我はチヲハウハネ……モフるな!ヒーローを目指す者……モフるな!   作:モフモフノハネ

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シュウゲキ

 

 とある日の1-Aのヒーロー基礎学。教室で相澤先生から授業内容の説明を受ける。

 

「今日のヒーロー基礎学は俺ともう一人も含めての三人体制で教えることになった。」

 

 なった。と言う言い方をするあたり何か問題があったのだろう……勘の良いものはそれに気づく。相澤はRESCUEと書かれたタブレットを見せて声を上げる。

 

「今回のヒーロー基礎学は、災害水難なんでもござれ、レスキュー訓練だ。」

 

 レスキュー訓練、それはヒーローとして最も重要な素地を作るための訓練。ヴィランの有無が関わらず、災害の際にもヒーローの手は必要となる。

 

 戦闘訓練の様に闇雲に戦うだけではない、市民のことを考えていかに最適な行動を取るか、それが重要だ。

 

 相澤によると、場所は少し離れる……移動はバスになるらしい。飯田の指揮の元、1-Aはグラウンドに出てバスへと乗り込むのだった。

 

□◇□◇□

 

 雄英高校の保有するバス……今回は千翅と言うそれなりに大きな異形型の生徒がいるので、バスも少し大きいものが用意された。

 

 それでも、千翅は座ることは叶わずに立ちっぱだ。席は結構空いているのに。少し悲しくなるが、文句はいえまい。

 

 すると、千翅の近くに座っていた蛙吹と緑谷が会話を始めた。

 

「私、気になったことは何でも言っちゃうの。緑谷ちゃん。」

「は、はい!蛙吹さん!」

「梅雨ちゃんと呼んで。」

「貴方の個性、オールマイトと似てるわ。」

 

 蛙吹がそうな言葉を何気なく呟けば、緑谷は大慌てで弁明しようとするが、代わりにしてあげるのが切島だ。

 

「まぁ待てよ梅雨ちゃん。オールマイトは怪我とかしないぜ?似て非なるあれだろ多分。」

 

 切島の言葉をきっかけに、話の話題はヒーローになったら目立ちそうな人へと話は移っていく。

 

「まぁでも、目立つ個性つったら轟に爆豪に蒲生だよな!」

「……。」

「ケッ。」

「いやはや、我照れちゃうぞ。」

「特に蒲生はすげぇよな炎の他に電気や毒も操れるんだろ?器用貧乏とはいってたけど、実際何でも出来るのは強みだと思うぜ?」

「ふふふ、照れるなぁ……」

 

 千翅がそう言って嬉しそうに顔を赤らめていると、不意に葉隠が不敵な笑みと笑い声を上げる。

 

「ふふふ……みんなわかってないね、蒲生くんの真の強みを!」

「「「蒲生の真の強み……!?」

 

 ……千翅は何かとてつもなく嫌な予感がして咄嗟に止めようとするが時すでに遅し、葉隠はとんでもないことを口走った。

 

「それは…………モフモフだぁーーーッ!!!

「「「モフモフ!?」」」

「何を口走ってんのじゃ己はぁ!?」

 

 千翅は思わずそう言って声を荒げてしまう。しかし、何故か葉隠は妙に得意げだ。何気に腹が立つ。すると、切島と芦戸が頷きながら言葉を付け加える。

 

「確かに、蒲生のモフモフは気持ちよかったなぁー!」

「ありゃ人を駄目にする魔性のモフモフだな。」

「お日様の匂いがして良い感じにぽかぽかでふわふわでそれがまた気持ち良くって!!」

「「わかる!」」

「人の抱き心地を事細かに説明しないでもらえますか!?」

 

 千翅をモフったことある同士がその心地よさを共有する中、千翅は好奇心の目が自分に向いていることを悟った。

 

「……モフモフ。」

「……モフモフ。」

「女子に体揉まれるとか羨ましいぞ蒲生!」

「我だって好きでモフられてるわけじゃないんだぞ!?」

 

 峰田の血涙と叫びにそう返す千翅……すると、相澤が呆れ気味な口調で皆へと声を上げる。

 

「おいもう着くぞ。いい加減にしとけよ。」

「「「はい!」」」

「嫌な予感がするぞ我ぇ……」

 

 千翅は若干胃を痛める……このあとバスから降りると数度、モフられそうになったが何とか回避するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 やがてたどり着くドーム状の建物の中は、とても広く様々なシチュエーションの用意されたアトラクションのようになっていた。

 

「すっげぇ!?USJかよ!?」

 

 皆がそう言ってワクワクしながらドーム内へ入ると、このドームを作った張本人である、救助活動を得意とするスペースヒーロー、13号が声を上げる。

 

「ここは僕が作った水難土砂火災その他多数の災害を擬似的に再現した演習場です……その名も、ウソの災害や事故ルーム(USJ)!」

(((本当USJだった!?)))

 

 訴えられたりしないのだろうか……そんな疑問が生徒達の脳裏を横切るのだった。

 

「えぇ……始める前にお小言を一つ二つ……三つ四つ五つ…………」

(((増える!)))

 

 そこで十三号が語り始めるのは、個性を人に向けることについての危うさだ……超人社会は、個性の使用を資格性にして厳しく管理することで一見成り立っているように見えるが、その実それはとても危ういものだということ。

 

 人々が相手を確実に殺すことのできる武器を持っていることを忘れないでほしい………この授業では心機一転、個性をどのように扱い人をすくい上げるのかについて学んで帰ってほしい。

 

 そう語ってくれた……そして、本格的に授業を始めようと相澤が言葉をかけようとした時に……それは現れる。

 

 黒い靄と共に多くの……明らかに敵意を向けてきている存在が。中でも手を全身につけた男と脳みそむき出しの巨漢、そして黒い靄はいままてテレビ越しで見たよりも数段……その不快悪意が見え隠れしていた。

 

 その存在を察知した瞬間、相澤が前へと出る。

 

「ひとかたまりになって動くな!13号!生徒を守れ!」

「わかりました!……皆さん避難してください!これは訓練ではありません!緊急事態です!」

 

 相澤はゴーグルをつけて首にかけた武器の捕縛布を手にしてヴィランたちへと飛びかかる……すると、相澤はヴィランたちの個性を不意打ち気味に消して次々に殲滅していく。1対多数こそ相澤先生……イレイザーヘッドの得意分野だったのだ。

 

 13号と生徒たちはその隙にUSJから抜け出そうとするが……入口の前に黒い靄の様なヴィランが現れて行く手を阻む。

 

「逃がしませんよ。13号、それに生徒の皆様方……申し遅れました、我々敵連合と申しまして、この度ヒーローの巣窟でありヒーローの卵達が集うこの雄英高校にお邪魔したのは、平和の象徴でありナンバーワンヒーローであるオールマイトに息絶えてもらうためであります。」

 

 そう言って嘲笑うかのように目である黄色い発光部分を細める黒い霧……13号はなんとか隙を見出そうとするが、それよりも先に爆豪と切島が先手を打つ。

 

「オラァッ!」

「死ねェッ!」

 

 ……しかし、黒い霧は霧散しまた集合するとなんでもないように言い放つ。

 

「危ない危ない……ヒーローの卵とはいっても金の卵。私はその金の卵を……散らして嬲り殺す。それが役目ですので………!!!」

 

 そう言ってその黒い霧はその場の全員を覆い尽くす……それは千翅も例外ではなく、その意識を失うと、目覚めた時には……炎燃えたぎる火災エリアへへとほうりだされていた。

 

「ウッソ炎!?マジで!?我炎苦手ぞ……」

 

 炎……それが得意な生物はこの世には個性が現れる前はほとんど存在しなかったほどには生物の弱点だ。どうやら周りには仲間もいないし、どうやら状況は最悪らしい。

 

「へへどうやら来たみたいだぜ……」

「異形型か……へへっ、剥製にしたら売れるかもなぁ?」

「おら、囲え囲えぇ!

 

 何人かのヴィランが現れて千翅を囲う。千翅にとっては最悪の状況だ……周りに仲間はいないし、一人で戦うしかない。

 

 それにしたって数があまりも多すぎる……敵の数は二十人は居るだろうか?もはや見つかって囲われてしまっては奇襲も無意味。

 

 ……千翅は、ジリジリと迫るヴィランを見て、ある覚悟を決める。切り札だが、やるしかあるまい……次の瞬間、千翅は立ち上がり天を仰ぐ。ドームに包まれた空からは青空は見えない。

 

 しかし、それはどうだって良い……千翅が願う事。それが何よりも重要なのだ。次の瞬間、暗がりのドームが光に照らされる。

 

 天にあるのは、本来見かないはずのお日様……それが、ヴィランと千翅をさんさんと照らしてくれていた。

 

「う……うぅ……」

「なんだぁっ!?」

「コイツがなんかしてるのか!?」

「やっちまえ!」

 

 ヴィランはこのままではまずいとジリジリと迫るのを辞めて、千翅へと襲いかかろうとする。すると、次の瞬間……千翅はとても人のものとは思えない雄叫びをあげる。

 

 日差しが強くなっていく……

 

 

 

 

 

 地を這う翅の化け物の声が響き渡る。

 

 

 

 

 

 

 

 千翅の個性、古代活性が発動する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その攻撃が高まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

SHAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!

 

 炎を節々に上げて、千翅は覚醒する。そのあまりに異様なオーラを感じ取って、ヴィラン達も尻込みする。

 

「なっ!?なんだこいつ!?」

「本当に生徒か!?」

「まるで……怪物だぞ!?」

 

SHAAAAAAAAAAAAA!!!!!!

 

 次の瞬間、千翅はヴィラン達に飛び掛かるのだった。

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