見かけなかったな…)

 

前世のように冷蔵技術も冷凍技術も無いこの世界では食品はすぐに腐ってしまう。

魚介なんか尚更だ。

恐らくは冷却する魔法なんかはあるんだろうけど「食べる物を新鮮なままで届けたい」という理由でその魔法を使ってもらう等はしないしむしろ他に必要な事に使うんだろう。

…日本人みたいに「食」に関してはとんでもない程の情熱を燃やす人がいたらやるかもしれない。

だとしたら今の冷凍、冷蔵の技術は凄かったんだな…と関心させられる。

 

トラックのクール便よ、新鮮な魚介をありがとう。

 

そう思いながら再び目を閉じる。

次に向かうラテゼ魔工皇国は着くのに2日掛かる。

早朝に馬車は移動を始め、中継地点とされる所で物資のやり取りをしながら1泊、朝になったら再び出発してラテゼ魔工皇国に着く予定だ。

だがこれは予定であり、途中魔物が出たらその予定は大幅に狂う。

それゆえ護衛となる高ランク冒険者を雇う数も多くなり、多い時には20人で荷馬車やラテゼ魔工皇国に行く俺のような冒険者を護衛してくれるのだ。

ちなみに俺の払った金貨15枚の中には冒険者への報酬も入っている。

内訳は知らないけど…

ラテゼ魔工皇国に着いたら何をしようかと馬車の天井を眺めながら色々悩んでる内に急に馬車が止まった。

まさか魔物の襲撃か?

突然の事に竜魔水晶剣の柄を握る。

すると1人の執事服を着た男性が入ってきた。

 

「ジェイル様、中継地点に着きましたのでここで一旦休息とさせて頂きます。お食事もご用意してますのでどうぞこちらへ」

 

執事のような男性が馬車に入ってきて、俺を馬車の外に案内する。

外は中継地点にも関わらず活気に溢れていた。

そもそもここ自体、中継地点と言われないと1つの国の様に思える程整備が行き届いている。

魔物よけの壁、そこを守護する兵士、武器や日用品の売買…

だが食品等の販売は無いようだ。

 

「武器とかは売ってるのに食べ物とかは売ってないんですね?」

「えぇ、ここはあくまで中継地点ですから食品等は腐らないようにそのほとんどが1泊用の食事に使われるのですよ。一応保存食も販売しておりますが他国からの仕入れですので少し値段は高く設定されております」

「あぁ、なるほど…」

 

そういやランクDも自分で持ち込みだったし、それ以外も食事付きだったか。

すると執事の男性は大きな建物の前で止まった。

 

「本日ジェイル様がお泊まりになる宿屋となります」

「うおおぅ…」

 

中継地点のほぼ中心、魔物から最も狙われにくい位置にそのホテルはあった。

というかこの世界で1番大きく豪華な建物を見た気がする。

アイルミロクのギルドでも二階建てだがこのホテルは五階建てだ。

 

「こちらへ」

「あ、はい」

 

執事に案内され、建物の中に入ると目の前には西洋の龍の石像、真上には豪華なシャンデリア。

日本でも恐らく1泊数十万はくだらないホテルのロビーがそこにあった。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

「ジェイル様、ルームキーを手配しますのでここでお待ち下さい」

「分かりました。ありがとうございます」

 

執事の方は一礼してフロントに向かい、手続きを行っている。

しばらくして帰ってくるとまた案内を始めてくれた。

今回俺が1泊する所は2階の部屋のようだ。

その泊まる部屋の前で一礼し、ルームキーを渡される。

 

「では、明朝は鐘が鳴ってしばらくしたら出発しますので遅れないようにお願いします」

 

分かりました。と俺も一礼してルームキーを使って部屋の中に入る。

中は大体10畳位の大きさがあり、まさかの天蓋付きベッドだった。

フカフカのソファーもあり、その前には装飾が彫られた木製のテーブル。

そしてそのテーブルにはルームサービスの案内が書かれているがそれは後で見てみよう。

俺はソファーにショルダーバッグを投げ、ベッドに横になった。

 

「あー、金貨奮発した甲斐はあるなー」

 

俺、ランクは多分初心者卒業辺りだろうけどその中では中々いい生活をしてるんではなかろうか?

 

「っとそうだ。夕飯の時間とか見ないと」

 

俺はベッドから起き上がり、テーブルに置いてあった案内の冊子を捲る。

どうやら夕飯は決まった時間に運ばれてくるようでその時間は大体19時頃。

腕時計の時刻を見ると今が18時半なのであと30分後のようだ。

それと一応フロントに頼めば湯浴みは出来るらしいがそこは別料金で銀貨1枚との事。

個人的には夕飯前に入りたかったが今から入っても30分しか無いなら夕飯後でいいか。

という事で俺は夕飯を待ちながらベッドで寝転びつつもヘッドホンで曲を聴いて待っていた。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

コンコンコン。

 

俺の部屋のドアがノックされた。

 

「はいはーい」

 

俺はソファーから立ち上がり、ドアを開ける。

するとメイドの女性がよろけたが体制を持ち直した。

 

「申し訳ございません。お心遣い痛み入ります」

 

メイドの女性に頭を下げられたけど何故だろうか…と思ったが今更気付いた。

本来、メイドとは家主に仕える者の為、家主に何かをさせる事はしないのだ。

だとしたら余計な事をしてしまったかな?

だがメイドは毅然とした態度に直ると椅子へ着席を促す。

クロッシュが乗った皿を置くとそのクロッシュだけを回収した。

メニューはビーフステーキに温野菜の添え物、コンソメスープ?的な汁物とバケットのセットだった。

 

「こちら、お食事になります。終わりましたらテーブルの上にそのままにしておいて下さい」

「分かりました。ありがとうございます。あ、それと湯浴みは何時までですかね?」

「湯浴みですか?湯浴みでしたら大浴場はもう閉まっておりますが小浴場であればいつでもご利用頂けますよ」

 

カラカラと台を押し、「失礼します」と一礼して部屋を出ていく。

さて、夕飯にしますか。

置かれていたナイフとフォークで肉を切り、口に運ぶ。

 

「うまっ」

 

この世界の肉料理美味すぎやしないか?

切っては食べ、切っては食べを繰り返し、あっという間に無くなった。

 

「食べ終わった食器はそのままって言ってたよな。さて、風呂でも…あ」

 

俺はとある事を思い付いてバッグの中に入れてあったメモ帳を取り出して2枚を破き取ると1つは正方形に切って折り鶴を折る。

もう一方の紙にはこの世界の文字で『ごちそうさまでした』と書いて置いておく。

ちょっとした遊び心だ。

 

「よし、オッケー。て事で風呂に行くか」

 

俺はルームキーを持って部屋を出た。

フロントに行って小浴場の場所を聞くと隣の建物らしい。

なので隣の建物に続く廊下に行こうとした途端、フロントに呼び止められると1つのカゴを渡された。

中には着替えとタオル2枚が用意されていた。

俺は一礼して小浴場へと向かうのだった。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

「…ここ…か?」

 

俺の目の前の壁には人が箱に入っている絵が描かれた看板があった。

…多分合ってると思う。

だが…

 

「え?まさか混浴?」

 

そう、男女別で別れてないのだ。

え?マジで?

恐る恐る中に進むとその道の途中で『←女性』、『男性→』の看板があった。

良かった…途中で別れていたようだ。

安堵して更衣室に入り、服を脱いで手拭いを持つ。

多分シャンプーとか無いのだろうがこの際文句は言ってられない。

という事で俺は小浴場に入る。

そこには両サイドに扉のある通路があった。

そして閉まっている所と空いている所がある。

恐らく空いている所に入って、内側から鍵を閉め、湯浴みが終わったら空けたままにするのだろう。

俺は滑らないように歩き、1つの空いた所に入る。

確かにそこに風呂場はあった…のだが…

 

「お湯無いじゃん…」

 

え?どうするの?と思い、その部屋の周囲を見てみると水滴のマークが描かれた前に2つの球体があった。

 

「あ、もしかしてこれでお湯を入れるって事か?」

 

試しに触れてみるとその球体は淡く輝き出し、空の風呂釜に水が出てくる。

触ってみたが冷たい。

 

「あー、2つって事は1つは熱湯、もう1つは水が出るって事なのか」

 

つまり、熱さは自分でするようだ。

前世で暮らしていたアパートのユニットバスみたいなものだろう。

俺はその両方に触れて熱湯の方は出しっぱなしで、水は時折止めて熱さの調整をしながら風呂釜に湯を溜めていく。

ほぼ満杯になった所で少し指を入れてみた。

うん、丁度いい。

という事で…

 

「さ、入りますか!」

 

近くにあった風呂桶でかけ湯をし、風呂に浸かる。

じんわりと温かさが体全体に広がった。

 

「あ゛~~~~~~」

 

おっさんみたいな声が出る。

だがそれ程心地良かった。

 

「しかも大きさ的に壺風呂だから最高じゃんか…ま、風呂上がりのコーヒー牛乳は無いけどな」

 

でも、この温かさはリラックス出来る。

というかこれアイルミロクにあっても良かったろ。

あっちではこういう風呂は無く、桶の湯に手拭いを湿らせて体を拭いていた。

…もしかしてこれもこれから行くラテゼ魔工皇国との不可侵条約でアイルミロクでは制限してたとか?

となるとかなり勿体無い事をしている。

 

「ま、郷に入っては郷に従え…その国のルールに従うしか無いか」

 

でも今はこの壺風呂にのんびりと体を沈ませていた。

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

しばらく浸かった所で頭から湯を被る。

シャンプーが無いのだから仕方無い。

ある程度濡らした所で風呂から出るとドアに何かが書かれてあった。

 

【最後にお湯を抜いて下さい】

 

あ、最後に抜いて出るのか。

 

俺は風呂釜の栓を抜き、お湯を抜き終えると手拭いで軽く身体を拭いてから浴室を出る。

更衣室に戻ってバスタオルで身体の水分を取り、カゴに入っていた服を着る。

自販機さえあればこのままコーヒー牛乳を飲みたかったが堪えよう…

でも飲みたかった…!

という事で俺は自室に戻る。

テーブルには食べ終えた食器が無くなっていた。

恐らく回収されたのだろう。

俺はそのテーブルにカゴを置き、ベッドに仰向けで身を投げる。

 

「異世界とはいえ風呂は最高だったなぁ…あ、明日起きる時間の設定しておこう」

 

俺はスマホの電源を付け、アラーム機能を設定する。

あとは歯を磨いて寝るだけだ。

どうやらこの部屋には洗面所があるみたいなのでそこで歯を磨き、就寝する事にした。

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

ピピピピピピ…

 

「んぅ…ふぁあ…」

 

スマホのアラームで目が覚める。

時間は6:30。

馬車が出るのは8:00なので1時間半余裕があった。

着替えを済まし、

…朝食は出るんだよな?

そう思っているとドアをノックされる。

 

「はーい」

 

メイドさんが入ってくる。

昨日のメイドさんとはまた別のメイドさんだ。

 

「おはようございます。朝食をお持ちしました」

 

淡々と食事をテーブルに乗せるとすぐにカートを押して「失礼します」とだけ言い残して部屋を出る。

朝食のメニューはベーコンに目玉焼き、コーヒー、パンといったセットだった。

時間的に余裕はあるだろうが言ってしまうと俺は食べるのが遅い。

という事で俺はすぐに朝食を摂るのだった。

 

「ご馳走様でした…っと。さてと時間は…あと1時間か…」

 

割と早目に摂る事が出来たけどチェックアウトもあるだろうからすぐに荷物をまとめて部屋を出る。

フロントに向かい、鍵を返すと一礼してホテルを出る。

 

「やっぱ高い金出すだけはあったな…」

 

また次の国を出る時は最高ランクを予約しようと誓った。

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

「…何これ?」

 

俺の目の前にある物…それは首の無い金属製の馬の様な形をした何かと、その胴体を紐で繋いだ長めの馬車だった。

正直工業系の高校大学を出ている俺からしたら色んな所から眺めたい外見だ。

 

「というかこれ動力何だ?魔力つってもこれらを動かせる魔力なんてあるのか?」

 

マジマジと見ていると馬車の中から1人の男性が出て来た。

 

「ん?もしかしてジェイルってのはお前さんか?」

「え?あぁ、はい。そうなります」

 

おお!やっぱりか!と馬車から降りてきた。

 

「いやー、ラテゼ魔工皇国に初めて行く人達は皆これを見た途端「首が無い!」って言って腰を抜かすんだよ。...けどオメーさんは驚かねぇみてぇだな?」

 

口調的が荒々しい...多分だけどラテゼ魔工皇国には職人気質な人達が多いのではないだろうか?と深読みする。

そしてこの首無し馬車の動力はスターリングエンジンを応用したようなものだろう。

 

「多分ですけど魔力で空気を熱してその首無しの馬を動かしてるんじゃないかと思いまして...」

「...まさか当てるとは思わなかった。その通りでこいつには魔力を充填してる。その充填した魔力で脚を動かすって寸法よ」

 

やはり俺の考えは正解だったようだ。

この首無し馬には空気を熱したり冷ましたりして中のホイールを回して動く《スターリングエンジン》の技術が使われている。

となると必然的にあちらの国には馬車以外の乗り物もあるのかもしれない。

そう色々と考えてると出発の鐘がなる。

俺はそれを聞いて目の前の馬車に乗り込んだ。

中には既に人がいたがその全員が貴族のような格好をしていた。

俺が指定されてる座席に向かう途中、色んな人が珍しそうに俺を見る。

まぁ、そりゃこんな綺麗な車内に冒険者が入るんだ。

その絵面が珍しいのだろう。

座席に座り、馬車が走り始めた。

だが車内は揺れない。

相当な技術が詰め込まれているのだろう。

そして何より、アイルミロクの馬車と比べて速い。

体感では時速50kmは出てると思う。

にも関わらず車内は快適だった。

そんな中、ほぼ全ての貴族が突然カーテンを閉じ始めた。

一瞬何事か?と思ったらそのカーテンに映るシルエットからこの馬車の座席は背もたれを倒せるようだ。

なんか日本の夜行バスを思い出す。

という事でその貴族達に習い、俺もカーテンを閉めて背もたれを倒した。

これは快適だった。

 

「中々いいな。こういうのも」

 

そう言いつつ俺は仮眠の為に目を閉じた。

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

暫くして目を開ける。

腕時計を見るともうすぐで正午になる時間だった。

試しに窓を開けて外を見ると少し遠くに高い建物や、至る所から黒煙を上げる煙突が見える。

その様子からすぐに分かる。

そうか...あそこが……

 

 

ラテゼ魔工皇国か────




という事で明後日の毎週日曜21時から本投稿です。
またお越し下さいm(_ _)m
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