タイトル適当ですが、ユメ先輩が現在にいるというホシノの妄想の小話です。
 「ユメホシ」タグは一応入れておきました。
 メイストVol.1第3章「夢が残した足跡」が終わる前に書いてほったらかしにしていたモノを発見したので投稿。
 ホシノ、ユメ先輩、ダイスキ……っていうことを書きたかっただけなのでオチが雑ですが、暇つぶしの一つにどうぞ!

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第1話

 小鳥遊ホシノ、十七歳。

 彼女は業務補佐の当番としてシャーレへ来た時に、たまに……本当にたまにだけ、今は亡き梔子ユメと一緒に先生の手伝いをする妄想をしてしまう。

 喧嘩して、仲直りして、『あの日』死ぬ未来が訪れることがなかった“もしも”の未来。

 ユメはアビドス高等学校を卒業した後、シャーレの職員として働いている。

 ホシノは進級して後輩たちができてのでアビドスを任せられるようになって、先生と言うよりもユメがヘマをしでかさないか見張るために高頻度でシャーレに手伝いに向かう。

 恐らくきっと、ホシノは今のようにおじさんにはなっていない。

 ホシノが二年生だった時の、アレコレ大変な日々の中でもユメと二人っきりで温かい思い出を重ねたあの日々の延長線。

 

『先生、ホシノちゃん。コーヒー淹れてきたよ!』

『ありがとう、ユメ。いただくね』

『……ユメ先輩、今回は味の方は大丈夫ですか?』

『だ、大丈夫だよッ!!?』

『ふふ。心配しなくてもいいと思うよ、ホシノ。ユメだって頑張ってるもんね』

『先生! ありがとう~!』

『まぁ、私も先輩が努力しているのは知っていますよ……うん……悪くはないですね』

 

 シャーレのオフィスで作業の合間にユメ、先生、ホシノの三人でちょっとしたコーヒーブレイクを挟む。

 当初はユメのコーヒーを淹れる腕前は酷いものだったが、日に日に腕を上げて今では可もなく不可もないレベルのものを淹れられるようになった。

 そんな話題で三人は緩く温かい時間を送る。

 アビドスの問題はユメの諦めの悪さと行動力に加えて、先生の『大人』としての助力を得て好転の兆しを見せる。

 次々と憂いが晴れていき、何気ない幸せを幾つも積み重ねて月日を過ごしていくのだ。

 シロコたちとも絆を育んでいき、意外と話が合ったヒナとも友達になったりもして、ホシノの学生生活がゆっくりと終わっていく。

 なんだかんだ悪くなかった、などと思って卒業した後、ホシノもまたシャーレの職員になったりして、違う場所でまたユメの後輩をする。

 

『ホシノちゃん♪』

 

 妄想の中のユメはいつだって笑顔を浮かべている。

 

——本当は私に対して恨みを抱いているのかもしれないのに。

——向けられるべき本当の表情は鬼のような怒り顔なのかもしれないのに。

 

 結果的に自分が殺してしまったようなものという、誰に言われたワケでもないのに勝手に抱いている自覚を持ちながらも、ホシノは笑顔のユメを妄想してしまう。

 何故ならば、初めて出会った時に見たあの人の笑顔に惹かれ、共に過ごした時間の中で好きになってしまったのだから。

 自分にはもうその資格なんてない……分かっている。

 もう二度と本物を見ることができない……理解している。

 

——また先輩の、へにゃへにゃな無邪気で温かい笑顔が見たい。

 

 絶対に適うことがないそんな切ない願望を抱き続け、ホシノは何度も都合の良い妄想を幻視する。

 キヴォトス内でもトップレベルの強さを誇る暁のホルス。

 シロコの中で最強である大恩人。

 ヒナが凄い人だと認めた好敵手。

 そんな強い、強過ぎる彼女にも“弱さ(古傷)”は有るのだ。

 

「ホシノ? ボーっとしちゃって、どうしたの?」

「……ううん。なんでもないよー。それより、先生。コーヒー、飲む? おじさんが淹れてあげるね~」

 

 今日も彼女は『おじさんを演じる後輩に優しい先輩/生徒(小鳥遊ホシノ)』として厳しくも出会いに満ちた現実の世界を生きながら、人知れずに心から涙(古傷から血)を流し続けるのだった。

 




この話は時系列はメイスト1章以降、2&3章前です。

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