艦これあるあるですね。
さて、物語は佳境に入ります。三人の提督と、艦娘たちの物語、結末を見届けて頂けたら幸いです。
Starring:提督
まず俺がやったことは、状況の把握だった。正直久我には言いたいことがあるが、
クーデターに関わらなかった士官たちが司令室の端末にとりつき、各部署と連絡を取り始めた。
「41cm砲ですが、艦砲そのものは無事ながら、これ以上砲撃を受けたら駆動系がもたないそうです」
だろうな。あれはあくまで非常時の備えだ。今がその非常時なんだが。
「呉を囲んでいるのは一個艦隊200隻規模です。呉が完璧な状況なら、蹴散らせる物量差ですが」
報告した士官が言葉を濁す。戦力だけあっても装備や資源がないのだ。
「工廠の復旧はどうなの?」
「設営隊と妖精が全力で取り組んでいますが、ご存じの通り頑丈に造ってありますから」
つまり、呉の艦娘は戦力化できないということだ。
「大将閣下、偵察写真の解析結果です」
綾郷さんが写真を受け取り、忌々しそうに歯を見せた。またよくないニュースらしい。写真を右手で受け取る。左手のない不便さが、さっそく頭をもたげてきた。それでも後悔や絶望の類がないのは、もっと大切なものを失わず済んだからだ。
「これ、例のお化け砲ですか?」
木葉先輩が写真をのぞき込み、なるほどねとつぶやいた。
「これ、ムカデ砲ね。複数の火薬を連続で爆発させて、砲弾を加速するの」
なるほど、聞いたことがある。連続で砲弾を加速するために、砲身の側面に、火薬を入れた
「南洋のやつらも、手を変え品を変えだな」
綾郷さんは写真を士官に返し、艦娘たちに見せるように命じ、額に手を当てた。そしてそれらの問題を解決したとしても、一番の難題が目の前にあった。
「それより、南方から来る主力艦隊だな」
そう、それが一番大きい問題だ。呉を解放しても、現有戦力では対抗できない。
「さらに悪い知らせだ。佐世保も同じようにあの巨砲にやられた。艦娘は出撃不能だ」
横須賀、舞鶴の救援艦隊はもう間に合うまい。ただでさえ南方やインド洋、欧州にまで戦力を引き抜かれているのだ。
「津田君、なにか無いの?」
いきなり木葉先輩が聞いてきた。
「無いのって何がですか?」
「一発逆転のアイデアよ」
そういう頼られ方は不本意である。しかしまあ、実は切り札が無いわけではなく。
「
「うん」
「現在ほぼ空です。艦隊の8割がこちらに向けて航行中です」
提督二人が目をむく。俺も、これが空振りに終わって欲しいと思ってたよ。
「大淀のやつに、定期連絡が途絶えたら全力出撃しろと命じてきたんです」
褒められるかと思ったが、二人は仲良く天を仰いでいた。
「それ、空振りに終わったら越権行為で懲罰ものよ?」
「そもそも、おめぇさんはこの事態を予測してたのか?」
「まさか。買い被りです。ただ、可能性は低くても
「十分神通力よ。一度覚悟を決めた人間って、こうなるのねぇ」
先輩が呆れかえったように言うので、つい言い返してしまった。
「先輩も、すぐそうなりますよ」
「残念ながら、ね」
軽口を叩き合いながら、スクリーンに日本近海の地図を呼び出す。
「連中が、呉を狙うか、佐世保を狙うか。丹賑の艦隊が全力を出しても、両方を守る戦力はない」
「なんだか、日本海海戦みたいになってきたわね。津田平八郎に改名する?」
その冗談はそれこそ冗談じゃないが、気は楽になった。
「じゃあ、せーので、三人一緒に言いましょう。敵の目標は?」
相変わらず軽いノリで先輩が言う。そして当然とでもいうように、その答えは一致していた。
「佐世保」
「佐世保だな」
「佐世保ね」
呉はすでに封鎖済み。ここで大艦隊が
一方佐世保を破壊もしくは一時占領すれば、南洋艦隊の足を止める艦隊はいない。舞鶴と横須賀の艦隊を各個撃破できれば、日本列島を空襲し放題。日本は過去の敗戦直前と同じ状況になる。
「呉には耐えてもらいましょう。綾郷提督、防戦の指揮をお願いします」
先輩は、躊躇なく綾郷さんに難題を吹っ掛けた。彼は苦笑するが、難色を示すことはなかった。
「分かったよ。ただし木葉、現場はお前が回せ」
現有戦力を考えると、それはかなりの難事だろう。それには綾郷さんの権限と、木葉先輩の指揮能力が必要だ。
「救出された呉の提督たちも、力になってくれるでしょう」
それでも快諾した先輩は、一言付け加えた。
「みんなを、頼むわ」
「ああ、任せろ」
俺は迷いなく答える。
「敵艦隊を、迎え撃つ場所だけど……」
木葉先輩の指が、ある海域を指す。今度は、それを茶化すことはしなかった。それは連合艦隊因縁の地。俺は頷き、答えた。
「敵との決戦場所は、