アイドル、ポケモン世界を歌う! 〜ポケットモンスターTen Colors〜 作:十二の子
ところでこれまでポケモンEX・GXを「合計種族値が2倍になる」と説明してきましたが、各種族値ではないのは「HPの拡張可能性はポケモン自身の身体に依存するので2倍にならない。そのためHPの上昇値が少ないぶん他の数値が上昇する」カラクリです。メタ的には「ポケカのポケモンEX・GXのHPに準拠させている」からですが。
ー*ー
メガシンカポケモンEXに、テラスタル、そしてBREAK進化…次々に繰り出されるパワーアップに、アリア・カナサシは思わず呟く。
「…いくらでも手札が出てくるわね、やるじゃない後方支援部隊…」
モロコシはその言葉に、呆れたように口を開いた。
「後方支援部隊のトップだから、前線部隊トップの3人よりは弱い…とでも思ったでありますか?
集めて前線まで届ける糧秣を損じるわけにはいきません。全軍が崩壊するでありますからね。アジトだって守らないといけない。
私、強いでありますよ。
ホネブーメラン!」
【ガラガラBREAKの ホネブーメラン!】
「サイコキネシス!」
【
投げつけられてくる金色のホネを、サイコパワーで空中に束縛...できない。やはり、ガラガラBREAKは
ゴン!ホネに痛打された音が、
【
数十本もの矢を生み出し、宙でクルクル旋回させ、一斉に発射。放物線を描いて落下する矢が、ガラガラBREAKを襲う。
【ガラガラBREAKの ホネブーメラン!】
自分へと迫るフェアリーエネルギーの矢を、ガラガラBREAKはホネをジャグリングよろしく自由自在に飛ばし舞わして盾とすることで、撃ち落として見せた。
「なるほど?」
口先では余裕かのようにふるまっているが、アリア・カナサシは冷や汗を垂らしていた。
(...これ、ホネを封じないと好き放題され続けるわね…)
しかし実際、サイコパワーでそれができないのなら、不可能では?-アリア・カナサシは両手を挙げて一言。
「お手上げね。
スイッチよ、コトホギさん。」「/OutputわかりましたEnd」
「ホネブーメラン!」
「/Outputコットンガード!End」
【ガラガラBREAKの ホネブーメラン!】
【
ルカリオの拳に続き、一度ならず二度までも…羽毛に刺さって抜けなくなったホネに対してモロコシができることなど、舌打ちくらいしかなかった。
「/Outputハイパーボイス!End」
【
「ちっ...ほろびのうた!」
【ガラガラBREAKの ほろびのうた!】
大音声が、ガラガラBREAKを一撃でノックアウトさせた。
ー*ー
「/Output歌姫さん、スイッチお願いしますEnd」
ほろびのうた状態を解除するには交代しかないーアリア・カナサシも、言われずともその意図を理解してボールを放り投げる。
「サーナイト、もう一度お願いね!」
「私も、最後の一体といくであります。
出撃、ルガルガン!」
ー*ー
”最後の一体”、その言葉で、アリア・カナサシはルガルガンを舐められないことを察した。これまでモロコシが出したのは
「さっさと終わらせる!
ムーンフォース!」
「アクセルロックであります!」
いくら合計種族値2倍のポケモンEXと言えど、素の防御種族値が低い
「次が限度か…
ハイパーボイスよ!」
「アクセルロック!」
近づくほどに強くなるハイパーボイスの強音で、ルガルガンを接近させないーそんな戦術も、たそがれルガルガンの素早さで繰り出される先制攻撃の前には通用せずーあえなく、
「サーナイト、戻ってちょうだい。
コトホギさん。」
「/Outputはい。チルタリス、オンザステージ!End」
ー*ー
「/Outputミストパージ!End」
霧をまき散らして、攻撃と回復を同時に行う専用ワザ。ルガルガンに逃れる術はない。
「突っ込むであります。アクセルロックからのアイアンヘッド!」
だからルガルガンは、すすんで、攻撃力を帯びた霧の中へと飛び込んだ。
連撃。消耗しきった
けれど、まだ終わってはいない。
「/Output至近距離からハイパーボイス!End」
「あなをほる!」
ハイパーボイスをそれほど聞かせられないうち、ルガルガンは地中へ遁走し。
「/Outputチルタリス、歌声を止めないで!End」
ルガルガンが地中から現れた時が、決着の時だ...どこから現れるかわからない以上、タイミングを逃さないためには、ルガルガンの出現が早いか
言祝アリアが、拳を握りこむ。
モロコシが、フィールドを睨んで、無言でポケットに手を突っ込む。
アリア・カナサシが、ふと怪訝そうに首をひねる。
「…地脈が、おかしい…?」
地面が揺れ、細かいヒビが入る。
「/Outputそこから来ます!チルタリス備えて!End」
「まさか!コトホギさん違うわ!」
「ゼンリョクを示せ、ルガルガン!」
【ルガルガンは Zパワーを 身体にまとった!】
地面がひび割れ、いくつもの砕片となって浮かび上がる。
【ルガルガンが 解き放つ 全力の Zワザ!】
空が、夕焼けに染まる。
(な!?そっか、ゲームじゃないからアローラの外でも...!?)
【ルガルガンの ラジアルエッジストーム!】
無数の砕石が地面から殺到し、粉塵が舞い、
ー*ー
「まさかZストーンまで持っているとは思わなかったわ。そう言えばワスレナのリンダウジムリーダーもそうだったけど。
強くなるためならなんでもやるのね。」
「あのコレクターまがいといっしょにされては失礼でありますな。
本官はただ、軍需物資の調達が仕事でありますから、最新兵器くらい手に入れているというだけのことであります。」
モロコシは、ポケットの中から、メタリックカラーの石板を取り出して。
言祝アリアが息を呑む。アリア・カナサシがまたかとため息をつく。
「ルガルガン、GXオーバーラップであります!」
地脈のエネルギーがあふれ出す。
ルガルガンの身体に、エネルギーが満ちていく。
オレンジ色のルガルガンの体毛に、肌色と赤色が混じっていく。
【ルガルガンは ルガルガンGXへ オーバーラップした!】
「…真打ち、来たわね…
…メロエッタ、やるわよ!」
アリア・カナサシは、自分も切り札を切ることにしたーまぼろしのポケモンを使うしかない。
「いにしえのうた!」
「アクセルロックであります。」
メロエッタの姿が、歌い出しとともに吹き飛ぶ。
「強い…
でも勝ったわ。こらえる。」
ノーマル/かくとうタイプのステップフォルムとなった今なら、タイプ一致のかくとうワザによってルガルガンGXの弱点を突ける。
「アクセルロックであります。」
「きしかいせいッ!」
今ならば、そう今ならば、「きしかいせい」の威力は最大。例え相手が合計種族値2倍のポケモンEX・GXでも、タイプ一致弱点ワザによって確実に仕留めることができる。
【ルガルガンGXの アクセルロック!】
【メロエッタの きしかいせい!】
超速で迫るルガルガンGXに、正面から、拳を叩きこむ!
岩片が飛び散り、メロエッタがぱたりと地に伏せ。
ルガルガンGXが、着地と同時に足首をカクリと折る。
それでもまだ、ルガルガンGXは立っていた。
たまらず、アリア・カナサシは叫ぶ。
「強すぎる!そんな馬鹿な!
コトホギさん、ポケモンGXだからって、あんなに…」
計算が違うのだ。もしこんなことが起きるとすれば、実はポケモンGXはポケモンEXより能力値が強いとしか...
「/Outputそんなわけありません!だって、イーブイやアシレーヌは2倍ですよ!
それにしては強すぎる...その答えを、モロコシは厳かに告げた。
「2倍ではありません。
3倍でありますよ、ルガルガンEXも、ルガルガンGXも。」
そんなことはありえない。だってアリア・カナサシは科学都市エクリプス(旧カナサシ)タウンの重鎮、EXオーバーラップ技術の開発者にも会って聞いている。
「3倍!?
だって、EXオーバーラップは『並行する可能性を1点の次元座標に併存させる技術で、パラレルな可能性の分岐は常にイエスかノーかで2通り、従って合計種族値にして2倍分』って、あのウルトラマッドサイエンティストが…!」
「パラレルな可能性の分岐が2通り?ルガルガンが、本当にそうだと思うでありますか?」
「/Output歌姫さん、私わかりました。
すがたです。ルガルガンの可能性は、まひる、まよなか、たそがれの3通り...!End」
| HP | 攻撃 | 特攻 | 防御 | 特防 | すばやさ | 計 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ルガルガン(まひる) | 75 | 115 | 55 | 65 | 65 | 112 | 487 |
| ルガルガン(まよなか) | 85 | 115 | 55 | 75 | 82 | 82 | 487 |
| ルガルガン(たそがれ) | 75 | 117 | 55 | 55 | 65 | 110 | 487 |
| ルガルガンGX | 200 | 347 | 165 | 195 | 212 | 304 | 1426 |
ワスレナジムのリンダウが見せたモクロー&アローラナッシーTAGTEAM_GXに比べれば、まだ無法ではなさそうにも思える...けれど、あちらは共鳴によって2体×2倍、こちらは1体×3倍…実際のところ、単独のポケモンとしてはかのムゲンダイマックスをも超えた怪物であった。
ー*ー
「もしかしたら、もしかして、そう思っていたの。
だからメロエッタをオーバーラップさせなかった。最後の一体、枠がまだあるわ。
コトホギさん。頼んだわよ。」
言われるよりも前に、言祝アリアは自分のGXマーカーとモンスターボールを取り出していた。
「/Outputはい。
イーブイ、ファイナル・オンザステージ&オーバーラップ!End」
地脈のエネルギーが、再びあふれ出す。
イーブイから引き出された可能性が、イーブイ自身を9色に輝かせる。
【イーブイは イーブイGXへ オーバーラップした!】
(例えルガルガンGXがルガルガンの2倍じゃなく3倍だとしても、メロエッタのきしかいせいでほとんど削れたはずです。
もう、お互いに一撃を撃って、どちらが先に倒れるか、それで決着を付けるだけ...!)
だからGXワザしかない。ただそれは...
「私がまだGXワザを使わせていないの、気づいているでありますよな?」
モロコシのルガルガンももいっしょだ。
「ラジアルエッジGXであります!」
地面に無数のヒビが入り、空が真昼、真夜中、黄昏を高速で切り替えていく。
【ルガルガンGXの ラジアルエッジGX!】
黙示録もかくやの光景。アリア・カナサシは、これは並大抵の攻撃では圧倒されてしまうぞと震えた。
「/Outputイーブイ...
私は、信じていますEnd」
砕けた岩片が無数に浮かび上がる中、言祝アリアは、タブレット端末の音声出力ボタンを押して、両手を合わせた。
ー*ー
わかってる、じぶんじゃなくて、アシレーヌを出しても良かったんだって。
じぶんのトレーナーは、それだけ、イーブイってポケモンに、ううん、じぶんに期待してくれてるんだって。
最初にたまたま出会ってからずっと。じぶんのことを信じてくれたんだって。
「/Outputあなたが、私とともに戦ってくれる、諦めないで、可能性を切り拓いてくれるって!
GXワザです!End」
だからじぶんは、だいすきなトレーナーに、笑顔を向ける。
ありあ、おそれないで。じぶんはずっと変わらないよ。ありあは、ありあのことを怖がらなくてもいいんだよ。
聞かせて、ありあの声。あの、出会った日みたいに。
「…イーブイ...
見せてください!あなたの可能性!」
ー*ー
英雄歌姫アリア・カナサシの瞳には、確かにそれが映っていた。
ーブースター?
糧秣軍中将モロコシは、目に見えるそれを信じられず目を擦った。
ーシャワーズ?
言祝アリアは、頷き、嬉しそうにほほ笑んだ。
ーサンダース?
ルガルガンGXは、その不明瞭な8つの影に慄いた。
ーリーフィア?
「これは...進化系たちの、オーラ...?」
ーグレイシア?
「ウキクサから話には聞いていたであります。イーブイが秘めた不安定な進化の力をぶつける、奥義があると…!」
ーエーフィー?
「最高だよ。あなたで、よかった。」
ーブラッキー?
一斉に、今やくっきりとイーブイの周りに姿を表した8体のポケモンが、吼える。
ーニンフィア?
イーブイは、自分が持っているすべての可能性を、未確定な世界の可能性のままに、解き放った。
【イーブイGXの ナインエボルブーステッドアタックGX!】
ブースター、シャワーズ、サンダース、リーフィア、グレイシア、エーフィー、ブラッキー、ニンフィア。8つの虚像とイーブイ自身が、駆け出した。
ルガルガンGXが、大きく遠吠えを上げる。
無数のとがった岩片が、一斉にイーブイたちに殺到した。
リーフィアの虚像が、岩片との正面衝突で消し飛び。
エーフィーの虚像が、墜ちる黄昏に溶けて消え。
シャワーズの虚像が、重い岩塊に生き埋めにされ。
グレイシアの虚像が、岩の散弾に粉々にされ。
サンダースの虚像が、徹甲弾のごとき岩弾に貫かれ。
ブラッキーの虚像が、空高く吹き飛ばされ。
ニンフィアの虚像が、黒曜岩に両断され。
ブースターの虚像が、2つの岩によってすりつぶされ。
-そして、真打ちが、衝突する。
ルガルガンGXの鋭い爪が、イーブイGXを襲った。
イーブイGXの小さな身体が、ルガルガンGXの胸元に飛び込んだ。
爆煙が、すべてを包み隠した。
煙たい爆心地の真ん中、ルガルガンとイーブイが、折り重なるようにして倒れているのが見える。
「引き分け...」
「いえ、違うであります。
お二人の、勝利であります。準備不足こそあれ、いいバトルでありましたから。
もとより、前線指揮官のウキクサ、ハッカ、アルソミトラが認めた時点で、ジムバッジを渡しても良かったのであります。
健闘をたたえましょう。あなたがた2人は私たちホープ団にバトルで実力を示し、準備で成長の余地を示し、そしてイーブイGXで未来への可能性を示した。
これは、シラアイジムのジムバッジであります。受領するでありますな。」
ー*ー
ポケモン達を手当てしながらでいいから聞いてくれ、そう言って、モロコシは机の上にクリアファイルを置いた。
「/Output軍事機密って書いてありますけど...End」
「あなたがたに、特にアリア・カナサシに見てもらわねばならない機密なのであります。」
3枚の書類を、クリアファイルの中から取り出す。
1枚は、高度な暗号化通信がされていることがわかるメーリングソフトの、スクリーンショット画像。
1枚は、時代劇にでも出てきそうな、墨で丁寧に書かれた巻物(を、軸を外して無理やり伸ばしたもの)。
1枚は、あぶり出しと思しき焦げ文字が刻まれた、わら半紙以下の品質のボロ紙。
「…エクリプスタウン、コウジタウン、ロクショウタウン...しかも2つは、各都市の幹部クラスからじゃないの…」
「読み進めるであります。」
あわてて、言祝アリアがタブレット端末に入力したー転生特典か何かなのか、ポケモン世界の文字を日本語として彼女は認識し読み書きできるのだが、それはそれとしてそもそも日本語でも古典文字は読めない。
「/Outputあの、崩し字読めませんEnd」
「…仕方ない。かいつまんで説明するであります。
エクリプスタウンからは、科学者集団の幹部の通達。エクリプスタウンを封鎖し騒動を起こすため、各地のジムリーダーら諸勢力に対して不介入を求める、というものであります。
コウジタウンからは、ジムリーダーオシロイの祐筆の密書として、コウジタウンが近々シンシュー地方を裏切るゆえに、ユキコシ地方の軍事勢力でもあるホープ団には大事の仲介を頼みたいと。
ロクショウタウンからは、これは潜入スパイからでありますな。ロクショウタウンを占領中のコーシュー四天王、ロクショウジムリーダーのマルスが、兵糧を買い集めるなど大規模な軍事行動の用意をしているという報告であります。」
要するに、どれも、シンシュー地方という火薬庫に火をつけようという知らせではないですか!言祝アリアは、息苦しい気分を禁じ得ない。
「…全部、ホントなのね。
軍靴の足音なら、私がカナサシにいたころも、忍び寄ってた。
だけどもう、1つでも発火したら引き返せないわ。」
シンシュー地方が、再び戦乱と混沌の坩堝に陥ろうとしている。しかも火種のうち1つは、あろうことか、アリア・カナサシの地元エクリプス(旧カナサシ)タウンで。
「何を考えているの、あのウルトラマッドサイエンティストは...!」
「Dr.バックレアのことだけではないでありますよ。
あなたがたは何も知らない。
エクリプスタウンの科学者どもが何をしようとしているのか?
コウジタウンの卑怯侍が今度は誰に寝返ろうとしているのか?
ロクショウタウンに巣食う侵略者は何を次に引き起こしたがっているのか?
それらすべてを解決できる稀有な人材が、あなたがたなのであります。」
わかっている。
モラトリアムの余裕は、もはやない。
「/Outputだから、全部知ってて、焚きつけるためにバトルの前に言ったんですね、『あなたが歌わないのは勝手です。ですがその場合、誰が戦うことになると思います?シンシューの民とポケモン達だ。』って。
私からも、歌姫さん、言わせてください。
私は示しましたよ、可能性。アイドルとしての私の可能性をあの雪山で、イーブイと私の可能性をこのバトルで。
歌姫さん、次は歌姫さんの番だと思いませんか?End」
「英雄歌姫アリア・カナサシ。
立ち向かうであります、
あなたを現人神にした地、あなたが逃げ出した運命の地に。」
もはや、逃げ道はふさがれた。
帰る時だ、始まりの地に。
「…行くわよ、コトホギさん。」
絞り出すように、アリア・カナサシは告げた。
「エクリプスタウンへ!急ぐわよ!」
ー*ー
「…ウキクサ、ハッカ、アルソミトラ、ここに残るであります。」
「おうよ、アレの件だろ?歌姫に見せた3通の書状。
…マジ?」
ホープ団宛てでシラアイジムに届いたという、3通の書状。
1通はエクリプスタウンのマッドサイエンティストが何か悪だくみをしているという情報で、これはアリア・カナサシが対処するだろうからいい。問題は残り2通だ。
「コウジタウンジムリーダーのオシロイが、またぞろどこかへ寝返りたがっている。…まあ驚くことじゃないわね。
シンシューの豪族で、コーシューからの侵略者を招き入れて、今度はユキコシに寝返ってコーシュー軍に包囲されて、コーシュー軍とユキコシ軍がシンシューを去ったらカントーリーグにポケモンジム承認を求めて、講和会議ではシンシューリーグ所属ジム。もう一回手のひらがクルクルしてもおかしくないわ。」
ジンザモの南、フジナドの東にあるコウジタウンを統べる古侍、ジムリーダーオシロイは、とんでもない卑怯者だがいかんせん運と強さと見る目が優れているためどうしようもない人物であった。
「奴の腹の中なんて読めません。むしろ問題は最後の一つ。
ロクショウタウンは、マルスは何を考えている…?」
コーシュー四天王、「炎のマルス」。ロクショウタウンを占領しジムリーダーとなっている、まごうかたなき侵略者。その彼が、軍事動員を発している…
「エクリプスタウンの件がどうなろうと、近々シンシューに一波乱ある、糧秣軍としてはそう見るであります。
陸軍、海軍、空軍、そちらの意見や如何に?」
「陸軍のシラアイタウン防衛計画は支障ないわ。ユキコシ奪還を諦めて共存に転じた今、この街は皆にとって最後の拠り所よ。」
「海軍にゃなんとも言えねえな。ユキコシの海からシンシューは遠い。俺様個人の力が必要ならいつでも言ってくれ。」
「空軍は危機感を共有します。ユキコシのフロックス家も、ウコンタウンのジムから何かしらの警告を受けているようです。対外工作と軍需調達を始めています。」
「了解した。後方支援はこのモロコシが名に懸けて負うであります。
それでは諸将、また元気で。」
4人の中将は、互いに敬礼を交わし、自らの職場へ戻っていった。
次章予告
シラアイジムジムリーダー、モロコシ中将からの警告を受け、エクリプス(旧カナサシ)タウンへ雪道を急ぐ、アリア・カナサシと言祝アリア。
一方でエクリプスタウンを統べるマッドサイエンティスト集団は、世界を変えるため、カナサシおみやを制圧する。
「バックレア、そなた、御神渡りの封印儀式を妨げるなど、どうなるかかわっておるのかえ!」
「簡単なことです!
龍神様の『可能性』を!汲み上げてしまえばいい!」
カナサシ湖底に眠る龍神。科学者の長、バックレアは、それを狙っていた。
「しかし!せっかくですから!わたくしたちの科学の叡智の!可能性を!見せて差し上げましょう!」
バックレアが繰り出すのは、「可能性操作」の極致たる1体の人造ポケモン、そして。
「…私は決めたわ。今度は間違えない。だから…今度は間違いじゃない!」
「/Output歌姫さん、きっと私、あなたと同じことを考えていると思いますEnd」
少女たちが歩んできた先、戻ってきた地、凍結したカナサシ湖に、2人のアリアは何を見る!?
第7祝「謎解かれる湖岸にて、解き放たれるは彼岸より」近日公開!