気づかぬうちに『ありふれた職業で世界最強』の南雲ハジメに転生した主人公。もっとも、脳に刻まれた無数の技能の影響で記憶を失い、自分が転生者であることも忘れたが、ありふれのハジメ同様(少しマイルドにした)魔王ムーブをするだけの話です、ハイ。

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なんか、急に降りてきたので書いてみました。


錬成師 南雲ハジメ

 ―――シャーレオフィス。

 

 ―――とある日の午後。私はいつものようにシャーレの先生として、生徒たちのために日々の業務に取り組んでいた。

 

 カタカタとデスクPCを弄りながらチラリとデスクの上の時計を目にやる。そろそろ、だよね? 

 

コンコン

 

 と、私の心情に答えるようにオフィスのドアがノックされる。私は机から立たず「どうぞ〜」と答えると。一人の男子生徒がオフィスに入ってくる。

 

 真っ白な髪に紅い目、右目には眼帯をしており何より目立つのは左腕のゴツゴツしい鈍色の輝きを放つ義手。そこだけ制服を改造して露出するようになっている。

 

 彼は書類の入った封筒を私に差し出す。

 

「先生、頼まれた仕事終わりましたよ〜」

「ありがと〜、ハジメ! 忙しいのにごめんねぇ!」

 

 ―――私がシャーレの先生に赴任してから数ヶ月、最も頼りにしているのが彼、南雲ハジメ君だ。

 

 私と同じヘイローを持たないほキヴォトス外の人間らしく、ただ、キヴォトスに来るまでなにをしていたかは本人も含めて誰も知らない。記憶喪失らしく、砂漠で彷徨ってたところを助けられてそのままその学区の学校に入学したらしい。

 

 ―――いやぁ、初めて彼と出会うきっかけになった手紙のインパクトは今でも忘れられないよ。

 

 確か、『このままじゃ先輩が犯罪者になりそうなので助けてください』だっけ? 彼、やりすぎちゃう所あるから心配性な後輩が私に頼ってきたって感じだったなぁ。

 

 あれから色々あってかなり助けてもらってる。私が一番信頼してる生徒、かな?

 

 ―――たまには先生としてお礼もしないとね!

 

「わざわざありがとうね。お礼にこのあと時間あるならご飯でもどう?」

「あ〜、すみません。このあと直ぐに用事があってすぐに出ないと間に合わないんです」

「そっかぁ〜、残念」

 

 食事の誘いを断られてガックリ肩を落とす私。まぁ、彼が忙しいのは今に始まったことじゃないし、仕方ないかぁ。

 

ドカーン!

 

「ん?」

「爆発……近いですね」

 

 傷心の私の耳に聞こえてきた爆発音にハジメは窓から身を乗り出すと右目の眼帯を外して、遠視機能のついた義眼で遠くを見ている。

 

「あ〜、スケバンですね。また、性懲りもなく暴れてるみたいです。ちょっと行ってきます」

「お願いね。あんまりやりすぎちゃダメだよ?」

「わかってますよ」

 

 ハジメは窓から飛び出すと、()()()()()()()()()()()()スケバンの子たちがいる前に降り立つ。

 

 私もハジメが出ていった窓から身を乗り出して、ハジメを目で追う。

 

 ―――っていうか、わざわざ遠視する必要ないくらい近くじゃん。

 

「おいお前ら、暴れんのはそのへんにしとけ。ここどこだと思ってんだ、シャーレの部室の前だぞ」

「うるせぇ! そんなの気にしてスケバンやってられるか!」

 

 ―――なんというか、就任初日も思ったけどキヴォトスって治安悪すぎないかしら……。

 

 聞く耳を持たないスケバンの子にハァとため息を付くと、戦闘の構えをとろうとしたときハジメを見たスケバンの子の一人が顔を青ざめながら叫びだした。

 

「お、おい待て……あの眼帯……白い髪に、獣みたいに紅い目……そして何より、あの義手ッ! まさか……!」

「なんだよ、お前アイツ知ってんの?」

「間違いない……奴は、奴は……南雲ハジメだ!」

 

 スケバンの子の一人がハジメの姿を知っていたらしく、その名前を口にすると他の子もざわざわと慌て始める。

 

 ―――まぁ、このキヴォトスでハジメの名前を知らない子なんていないもんね〜。

 

「なにッ!? 奴があの『アビドスの白い魔王』なのかッ!?」

「かふっ!」

「ハッ、ハジメッ!」

 

 ハジメのガラスのハートに彼が最も気にしている言葉の一つが突き刺さる。

 

「ああ、奴こそは『八人目の七囚人』とすら呼ばれ、一夜にしてカイザーをキヴォトスの地図から消し去った男だ!」

「ゴフッ!」

 

 次々とハジメの心にささる言葉の刃にあの子たちの運命を察し、一応心のなかで合掌しておく。

 

「そんなッ! あの、『厨二に魂を売ってまで力を得た男』とどうやって……!」

「ふふふ……あはははは……!」

「あの……ハジメ、その……。」

「大丈夫で、えぇ、俺は大丈夫。ところで、先生……キヴォトスにはこんな言葉をあることを知ってますか? 『死ななきゃ犯罪じゃないん』ですよ」

「ダメだよ、ハジメ! 半殺しでもダメだよ!」

 

 額に青筋を浮かべるハジメは右手の指についた指輪、『宝物庫』を掲げる、するとなにもない空間から回転式六砲身ガトリング『メツェライ』が彼の腕に現れる。

 

 実弾なら頑丈なキヴォトス人でも大怪我は避けられないだろうが、そこはキレてても分別がつくハジメはちゃんとゴム弾を装填してるはず……多分、きっと……。

 

 ハジメはメツェライの砲門をスケバン達に向けると、スゥ〜と息を吸って、トリガーを引く―――

 

「誰が好き好んでこんなゲームキャラみたいな見た目になるかぁ! 目が覚めたときからこの見た目だわッ! 変えられるもんならとっくに変えとるわクソッタレッ! そしてこの右目と左腕は名誉の負傷だ畜生ッ!」

「「「「「「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!!」」」」」」

 

 ―――魂の叫びを吐き出しながら。

 

 うわー、凄い。スケバンの子たちが次々と倒れていく〜。確か毎分1万2000発くらい打てるんだっけアレ。

 

 スケバンを残らずガトリングで撃ち抜くと、当然あたりはメツェライのせいでできた無数の弾痕だらけなわけで……とてももとの道路とは言えない状態になっていた。

 

 しかし、彼は慣れた手つきでメツェライを宝物庫に放り込むと、道路に右腕の手のひらをつけて短く呟く。

 

「『錬成』」

 

 ハジメが呟くと彼の手から赤い閃光がほとばしりそれが地面へと走っていく。すると、壊れた道路がみるみるうちにもとの舗装された道路へと戻っていき、ものの数分でまるで戦闘などなかったかのような完璧な道路へと戻った。

 

 このキヴォトスでハジメだけが使える特別な力、魔法(正確には今使ったのは錬成魔法というものらしい)。所謂、ゲームなんかで言う鍛冶職みたいなものらしくて、鉱物の形を変えたりする力らしくこれはその応用らしい。

 

 彼の右腕の義手もそれを使って作ったものでオマケに彼が持つもう一つの魔法、生成魔法(物質に能力を付与するものらしい)を使っていろんな技能を組み込んでらしい。

 

 砂漠で初めて腕にパイルバンカーを装備してるのを見たときはテンション上がったなぁ〜。

 

『このクソヘビ……! いつか喰われた右腕と潰された左目の借りを返しに来たぜッ!』

 

 いやぁ、あのときのハジメ目茶苦茶怖い顔してたけど、アビドスの子達、なんかこう、逆にトリップしてた用に見えたのは気のせいじゃないと思う。

 

 ―――だって、今ならその気持ちわかるもん。

 

「ふぅ、多少はスッキリした、か?」

「お疲れー、ヴァルキューレにはもう連絡したよー!」

「ありがとうございま〜す」

 

 いつものやり取り、最初はやりすぎかな〜って思ってたけど、キヴォトスの治安悪さを知った今ならアレくらいやんないとあの子達も再犯しかねないだろうから、丁度いいお灸かな〜なんて思ってしまう。

 

「んじゃ、俺はヴァルキューレが来る前に帰ります。カンナが来たら、また貴方ですかって言われかねないんで」

「も〜、そんなんだから矯正局行きしたわけでもないのに『八人目の七囚人』なんて呼ばれるんだよ?」

「ウッ! 先生までその呼び名で呼ぶのやめてくださいよ。俺がやってるのはあくまで防衛です」

 

 渋面でそう言いいながらハジメはメツェライと同じように宝物庫から自作のバイク、魔力駆動二輪シュタイフ(最近さらに改造して空まで走れるようになったらしい)を取り出し、それに跨る。

 

 最後に私に手を振り、私もそれに振り返すとハジメはそのままバイクを発進させて、次の目的地に向かった。

 

 これが自他ともに認めるキヴォトス最強にして最凶の生徒、『錬成師 南雲ハジメ』と私の日常だ。




因みにオリハジメの能力については色々後付けする予定がありますので、ご注意を。

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