俺は裏路地に向かい、そこから壁をボルタリングの要領で登っていく。
すると────
グ二……
「……!?!?」
何かが肩に当たる。
登りきって何かが肩に当たった所を見てみるとそこには細いワイヤーが張り詰めて屋根に打ち込まれていた。
「…何でワイヤー?」
俺はとある事に気付く。
今まで冒険者達が見付けて追っていたのは見ていたが気付いたのはその方向だ。
全員、壁の方に向かって走っていた。
そして追う前の方向には───時計塔がある。
(…まさか…)
俺は確かめる為に時計塔の位置と魔術を打つ方向を定め、腕をしっかり固定する。
そして───
ボッ───!!!!!!!!!!!!
魔力を地面方向に撃って自身を時計塔の最上階目掛けて飛び上がらせる。
魔力量はまだ十分。
出し惜しみはしないで飛び続ける。
そして遂に時計塔の頂上へ着いた。
それと同時にそこに人影が見えた。
「見付け……っ!?」
一瞬だけ目が合った。
その人物も見られた事を察したのか、すぐに投げナイフを俺目掛けて投げてきた。
「危っ!?」
俺はギリギリの所で避け、辺りを見回すが既にレッドルビーは消えていた。
しかしレッドルビーは焦っていたのかそこにある金品は小さい穴が空いた袋に入ったまま放置され、自身の身代わりとも呼べるカカシとそれを使う為のワイヤーが張ったままそこに残されていた。
やはりレッドルビーはここで金品を少量ずつ袋に入れ予め空けていた穴から金品を撒き散らしていたようだ。
だがその前に気付いた。
(なぜ、あの人が…)
そういえば…とあの人が言っていた事を思い出していた。
(あぁ…そういう事か…)
俺は合点が合い、再び飛行魔術で時計塔を後にするのだった。
◇◆◇◆◇◆
レッドルビー捜索は時間切れとなり、一旦広場に冒険者達が集められていた。
拾った金品を回収するとの事だったがほとんどの冒険者はどこかに置いといて解散後に回収するつもりなのか、持っている者はいなかった。
今回のレッドルビー捜索作戦は失敗とするが冒険者カードには記載はしないらしい。
その上、情報だけでもあれば今日の深夜までは受け付けているとの事。
それらを聞いて解散となった。
◇◆◇◆◇◆
キールさんが経営してる宿まで帰ってきた。
キィ…と静かに扉を開ける。
カウンターにいたのはキールさんだった。
「おう、帰ってきたか。何か飲むか?」
「ただいま帰りました…飲み物は結構です」
俺はロビーの椅子に座り、時計を眺める。
時刻は23:50。
レッドルビーの情報提供は残り10分。
「…キールさん、武器の手入れ、お願い出来ますか?」
俺が武器をカウンターに置くと「…分かった」と少し神妙な顔付きで武器を持って奥に行く。
その間に俺がギルドに向かい、レッドルビーの情報を渡せば依頼はある程度完了だ。
そう思い、俺は宿の出入口のドアノブに手を掛けた────
多分あれ、ありえるであろう別の世界線の話だよな…?
うん、そうであってくれ…
またお越し下さいm(_ _)m