正義の眷属たちと第四真祖   作:琳華

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 第12話 大抗争開幕

そして掃討作戦当日の昼。とある人気のない空き地。

 

「すまないな、姫柊。それに煌坂達もありがとう」

「いいえ、それに先輩の頼みですから」

「わ、私は別に貴方の頼みだからじゃなくて雪菜の頼みだから来ただけだし」

「あら、私は昨晩まで元気がない紗矢華が雪菜から古城に会えると聞いて元気になった所を見ていましたわよ」

「ら、ラ・フォリア王女!?ち、違うから、違うからね、暁古城!雪菜や私たちに迷惑かけている貴方を殴れるって思っただけだから、勘違いしないでよね。変態真祖」

「だれが、変態だ!急に罵倒してくんじゃねぇ!それになに殴ろうとしてやがる!?」

「うっ、うるさい。勝手に私達の前から居なくなった罰よ!!」

「それは俺のせいじゃないだろ!?」

 

相変わらずな紗矢華と古城のやり取りを見てりた他のメンバーは呆れながらも何処か懐かしんでいるようだった。古城も何処かホッとしているようだ。

 

聖団(ギゼラ)修女騎士(パラディネス)として、世界が違えど人々を守るのは当たり前ですわ」

「カス子も相変わらずだな」

「カス子ではありませんわ!香菅谷雫梨・カスティエラですわ!」

「こっちも相変わらだな」

「あはは、でもみんな古城くんに会えて嬉しいんだよ」

「ゆ、唯里!?」

「ちょっと羽波唯里、なにを言って!?こっち見てんじゃないわよ、このど変態鬼畜真祖、斬るわよ!!」

「なんでさっきより酷くなってんだよっ」

 

唯里の一言に皆が慌てふためき、煌坂節が再び炸裂した。

 

「それより古城。僕たちはそれぞれ何処に 行けば良いのかな?」

「ああ、一応奇襲場所はここに書いてある場所なんだが」

 

優麻の一言で本題を口にする。古城は地図を広げる。

 

「この印がついている場所が作戦で奇襲を掛ける場所ですね」

「ああ、ここが俺と他のファミリアのメンバーで奇襲する」

「成程、では私は先輩達が奇襲する場所の近くで待機します」

「姫柊先輩がそこでしたら私はこの地点の近くで待機しておきますわ」

「なら、私はここで待機しておくわ」

「ならば私は紗矢華と同じ場所に待機しておきましょう」

「じゃあ、私と志緒ちゃんは式神を使って避難している人たちの護衛と誘導をするね」

「そうだな。姫柊からの説明を聞いてきた限り手段を選ばない連中みたいだからな。2人でやった方が良いだろ」

「じゃあ、僕は上空から逃げ遅れてる人を魔法で安全な場所に送るよ」

 

とんとん拍子で話が進んでいく。こういう所を見ていると彼女達はテロや災害の対策に関してはプロなんだなと改めて感じていた。

 

「あ、それと唯里さんと志緒さん。ついでみたいでアレなんですが危険な物や怪しい物も無いかも探しておいてくれないか」

「危険な物って?」

「相手は多分爆弾みたいな物を置いていて、恐らく近くに顔を覆面やらフードで隠している奴がいる。そいつも捕らえてくれ」

「分かった。一応注意しておく」

「うん、分かったよ。古城くん」

 

追加の頼みもしたことで古城はあることに気づく。

 

「そう言えば妃崎や結瞳はこっちに来なかったんだな」

「妃崎さんと結夢ちゃんには彼方で南宮先生やニーナさん達と一緒に夏音ちゃんや凪沙ちゃんやアヴローラさんの護衛をお願いしてあります」

「そうなのか?と言うか妃崎のやつ良く素直に頼み事聞いたな」

「貴方に大きな貸しができるからだそうよ」

「そんな事だろうと思った」

「優乃や琉威も仕事の合間を見て様子を伺ってくれるそうですよ」

「そうか、あいつらも」

 

古城は改めて元の世界にいる仲間達に感謝した。その反面申し訳ないと思っている。

 

「じゃあ、皆よろしく頼むな」

「はい、任せてください」

「まぁ、私たちに任せておきなさい」

「うふふ、未来の旦那様の頼みですからね」

「だ、旦那様だなんて」

「ゆ、唯里。落ち着け」

「まぁ、ある意味僕たちは古城の花嫁だからね」

「さぁ、私たちの手でこの都市を守りましょう」

 

古城と彼の血の伴侶達が行動を起こす。これにより運命は大きく変わっていく。

 

「それじゃあ、古城はここに居てちょうだいね」

「私と団長はあそこにいるガネーシャ・ファミリアの団長とそのメンバーにお前の事を説明してくる」

「分かった」

 

そう言ってアリーゼと輝夜は象の仮面を付けた集団と団長らしき女性の元に向かって行った。

 

「古城、私も少し離れます」

「ああ、分かった。まぁ、作戦まで時間あるし気にしないで良いぜ」

 

リューもそのまま古城の元を離れていった。少し辺りを見ていると雪菜の式神と思われる鳥がこちらを見ていた。

 

 

アリーゼside

 

私と輝夜は古城の元から離れてシャクティ達ガネーシャ・ファミリアが集まっている場所に歩いていた。

 

「団長、分かっていると思うが暁に関しては」

「もう分かっているわよ。ちゃんと怪しまれないように説明するわよ」

 

そう等々古城がきちんと私たちのファミリアとして正式に活動するようアストレア様からお許しが出たから、シャクティ達ガネーシャ・ファミリアの皆にはきちんと話しておかないとね。

 

「こんばんわ、シャクティ」

「む、アリーゼ、それに輝夜か。どうかしたのか。作戦に関し何か聞きたいことがあるのか」

「ええ。こんな時になんですが私たちのファミリアの新人に関して説明しておこうと思いましてね」

「自己紹介はこの作戦が終わったらキチンとさせるわね」

「分かった。だが、こんな作戦に参加させて大丈夫なのか」

 

ああ、 そう言うことね。古城の実力に関してはどう説明しようかしら。

 

「安心しろ、実力に関しては私や団長であるアリーゼが確認している。それでは不安か?」

「…貴様ら2人の折り紙つきなら私からは特に何も言うつもりはない」

「ご理解いただきありがとうございます」

 

うん、やっぱりこう言う時に輝夜がいると頼りになるわね。私じゃうまく説明できないもの。

 

「それでは私達は戻るわね」

「ああ、今日はよろしく頼む」

 

そのまま私と輝夜は古城の元に戻ることにした。

 

「ふう、あまり追及されなくてよかったわね」

「いや、私達の顔を立ててくれたのだろう。今は身内で争っている場合ではないから」

「そうよね。はぁ、今から説明する時のことを考えると憂鬱だわ」

 

この作戦が終わった後のことを考えると憂鬱だけど…。

 

「いけないわね。こんな時に暗い考えなんて私らしくないわね」

 

作戦が終わった後のことはその時に考えれば良いのよね。

 

「それに面倒だったら古城に丸投げしちゃえ良いのよ」

「ふ、調子が戻ったようで」

 

さぁ、今日で闇派閥との戦いに終止符を打つわよ。だから…。

 

「力を貸してね、古城」

「え、あ。ああ、任せてくれ」

「あら、古城いたのね」

「おい」

 

アリーゼside end

 

そしていよいよ突入する時が来た。

各自が突入すべき拠点を見据える。古城は雪菜の式神を見る。そして鳥はそのまま飛び立って行った。

 

「突入!!」

 

『大抗争』開幕。

 

「進めええぇえ———ッ!」

 

魔法の轟音と共に扉は吹き飛び、一斉に敵陣へと突っ込んでいく。

 

「おらぁ!!」

 

古城は扱い慣れている獅子の黄金(レグレス・アウルム)の魔力を纏いながら吸血鬼として強化された身体能力を使い一気に制圧していく。

 

「ほう、雷の付与魔法(エンチャント)か。珍しいな」

「え、あ、そうなんすか」

 

戦闘中に手加減している上に急に話しかけられた為適当に答えてしまう。

 

「古城!私たち本隊と一緒に奥まで行くわよ!」

「ああ、分かった」

 

古城はそのままアリーゼ達本隊と一緒に拠点の奥へと進んでいく。そしてそこに待ち受けていたのは。

 

「よぉ、来たなぁ」

「———!!【殺帝(アラクニア)】!」

 

そこにいたのはヴァレッタ・グレーデ。闇派閥の幹部の1人であり、古城は知る由もないが炊き出しを潰した張本人である。

 

「フィンがいねえ……ちッ、外れだぜ。あの(アバズレ)、てきとーな情報寄越しやがって」

 

辿り着いたのがリュー達アストレア・ファミリアとガネーシャ・ファミリアなのが気いらないの不機嫌な表情を浮かべていた。後半、何を呟いたかは冒険者達にも古城にも聞き取れなかった。

 

「にしても、ここまで来んのが早過ぎんだろうがよ〜。電光石火どころじゃねえぞ。ったく」

「なんだ、コイツ。言ってることと表情が一致してねえ」

「ああ、暁の言う取りだぜ。汚え笑みくらい消しやがれ。……何を隠してやがる」

「さぁなぁ?てめえ等をぶち殺す為の算段じゃねえか?」

「ヴァレッタ・グレーデ!施設内は制圧した!兵士も殆ど捕えている!大人しく投降しろ!

 

そんな言葉を聞いて古城は複数の気配に気付く。

 

「気を付けろ!まだ何人か隠れていやがる!」

「あ?なんだてめえ?良く見りゃ新顔だな。チッ、まぁバレた所で問題はねえがな!——出ろぉ、てめえ等ぁ!」

「伏兵!」

「あの人、この人数に気づいたの!?」

 

古城の言う通りカーゴの陰から武器を手にした敵兵達がヴァレッタの合図で一斉に現れ、襲いかかってきた。

 

「退け!!」

「がっっ!?」

「きりがねえ」

「乱戦……!最後の抵抗というわけですか!」

「孤立すんじゃねーぞ!敵も雑魚じゃねえ!数で押されたら足もとをすくわれる!特に暁!」

「んなこと分かってる、ぜ!」

 

古城も乱戦となり眷獣の魔力を使うのをやめ、吸血鬼の身体能力だけで敵の相手をしていた。

加えて、敵の実力が先程まで制圧した者達と同じか少し上くらいの者も混ざっており数も多い。そのため一進一退の攻防を強いられていた。

 

「ははははははははっ!やるじゃねえか、【象神の杖(アンクーシャ)】!それに【紅の正花(スカーレット・ハーネル)】!」

 

ヴァレッタの相手はアリーゼとシャクティが『技』と『駆け引き』を上手く使った連携で応戦するが、それでも捕らえることができずにいた。

 

「は?嘘だろ…」

 

交戦中に古城はそこに存在しては、ここに居るべきじゃない影を見た。

 

「あ、あああああ!」」

 

甲高い雄叫びを上げながらそれはアーディに襲いかかった。

それをアーディは剣で薙防ぐ。そして襲ってきた者を見て、驚愕する。

 

「なっ……子供!?」

「ぁ、ぁぁ……」

「こんな幼い子供まで巻き込んで……!」

「あの年増!」

 

2人は怒りを顕にする。

古城から見ても襲った子供は妹である凪沙よりも下手をすると結瞳よりも幼いかもしれない。そんな子供すらこんな命を落とすかもしれないモノに巻き込んでいるのだ。

だが、古城は子供を見て違和感と嫌な予感が過ぎる。

 

(なんだ。…なんだかやばい気がする!?)

 

「ナイフを捨てて!戦っちゃダメだ!君みたいな子に武器を持たせる大人の言うことなんか、聞いちゃいけない!」

 

古城が悩んでいる中アーディが子供に近づいていくの見古城は焦る。

ある眷獣を召喚しようと考えたが、幾ら制御が最初の頃より上手くなったとはいえこんな敵味方が入り乱れている場所で使えば味方まで巻き込んでしまう。

 

『先輩』

 

古城は思い出す。そう此処には最初から自身信頼する彼女がいる事を。そして違和感の正体も。

 

「姫柊、頼む!」

「任せてください、先輩」

「え?」

「多分、胸の辺りに自爆装置がある筈だ」

「はい」

「は、アイツ何処から…いやそうじゃねえ!なんで装置のことを知ってやがる!!」

「うっ」

「え、ちょっと!?」

 

突如現れた雪菜にその場にいた全員が動きを止める。だがそんな事気にしていないかのように雪菜は子供まで近づき、気絶させる。

 

「えっと、君は?」

「自己紹介は後で。今は」

 

困惑するアーディをよそに雪菜はローブを捲り確認すると確かに何かのスイッチとそれに接続された石みたいなものがあった。

それを手際よく外し、雪菜は子供を抱える。

 

「私は一旦この子を安全な場所まで運びます」

「え、は、はい」

 

アーディにそう言うと出口まで走り去って行った。

 

「アリーゼさん、多分コイツ等全員に自爆装置が」

「ちっ、てめえらやれ!!」

「主よ……この命っ、どうか愛しき者のもとへぇぇぇぇ!!」

「!!総員、退避よ!急いで!」

 

古城が勘付いたことに気付いたヴァレッタが自爆を促す。

そして1人が自爆するとまた1人、1人と自爆が連鎖していく。

 

「暁!なんで気づいた!?んでもってさっき現れた女は誰だ!」

「気付いたのは偶々だ。んで、アイツは姫柊。俺の後輩で監視役で仲間だ」

「監視役つうのは良くわからねが味方なんだな」

「ああ」

 

逃げながらライラは古城に雪菜について問いかけて、古城は 簡潔に説明する。

 

「そんなことよりあの子いつからいたの?」

「気配など感じなかった。いくら乱戦状態とはいえ私達が気づかない訳がない」

「居たのは突入した時から、気配に関しては多分剣巫として何か呪術を使ったんだと思う」

「聞きたいことはまだまだあるが、今はこの建物からいち早く退避することだ」

 

そして建物から飛び出すのと同時に崩れ去り、目の前に広がっていたのは炎に包まれた都市の姿だった。

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