ロウソクの火を吹き消すとアイは拍手で包まれた。
「おめでとう、お姉ちゃん」
「おめでとうアイ」
「おめでとうダークアイ」
次々に祝いの言葉をかけられる。今日はアイの誕生日を実家で祝われていた。
切り分けられたケーキがそれぞれに配られる。
「あースペードの方が大きい!」
「当たり前でしょ、お客様なんだから」
「キラ、わたしのと交換しようか」
「いいのお姉ちゃん!?」
「ダメよキラ、今日の主役から取っちゃ。お母さんのイチゴをあげるから」
「わーい、ありがとう!」
そんな家族のやりとりをスペードは微笑ましく眺めていた。
「すみません、騒がしくて」
「仲が良くていいね」
スペードは思い出していた。同世代の仲間と競い合い、ケンカし、信頼して生活していたことを。
そして、かつての家族の記憶を……。
「それより、せっかくの家族水入らずにボクが混じってしまって、お邪魔じゃないかな」
「とんでもないです!」
「そうそう、いつでも来てもらっていいんだよ。いずれ家族になるんだし」
「お父さん!?」
「スペードくんが継いでくれればウチも安泰だなあ」
「なに言ってるの! お父さんったら!!」
突然の父の言葉にアイは慌てる。
「スペードがウチの婿に入ってくれるなら、あたしは遊んで暮らせるわね」
「キラまで!」
「やめてよ、スペードさんは怪盗ランキング上位で人気もあるし、ウチのマスク着けさせるなんてもったいないわよ」
「レイ……」
まともな意見が出たことにアイはホッとする。
「そうね、スペードさんとお姉ちゃんでペアの怪盗として売っていけば人気も出るんじゃないかしら」
「レイ!?」
「でもウチは代々伝わる怪盗の家系だし、途絶えさせるわけには……」
「まあまあお父さん、アイもスペードさんも困っているじゃないの。そんなに焦らなくてもいいじゃない」
「お母さん……」
「孫に継がせるって手もあるんですし」
「お母さん~~!!」
家族の誰もがスペードとアイが結ばれる前提で話していることに、アイは焦り、叫びすぎてガックリとうなだれる。
スペードはそれを面白そうに眺めていた。
「スペードくん、後継ぎをよろしく頼むよ」
アイの父はスペードの肩に手を置いて笑いかける。
「申し訳ありませんが、まだ二人きりでいたいですから」
「スペードさま!?」
「もちろん全然急がないとも」
「それに進む道は子供本人に選ばせたいです」
「スペードさまーー!」
「もう! スペードさままで冗談に付き合わなくてもいいんです!」
「ごめんごめん」
プリプリと怒るアイにスペードは笑いながら謝る。普段は冷静な助手が、家族の中では感情をストレートに出しているのがおかしくてつい笑ってしまう。
(冗談じゃないんだけどな)
そう伝えたらまた真っ赤になって慌てるだろうか。スペードは想像すると口元が緩んでしまうのだった。
何故か「第1話」になっているけど、これのみです。
この後に船に戻ってプロポーズ、とかぼんやり考えていたけど書けそうになくて放置してたけど
ここで終わらせたら上手くまとまりました。