球磨川雪の人間観察   作:呪壊 赤城

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 お久し振りです。

 この作品では新年初の投稿となりますね。

 今回は雪君以外の視点も入ります。この話し方は違うというのがあればお教えください。


 というわけで、どうぞ。


第9審 「一人しか居ない家族だからね。」

 

 ―翌日。

 

 

 時計台地下2階。つい最近、生徒会がフラスコ計画の視察及び強制的に停止させるまでは糸島軍規が地下2階の住人で、草木の水やりは宗像形がしていた日本庭園だったりするのだが、それはさておき、生徒会側の面々はそこに集まっていた。

 

 

「あ、来たんか。皆遅かったやないの。」

 

 

 到着した面々は既に投刀塚那柄が来ていたのに少なからず驚いていた。何故なら、彼は昨日転校してきたばかりの筈だからだ。

 

 

「・・・え?えーっと。」

 

 

 戸惑いを隠せない喜界島もがなはなんとも言えない顔で投刀塚那柄を見詰める。愛想笑いを浮かべながら、全員を見詰める投刀塚那柄。尚、人吉善吉と名瀬夭歌、球磨川雪はこの場には来ていない。

 

 

「遅くはない。定刻通り来た筈だが?」

 

 

 投刀塚那柄の遅かったという台詞に遅くはないと、答える黒神めだか。投刀塚那柄に対して球磨川禊と似ているという感想を抱きつつも、微妙に彼とは違うという感じがしている為、黒神めだかはなんとも言い難い感覚に陥っていたりする。そんな彼女にお構い無く、投刀塚那柄は愛想笑いを浮かべながら始める準備をし始めた。

 

 

「あー、うん。まぁそうやね。あ、球磨の奴は今日は来ないよ?なんか、暫くは俺が見てた方が君らにも良い思ってね。ま、それじゃあがんばろか。安心しい。俺も球磨程ではないけど、同類(マイナス)やから。」

 

「「え?」」

 

「「・・・。」」

 

「やはり、そうか。」

 

 

それぞれが投刀塚那柄に対して何かを思っている。それを見詰めながら、これなら球磨の方も大丈夫だろうと、思いつつ、彼は凶化合宿を指導するメンバーと共に始めた。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 そういえば今日からめだかちゃん達の特訓だったよなぁ・・・。頑張らないとね。そう思いつつ今僕は生徒会の人達と特訓をしている・・・訳なく実は禊の奴と買い物をしにデパートに来ていたりなんかする。ちなみに2人共私服だ。禊は黒のパーカー付きのハイネックの服?に黒っぽいジーパンで僕は・・・まぁ、黒のYシャツに黒いベストを羽織って、茶色いジーパン履いてたりする。まぁ、私服の事はさておき、実は昨日僕は明日から参加するね的な事を言ってなかったっけ?と思っている人達も中には勿論居るだろうから先に言っておくよ。

 

 別に今日から手伝うとは言ってないよね?

 

 考えてもみてよ。いきなり僕が彼等の凶化合宿に付き合ってみてだよ?上手くいくかな?

 

 まぁ・・・これだけなら多分なに言ってるか分からないよね。じゃあこんな例え話はどうかな?例えるならなんでも良いから例えば水泳に例えるけどさ。泳いだことも無い人間がいきなり底の深いプールに突き落とされたらどうなると思う?あ、カナヅチの人を突き落とすとかでも良いんだけど、普通に考えたら少しずつ慣らさせろ的な感じで思っちゃうよね。

 

 ・・・早い話がそれだよ。つまり、というか単純に、僕がいきなり凶化合宿に入るとそういうことが起きる可能性が高いわけだ。というか最悪の場合、禊以上のトラウマを植え付けることになりそうだしね。

 

 そんなわけで、僕は現在禊と足りなくなったものを買いにデパートに来ているというわけだよ。

 

 

「『えーっと』『あと無いのは洗剤だっけ?』」

 

「・・・柔軟剤も。」

 

「『あれ?』『そうだっけ?』」

 

「・・・ん。」

 

 

 そう言い、その2つをかごに入れ買っていない物がないかを確認しながら、なんとか買い物を終えた僕らは、家に向かっていた。

 

 

「『そういえば』『捺瑪ちゃん達って』『今日はもう泊まらないんだよね?』」

 

「・・・ん。」

 

「『ふぅん』『そう』」

 

 

 興味無さそうに言いながら、実は案外、気の合う話し相手の捺瑪さんが家に居ると嬉しかったりしてるのかもしれないと思いつつ、まぁいいやと禊と並んで家に向かって帰っていった。

 

 ・・・まぁ、昨日は昨日で大変だったといえば大変だったからね。何だかんだで、僕が生徒会側に付くって言った時なんか、禊の奴「『じゃあ生徒会戦挙とか』『もうどうでも良いや』『先手必勝的な感じで』『皆を螺子伏せに行くね♪』」とか言い始めたからね。お前キャラどうしたのさって言いたくなるほどだったよ。しかも、目が本気だったしさぁ。

 

 それはさておき、ぶっちゃけた話、僕は凶化合宿についてはめだかちゃん以外を手伝う気は更々無かったりする。

 

 だって、喜界島さんと阿久根君は脱落しちゃうからね。そういう意味じゃあ、那柄君すら必要なかったりするんだけども、そんな事しちゃったら皆から変な目で見られる事は間違いないからね。仕方なく、那柄君には彼らを手伝ってくれるように頼んだりしている訳なんだよ。

 

 ・・・え?めだかちゃんに奇襲の事を伝えないのかって?

そんな事するわけないじゃないか。だって、そんな不確定事項を言ってごらんよ?僕が精神病院に入院すること間違いなしだね。

 

 いや、冗談だよ?めだかちゃんがそんな事するわけないじゃないか。ただ、喜界島さんと阿久根君の事を考えたら彼等は戦わせない方が絶対にいいんだ。それこそ、さっきの冗談で言った精神病院に彼らが入る事になってしまいかねないからね。

 

 流石にそれは良くないだろう?他にも、戦挙が終わって禊達が箱庭学園に残ることになったらめだかちゃんの事だ。禊を副会長に任命するんじゃないかな。そうなった時の事を考えるとトラウマはなるべく少ない方が良いだろうからね。だから、2人には早々に脱落して貰おうというのが僕の考えだ。

 

 とはいえ、勘違いされても困るから先に言っておくけれど、それは全部生徒会やめだかちゃんの為じゃない。まぁ、間接的に、結果論的に言えばめだかちゃん達の為にもなるかもしれないけれど、それは僕にとってついでに過ぎない。

 少なくとも、僕がここまで遠回しに色々動いているのは禊の為だからだ。

 

 禊の事を気持ち悪いだのなんだの言ってはいるけど、それでも禊は僕にとってはもう、一人しか居ない家族だからね。僕が今出来ることは出来うる限りしておきたいんだ。僕に何かあっても禊が独りにならないようにね。まぁ、禊は僕より人に慕われやすいし、リーダーシップもあるけれど、禊が頼る側になっても、そうなる人って実際限られてしまっているからね。だから、せめて禊が居やすい居場所位は作っておきたい。

 

 本音を言えば禊の『却本作り』(ブックメーカー)が弱くなって安心院さんが出てきて僕の事は全く気にしなくなる位には禊の奴には幸せ(プラス)になって欲しいからね。

 

 

 ・・・それが僕が禊に出来る償いだろうし。

 

 

「『(そそぎ)ちゃん?』『おーい?』『聞いてた?』」

 

 

 禊の呼び掛けに今まで巡らせていた思考を一時的に中断して、禊の話を聞く。

 

 

「『うーん』『もしかして聞いてなかった?』」

 

 

 そう言いながら拗ねる禊。

 

 ・・・うん。最近というか前から思ってたけど、なんで禊は僕のあーなのかな。え?何言ってるかわからない?誰が好き好んであ × なんて言わなきゃいけないのさ。兎に角、個人的な意見だけど、禊ってあ × よりは弟体質じゃないかな。

 

 だって、禊を見てると守られるより守りたくなっちゃうからさ。ついつい、甘やかしちゃうよね。これって僕の(精神年齢)のせいかな?

 

 って、ちゃんと禊の質問には答えなきゃね。

 

 

「・・・御飯でしょ?」

 

 

 僕がそう答えると、禊はうん。と頷きながら嬉しそうにしている。 

 

 

「『うん』『なんだ』『聞いてたんだ』『良かったよ』『ま』『雪ちゃんが無視するなんて』『それこそ』『有り得ない話なんだけどね』『で』『オムライスで良いよね?』」 

 

 

 オムライスで良いよねと聞く辺り、今日の昼は禊が作るようだね。禊が作ると大体焦げるの確定してるんだけど、まぁ禊だし、仕方ないよね。

 

 寧ろ、料理スキルは捺瑪さんよりは随分とマシな方だし、褒めても良いくらいだよ。

 

 で、話が逸れちゃったね。というか禊を無視しちゃったね。取り合えず答えなくっちゃね。

 

 

「・・・ん。」

 

 

 僕がそう返すと、禊は「『じゃあ』『ちょっと待っててね』『お兄ちゃんが』『急いで作るからさ!』」と言って、エプロンを付けて、そう言った。

 

 ・・・なんだろ。やっぱり、禊と子供の頃から居るせいか、弟が成長したみたいな、甥が成長したみたいな微笑ましい目で見ちゃうね。

 

 ・・・もし、前世で子供が居たらこんな感じだったのかな?

 

 前世は成人してたし、僕も一応女性だったからね。子供を産んで、あやしたり、世話をしたいとは人並みには思っていた・・・筈だよ。

 

 酷い死に方をしたせいか定かではないけど、そこら辺の記憶はとてつもなく曖昧でボヤけていたりする。

 

 そもそも、どうやって死んだのかだって曖昧にぼやけていて、本当にあの野郎に殺られたのか自信が持てなくなってしまっているくらいだ。

 

 ただ、この後この世界で何が起こるかは(確定してはいないけれど)一応こんな感じなんだろうというのは覚えているのは正直助かっているんだけど。

 

 それに、既に死んで終わってしまったことを一々蒸し返さなくても良いんじゃないかと最近は思うんだ。

 

 そこまで粘着質に考えても、真実はもう分からいんだからね。

 

 あ × と呼ばないのはまだ根に持っているというよりは、そう呼ぶと又同じ目に遭ってしまうんじゃないかという1種のトラウマなのかもしれない。

 

 

 そうこう考えていると、禊が「『うわっ!』」とか、「『あ』『・・・』『焦げた』」とか言っているのが聞こえるけれど、こういうときはいつも手伝わないで微笑ましく見ている事にしている。

 

 手伝うと禊の為にならないからね。

 

 そう思いながら、結局僕も禊と変わらないよなぁと苦笑する。勿論、心の中だけで。

 

 

 そしてふと、何か心の中がモヤモヤしているのに気付いた。それはモヤモヤと言うべきなのか、不安なのかは分からないけれど、それでも心当たりのなく言い様のないモヤモヤは逆に新たな不安を生んでしまうと、それについては深く考えないことにした。

 

 でも、なんだろう?何かとてつもなくそれは大事な気がするのに、それがなんなのかすら忘れてしまっている気がする。

 

 

 いや、取り合えず思い出せなさそうなのを無理して思い出す必要も無いよね?必要なら思い出せるものだろうし。何より、今は生徒会戦挙の事を考えないといけないんだからさ。

 

 

 そう思いながら、僕は禊お手製のオムライスを口に入れる。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 ―やあ今晩は、久しぶり。

 

 

 ―え?いつもここにいるだろうって?いやいや、止めてくれよ。少なくとも()は此処の支配者だ。強いて言えばルールだ。

 

 君が見られたくないと思っていたのかは知らないが、君が僕に会話をしようと言う意思が明確にない限り僕からは干渉できない。君だって分かっているんだろう?

 

 

 ―知らない?ああ、そうだったね。君はあくまで干渉できないんだったね。いや、鑑賞しかしないと言うべきかな?兎に角、僕は雪君と―この場合は雪ちゃんと言っておこう―(ゆき)ちゃんとそう言う約束を交わしているのさ。

 

 

 ―興味がないって、そうつれないことを言うもんじゃないぜ。そもそも、君の方が僕に用があるんだろう?用件を言いたまえ。

 

 

 

 

 ―・・・なるほど。だから君がこちらに干渉出来るようになってきた、と。まあ、良かったじゃないかと他人事だと思って言っておくよ。

 

 

 ―そんなに簡単に言ってくれるなって?おいおい、君にとってはそんなに些細なことじゃないだろ?それに、僕だって全盛期と違って、今は絶賛封印中だ。無理を言わないでくれたまえ。

 

 

 ―無理を言ってこそだって?全く君は本当に自分勝手だねぇ。まあ、それが君らしさ、というものかな?

 

 

 ―らしいも何もない?自我なんてくだらないなんて、君も大概人外染みた考えを持っているんだね。ただ、人外というのもおかしな話だったっけ?君の話からいくと、君は生きてすら、そもそも、この世界にすら存在しない亡霊というか、現象というか、そんな今の現代ではあまり好まれていない否、荒唐無稽と思われがちな理論上は説明のつかない存在だったっけねぇ。

 

 とはいえ、現代では荒唐無稽と思われがちな理論上では説明付かない事象や現象というものは、案外世界中のどこにでもあると思わないかい?

 

 例えば人の感情も科学で全て解き明かされているわけではないし、人の心情や芸術だって完全に解明されてはいないものだ。好奇心というものが何故沸き上がるのか、地球はどうして出来たのか、生物はどうして誕生したのか。考え始めると切りがないとは思わないかい?

 

 なのにそれを解明したつもりでいる部分も結構あるのが現代の科学だ。否、解明したつもりでいるというよりは推測の域を出ないものが数多くあるといった方が正しいな。

 

 そう考えると、案外世界は分からない事、未知の事が数多くあると言えるだろう。

 

 ま、僕からしてみれば、それすらも等しく平等なんだが。

 

 

 ―おっと、君もそれには賛成だって?やはり、君はこちら側にとてつもなく近いね。

 

 同じの反対は真逆と思われがちだが、真逆も同じである事にかわりはない。そういう意味では、君と僕は真逆であると言えるだろうね。

 

 存在しない者と存在する者。

 

 持たざる者と持つ者。

 

 知らぬ者と知る者。

 

 君が陰なら僕は陽で、僕が影なら君は光と、例えるなら存在の時点で全く真逆なのが僕達と言えるだろうね。

 

 

 ―くだらないかい?まぁ、君はそういうと思ったよ。

 

 

 ―そうそう、折角君と話す機会に恵まれたのだし、丁度良いから論じてみたい事があったんだ。こんな言い方をすると君は反論しそうな気がしなくもないが、敢えて言わせてもらうけれど、というか、僕としてはこの事についていつ言おうかとやきもきしていたから言わせてもらうのだけれど―異論は認めないぜ?ー正直に答えてくれ。

 

 

 

    君は本当に、彼の闇なのかい?




         ∧ ∧
 ・・・・・・ェ(´・ω・`;)。

 どうも、前書きぶりです。

 何気に、雪もブラコンの気が強いぜ!というのを書きたかったのですがいかがだったでしょうか?

 ブラコンじゃないとだと本人は否定しそうですがね。

 雪からしてみれば、禊君は大事な家族。でもお兄ちゃんって呼ぶのはちょっと・・・。って感じなんですね。精神年齢が高いせいもあり、前世の事もあり複雑なようです。

 さて、次回はいよいよ、生徒会戦挙が始まる・・・筈です。


 それではまた次回、お会いしましょう。
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