DAYBREAK ARCHIVE〜暁に虹はかかるのか〜 作:クロウド、
―――グリオンに奪われたケミー達を救うために俺と九堂はすべての始まりの場所、俺が幼い日ケミーと出会い、九堂風雅さんからガッチャードライバーを託されたウロボロス界に来た。
しかし、俺がグリオンに恐怖し怖気付いてしまったせいで、ケミー達を解放した九堂がウロボロスから出てきた冥黒王の爪に貫かれた。
「―――もっと……一緒に戦いたいよ……宝太郎……。」
「九堂? 九堂ッ! 九堂ぉぉぉぉ!!」
―――九堂は今にも途絶えせそうな弱々しい声で最後の言葉を紡ぐとそのまま息を引き取った。
「な、何だコレは……なぜこんな不安定な……! 儀式を中断したせいか……おのれ……九堂風雅の娘ぇ!!!」
声のした方向を向いた俺が見たのはウロボロスからでてきた不安定な冥黒王の爪に貫かれる宿敵、グリオンの姿だった。
そのまま冥黒王の全身から放たれる邪悪な波動がウロボロス界を染めて行く、きっと俺達の世界にも侵食していくだろう。
―――もはや、あれを止める術は何処にもない。
「―――ごめん、九堂……皆」
俺は冷たくなった九堂を抱きしめながら、迫ってくる冥国王のオーラを視界の端におさめて、グリオンに奪われた仲間に……自分に未来を託してくれた仲間達に謝罪する。
―――俺には何も守れやしなかった。
冥黒王のオーラが俺と九堂を包み込む前に俺はもう一度九堂を抱きしめて眼を閉じた。暗闇の中で散らばったケミーカードが赤く光ったのが見えた気がした。
――――――――――――――――――
―――最悪なタイミングで目が覚めた。
「また……あのときの夢、か」
額に流れる汗を拭いながら右目の眼帯に触れる。まだ、視界がはっきりしない左目をこすり、部屋を見回す。
誰もいない教室の一室、いつもは何人かいるが今回は誰もいないらしい寂しい部屋と、窓の外から見える果のない砂漠が過去の俺から今の俺へと覚醒させる。
『ホパッ! ホパッ!』
「あぁ、そういえばそんな時間か」
俺がもたれていた机で赤いバッタが何かを知らせるようにピョンピョンと飛び跳ねる。名前をホッパー1。
―――このホッパー1は錬金術で生まれた人工生命体、ケミー。嘗て、このケミーを求めて大きな争いが起きた。普通の高校生だった俺、一ノ瀬宝太郎は幼き日に偶然出会ったケミー達をきっかけに俺も戦いの渦中に飲まれていった。
―――錬金術を通じて出会えた仲間を失い、何もかも失った俺もあのとき死ぬはずだった。だが、俺は何故かこの世界、キヴォトスでケミー達と目覚めた。
「あれから……二年、か」
良くか悪くか現地の人間に拾われ一命を取り留めた俺は、恩を返す意味合いも兼ねて俺はここアビドス高等学校に入学することになった。
このアビドスは数年前から定期的に起きている砂嵐のせいで砂漠化しており、かつての生徒会が土地を売っても対策が間に合わずに、多額の借金が残っていた。
ほぼゴーストタウンになってしまった自治区に、借金まみれの学校に入学するものなどそうはおらず、当時は俺を含めて三名、今は七名しか全校生がいない。
俺の先輩が昔教えてくれた錬金術でお金を稼ぐ方法のお陰で借金の返済については多少目処はたったが、利子が高く完済には長い時間を要することになるだろう。
「そろそろ行くか……ホッパー1、戻れ」
『ホパッ!』
俺が一枚のカードを翳すと、ホッパー1が光となってそのカードに吸い込まれる。ケミーは通常、こうしてカードの中に封印という形でいる。
腕に巻かれたカードケースにホッパー1のケミーカードを戻すと、約束の場所に向かうために教室を出ようとした。
「あっ、宝太郎先輩!」
「ここにいたんですね!」
「黒見、奥空……。」
廊下に出ると、二人の少女が廊下の向こうからこちらに小走りで歩み寄ってきた。
一人は黒髪のツインテールと頭にある猫耳が特徴的な『黒見セリカ』。もう一人は、赤いメガネと編み込みんだ髪をカチューシャのようにした『奥空アヤネ』。二人共アビドス高等学校の一年生だ。
「宝太郎先輩、またこんなところで一人で勉強してたの?」
「悪いな……一人のほうが落ち着いて勉強できるんだよ。それで
、二人はなんで俺を?」
「錬金術について聞きたいことがあって探してたんです」
奥空の言葉に、俺は二人の指にはめられた矢印型の青い石がはめ込まれた指輪を見る。
―――この学校の生徒は俺から錬金術を学んでいる。
錬金術の歴が浅く、錬金術師の学び舎、錬金アカデミーでは嫌なOBに散々『素人錬金術師』のレッテルを貼られた俺だが、俺の恩人が残してくれた資料を元に基礎から錬金術の知識を叩き込んで今ではそこそこの腕にはなったつもりだ。
もっとも今でもその資料を元に勉強を積んでいる。
「悪いな、黒見。今日はこれから人と会う約束があるんだ」
「えぇ〜ッ! そんなぁ……。」
いつもなら、直接教えてもいいのだが今日は先約があるため断りを入れる。すると、わかりやすく頭の猫耳が垂れ下がる。
「まぁまぁ、セリカちゃん。宝太郎先輩、また仕事ですか?」
「いや、今回は会わせたい人がいるとかで呼び出しを食らっていてな。詳しくは会ってからって聞いたんだけど、詳しいことはまだ何も聞いてないんだ」
「随分、勝手な呼び出しね。そんな失礼な呼び出し無視しちゃえばいいのに」
「それがそうもいかなくて、ね。聞きたいことがあるなら、クロッちに聞いてくれ。頼むぞ、クロッち」
『ウィ〜ヒッヒッ! 任せてよ宝太郎』
ケースから出した大魔術師のケミー、『クロスウィザード』のケミーカードを黒見に預ける。クロスウィザードは数少ない人語を介するケミーであり、大魔術師にして錬金術の知識も豊富なケミーだ。
―――俺が勉強に使ってる資料もクロッちが俺の恩人から、もしものときのために預かって隠し持っていたものだ。
「それで、誰なのよ。その失礼な呼び出し相手って?」
すっかり不機嫌になってしまった黒見に、苦笑いを浮かべて答える。
「―――連邦生徒会長だよ」
ガッチャーイグナイターはもう持ってる設定でいこうと思います。