闇堕ちした親友くんと勇者くんのその後の話

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闇堕ちした親友くんと勇者くんのその後の話

 肉体が消えていく。自身があやふやになっていく。

 これで終わりなのか?

 親友である勇者に嫉妬して、闇魔法に手を出して、魔王軍に寝返って。

 その結果がこれか。

 勇者に負けて、それでも足掻こうとしていたところを魔王に喰われた。

 

 俺には相応しい末路なのかもしれない。

 さっきまで俺を狂わせていた嫉妬は消え、あるのは諦めだけ。

 結局最後まで俺は勇者に勝てなかった。

 結局あいつに認められることはなかった。

 

 そう、俺は本当はあいつに認められたかったんだ。

 あいつのライバルとして。

 でもそれも終わり。

 心残りはない。

 

 ただ一つ気になることがある。

 最後に見たあいつはなんであんなに焦った顔をしていたんだろうか。

 

◆

 

 目を覚ますとオレは知らない部屋のベッドに寝ていた。

 すぐ近くにアルがいる。

 なんでオレはここにいるんだっけ。

 起きたばかりだからか頭が上手く回らない。

 

「シオン?」

 アルが恐る恐るといった感じでこっちを伺ってくる。なにをそんなに怯てるんだろう。

「なに、アル」

 急にアルが抱きついてきた。ちょっと痛い。

「よかった……よかった……」

 泣きじゃくるアル。こいつが泣いているのを見るのは久しぶりかもしれない。

「どうしたんだよ、何か悪い夢でもみたのか?」

「……うん、すごく怖い夢」

「おーおー、怖かったなー」

 

 そういえば小さい頃にもこういう事があった。

 あのときのアルは泣き虫でよくオレに泣きついてた。

 それがこんなに大きくなって。

 ……あれ、こいつこんなに大きかったっけ?

 オレの二周りぐらい大きくね?

 ていうか、オレ、ちっさくね?

 

◆

 

 全部思い出して、なんで生きてるのか、なんで女になってんのかアルに聞いた。

 魔王に吸収されたが完全に吸収される前にこいつに助けられたらしい。ただ一体化しかけていたから助け出すとき魔王と同じ姿になってしまったようだ。

 助けられるとは思ってなかった。オレは人類を裏切った大罪人だから。

 

「そんなの僕には関係ないよ。だってシオンがいない世界なんて……」

「アル……」

 どうやら思った以上にオレは悪感情を持たれていなかったみたいだ。

「シオンは僕のこと嫌いかもしれないけど、僕は今でもシオンのこと親友だと思ってるよ」

 オレを狂わせていた嫉妬はもうない。でも――

「勇者と何もできないただの女。親友と言うにはまったく釣り合わないだろ」

「釣り合わないなんて――」

「オレが納得できないんだ!

 お前の隣に立つたびきっと惨めになる。

 これ以上オレを惨めにしないでくれ」

 

 俯いたアルの表情は見えない。きっと失望しているだろう。

「……わかった、親友やめる」

「――ッ!」

 自分で言い出したことだが結構きついな。

 でもこれでいいんだ。オレなんかと関わらずどこかで幸せに……。

 

「代わりに恋人にする」

「……んえ?」

 アルがオレに覆いかぶさってくる。

「親友で駄目なら恋人にして逃さないようにする」

 何いってんだコイツ!?

「お、落ち着け、アル!? オレは男だぞ!?」

「今は女の子だから問題ないよ。それに男でもシオンなら問題ないから」

 ヤバい、こいつ目がマジだ。

「勇者が婦女暴行しちゃだめだろ!?」

「大丈夫、王様に頼む報奨はシオンにしてもらうから」

「世界救った報奨がそれでいいのか!?

 ――ひぅっ!?」

 アルがオレの臍の下をなでる。

「シオンが僕以外考えられなくなるまでここに僕を刻みつけてあげる」

 ああ神様、これが人類を裏切ったオレへの罰ですか?

 

「お、オレたち親友だよな?」

「一緒に幸せになろうね、シオン」


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