In Hell We Live,Lamentという曲からインスピレーションを受け、描きました。私の勝手な生き方を物語にしたものです。
ただ変わらない景色が広がっていた。
炎が轟々と燃え盛り果てなく続いていく。薄暗い世界ではその炎の明かりしか見えない。
私はそこで時の鎖に連れられ、進み続けた。足は徐々に溶け始め、ただれ、血が流れた。
生きるため盗んだ果実を咀嚼し飲み込む。
「君は君が大嫌いな自分になったね」
ふとそんな声が自分の中で響いた。
「しょうがないじゃないか、生きるためには誰かの物を奪い吸収するしかないじゃないか」
「でもそれは君が嫌っていた自己中な考えで、悪ではなかったのかい?」
「だから、しょうがないじゃないか。君は私に死ねと言うのかい?この地獄で生きるには、進むには、こうでもしないと……」
「そうやって悪の線引きをどんどん下げていくつもりなのかい?」
そう言い残しもう一人の自分の声は消えていった。
足が溶け、その場に崩れ落ちた。
もう足では進めそうにない。
きっと、進んだ先は天国でこの苦悩も苦痛も失い始めた正義もきっと報われると信じていた、そう夢を見ていた。流した涙も地に着く前に炎に晒され蒸発し、消えてしまった。
過去の言葉を思い出す
「君はきっと立派になるさ」
今の自分とその言葉が重なる。徐々に焼かれる身を見ながら。
そんな言葉をかけた彼らは真実などどうでもよかったのだろう。はなから私のことは見ていなかった。見ていたのはそんな言葉をかける自分自身だったのだろう。
炎に身を預けていると光が見えた。光を掴み、地に叩きつけるように落とした。
「こんにちは、どのようなご用件でしょうか?」
天使たちが落とした光の上で私を見詰めた。
天国行きの乗車券1枚、片道でお願いします
一人の天使が1枚の乗車券に変わり手元に落ちてきた。すぐにそれを使い天国行きの乗り物に乗り込んだ。
出発すると今まで苦しめられた景色が通り過ぎていった。
乗り物が止まり下車をすると目の前には天国が広がっていた。
今までとなんら変わりない、家のようにずっといたところと何ら変わりない。
ただ、地獄が広がっていた。
やっと気付いた。私が受けた苦しみの源泉は誰かにとっての極楽だった。誰かにとっての極楽は私にとっての地獄だった。
命は公平だが、平等ではなかった。すべてが極楽に感じられる人もいれば、私のように地獄に感じる人もいる。
そしてまた地獄を歩くため、ボロボロな足を修復するため、また盗んだ果実を飲み込んだ。
「死ねばいいじゃないか、そうすればこの拷問からも解放される」
また声が響く。
「君の痛みは誰にも共感されない。天使にすら分からなかったのだから」
「他人を傷つけられるような奴が権利を押し通せられるような世界で君は生きられない。この世界での適正がない君は夢を見続けられない」
ついにその声が目の前に現れ、指を指した。
「その身を見てみろ、もうズタズタじゃないか。生きるため誰かの慈悲を奪えば、心も壊れるぞ」
差し向けた指をゆっくりと下ろしもう一人の私は私をじっと見詰めた。
「……君が言っていることは全て正しいさ、きっと私は生きるのに向いていない」
「じゃあ……」
「私も君も分かっているのだろう?私たちはきっと死ねない、死ぬ決心ができない臆病な奴だと」
そして私は私に向かって焼けた手を差し出した。
「なら命を消費しようじゃないか。この地獄の業火の中で」
「自分を許すのさ」
「私たちが彼ら人間たちのフリをし続け、生きるためには、お互いに身を焼かれながら自らを蘇生し続けるしかない。この奈落の底で私たちが生きるにはこうするしかないのさ」
もう一人の私は少し沈黙した後、私の血だらけの手を取り、私の中へ入っていった。
そして私は身を地獄の業火へ預け、先へ進んだ
―生きるとは自分を許可すること、炎を踏み血まみれの道筋で涙を流す自分を許すこと―
引用 Mili,KIHOW―In Hell We Live,Lament