妖怪ウォッチを持つ犬山家長女   作:のぞむ

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今まで以上に難産でした…(汗)。


出会い

「ありがとううんがい鏡」

 

「いえいえ。お帰りの際はまた呼んでくださいぺろ~ん」

 

私とウィスパー、ジバニャンはゴールデンウィークを利用してとある田舎の集落へとやって来ていた。

 

「まゆちゃん…ホントにワタクシとジバニャンも行って大丈夫なんですか?」

 

「大丈夫だって。害がないってわかれば何もしないから…たぶん」

 

「たぶんってなんでうぃす!たぶんって」

 

「そうニャン!オレっちは鬼道衆(・・・)に退治されたくないニャン!」

 

「ごめんごめん…大丈夫。絶対に退治なんかさせないし、そんな事になったら私は許さないから…」

 

(ま、まゆちゃんから何やらヤバイオーラが出てるでうぃす…!)

 

(お、おっかないニャン…!)

 

 

 

 

 

 

 

 

そう。私達がこの田舎に足を運んだのは鬼道衆…そして石動零に会いにきたからだ。

この辺りにある里に住んでいる鬼道衆の人達は今から一年以内に復活する大逆の四将の一人、玉藻前に皆殺しにされてしまう。ただ一人生き残った鬼道衆の少年、石動零は復讐のために妖怪達を狩ってその力を取り込んでいった。価値観の違いから鬼太郎君と対立してたけど最終的に協力して玉藻前を撃破する…これが石動零が辿る大まかなストーリーだ。

 

今回の最大の目的は鬼道衆の里が襲われてないか確認して、その後エンマ大王に大逆の四将が封印されている場所を厳重にするように管理するようにお願いする事だ。早くしないとぬらりひょん一派に封印を解かれちゃうからね…あ、エンマ大王の側近のぬらりさんじゃなくて鬼太郎シリーズでよく見る方のぬらりひょんね。

 

「でも、どこに行けば鬼道衆の里に行けるニャン?」

 

「う~ん…ツチノコの幸運パワーで見つけるって手もあるけど、鬼道衆の人達を見た時に怖がらせたくないし…」

 

こうなったら地道に探すしかないかな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前ら、誰だ?」

 

そう思った時、後ろから声が聞こえてきた。振り返ってみると黒い癖毛の男の人が私達の後ろに立っていた。

 

この人…石動零だ!

 

「あ、あの…」

 

「質問に答えろ。お前らは誰だ?」

 

うわっ、メッチャ警戒されてる…お前らって言ってるからウィスパーとジバニャンも見えてるよね?まぁ鬼道衆だから当然だけど。

 

「私は犬山まゆ。こっちは妖怪執事のウィスパーと友達妖怪のジバニャンです」

 

私は石動さんの自己紹介をしつつ、ウィスパーとジバニャンの紹介もする。

石動さんは私がつけてる妖怪ウォッチを見ていた。

 

「妖怪ウォッチ…あの犬山まゆか…」

 

「私の事を知ってるんですか?」

 

「俺達鬼道衆でお前を知らない奴はいねぇ。妖怪と縁を結び、数々の偉業を成し遂げた人間。それがお前だろ?」

 

私って鬼道衆の間でも有名になってるんだ…

 

「「き、鬼道衆~~!?」」

 

ウィスパーとジバニャンは石動さんが鬼道衆の人間だってわかったから凄く怖がってる。

 

「それで、お前のような有名人がこんなところで何をしてんだ?」

 

「実は私、鬼道衆の里を探してるんです」

 

「なに?何故だ?」

 

う~ん、なんて説明しよっか…

将来玉藻前に襲われるから気をつけてって素直に言う?…いやダメだ。そんな事を言われても信じるはずがないよ…そうだ!

 

「実は、エンマ大王から頼まれてきたんです!」

 

「エンマ大王だと?」

 

「ちょ、ちょっとまゆちゃん!あーたエンマ大王様を使ってうsウィスッ!?」

 

危ない危ない…もう少しで私の嘘がバレるところだった。ウィスパー。しばらく地面にめり込んで反省してなさい。

 

「お、おい…そいつ大丈夫か?」

 

「大丈夫です。そんなことよりエンマ大王から頼まれたんです。『鬼道衆と友好関係を築いてこい』って、そうすれば妖怪と鬼道衆が争う事にならないだろうからって」

 

咄嗟の事で思いついた設定だけど、どうかな…?

 

「…ついてこい。案内してやる」

 

「は、はい!」

 

やった!信じてもらえたっぽい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから私達は石動さんの案内で鬼道衆の里へやって来た。里には少数だけど人がおり、その中には石動さんを兄の様に慕っているサヤちゃんの姿もあった。石動さんの言う通り里にいる人達はみんな私の事を知っており、さっき石動さんに言った友好関係の件を里の長に伝えると承諾してくれた。

それから私達は里の人達のご厚意で一日ここで寝泊まりをする事になった。一緒に過ごしてみると里の人達はとても優しく、妖怪であるウィスパーとジバニャンにも分け隔てなく接していた。特にサヤちゃんからとても懐かれてしまい、私の友達妖怪の事や私が体験したこれまでの冒険の事をたくさん聞いてきた。

 

そしてあっという間に夜になり、眠っているウィスパーとジバニャンを置いて外の空気を吸いに家を出る。

 

「あれ?」

 

しばらく歩いていると石動さんが一人で佇んでいるのが見えた。石動さんがいる場所は里が一望出来る高台みたいだ。

 

「石動さん」

 

「…お前か」

 

「ここで何してるんですか?」

 

「目が覚めちまってな。外の空気を吸いに来たんだ」

 

「そうなんですね。私もなんだか眠れなくて…隣、良いですか?」

 

「好きにしろ」

 

私は石動さんの隣に立って里の景色を見る。

 

「…昼間はありがとな。サヤと話してくれて」

 

「え?」

 

「あんなに楽しそうなサヤの顔はしばらく見てなかった。里の外から来たお前と話せたのが嬉しかったんだろうな」

 

「そうだったんですね…私もサヤちゃんと話せて楽しかったですよ」

 

「そうか」

 

すると石動さんはある事を語り始める。

 

「…俺は元々孤児だったんだ。ガキの頃にお師匠様に拾われて、この里で育てられた。里の皆には感謝してもしきれねぇくらいの大恩があるんだ、だから皆を守れるくらい強くなりたい…その一心でガキの頃から修行してきたんだ」

 

そう語る石動さんの顔は真剣そのものだった。でもアニメだと里の人達を守ることが出来なかった…

もしかしたらアニメでの石動さんは妖怪だけではなくて里の人達を守ることが出来なかった自分自身も憎んでいたのかもしれない。

 

「…石動さんは優しいんですね」

 

「どういう意味だ?」

 

「だって里の人達に恩返しする為に強くなりたいって思ったんですよね。そう思うくらい里の人達の事を大切に想ってるって事じゃないですか」

 

「…そんなの当然だろ」

 

そう言って石動さんはそっぽを向いてしまうが、一瞬だけだけど頬を赤らめているのが見えてしまった。

 

「…お前は、妖怪の事をどう思ってるんだ?」

 

すると石動さんはこんな質問を私にしてきた。

 

「…私にとって、妖怪は友達です」

 

「…だが誰しもがお前の味方でいる妖怪はいない。そんな妖怪ともお前は戦って来た筈だ。そいつらはどうなんだ?」

 

「確かに、そういった妖怪とも戦ってきました。けど中には環境や境遇のせいで闇に染まった妖怪もいました。その妖怪のやろうとした事は許せないけど、ちゃんと話すことが出来たら友達にもなれたかもって、今でも考えちゃうんです」

 

そう、自分の〝夢〟の為に世界を支配しようとしたあの妖怪の事を…

 

「考え方次第で闇になって、光にもなる存在…そんな妖怪を私は純粋だと思うんです」

 

「考え方次第で闇にもなって光にもなる…それがお前の考えか」

 

石動さんの問いかけに私は頷いて答える。

 

「…俺はそろそろ戻る。お前も早く寝ろよ」

 

石動さんはそう言って離れていった。私が話した事で妖怪を絶対悪だって思わない様になれば良いんだけど…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「昨日はお世話になりました!ではこれで」

 

翌朝、私達は里を後にしてうんがい鏡を通って家に帰ろうとしていた。

 

「っ!?」

 

すると何かが私に向かって飛んできて、私が咄嗟にそれを手に掴む。私が握っているのはお札の様な物だった。

 

「これは…?」

 

「何でしょうかそれ?」

 

「そいつは俺達鬼道衆の術がかけられてる札だ」

 

お札が飛んできた方向を見てみるとそこに石動さんの姿があった。

 

「おや、石動さんじゃございませんか」

 

「どうしてここにいるニャン?」

 

「見送りに来ちゃ悪いかよ」

 

「そんな事ないですよ!ありがとうございます、石動さん」

 

「…ろ」

 

「え?」

 

「敬語はやめろ。あと石動さんなんて他人行儀な呼び方もやめろ」

 

「じゃ、じゃあ…これでいいかな?零君」

 

「ああ…元気でな犬山…」

 

「他人行儀な呼び方はやめて…でしょ?」

 

そう口にする私はきっといたずらっ子の様な笑みを浮かべているかも。だって楽しいし。

 

「チッ…悪かったな…まゆ」

 

「うん。じゃあね零君!」

 

「バイバイニャーン!」

 

私、ウィスパー、ジバニャンはうんがい鏡を通って家に向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「…あいつと話すと妙に調子狂うぜ」

 

まゆ達が帰っていった後、零はそう呟いていた。

 

零はこれまで数々の任務の中で人間に仇名す妖怪を退治してたし、実際そういう妖怪しか見た事がなかった。その事で世の中の妖怪は皆人間にとって害のある存在しかいないと思い始めていた。しかし昨日まゆと出会い、彼女と楽しそうに話す妖怪のウィスパー、ジバニャンを見た事で零の中の価値観は変わっていっている様だ。

 

「ま、悪い気分じゃねぇけどな」

 

そう呟く零の顔は笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…お師匠様、頼みがあります」

 

そして今日、彼はある決意をしたのであった。

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