ダンジョンにろくでなしが居たって間違いじゃ無いだろう?   作:ケツアゴ

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ろくでなしは暴露する

「え? 手負い相手に逃げられただって? 第一級冒険者が揃ってて?」

 

 謎の赤子を取り戻そうと追って来た赤髪の子、それの首に穴を開けたりした状態で押し付けたってのに取り逃したって聞かされたのはうたた寝から覚めた後、戦闘の余波で壊れた街を修繕しているのをダラダラ眺めている時だった。

 

 手伝ったかって? 勿論手伝わないよ。

 

 それにしても仮にもオラリオを代表する派閥の一角、私が所属する時点で最強はぶっちぎりでヘスティア・ファミリアだけれども、この子達だって悪くはないのに予想外だ。

 

 

「返す言葉も無い…と言うかと思ったかっ!

 

「わーお。随分とご立腹だね、リヴェリアちゃん。あんまり怒ると小皺が

増えるぜ? もう若くないんだから注意しなよ」

 

「誰が歳だ、誰が! ……それであの女は何者だ?」

 

「なんか売春誘って来て、女神とヤってるからって断ったら襲って来た子」

 

 私の耳を摘んで大声を出すリヴェリアちゃんはどうもご機嫌斜め、タイマンじゃフィン君でも危ない相手を警告無しに放り投げたのは私だけれどさ、ちょっと酷くないかい?

 

「……そうか」

 

「それと花のモンスターと関わりがあるみたいだね」

 

 ダンジョンに経験値稼ぎに来て十八階層に来た瞬間に側面の岩壁に人間が激突、状況を飲み込む前に私に敵だと知らされて、最終的にリヴィラから逃げた子達を庇いつつ謎の敵と交戦、と。

 

 そんなに怒る事かな? お酒飲んで良い気分だしかったるい気持が勝ってたから押し付けたけれど経験値は稼げるし問題無いだろう?

 

 精々アイズちゃんの様子がおかしい位じゃないか。

 

「まあ、それ以外は分からない。私も初対面の相手だよ。何か急に襲って来たけれど、さっぱり思い浮かばない」

 

 肩を竦めて私自身も困っているんだとアピールするけれど効果は無しか。

 付き合いが短い子はこれで結構誤魔化せるんだけれど、ここの子達はちょっとだけ付き合いがあるからなぁ。

 

「あの、先生。恨まれる心当たりが多くってどの件なのか分からないとは思いますけれど……」

 

「言うねぇ、レフィーヤちゃん。でも今回ばかりはハズレだよ。学区時代なら補修授業だぜ? 取り敢えず此処から階層の端まで全力ダッシュしようか」

 

「そうやって何かと他人に無茶苦茶するから恨まれるのですよ?」

 

「今回は本当さ。そりゃ女神相手に八股した事はあるし、関係のある精霊に恨まれている可能性は……ありゃ? どうかした?」

 

 

「兄さん、精霊って言った?」

 

「言ったよ。ウトウトしながらも解析したけれど、ダンジョン奥深くでモンスターに吸収された精霊の成れの果てが関わっているっぽいね」

 

「あの人、私とお母さんを間違えて……」

 

 アリアとアイズちゃんをねぇ。この子も私同様に本来なら有り得ない存在だから受け継いだ力を見て本人とでも思ったか。

 

 思い悩んだ様子にリヴェリアちゃんの不機嫌の理由を悟った。だってアイズちゃんの両親について知られたら非常に厄介な事になる。 

 神々からは絶好の玩具、人間ならエルフ辺りは精霊に近い関係だから良い方向に持っていけそうだけれど、他の種族はなぁ。

 

 

「アリア関連はアイズちゃんにとって気軽に触れられたくない話題だからね」

 

「兄さん……」

 

「お化けが苦手だとかオネショが中々治らず、私が内緒で誤魔化してあげてたとかさ」

 

「兄さん!?」

 

 ほら、こんな感じだと一瞬で絵にしてレフィーヤちゃんに手渡した。

 湿った布団の上で同じく湿った寝巻き姿で私を見上げて来た時の姿。 

 今みたいに復讐心で感情が表に出難くなったのと違って自分の英雄を夢見る無邪気で甘えん坊な頃。

 

「こ、これが昔のアイズさん……」

 

「レフィーヤ、お願いだからそれを……」

 

 恍惚の表情を浮かべて絵を凝視するレフィーヤちゃん(同性愛者疑惑)。

 リヴェリアちゃん達は何も言わないけれどロキ様に保護された後も時々してたみたいだし、微笑ましい感じで見守っていたよ。

 

 恥ずかしい記憶を掘り起こされたアイズちゃんは焦ってるけれど!(愉悦)

 

「へー、こんなんだったんだ」

 

「アンタも寝小便中々治らなかったわよね」

 

「ちょっ!?」

 

 それを取り上げようにもティオネちゃんんが掠め取り奪えない。伸ばした手は二人掛かりで防がれてしまう。

 うんうん、このドシリアスな状況でぶち込んでこそだよね!

 

「アイズちゃんったら当時の私にベッタリで、お兄ちゃんお兄ちゃんと鴨の親子みたいに後ろを歩いててさ。私に結婚を申し込んだ瞬間に両親がガチで止めに来たんだ」

 

お兄ちゃん少し黙って!?

 

 こらこら、人の胸ぐら掴んで揺らすの止めなさい。君も一応は第一級冒険者だし布地が痛むじゃないか。

 そして恥ずかしさのあまりに我を忘れちゃってるよ。

 

「おや、懐かしい呼び方だね。じゃあ、私はクエストの途中だから去るけれど諸々の面倒事は任せたよ」

 

 さっさと報酬を受け取ってイシュタル様を堪能したいんだ。あの抑える気の無い色気に包まれた極上の時間を過ごしたい。

 前回は私が攻めるのが多かったし、今回は奉仕して貰えたら良いな。ちょっと難しいけれど頼み込んだ上で大金を積めばワンチャン?

 

「最後に言っておくと彼女人間じゃなくってモンスターに近い。胸を指で貫いて調べたら魔石があったし」

 

「おいっ!? そういう重大な情報を……」

 

 そんな訳で私は瞬時にダンジョンから脱出するのだった。

 

 

 

 

 

「流石に子供の言葉でも見過ごせなかったか。まあ、僕でも絶対に止めるだろうね」

 

「私の故郷にも奴にだけはその手の感情を抱くなと伝わっている。……浅い付き合いだけなら面倒見が良い上に優秀なせいで勘違いする者が出るんだ」

 

「あー、学区でも一部の女子生徒や若い女性の先生に人気でしたよ。ある程度の期間で止める側になりましたけれど」

 

「なるだろうねー」

 

「そりゃ親なら絶対に止めるでしょ」

 

「お願いだから今のは忘れて……」

 

 

 

 

 

 

 

 アイズちゃんを困らせて楽しんだ私が訪れたのは結界に囲まれた離れ小島、周囲は渦潮や大型の水棲モンスターの巣によって結界がなくても近付けないこの場所には大きな館がある。

 

「かくかくしかじかって事で、精霊のこの子を預かって欲しいんだけれど、ラーニェちゃん」

 

「成る程な。まるまるうまうまっという事か。いや、ちゃんと説明しろ。かくかくしかじかでは何も伝わらん」

 

 そんな館は私の別荘。怪物祭の協力報酬として異端児達に提供している場所に浄化した精霊を連れて来たのさ。

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