それにまさかのトロフィー獲得も情けない姿で取ってしまった…w
俺は鐘が鳴る前に宿を出てルインとネビの元に向かいノックもせずに中に入る。
「ルイン君!ネビちゃん!」
「うおっ!?」
2人はどうやら食事をしていたようだ。
驚いてる中、俺はルインの横に座る。
「え、どうしたの?ジェイ──」
「ルイン君、今すぐに俺と来てくれないか?理由は行きながら話すから!」
「えっ!?何!?」
「君がちゃんと働ける所を紹介出来るかもしれないんだ!」
俺が"ちゃんと働ける所"と言った瞬間、目の色を変えた。
「本当に?」
「あぁ、君次第だけど…」
どうやら俺の言葉を信じてくれたようですぐに準備をしてくれた。
ネビちゃんを1人にするのは心配だったみたいで俺が抱えて2人で歩き出した。
「じゃあ説明するね。実は昨日俺が今泊まってる宿の人に君の事を話したんだ。そしたら今日、君の技術を見てくれるらしいから呼んでくれって言われてね」
「それで俺を呼んだの?」
「そう、一応言質は取ってるからあとは君が実力を見せればちゃんとした所で盗みもせずに働ける可能性は出てくる」
まぁミスったら俺がしばらく働く事になるんだけど…とは言わない。
変にプレッシャーを与えて身体を強ばらせる気は無かったからだ。
そして俺の泊まってる宿に着き、中に入る。
既に準備は出来ているようでキールさんが待っていてくれた。
「準備は出来てる。お前がルインだな?」
ルインは黙って首を縦に振る。
「今からお前さんがどれだけ出来るか試させてもらう。ダメだと思ったらそこでテストは終わり。この話は無しだ。いいな?」
再びルインが首を縦に振るとキールさんが奥の作業場に俺とルイン呼ぶ。
ネビは待合室で待たせておいた。
◆◇◆◇◆◇
奥の作業場には3本のパイプと2枚の三角形をした小さな鉄板、ガス溶接機のトーチ?と紫色の水晶の様なものが置かれていた。
「これから10分やる。時間一杯使ってそのパイプ3つを繋げてみろ。やり直しは無しだ」
キールさんが座り、準備をさせる。
その時俺は見た。
あの溶接機にホースが用意されてない────
「キールさん、あ────」
「ジェイル。お前は口出すな。あの程度も見分けられない程度じゃ雇う気は無いんだ」
ジロ…と睨まれ、俺は黙るしか無かった。
確かにキールさんの言う通りではある。
だが彼はまだ年端もいかない幼い子だ。
少しは加減をしたらどうなんだ。と思っていた。
だが───
「あの、キールさんだっけ?これ嫌がらせ?4号のトーチじゃこの魔石使えないじゃん」
ルインの言葉にキールさんは感心したような表情をする。
え?4号?魔石?
「ほう、それで君は何号のトーチがいいんだ?」
「この型式なら5号だけどあるの?少し前の型式だけど」
その言葉にフッ…と笑みを見せるキールさん。
少し待ってな。と言って倉庫から少し錆の入ったトーチをルインに渡す。
するとルインは持ち手の所を外してそこに魔石を入れ、再び付け直すとボタンを押して火を付けた。
あ、あれってガス溶接のトーチじゃないんだ…
普通に俺の杞憂だったようでルインは作業を進め始めた。
ガス溶接と違って音がほとんど無い。
…ちょっと工業系の高校を出てる俺からしたら気になったが変に気を散らせて失格になったらマズいと考え、俺は黙ってその場に立っていた。
◆◇◆◇◆◇
「そこまで」
キールさんの声が響き渡る。
ルインの元へ歩き、溶接の様子を見ていた。
俺も見てみたが中々の出来だ。
多分もっと技量を上げれば完璧になるレベルでもある。
腕を組み、何やら考え事をしているようだが少ししてその腕を解いた。
「合格だ。ルイン、お前をここで雇ってやるよ」
その言葉はルインの努力が報われた瞬間でもあった───
溶接で思い出したけど、高校の頃にガス溶接の資格取得の実技で合格はしたけどどれだけ薄く鉄板をガス切断出来るかを余った時間使って同期と競い合ったなぁ…
わずか1ミリの差で負けたけど…w
またお越し下さいm(_ _)m