入局して機会を伺うこと早10年が過ぎた。
幾度めかの辞令を受け取り、辞令を見た時の失望感は未だに拭えない。
当然とはいえ、やはり残念だった。
「どうする?」
だれも答える人間がいなくとも聞かずにはいられない。
体を鍛え、年は17を数えた時、それは起きた。
クロノ・ハラオウンのアースラ就任から3年が経過している、つまりは原作開始まで余裕がないことと繋がる。
それまでにアースラへ異動し尚且つ相応の信頼を勝ち得なければならない。
が、それも上手く行かない。
魔力保有量がAAAになった為だ。
保有制限が枷となる。
いっそ、休暇を取ってあちらまで行くか?
いや、駄目だ。
今、この状況で休暇申請が降りるはずがない。
なら、止める?
それこそ下策、正直な話、ヴォルケンリッターと一騎打ちをして勝てる自信など5分もあれば良い方だ。
特性に合わせた戦闘を考え、デバイスもマイスターと行かなくとも設計は出来るぐらいは勉強してみたモノのやはり餅は餅屋に頼むべき、しかし、要望に合わせたモノを作るのは難しいと断られ、作れた伸しても劣化品がやっと、下手な特別製より換えが効く量産の物の方がよいと判断せざるを得なかった。
そもそも、そんな状況の最中でデバイスも量産協力もなしに、一騎打ちに持って行ける状況を作ること自体が実現し得るはずがない。
強襲、奇襲を駆使して討てるのはおそらく1体が限界、優先的にシャマルを倒すまでは良いがその後が問題となる。
なぜ、シャマルかと言えば理由は簡単である。
後衛を請け負う二人のほうが前衛二人よりよほど厄介なのだ。
シャマルの旅の扉はもちろん、回復から広域移動まで裏方仕事をほぼ万全にこなす。
言ってしまえば彼女がいる限り補給は容易である。
更に言ってしまえば彼女らの戦闘の肝となるカートリッジを奪えるかどうかは大きい。
考えた案や策も1つ2つではない。
しかし、現状とは無常に過ぎ去るものである。
PT事件の解決、魔導師の襲撃事件と立て続けに発生してしまい管理局全体の警戒心があがっている為、休暇は更に厳しくなった。
申請した休暇が許可された頃には『闇の書』事件は終わっており、被害者の集まりが開かれる事になる。
無駄になった策にがっくりと肩を落としながら参加した俺は更に驚く羽目になる。
『今後の寄り合いは無しとする』
それが、長年こちらに援助してきたギル・グレアムやハラオウン家の援助が打ち切られることになったためだ。
最大の問題であった、ロストロギア『闇の書』が滅んだ為、今後はそれを後に引かぬためにも犠牲となった家族を弔ってやって欲しい。との事だ。
無論、寄り合いをするための援助はなくなるだけで、遺族へに対する援助は続けられるとの事で完全に自立し切れていない家庭はわずかに安堵の息を漏らしたのが分かった。
そんな説明を聞きながら、ああ、そうかと理解した自分がいた。
ディランダルを作るのに必要だった寄り合いは維持する必要がなくなり、八神はやてを保護するために過去を蒸し返さず感情を安らげさせねばならない。
勝手なものだ。
自身で復讐を掲げて、いざとなれば情に絆され他人にもそれを強要する。
方針が変わってずいぶんと過保護なる物だ、彼女の扱い事態は変わっていないが周囲の取り巻き方が変わるだろう。
仮に彼女を見つけたとしても理解を求めるだろうし、仮に、俺のように未だに憎悪に焼き焦がされる人間がいたとしても、個人で動けばすぐに分かるだろう。
何せ、遺族とその集まりは寄り合いで既に情報を集め終えているし、有能な技術者もすでにあちらの情報でつかんでいるのだろうから。
少しでも原作との乖離を期待した俺が馬鹿だったのだ。
この世界に介入要素を無くして変化はない、あるはずがない、蝶の羽ばたきでは変化は起きえないのなら、もっと大きな風を作れるように動けばいい。
ならばと、休暇を使い俺は一人の人物を探した。
目を付けられる可能性など十二分承知しているが、それ以上に価値がある。
俺が知り得るアドバンテージでまだ、賭ける場所は残っていた。
一旦は管理局を去ることも考えたがこちらにいた方が『納得していない仲間』と連絡は取りやすかったし、一人で彼らを討ち取るのは不可能なのは分かり切っていることでわざわざ、そんな下策をとる必要もない。
何せ、危険と隣り合わせではあるものの少ないなれど資金と多くの経験、そして人脈を作ることが出来るのだから。
デュランダルの設計と組み立てを担った人物を、俺は探した。
シェーン・キャクストンそれが、ディランダルの作者であり、今後長くともに行動する仲間であり、未来で『無限の欲望』と言う二つ名をもらった男の名前だった。