ブルーアーカイブ×fate/grand orderのクロス作品です。

ファーストサーヴァント《キヴォトスのルーラー》と共に人理焼却、人理白紙化を乗り越えた藤丸立香。
これでようやく終わりかと家に帰っていたその時、退去した筈の《キヴォトスのルーラー》の一言。

「私たちの世界を救ってほしい」

人類最後のマスター…いや、藤丸立香“先生”よ。
貴方の旅路に星の輝きが在らん事を

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型月とのクロスってどうやっても設定に齟齬が生まれると思うんです。
なので考えました。クロス先はサーヴァント・ユニバースである事を!
こうする事で藤丸を別世界へと移動させる事ができるんですね。計算通り完璧〜

注意:本作はfate/grand orderの最新章までのネタバレがあります。


プロローグ これは、まるで運命の様な

 

キヴォトスのルーラー

そう名乗るサーヴァントは外見年齢はおよそ16歳から18歳程度の少女で、頭上に特徴的な光の輪と重なる様に輝く青い十字架の様なヘイロー(ルーラー談)を持った透き通る様な青髪の少女である。

 

真名を持たない…いや、名乗る意味がないと言ったその少女と『人理継続保障機関』カルデアの最後のマスターである“藤丸立香”の出会いは燃え盛る始まりの街、冬木から始まったのだ。

 

本来なら数合わせで呼ばれた魔術のまの文字も知らぬただの少年が何故、カルデアのメイン任務である特異点の破壊による歴史の修正に巻き込まれたかは今は置いておくとして、とりあえずわかっておくべき事は人類史三千年の歴史は今この瞬間、藤丸立香の手に委ねられたと言う事だけ分かっていて欲しい。

 

勿論、そんな彼にも心強い味方が居る。それが“英霊”であるサーヴァント。

過去の歴史の影法師たる彼ら、彼女らはマスターの強い味方になると燃え盛る街に数少ない寄り合わせの資源で最初に召喚されたのが彼女だった。

 

『えーっと…サーヴァント召喚ってこんな感じなんだぁ……!あっ、そうそう。……ゴホン、貴方が私のマスターですよね?』

 

まるで現代日本の学生の様な白い制服を着たその少女はとても想像していた英霊とは程遠い気軽さでマスターに手を差し伸べた。文字通り透き通る青色の髪と瞳、そして頭のヘイローを前にマスターは“まるで天使みたいだ…”と思ったなんて後々言っていたみたいだね。

 

『真名は、明かせないんですけど……《キヴォトスのルーラー》改め、アロナと呼んでください』

 

真名が明かせないサーヴァントに、その上サーヴァントが呼ばれる聖杯戦争には存在しないクラスである裁定者の位を持ってマスターの最初のサーヴァントとして降り立ったどう考えても怪しい彼女の事をマスターだけが最初に手を差し伸べた。

 

『これからよろしくね。アロナさん』

 

『アロナでいいですよ!……ちなみにサーヴァントとしても新米なので一緒に頑張りましょうね!』

 

『えっ』

 

まあそんなこんなあって…燃え盛る街にあった“歴史の歪み”を修正した後に待ち受けていたのは人類史が燃えて無くなったのを修正する作戦、グランドオーダーが始まったのだったんだよ。

 

新米のマスターに、新米のサーヴァントたち。

盾を持ったデミ・サーヴァントであるマシュ・キリエライトと裁定者として降り立った新米の英霊である《キヴォトスのルーラー》であるアロナ。そして新米のマスターにして人類史を背負ってしまった人類最後のマスターである藤丸立香。

その3人は多くの歴史の歪みである“特異点”を修正した。

 

 

蘇った聖女と竜が犇めく百年戦争中のフランス

 

繁栄と栄華を極めた平和な土地を攻める軍勢とぶつかった古代ローマ。

 

閉ざされた海と、宝物を狙う海賊との争いがあったオケアノス

 

人を蝕む魔霧に満ちた産業革命のロンドン

 

古代と現代が入り混じる消費と浪費が重なる戦争だったアメリカ

 

獅子王の名の下に円卓と聖都が築かれたエルサレム

 

そして3人の女神の侵攻を受ける古代バビロニア

 

7つの特異点の修正の後に待ち受けていたのは人類史焼却…通称人理焼却の元凶であった人類悪(ビーストⅠ)魔神王ゲーティアの討伐を以て人理は正しく戻された。だけどその後に残された5つの特異点の修正も行い、本格的に全て終わったとして多くの英霊が帰る中、ルーラーだけが強く最後まで残った。

 

……まさかその残った理由が、フリーになったマスターを連れて行こうとするなんて考えても居なかったけど、そのおかげでマスターが助かったと思えばなんとも言えないだろう?

 

異聞帯。或いはロストベルトと言われた切り捨てられた歴史。

これ以上、これ以下の進歩が見受けられない世界は剪定されてなかった事にされる。そんな世界が今一度復活して世界を真っ白に、白紙にしただなんて悪い冗談だ…でもそんな中でもまた人類最後のマスターとなった彼は成し遂げた。

 

強くなければ生きていけない氷に閉ざされた獣の国

 

弱くなければ生きていけない氷雪の幻想が息吹く旧き神話の終焉地

 

平穏であり過ぎた故の安定と調和が終わらぬ泰平の大地

 

不要として切り捨てすぎた祈りが満ちる久遠の世界

 

永遠の今日が続く宇宙の海さえ渡ろうとする方舟

 

妖精と共に風と土と生命、歌と雨に愛された理想郷

 

神なき世界に神話が生まれる太陽とあった黄金樹海

 

全ての異聞帯を切り取り、人理史には存在しないクラスを汎用しすぎた“歪み”の清算の後に開かれた天球…カルデアスとの決着を以て人理は元に戻りマスターは一般人に戻ることのできるハッピーエンドになる筈だった。

 

 

そう全て終わって、あとは君は久々に家に帰ると言ったところで、だ。

彼女は…《キヴォトスのルーラー》改め《キヴォトスのフォーリナー》である彼女が君の存在を、縁を、魂を全て持ち去ってこの汎人類史から消えていった。まるでその存在が最初から無かった様にね。

 

甘かった、本当に甘かった。サーヴァント・ユニバースとか言うよく分からない別銀河の存在でさえあったと言うのにその別銀河でさえ手の届かない別銀河…いや、もはや別次元の銀河からの来訪者だったとは流石のボクも考え付かなかったよ。まさかそんなサーヴァントを君が最初に引き当てるなんて誰も思わないだろうしね!

 

…………なに、そんなに心配しないでくれ!

勿論、今も尚いろんな英霊が君を探している。今まで多くの問題を解決した君なんだ、きっと───────

 

 

 

「はい、そこまでです……本当に油断も隙も無いですね、夢魔というのは」

 

誰かの夢を見ていた気がすると黒髪に輝く深い海の様な目をした青年は目を覚ます。

先ほどまで自分は飛行機に乗った筈だと言うのに、目が覚めたら電車の中に揺られていただなんて……まあ、珍しく無い事だがそれでも全部終わった後なのだからこれはおかしいと声の方向を見る。

 

「もしもーし、マスターさん?……いえ、もうマスターでは無かったですね。ここは親しみを込めて立香さん、って呼んでいいですか?」

 

そこに座っていたのは自分が信頼したサーヴァントの1人。一番最初の最初に自分が呼び出したサーヴァントであった《キヴォトスのルーラー》がそこには座っていた。あの時と同じ様に優しげな顔をして彼女はまるでいつもの“おはよう”と言うかの様に。

 

“……退去したよね”

 

「………そんな事もありましたね」

 

だがその顔を見て立香と言ったその青年は苦々しい顔で呟く。本当に全部解決してサーヴァントも続々と元の場所へと退去していった中で、一番最後にこの少女を含めた最初の3人で小さなパーティーをして見送った。その筈だった。自分で言うのもなんだが割と感動的な出会いから別れまでだったと言うのに、まさかこんなに早く出会うなんてと頭を抱える。

 

“何したの……アロナ”

 

「えーっととりあえず立香さんの全情報を纏めて持って帰っちゃ……いたたたたた!!」

 

全情報…そして持って帰ったと聞いた瞬間、立香は目の前のアロナの額を鷲掴みして力を込める。確かに各国の冥界や宇宙やら激しいアプローチを受けていたが、まさか一番最初に召喚したサーヴァントに拉致されるとは考えていなかった。

 

“…まずは、アロナの本当の名前を教えて”

 

「いいですよ。クラス・ルーラー改め、クラス・フォーリナー」

 

《キヴォトスのフォーリナー》アロナですと名乗った少女には確かに立香が送ったいつぞやかのバレンタインの時に手に入れたバディリングがハマっていた。金色に輝くそれは間違いなくアロナに送った物。つまりこのアロナは自分が冬木の時から一緒に旅をした最初のサーヴァントであると覚悟を決めた。

 

“ずっと騙していたの?”

 

「それについてはいいえ。と言います。あの時私は初めてサーヴァントというモノになりましたし、真名を明かせないのも事実です」

 

稀に見たアロナの真剣な顔にそれが真実なのだろうと信じた。まさか自分が最初に召喚したサーヴァントが《役を羽織るもの》というクラスであるブリテンダーを超える役者だとは誰も思わなかっただろう。そう考えれば、どうやってそのクラスを隠蔽したのだろうか?

 

「あっ。それに関してはクラススキルですね」

 

真名看破:E →領域外の生命:EX+++

外なる宇宙…の更に外なる宇宙からの来訪者の証。虚空よりも遥か遠くから現れた存在は例え虚空の降臨者であっても、千里を覗く瞳であってもその存在を知覚することは不可能である。

 

“……そりゃ誰も分からないよね……”

 

というかサーヴァント・ユニバースよりももっと遠くの存在かよ!と立香は内心叫んだ。ただでさえ訳の分からない、考えるな感じろ。のサーヴァント・ユニバースよりもトンチキな存在だったとはもはや笑うしか無い。

 

「ちなみに特別感をだしてEXにプラスを3つもつけちゃいました!」

 

“…………そっか、それはカッコいいね”

 

このスキルのEXを持ってる人は意外と居ましたからね!と誇らしげに胸を張るアロナに遂に何も言えなくなった立香は顔を抱えながらどうするか考える。という事はもうここは自分たちが知っている宇宙とは遠くかけ離れた場所にいる可能性が高い。

 

“……けど、なんで俺?もう令呪も持ってないよ”

 

「……………私は、」

 

確かに経歴は異色極まりないが、もうその象徴であったサーヴァントに対する指令権であった令呪もカルデアに返していると立香は口にする。多くの出会いがあったし、多くの別れがあった。今になってようやくそれを惜しむ様になった彼にはもう信じる盾も無い。それでどうしてアロナの目に留まったのだろうか。

 

「貴方の選択、そして背負った責任と義務を知っているから。」

 

“…………選択、ね”

 

思い出すのは今までの旅路。世界を救い、そして7つの世界を滅ぼした自身の罰。

罪の清算を終えたとしても決して消えないその重さと覚悟。あの日、胸に打ちつけた強いだけの世界に負けるなという声。

 

「だから……お願いします。藤丸立香先生」

 

“………先生”

 

「もう一度だけ、私たちの世界を救っていただけませんか??」

 

先生と呼んだアロナの声。あの日、出会った時は同じぐらいだったと言うのにいつの間にか俺が追い抜いてしまった、アロナを置いていってしまった2人の近すぎて遠い距離。…今度も世界を救う旅だとしても、きっとアロナと共になら心配する事は無いと立香は立ち上がる。

 

“分かった。任せて”

 

「……それでこそ、私のマスターです」

 

そんないつもの力強い光が宿った立香を見てアロナはこの選択が間違いでなかったことを確信した。輝かしい星、あの旅を最初から最後まで余すことなく連れ添った私だからこそこの人はきっと“先生”に相応しい。

 

「では始めましょう。全ての『奇跡』がある場所へ」

 

「輝かしいBlue archive青春の物語を!!」

 

 


 

 

 

「………あの起きてください、先生」

 

“……ううん、君は?”

 

何か大切な会話をした気がすると立香は重い瞼を開ける。

目に映ったのは白い床に立つ黒い髪の少女。どうやら自分は床で寝ることに縁があるらしいとカルデアで初めて目を覚ました時もこうして床で横になっていた事を思い出し懐かしんだ。

 

「初めまして先生、私は【七神リン】。ここ学園都市キヴォトスの首席行政官をしています」

 

“初めまして、藤丸立香です”

 

ガラス窓の向こうに見える透き通った青色の空に人間の生きている証であるビルが立ち並ぶ風景を見て密かに安堵した。ここがキヴォトスという彼女の名乗っていた場所であったとしてもどうやら自分が知っている世界とはあまりかけ離れていない様だと。

そんな立香の知っている世界の範囲が遠い古代から未来どころか別宇宙と言ってしまってはおしまいだが。

 

「貴方が連邦生徒会長が呼び出した先生だと言う事は伺っています……随分とお若い様ですね」

 

“あはは…よく言われるよ”

 

そんなリンから見れば制服さえ着ればまだ学生でも通用するという童顔に見えるがその実は成年してから結構時間が経っている。だと言うのにその肌に女性顔負けのハリがあるのは単に彼が交流を続けていた幾人かに美容に関してトップレベルの存在がいるからであった。

 

「……ですがまあ信頼できると聞いています」

 

“それはとても光栄だね”

 

まるで学生と変わらないんじゃ無いかというリンからの視線に少しだけ立香が凹んだのを察したのかリンは連邦生徒会長から聞いていた人物像を思い出す……曰く、自分が巡り合った中で一番信頼出来る大人。何かあればこの人に頼れば、例え世界が滅びそうになっても助けてくれるよ。との事らしいが………

 

(………まあ、今のところは保留ですね)

 

リンからすればよく分からない、が答えだ。

キヴォトスの外からやってきたこの大人…藤丸立香先生は銃弾一発でも喰らえば死んでしまう様なか弱い存在である筈なのに、なぜかその立ち姿に隙がない様に見える。だと言うのに覇気を感じるわけでも無い。まるでチグハグな姿にリンは首を傾げる。

 

「ここにきてすぐで申し訳ないのですが……先生には至急やっていただかなくてはならない事があります」

 

“なるほど。大体のことは出来ると思うよ”

 

本当に申し訳なさそうに頭を下げるリンに立香は本当に切羽詰まっているのだなと纏う空気から感じる。まるでその空気はサバフェスで出版する同人誌の進捗が全く進んでいないのに後数日まで迫ったあの緊張と緊迫した修羅場の空気。これは腕がなるなと密かに覚悟した先生を導くかの様にリンが微笑んだ。

 

 

「それでは先生……ようこそキヴォトスへ」

 

 


 

 

“ちなみに聞くけど……アロナって名前を聞いた事がある?”

 

「………すみません。聞き覚えが無いですね……」

 

“………じゃあ妙にサボりたがりで変に食い意地が張っていて構ってあげないとしばらくつーんって……”

 

「……………同じ苦労をしていますね」

 

 






 

 

 

 

 

 

アビドス編『シロコのモヤモヤ』

 

「………先生」

 

立香がシャーレとしてアビドスの救助要請を受けて少しの時が立ち

多少は落ち着いたアビドスの中での一幕。まるでいつもの様にシロコが先生の膝を座椅子にするかの様に座る。

 

「シロコちゃんそこが気に入ったみたいだねぇ……」

 

「ん、なんでか知らないけど。こうしたい…ダメ??」

 

“………別に良いけど”

 

どうしてだろうか。初めて会った時からシロコは何故かこの大人を…先生から目を離せなかった。まるで初めて会った気がしない、ずっと、一緒にいたかの様な安心感。だけどそんなシロコにも不満がひとつだけある。

 

「………先生。ううん違う?」

 

“何が!?”

 

この人を先生と呼ぶのは何か違う気がする。

そう考えれば考えるほどドツボにハマるシロコの思考。そんなシロコにいつも脳裏をよぎるのはアビドスの砂漠とはまた違った砂漠に黄金。そして覚えがないはずの─────

 

「シロコちゃーん?ちょっときてくださーい!!」

 

「…………わかった」

 

思い出せない記憶に、どうしてか引っ掛かる先生の呼び方。

そもそもシロコは記憶喪失だ。気がついた時にはこのアビドスの砂漠で彷徨っていたのを委員長であった小鳥遊ホシノが拾う形でシロコはここに編入しているのだ。

 

委員長であるホシノ先輩は強いし、同級生であるノノミは優しい。

後輩であるセリカやアヤネは可愛い。

 

「ん……このモヤモヤはきっと銀行強盗したら治る…気がする?」

 

けど胸から消えないモヤモヤ。先生にあった時から何故か自分の中の何処かが訴える感覚。何か大切な事を思い出さないといけない様な気がする様な、別に思い出さなくても良い様な……

 

記憶の中の残響。光暗き末法の世界

 

責務    呪い

「あああああああああ、ああああああああああ!!!」

   楽園

「先生……ごめんなさい……こんな事、望んだわけじゃ無いのに……!!」

        恣意にした全て

「これよりこの身は、復讐を認め神罰を下す冥府の神、その顕現」

   罪には罰を。過ちには償いを。

 

 

 

 

「サーヴァントキャスター、◼️◼️◼️◼️◼️召喚に応じました」

 

「なっ!不敬ですよ!同盟者!!」

 

 

───────私が、知らないはずの。黄金が

 

どれもこれも全て、知らないはずの黄金が悪いと思った。

金色に輝く三角に積まれたきっとあれは金の山。それがあるのは銀行以外に無いとシロコは確信している。

 

「先生」

 

“どうしたの?シロコ”

 

「……やっぱり一緒に銀行強盗しよう。ん、早く」

 

“ちょっとまっ……ホシノー!!”

 

ん、ホシノ先輩に取り押さえられた。不覚

 

 

 

 

 

アビドス編第20話〜『風紀委員会、参戦!』

 

 

あの人の顔を、今でも思い出せる。

見た事がないほど表情を歪ませたあの人の顔は今まで行政官として付き添ってきた中でも見た事がないほど複雑な表情。あんな顔、ゲヘナで多くの問題を作る問題児たちにも向けたことのない凶相と言って良いほどの顔。

 

『……藤丸、立香ですって……』

 

チナツが連邦生徒会から帰ってきた後の一幕。どうやら失踪した連邦生徒会長の代わりのフィクサーとなって連邦捜査部シャーレへと着任した『大人』…その人の名前を聞いた瞬間。風紀委員長は、まるで

 

『なんでもないわ…ええ、なんでもない。人理を焚べた証明は終わったの、終わったのよ…………』

 

『……証明?委員長、何を言って……』

 

その名前を聞く事自体が悪夢だと言うかのように頭に手を当てて首を振る委員長の姿は、今まで見た事がないぐらい取り乱していて近くにいたイオリやチナツでさえも委員長の豹変に戸惑っていた時だった。冷静になった委員長…空崎ヒナが呟いたのは

 

『……でも気をつけなさい。もし、もしも私が想像している“あの人”がその藤丸立香だと言うのなら……』

 

 

 

「………敵になってしまっては、私たちでは勝てない。ですか」

 

訳が分からない。とゲヘナ行政官甘雨アコは思う。

今もこうしてゲヘナの問題児たちに名高い便利屋68と共に不確定要素であったシャーレの先生も巻き込んで捕らえようとしているのに抵抗は疎ですぐにでも抑え込めそうな勢いだ。ハッキリ言って委員長の言葉はただの勘違いだと思った。その時だった。

 

『………アコ、そこまでよ』

 

「い、い、委員長!?!?」

 

委員長からかかってきた通信。というか今回のシャーレの先生を捕えようとするのはあくまでアコの独断である事を鑑みて、今委員長が出てくるのは非常にまずいと慌てたその時だった。

 

『全軍撤退……いいえ、違うわね。』

 

「あれは私の獲物よ」

 

まるで鮮血がそのまま瞳に宿ったかの様に目を血走らせ、丘の上に立つその姿はまごう事なきゲヘナ風紀委員長、キヴォトス最強の一角に名前が上がるほどの実力者空崎ヒナが立っていた。

 

「ふふふふ………あはははははははははははははははははは!!!!」

 

『い、委員…長??』

 

だがどうやら様子がおかしい。まるでいつもの大らかな気だるげな様子とは打って変わって腹を抱えて嘲笑うヒナの姿。そんな姿は誰も一度も見た事がない衝撃に包まれて、その場の空気は全て空崎ヒナに集中する。

 

「ああ…ああ!会いたかったわ!!藤丸立香!!」

 

“………君は”

 

まるで笑いながら怒っているかの様な強烈な威圧。これを立香はよく知っている。まるで怨敵を前にした憎悪を隠しきれないその幼い姿を前にして立香は歯噛みするがここに来てそこまで恨みを買った理由はないと考える。だがこの後の少女の言葉を聞いてその考えは即座に捨てる事になる。

 

顕現せよ。牢記せよ。これに至るは七十二柱の魔神なり。……だったかしら?」

 

“!!……それは”

 

立香が忘れることのできない。忘れることのない記憶の一片。

それは人理を焼いた獣であるゲーティアの魔神柱を呼び出す言葉。かつてカルデアが、藤丸立香が討伐した72の魔神柱を呼び出す言葉である。そんな言葉を何故今ここでこの少女が?

 

「ええ、分かっているわ。この恨みが、この憎悪が、3000年を、更に費やした3000年でさえも私は貴方に勝てなかったこの無念が全て借り物。何処かの私に似た誰かが抱いた想いの残骸だと言うことも知っている!!」

 

“まさか……君は………”

 

恨み、憎悪、そして3000年。その口調とその強い想いを前にようやく立香が…いや、カルデアのマスター藤丸立香としての思考がその少女の正体を暴く。思い出すのは人理焼却を解決した数ヶ月。その中にあった亜種特異点による出会い。

 

「ええ、ええ!!どうか私の名前を読んで頂戴!!憎い愛しい憎い愛しい憎い愛しい憎い愛しいカルデアのマスター!!」

 

“魔神…バアル!!”

 

魔神バアル。

人になると言う恥辱でさえも受け入れて、3000年間“カルデアのマスターである藤丸立香”を殺す為だけに牙を研いできた復讐の徒。新宿に小さな特異点を作り“藤丸立香なら必ずこの特異点を修正しにくるだろう”という確信を持って待ち続けた執念と怒りに燃えていた魔神。

 

まさかその存在が、遥か遠い宇宙の先で少女の身体に憑依して生きていたなんて!!

 

「……正解であって間違いよ。あくまで私は空崎ヒナ。バアルの残骸はもはや欠片も残ってない」

 

“そうか……じゃあヒナ”

 

そんな立香の回答に得意げにされどどこか不満げにヒナは訂正する。あくまでバアルとしての記憶を受け取っただけの空崎ヒナであることは確からしい。先ほどまでの激情とは打って変わって物静かになったヒナの視線から立香はとある事を言いたげにしているのが見えた。

 

“何か聞きたい事があるんじゃないの?”

 

「ええ……そうね。その通りよ」

 

それが質問。魔神バアルは、最終的に宿願を果たせずカルデアのマスターに打倒された。でもバアルのもうひとつの宿願であった“マスターの死”は叶ったと笑いながらバアルは塵へとなって帰っていったのだ。勿論、その死はバアルが選んだ“同盟者”によって叶えられる。そうなる筈だった。

 

「ひとつだけ聞かせて。あの後、私の同盟者はどうなったの」

 

“…………新宿のアーチャーは”

 

お前が犯人だ!ジェームズ・モリアーティー!!

あの日の追憶。正義が楽しかったのだと最後の最後に自覚して笑いながら消えていたあのアラフィフのおじさんとの記憶を思い出しながら、ヒナへ答えを返す。きっと、バアルはそれが聞きたかったのだろう。自分と同じ様にたった1人を打倒しようとした“同盟者”の結末を。

 

“満足して、納得した様に打倒されたよ”

 

「そう…そうなのね。」

 

その立香の回答を噛み締める様に無言で俯くヒナ。

一体バアルとアーチャーとの間にどれほどの物語があったのか、それはもはや残骸を知るヒナしか分からない。少しの無言の後、顔を上げたヒナの顔はどこか物柔らかげに微笑んで、後ろ姿へと帰っていった。

 

「また会いましょう…先生。今度は貴方の助けになるわ」

 

“じゃあまたね。ヒナ”

 

 

 

 

 

 

「………な、なあ委員長……どう言う事だ?」

 

「………イオリ、みんな。気にしなくて良いわよ。もう、これで完全に終わった物語だから。」

 

ヒナが立ち去った後、一緒に引き上げた風紀委員会の中の空気はひとえに言って最悪だった。初めて見る委員長の姿に、まるでシャーレの先生と親しげな姿。どれをとっても初耳な姿にどう委員長と会話をとれば良いのか先陣を切ったのはやはりイオリだった。

 

「……終わった、物語。ですか」

 

「ええ……でも、話しても良いかもしれない」

 

そう。これにて人理を焚べた死と断絶の物語も、残骸の物語も全て幕を下ろした。

3000年の憐憫も、3000年の憎悪も知るものはここには私と先生しかいないというのはどうにか惜しいと思った。……今も、あの王にはちょっと思うところが無いわけでは無いが。あの男と人王の言葉を借りてこの物語の題名をヒナはこう綴った。

 

 

 

「そうね……愛と希望の物語。なんてどうかしら?」

 

 

 

 






藤丸立香

みなさまお馴染みFGOの主人公。
ごく普通の一般人だが世界を2回も救っちゃった逸般人。勿論世界を救うまでに身につけたとされる腕力・体力・筋力・忍術・着地法・漫画のベタ塗りetc…の技能は備えつきである。だが生憎と毒耐性は消えているがキヴォトスで使うことはないだろう多分。

カルデアにて自分が召喚したファーストサーヴァントの最後の退去を見送った後とりあえずは実家に帰る事が許可された為、飛行機に乗りこんで目を覚ましたらそこは電車の中とかいう滅多に無い事が発生した。……え?カルデアでは珍しく無い?そうかな……そうかも。

そうしてファーストサーヴァントの言葉と依頼を受けてキヴォトスの先生を始めました。まさかマスターをした後に先生をする事になるなんて……と今までカルデアの師たちに教えてもらった事を思い出しながらなんとか頑張ってます。最近の悩みは師の教えがどう考えても過激(血が飛び散る的な意味で)だったからここではあまり役に立たない事。

ちなみに言っておくが、夢の領域はアロナが支配しているし、廃棄孔は……ね。恩讐の炎さん?ま、まあワンチャンはあるかもしれない。けどあの人ってサーヴァント・ユニバースに出てきていたっけ?それが答えかもしれない。




【キヴォトスのルーラー】

ここの立香のファーストサーヴァントにしてマブダチ。
勿論絆レベルは15。ちなみに過労死枠だった。立香が言うには「キャストリアと光コヤンを足して良いところを取った感じの性能」らしい。これには立香もニッコリであった。

だがそれはあくまで仮の姿。本当のクラスは《キヴォトスのフォーリナー》である。その正体はもう大体わかっていると思うが『学園都市キヴォトス』の連邦生徒会長その人である。ある日突然虚空の果てよりもさらに彼方と偶然繋がった事により分身的な感じで召喚された。だから連邦生徒会長はキヴォトスの記憶もカルデアでの記憶も持っている。超人だから出来たワザ。

どうしてこんな訳の分からないルーラーがいるんだ。だとかフォーリナー系列のやつに悟られなかったのか。とか千里眼や冠位でも分からないの?とかおお、抑止力よ寝ておられるのですか!?とかあるけど。それら全てキヴォトスからの来訪者として認識が“狂わされていた”という設定。

実は立香キヴォトスに連れて帰る計画は結構最初から進んでいたらしい。
最初は、同じ様に生徒として燃えた青春の時を心ゆくまで楽しんでほしいと思っていた善意だったが、途中からキヴォトスが滅びそう!となって“あかん…この人連れて帰らなきゃ……!”という義務感になった。後は単純に、自分のマスターを独占したかったのかもしれないがその心はあくまで彼女だけが知る。


ちなみに、シロコやヒナに存在しない記憶を埋め込んでいるのもこの人。
カルデアの前に敗北した人々の想いのカケラを回収してキヴォトスにばら撒いている。…その理由?あの素晴らしい旅路を知っているのがこの世界では私たちだけっていうのは悲しいじゃ無いですか(byアロナ)

だからこの世界には、もしかしたら「ねぇ君、強いだけの世界に負けなかったんだね」とか言う雪の学校の酒呑みオコジョがいたり、「また会ったのね!旅の人!今度は一緒にジャンプしてくれる?」と言う梅花園の幼女がいたりするかもしれない。


多分、続かない

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