11月も下旬に差し掛かる頃。
エリが雄英預かりになったり、プッシーキャッツが雄英を訪れたり、ビルボードが発表されたり、福岡でエンデヴァ―とホークスがハイエンド脳無を撃破するなどのイベントがあった。
ちなみにここで上鳴は水の個性を持つ出水洸汰の髪の毛を貰い『なみのり』を習得した。
そして舞台は雄英に戻る。
「私、冬仕様~カッコイーでしょーか!」
「入学時と比べるとだいぶ皆のコスチュームも様変わりしてきたな」
芦戸と飯田はそう言って盛り上がる。
冬に差し掛かり一部メンバーのコスチュームも初期と比べて変更されている。
例えば葉隠などは全裸から自分の体毛を使ったスーツを羽織っている。これで冬場も暖かい。
「上鳴も変わったね」
「デカくなったのを機にコスチュームを変えたんだ!」
葉隠の問いかけに対して上鳴はそう答える。
OFAで巨大化したことを機に彼のコスチュームはマスクドピカチュウからハードロックピカチュウに変更になった。変更した理由はマスクドだと自分の顔が隠れてメディア戦略的にダメだからとのことだ。実にナルシストらしい理由だ。
「おいおい、ずいぶんと弛んだ空気じゃないか。僕らを舐めているのかい」
「舐めてねーよ!わくわくしてんだ!」
「フフ、そうかいでも残念。波は今、確実に僕らに来ているんだよ。さぁ!A組!今日こそ白黒つけようか!?」
声の主は物間だ。
その日のヒーロー基礎学は特殊なものであった。
A組vsB組の合同戦闘訓練だ。だがそれだけではない。
「今回はゲストがいます」
「しょうもない姿はあまり見せないでくれ」
ブラドキングと相澤はそう言うと合図をする。すると彼は出て来た。
「ヒーロー科編入を希望している。普通科の心操だ」
そしてこれに心操が加わる。彼は自己紹介をする。彼はヒーロー科の生徒全員が乗り越えるべき壁であると言う。それを見た生徒達は気を引き締める。その様子を見た相澤とブラドキングは今日の本題に入った。
「今回はAとBの対抗戦だ。舞台はここ運動場γの一角、双方4人組を作り1チームずつ戦ってもらう」
運動場γ、工業地帯を模した訓練場だ。開けた場が少なく視界・足場の悪さに定評がある。
そこで4対4の対抗戦を行う。
勝利条件は相手の4人を「激カワ据え置きプリズン」を投獄すれば勝利だ。制限時間は20分、時間内に決着がつかない場合は残り人数が多い方が勝ちだ。
なお心操を含めて41名になる半端は、心操がいるチームは5人組になることで解決だ。5人チームで有利に見えるが、5人チームでも4人捕らえられたら負けになる。爆豪曰く、「お荷物を抱えて戦ってかクソだな」とのことだ。
「じゃ、クジでチームと対戦相手を決めるぞ」
相澤はクジの入った箱を差し出す。そうして対抗模擬戦が始まるのだった。
第1試合
A:上鳴、蛙吹、切島、口田
対
B:塩崎、宍田、円場、鱗、心操
「お互い、ある程度の手の内は分かっているけれど基本は数で押せるようにバラけないで行きましょう」
「だな、そんで厄介なのは塩崎だな。あの茨はマズい。だけどまあとりあえず『あまごい』」
上鳴はそう言って警戒感をあらわにしつつ天候を雨にする。
塩崎茨の個性は「ツル」、ツルの髪を操る個性だ。そしてツルは草タイプの性質を持つ、つまり電気技は半減だ。
B組のメンツで誰が一番厄介かというと間違いなく彼女であろう。
「クルル…」
「感謝します。………南東100m先に塩崎さんと鱗くん。塩崎さんはツルで広範囲を探りながらこっちに向かっている。鱗くんはもしもの時の護衛かな?」
口田の索敵にB組の塩崎が引っ掛かった。
「なあ上鳴」
「ピカどうした切島?」
切島の声に上鳴は反応する。その瞬間であった、上鳴の動きが止まる。
「おい上鳴!俺は話してなんかいねぇぞ!」
「今ですぞぉ!」
宍田がビースト化して襲い掛かった。切島が塩崎の方角へと吹き飛ばされる。
そして彼の背中の上に乗っている円場が口田をエアプリズンに収監した。
(なんだ?体が動かない!切島の声に応答したら心操の洗脳にかかった?まさか!ボイスチェンジャーかよ!)
まさかの初見殺しである。B組は一番に上鳴を警戒していた。なぜなら彼こそが雄英の優勝者、つまり轟や爆豪以上の実力者ということだからだ。それを初見殺しで封じ込めるのは当然の思考だ。
「さあ終わりですぞ!上鳴氏!」
「ケロ!させないわ!」
蛙吹は舌で上鳴を締め付けてから、敢えて切島と同じ方向に『なげつける』。そして締め付けられた衝撃で上鳴の洗脳が解ける。
「切島ちゃんを救ってちょうだい!」
(分かったぜ梅雨ちゃん)
上鳴は内心で了承し頷く。これは心操の洗脳を警戒してだ。
「なるほど!切島氏の救援の為に上鳴氏を派遣ですな!ヒーロー精神は見事ですが!3人に勝てるとお思いで?」
「ケロ、だいぶやばそうね。でも大丈夫、私は蛙、雨は最高の環境よ」
蛙吹の個性は「蛙」だ。彼女は『あまごい』のおかげで動きのキレが『すいすい』の如く良くなっている。
これを活用して彼女は口田を連れて逃げ出した。
「なっ待たれよ!」
宍田達はそれを追う形だ。
一方の投げ飛ばされた上鳴はというと………
「もがもが!」
「ピカァ!俺、参上!」
「またしても天から哀れな子羊………いえ子ネズミが」
「アイヤー、コイツが来るのは作戦にないぞ宍田!」
切島を拘束する塩崎と鱗と相対していた。
「大丈夫です
「そうはいかねぇよ!ピカピカピカ!」
上鳴はそう言って『くさわけ』+『こうそくいどう』で素早さを高めながら攻撃を開始する。
ちなみに『くさわけ』は塩崎の茨とシンリンカムイの樹木を摂取することで習得した。
「「磔刑」+「信仰の盾」!」
「『なみのり』+『かみなり』!」
『ビックリヘッド』、要するに炎技は
「アイヤ!」
「きゃあ!」
「どうだ!この爆発!」
何が起きたかというと水素爆発だ。『あまごい』と『なみのり』で水を生成し、それを『かみなり』で電気分解を行う。
すると辺りには水素と酸素が充満する。そして微弱な電流で点火して爆発だ。
もちろん上鳴もダメージを負うがそこも織り込み済み、『すてみ』の攻撃だ。
「さ、やれ切島!」
「おうよ!」
爆発で茨の高速が緩んだ。その隙をついて拘束されていた切島が手刀を叩きこみ塩崎を気絶させる。
残るは鱗だけだ。
「なんてことだ!ここは合流を!」
「させるか!ピッカァ♡♡♡」
上鳴は『くさわけ』と『こうそくいどう』で高めた素早さを活かして『みわくのボイス』を喰らわせる。
鱗飛竜は名前に
鱗は音波攻撃を受けてそのまま気絶した。
「助かったぜ上鳴」
上鳴はグッドサインをする。意味は「いいってことよ」だ。心操の対策は忘れていない。
そうして切島に気絶した2人の収監を任せて蛙吹の救援へと向かう。これで残るB組チームは宍田・円場・心操になった。
「ケロ!上鳴ちゃん!切島ちゃんは無事なのね!」
蛙吹の受け答えに頷くことで上鳴は答える。彼女は口田をベロで抱えて宍田から逃げていた。
「上鳴氏が健在ということは塩崎氏がやられましたな………ならば!ここが巻き返しの時!」
そう言って宍田は突貫する。円場と心操がそれをサポートする形だ。
大してA組は無言で戦うことを選択した。
「ピィィカァヂュー!」
宍田の『ブレイククロ―』、それを上鳴が『ほっぺすりすり』で受ける。上鳴はダメージを受けるが宍田も麻痺状態になる。
(ダメージは負ったがこれで脅威になる宍田の素早さは半減、そして俺は素早さが『くさわけ』+『こうそくいどう』で上がりまくっている。これで終わりだ!)
早業『アイアンテール』+『10まんボルト』が宍田の腹に炸裂する。物理的な衝撃と電気による二重の衝撃で彼は瀕死に追いやられた。そして円場も蛙吹と口田による連携で捕縛された。
だがB組チームも負けていない。宍田と円場が稼いだ時間で心操がイレイザーヘッド直伝操縛布で鉄パイプを上鳴に向けて落とした。
「やるな!」
しかし相手は歴戦のポケモン、素人の付け焼刃は通用しない。
すぐさま、『こうそくいどう』で回避をし、『くさわけ』を心操の腹に叩きこんだ。
これにて勝敗は決した。上鳴達は気絶したB組チームを牢屋にぶち込んだ。
結果は4‐0 A組勝利だ。
「反省点を述べよ」
そして講評の時間に移る。
戦った生徒達はモニター前に集められ相澤からそう言われる。
「相手に喧嘩する気がねぇと俺の個性は役立て辛い。上鳴が助けてくれなかったら序盤でやられてた」
「虫たちにもっと細やかな指示を出せるように」
「まさかボイスチェンジャーとはな。想定できなかった俺の落ち度だ」
「バタバタしちゃったわ」
切島・口田・上鳴・蛙吹はそう言って自分の戦いをこう振り返る。
一方のB組はブラドキングから「「宍田」を軸にするか「塩崎」を軸にするかの統率がとれていれば善戦できたはずだ」と叱咤を受ける。
そして次の試合のセットが始まる。
第2試合
A:八百万、青山、常闇、葉隠
対
B:拳藤、黒色、小森、吹出
箱推しされがちな八百万と拳藤の戦い。
最初は常闇の「ダークシャドウ」に対して優位を取れる黒色の「黒」、小森の「キノコ」に押され、さらには吹出の「コミック」のオノマトペで分断され、青山が脱落するA組チームだったが八百万が滅菌スプレーと暗視ゴーグルを託し反撃を開始する。
だが八百万と拳藤のリーダー対決は拳藤が勝利を収め、小森の肺攻めスエヒロダケというエグイ必殺技で常闇と葉隠はダウンして勝負は決した。
結果は0‐4 B組勝利
第3試合
A:飯田、尾白、轟、障子
対
B:骨抜、鉄哲、角取、回原
推薦入学者同士の轟と骨抜の戦い。
序盤から轟の氷結攻撃で攻め立てた。しかしB組チームは鉄哲や骨抜など氷結攻撃に対処できる者が多く轟たちの目論見は失敗。乱戦となり尾白と回原が脱落。轟・骨抜・鉄哲・飯田が相打ちでダウン。
最後は障子と角取のタイマンになったが、勝てないと察した角取は逃げに徹して敗北を回避。そしてタイムアップを迎えた。
結果は3‐3 引き分け
第4試合
A:爆豪、砂藤、耳郎、瀬呂
対
B:取蔭、泡瀬、鎌切、凡戸
最初は取蔭のオペレーションがハマり爆豪たちを追い詰めるが、耳郎の『ばくおんぱ』と『バークアウト』で形勢は逆転。さらには爆豪の連携により動きが精密になっていき、ついには隙がない完璧なチームとなった。
爆豪の暴君的な独断専行の隙を突く作戦だったB組チームは総崩れとなりなんと5分足らずで全員投獄という形で試合は終了した。
結果は4‐0 A組勝利
第5試合
A:緑谷、麗日、芦戸、峰田、心操
対
B:物間、庄田、小大、柳
OFAの調子がおかしい緑谷の戦いだ。緑谷以外は機動力に秀でた人材はいない。しかもA組チームは人数でB組チームよりも勝るというA組有利の状況だ。
そこで物間は緑谷のOFAをコピーすることで逆転を狙おうとしたが、その際に彼の個性が暴走。黒いひも状の何かが緑谷の体からあふれ敵にも味方にも襲い掛かる。それはOFAに眠っていた力の目覚めだ。心操と麗日の尽力によってそれは収まるが。暴走の中、苦痛によって意識を失った緑谷は己の魂の中でハゲ継承者の声を聴いた。
一方、残り火とはいえOFAを吸収した上鳴は………
「ピカ!なんだこれは!何かがおかしい!ソワソワするぜ!」
「どしたん上鳴?」
(緑谷少年と上鳴少年が同時に変化を!まさか共鳴!?)
付き添いで来ていたオールマイトは上鳴を凝視する。
彼が吸収したのは残り火、しかも自分の個性で変質したものなのではっきりとした声は聞こえない。だが確実に影響を受けている。
それはともかくとして対抗試合は続く。直後に物間が緑谷の隙を突きコピーするも結果は「スカ」。直後に物間は麗日の確保されてしまい戦線は総崩れ、残りのメンバーも峰田・芦戸・心操の攻勢で倒されてしまったのであった。
結果は4‐0 A組勝利。
「これにて5セット全て終了です。全セット皆、敵を知り己を知りよく健闘しました」
対抗戦はA組の勝利で終わった。戦績は3勝1敗1分である。
「そこまで対抗心メラメラだったわけじゃないけど………」
「ね、なんだかんだ悔しいよね。むー」
負けたB組は悔しそうな表情をにじませる。負けたとはいえ試合内容は決してA組に劣るものではなかった。
「よし!とりあえず風呂でさっぱりしてから一緒にパーティしようぜ!」
「ピッカァ!賛成!」
上鳴は喜んで『はねる』。
こうして合同訓練は終わりを告げた。
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