寂しそうにしていた死のゲームと話しているうちに何やら思いついたようで…
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「ハロー、ドラルク、ポール君。」
夜が更けるには少々早い頃、ロナルド吸血鬼退治事務所の窓から大柄な体躯の吸血鬼・竜の一族の真祖が侵入してきた。
暗い室内を見渡すが静まり返っていて留守なのがわかった。
「ビビッ!」
帽子掛け兼防犯装置のメビヤツが反応したためゆっくりと近付くと声をかける。
「ハロー、メビヤツ。調子は良さそうだね。」
「ビッ!!」
しっかり製作者である相手を認識したためビームを撃つことはなく、元気だと返事をするに留める。
「ぐぶぶ、ドラルクの祖父よ。生憎二人とも留守にしておるぞ。」
「ハロー、金魚くん。どうやらそのようだね。」
同居してる吸血鬼デメキンにも挨拶しつつ、充電器に繋がれている死のゲームに手を伸ばし起動した。
「ハロー、ゲーム機くん。」
「あ、ドラルク師匠のお祖父様!こんばんわ。お元気そうですね。」
ドラルクの祖父で強大な気配を纏わせる御真祖だが臆することなくそのまま会話していく。
「最近の師匠なのですが、近々あるヴァリカー公式大会に出るとかで特訓中なのです。だけど残念ながら別の機器でやってて、僕はろくに相手にしてもらえないんですよねー…そりゃあ特訓初日にちょっと難易度を弄って注意されちゃいましたけど〜。」
そうブツブツ言う死のゲームに以前ドラウスがドラルクとヴァリカーを一晩中やってきたと話していた事を御真祖は思い出す。
「今、ヴァリカーって出来る?やってみたい。」
「あ、ハイもちろんです!」
そう言い出した御真祖に嬉々としてヴァリカーを解説や助言付きでプレイさせてあげる死のゲーム。
「これ沢山のキャラが出てるってことは大勢でやるゲームなんだよね。」
「そうですよ。オンラインだと12人のプレイヤーを集めてそれぞれのキャラでレースするんです。」
前方で破裂した爆弾に巻き込まれ他のキャラが吹き飛んで行く。
「こういうゲームだとしれっとレースに戻れるのがいいですよね~もし師匠がいたら死んじゃうでしょうし、ロナルドさんも悲鳴あげちゃいますし。」
「それ、面白そうで良いね。」
無事に最終レースでゴールし、楽しそうにプレイを終えた御真祖が死のゲームにある提案をしてきた。
「ワハハハ、我は【吸血鬼ゲームコス大好き】!さぁ、お前らもゲームキャラnブェー!!」
今宵も大騒ぎの街中でお馴染みの退治人やら吸血鬼対策課の面々が揃っていたところで、騒ぎの原因であると見られる吸血鬼が名乗りを挙げた所をロナルドが拳で退治完了した。
「ふー、やれやれ。お前があちこち逃げ回るせいで被害が凄いことになってんじゃねぇか。」
「いいじゃねーか、別に誰も怪我してるわけじゃなし。アンタもよく似合ってるぜ、ゴリラくん」
ハッとその吸血鬼から目を移すとただでさえ個性的な衣装を身に纏っている仲間がヌン天堂のキャラに変身していた。各々バンダナなりアームなり象徴的なアイテムが部分的に残ってるから誰かは分かる。そっと自分を見ると帽子はそのままで以前も変身した覚えがある毛むくじゃらになっていた。
「俺の能力『ゲームキャラのコスプレをさせる』能力がギリギリで発動したようだな!せっかくだからコスプレ楽しmぐぁっ、すみません勘弁して下さい!数時間で勝手に解けますからー!ぐはっ!」
偉そうにしていたハンニン吸血鬼だったがお姫様コスのターチャンによるトンファー攻撃で敢え無く卒倒し捕縛された。
解除の事情も判明しVRC到着まで現場待機となった。
「それにしても今回の変身はまだマシなほうだったな!」
「オレ、緑の恐竜姿なんだけど…」
「フン、普段のカッコより遥かにマシアル!そのほうが人気でるないか?」
((ターチャン、辛辣…))
そういう風に気が緩んだ現場に突如として災厄(御真祖様)が到来した。
「ハローエブリワン。お仕事終わったようだね?なら皆で遊ぼう!」
「気分を変えたいからと仰ってましたがここでの特訓はいかがですか?先生!」
「うむ、とりあえず全コースを2周したがやはりプレイ環境の大切さを再認識したよ。」
この日、ドラルクは愛弟子である吸血鬼ゲームセンター荒らしが手配してくれたバイト先であるゲームセンターの従業員専用控室の1つを借り、来たるゲーム大会に向けて特訓をしていた。
「勿論ドラドラキャッスルⅡで行うレビューやら動画生配信も良いけど、如何せん腹を空かしたゴリラやら突然の来客対応で邪魔されるからな!ここみたいにそんな心配がない場所だと練習が捗るというものだよ。大会当日もここでお願いしようかな。」
「えぇ、構いませんよ。抑えておきます!」
ある程度練習をしたため休憩がてらジョンと少し外の空気でも吸おうかと立ち上がったその時だった。
「た、大変です!突然街中の人達がゲームキャラの姿に!!」
そうゲームセンターに駆け込んできたのは某RPGに出てくる黄色い鳥の姿、しかし何故か眼鏡をかけていた。
その姿を見て享楽主義のドラルクが動かないわけはなく
「どうやら面白そうなことが起きているな!行くぞジョン、街中を見に行かねば!」
そうウキウキとゲームセンターを飛び出した。
案の定、アチラコチラでRPGやら格闘ゲームやらのキャラコスプレをした人々がいて戸惑ったり、逆に写真を撮ったりしていた。
「わー、本当に色んなキャラに変身してる〜。この騒ぎだ、ロナルド君たちもさぞ活躍(変身)してることだろうな、ジョン!どこにいるんだろ。」
ワクワクしながら走っているとピロリンと【繁華街入口】というRINEを着信した。首を傾げながらそれに従い向かうと、そこで待ち受けていたのはロナルドたちではなく竜の一族の真祖である祖父だった。
「お爺様!?何故ここに?それよりここにロナルド君たちがいませんでしたか?」
「ハロー、ドラルク。待ってたよ。それよりもゲームしない?ゲーム機持ってるんでしょ?ちょっと起動してみて?」
ドラルクからの質問をスルーし彼のマントの腰辺りハンマースペースを指し示した。
「相変わらずこの人、話を聞いてくれないよぉ。えーと起動起動っと…ってえぇ!?」
「このゲーム機はこの『死のゲーム』が乗っ取らせて頂きました~そして久々にこの装置使いまーす!」
先程迄普通のゲーム機だった筈の画面に死のゲームが表示され、それと同時にガシャンと突如として出現した手錠をはめてきた。
「し、死のゲーム!?何故キミがここに?どういうことですか?お祖父様!」
「ドラルクと遊びたいなって事務所行ったらこの子がなんか寂しそうだったから。どうせなら一緒に遊びたいなって思って。」
その言葉が紡がれてる瞬く間にゲームソフトが立ち上がりオープニング映像が流れた。
「ヴァリカー、ですか?構いませんが…あの、本当に今ですか?今は…」
「まぁまぁ師匠!進んでみてくださいよ。」
やけにグイグイ来る死のゲームに眉をひそめつつ、ポチッと押すとー…
突然の閃光に目が眩み、若干の揺れを感じた後恐る恐るロナルドたちが目を開けると、そこは歓声で満ち溢れていた会場だった。
「どこだ、ここ?!新手の吸血鬼の仕業か!?」
「なんだ?何が起こったんだ、さっきの声は一体…」
「待て、なんかこの会場見覚えあるぞ…たしかあのゲームの、レース会場が…」
警戒心を露わにして見渡していると先程と同じ声が上空より響いてきた。
「正解。でも少し待っててね。」
その途端再び空気が揺らめき、次の瞬間には皆がレースカーの運転席に座らされた状態にさせられていた。
「んおっ??勝手に乗ってる!!」
「おいおい、これってまさか?」
ざわめきが拡がるなか、さらなる声が聞こえてきた。
「お爺様どういうことですか?何故ロナルド君たちがこのキャラとして中に居るのですか?」
「クソ砂ァ、テメーの仕業なのか、あぁ?」
表情などは見えないもののそこにいるゲーマー吸血鬼ドラルクに対しロナルドが思わず吼える。するとなんと中の声も聞こえるらしく反論してきた。
「違わい、5歳児ゴリラ!私は街中の人がゲームキャラに変身して面白い事になってるから、きっと渦中で変身してるであろう君達を冷やかs、もとい手伝いに来たのだよ。」
「今冷やかすって言いかけなかったかお前」
「てかお爺さまって…まさかまた御真祖あのジイサマが来てるのか?」
「それよりも犯人の吸血鬼、逃げてないだろうな?!VRCには引き取りに来るよう連絡はしてあるがどうすんだよ!」
「てか何だよここは?!」
一斉にワーワーと声を上げていると、会場にある大画面スクリーンにぱっと外の映像が映し出された。そこにはまず御真祖がどアップで出た為、一瞬にしてその場は静まり返る。
「見えるかな?改めてハローエブリワン。えー、まず彼ならぐるぐる巻きのまま気絶してるから大丈夫だよ。誰か引き取りに来るまで逃げないように見といてあげるから心配しなくていいよ。」
少し画面を離したのか件の吸血鬼が拘束状態で気を失ってるのが見えた。
「で、そこについてなんだけど…」
御真祖が説明しかけたところで、画面には邪悪そうな顔が出てきた。
「俺様は【吸血鬼死のゲーム】だぁ〜。普段はドラルク師匠のゲームデータとして存在していますが、今日は師匠のお祖父様の御要望により皆さんをこの『ヴァリカー8』の世界へご招待させて頂きました〜!」
「「「な、なにぃ〜〜!!」」」
「あれ、でもキミ、たしか“人の精神”を飛ばせるんじゃなかったか?若造たちって今肉体ごと入ってないか?」
以前クソ乙女ゲーに飛ばされた経験があるドラルクが疑問を呈すと、死のゲームはエヘン!と自慢げに胸を張った(雰囲気で)。
「実はそこ、今回だけの約束でお祖父様にアレコレ協力してもらって実現した世界なのですよ、すごいでしょう!」
そこでブイッとピースサインをした御真祖が映し出された。
「ヴァリカー楽しいから皆で遊びたいなって。ドラルクももうすぐあるヴァリカーの大会に出るから最近よくやってるんでしょ?」
「え、えぇ、そうですけど。まさか、死のゲーム。最近私が特訓にキミを関わらせないようにしたから拗ねてたのか?それで飛び込んできたお祖父様の提案というチャンスに乗ったんじゃなかろうな?」
「フンだ、知りませーん。それにロナルドさんも前に言ってくれたじゃないですか、たまにはゲームの世界に連れてってくれって!ヴァリカー、楽しそうにやってるじゃないですか!」
突然話題を振られ、ロナルドは皆から視線を集め思わず動揺した。
「ま、まぁ、あの時はそういう事も言ったけどよ…ってやっぱりテメーのせいじゃねえかクソ砂ぁ!!あとで覚えてろよ!」
「まぁまぁそんな事より、騒ぎの犯人が伸されてるのに君らがその姿のままって事は、時間経過で解除されるタイプなのかね?」
いつの間にか大画面スクリーンにはニヤニヤと面白がる享楽的吸血鬼が映し出されている。
「あぁ、そんな風にターチャンにとどめを刺されながら言っていたな。」
「そのシスター帽子はマリアさんですかね?それでお隣の赤毛でアホ毛があるお姫様は「ちん!」あぁヒナイチくんか。しかしまぁ、揃いも揃ってまるでこのヴァリオシリーズゲームの為の恰好じゃないか。まぁ若造に至っては帽子さえ無ければ野生のゴリラだし。残ってて良かったでちゅね〜」
「ウホ!!!」「ドラミングはやめとけロナルド」
孫と友人とのじゃれ合いを見ていた御真祖だったが、焦れてきたのか話しかけてきた。
「ドラルク、大会と同じ形式で遊ぼうか。それで最後にどちらがいい順位か勝負しよ?」
“勝負”の言葉にぴくりと反応したドラルクは訝しげに御真祖を見やる。
「本気で言ってます?私は数多のゲームをやり尽くした男ですよ?こう言っては申し訳ないですがとても御真祖様に負けるとは思いませんが…」
「フッフッフッ、師匠、さっき言いましたよね“アレコレ協力してもらった”と。さっき【大会と同じ形式で】とは言いましたが、コース自体にお爺さまと共に罠等のギミックを追加させて頂きました!!」
「!!!」
ロナルドの脳裏には初めて参加した竜の一族の新年会で行われた双六が浮かび、思わず息を飲む。他の面々も【あの御真祖による罠】を想像し戦々恐々とする。
「そして最大の障害ハンデはここにいる参加者の皆さんですよ!CPUでもなくオンラインの見知らぬ方々でもない、師匠をよおく知る皆さん!!流石に出現アイテム以外のご自分の能力やら武器は使えませんが、通話出来るようにしてますので口撃が可能です!勿論車での体当たりもOKです。」
「なるほど、ドラルクは肉体的にも精神的にもザコだから有効な手だ!いくらなんでも砂になれば操作は不可能だし、死なない迄も気を逸らせれば隙がうまれるな!」
「ヴァーー!?なんて悪辣な!!」
説明だけで死んでしまったらしく砂山が映し出される。効果はバツグンのようだ。
「待て待て!!まだ俺たちがやるメリットがねえじゃねーの?」
「そうですよ、豪華賞品とかください!」
野球拳大好きと武々夫の訴えにスクリーンの向こうで御真祖が応える。
「いいよー、全員に参加賞と、上位5番目位までは賞品を用意しようか。後日ポール君の事務所へ届けるから各自取りに行ってね。」
「「「いぇーい!!」」」
御真祖からの提案に湧き上がる参加者はやる気が出てきたようだ。
「おい愚兄!それよりも一緒にいたはずの透とあっちゃんの姿が見えないのだが?!」
「そういえば半田、サギョウはどうした?」
その声が届いたのかぱっと画面が観客席へと切り替わった。
そこには下半身透明、あっちゃん、サギョウがいて、何やら談笑しながら見渡していた。
そうしてるうちにスクリーンにデカデカ映った自分たちを見てちょっとびっくりはしつつも手を振っていた。
観客席をよく見ると、シンヨコの住民がチラホラ混じっている。巻き込まれたもののエントリーはされなかった人は観客となっているようだった。
「あの、危険とかは、ありませんか?」
「ゲームだとキャラは怪我とかしない様にはなってるみたいだけど、怖いようだからとりあえずバリアは張ってあげるね。」
サテツの質問に御真祖がひとつ頷くと車全体にうっすら膜が張られた。
「そういえば我々はこのメンバーから操作するキャラを選ぶのですかな?」
ドラルクがそう尋ねると、突如空いていたスペースに黒い靄が発生したかと思えばドラルクと御真祖それぞれが乗った状態で出現した。
「師匠たちはそこの吸血鬼による被害は受けてませんからそれぞれご自身のキャラで戦ってもらいますね。あぁこれも師匠そのままですから砂にはなりますが、ちゃんと復活できますよ。」
「何かキャラに変身したいならちょっと能力の真似してみるけどどうする、ドラルク?」
「いえ、このままで結構です。」
『簡単にそう言ってしまえるなんて流石御このじいさんなんでも有りだな』、参加者の面々はそう心から思った。
「さて、そろそろルール説明に行きましょう!
今回は個人戦で全部で24レース行います。初心者もいるかもしれないので念の為伝えておきますが、このゲームは各コースを3周すればゴールとなります。どのコースもそこまで長くないのであっという間に終わりますよ。そして1レース毎にゴールした順位に応じてポイントが付与され、全レース終了後総合ポイントが最も多い人が優勝となります。」
死のゲームがそう説明を始めると車のフロントガラス右下に“アイテム説明”“操作方法”が表示された。
「レース開始までマニュアルを表示させておきますね。」
「おぅ助かるぜ!あまり普段やらねーからな。」
色々と親切設計すぎる死のゲームに何か言いたげなドラルクだったが一瞥するに留めた。
「本当はマシンパーツ等カスタマイズしたいかもしれませんけど、不慣れな人もいて不平等ですからね。全てスタンダード仕様で設定させて頂きますね。」
「そこはまぁ、仕方あるまい。皆が右往左往しながら決めていてはそれだけで疲れて気持ちが萎えてしまいそうだし何より余計な時間がかかってしまう。」
本当は完璧なカスタマイズをして挑みたいドラルクだったが、皆の気分が高揚している今を逃してしまう訳にはいかない。
「な、なぁドラルク、私やっぱり街中が気になるのだが…」
ヒナイチがそう言いかけたとき、駆けてくる足音共に別の声が飛び込んできた。
「お、ドラルク!半田達から捕縛完了以降の連絡が来てないんじゃが、おみゃーさん何か…って竜の一族の!?」
「ハロー、隊長さん。件の夜の子ならそこで寝てるよ。もうすぐ引き取りに来るみたいだよ。」
「どうやら能力は時間経過すれば解除されるタイプのようですよ。それよりも実は、かくかくしかじかでして…」
駆けつけてきた吸対課の隊長であるヒヨシは御真祖を警戒しながら説明を受けると頭を抱えた。
「隊長さんを困らせてんじゃねーかくそ砂!」
そうロナルドが怒鳴るもドラルクはスルーを決め込んでいるとヒヨシの携帯が鳴りだした。
「誰じゃ一体、こんな時に…!俺じゃ!あぁ、犯人は捕まっとる。VRCも間もなく到着するからそこは問題ない。ただ別の厄介ごとが起こっておって実は…」
そう暫く背を向けて話していたヒヨシだったが、やがて肩を落とし若干疲れた顔でトボトボと戻ってきた。
「許可がおりた。ただずっとは困るから、2、3時間で解放してもらえると助かるのぅ。」
「はぁ!?た、隊長、本当なのかそれ!」
まさかの許可に驚愕する面々。かくいうドラルクも中止もしくはプレイヤー変更・減少を覚悟していたのだが嬉しい誤算だ。
「ちなみに許可は誰からです?」
ヒヨシの後ろからハンターギルドのマスターも合流してきた。電話の内容から事情を把握したらしい。
「おぅゴウセツ。あー、カズサ本部長殿からOKが出た。姿が変わっただけで怪我等の被害報告ナシ。街中の混乱は残ってる吸対とギルドのメンバーで協力してあたればすぐ収まる、と。」
「〜〜〜まったくあの人は!…ハァ、仕方ありませんね。ウチからも許可は出します…が次からは事前に伝えといて下さいね?」
「ん。わかった。」
まさかのハンターギルドからも許可を貰え、ゲーム内の参加者は一層湧きたった。
とその時ロナルド達の頭上へ一塊の雲がびゅーんと滑り込んで来た。
「さぁ!突如として始まりました、この緊急特別企画!!竜の一族の現当主である御真祖様と、その直系の孫でありヌーチューブ配信やゲームコラムを手掛ける程の天才ゲーマー吸血鬼ドラルク、そしてその彼を蹴落とす為に集められたと言わんばかりのシンヨコ住民たち!総名12名によるヴァリカー8大会 in シンヨコ、間もなく開始でございます!勝利の女神はいったい誰に微笑むのでしょうか?実況解説は私、週刊バンパイアハンター記者のカメ谷、そしてアシスタントはイデアの丸ことアルマジロのジョン君「ヌー!!」でお送りいたしまーす!!!」
「カ、カメ谷ー??!」
「ジョン!?ゲーム内の私の傍にいないと思ったら?!」
白い雲に乗った状態でヘッドセットを付け眼鏡をキランと輝かせた亀キャラのカメ谷が、かたわらのジョンと共に高らかに開会を宣言した。
「いやー、最初は録画機材を持ち込めなかったのがスゲー悔しくて。せめて写真だけでも撮りまくってなんとか記事に出来ないかと思って、カメラでパシャパシャやってたんだよ。そしたらさっき死のゲームさんから『あとで鑑賞会出来るように録画するつもりだったんですよ。せっかくですからこのレース大会、実況動画にして配信しませんか?』とオファー貰ってさ~。あ、勿論記事にもさせて頂きますよ!イェアァァァ〜!」
そう語るカメ谷は実にイキイキと楽しそうだ。ジャーナリスト魂がメラメラと燃え上がるようで雲を見事に乗りこなし彼方此方見て回っていた。
「当たり前じゃないですかぁ師匠。ジョンさんが一緒にいたら師匠が死んで復活する間のハンドル操作を任せるとか出来ちゃうじゃないですか。ジョンさんだって中々の腕前でなんですよ?そういうズルは良くないですよねお祖父様。」
「うん、ズルは良くない。」
「ヌヌヌヌヌヌ、ヌンヌッヌ!」
「ンァーーーー、ジョーーン!!」
叫びながら砂になったドラルクにここぞと言わんばかりにロナルドは煽り文句を浴びせかける。
「ハッ、確かにジョンが隣にいればたとえどんな雑魚だろうと好成績を叩き出せるだろうよ。せいぜい足掻けやクソザコゲーマー吸血鬼さんよぉ、テメーに紅甲羅を連続でお見舞いやらぁ!」
「ほぅ、言ったな青二才ゴリラ!このウルトラ級の天才ゲーマードラルク様の華麗なプレイングテクを目の当たりにしてむせび泣きながら実力の差を実感するがいい!!」
「仲いいな、お前ら…」
「さぁ、各選手の準備が整ったようです!ここで簡単にですが選手の紹介をいたしましょう!
まずこの大会発起人である竜の一族の御真祖様!!そしてその彼に勝負を挑まれる事になった吸血鬼ドラルク!えーこれ以降の面々は変身はしておりますが彼らはれっきとしたシンヨコ市民です。まず吸血鬼枠として吸血鬼野球拳大好き、吸血鬼マイクロビキニ、続きまして退治人枠として退治人ロナルド、退治人サテツ、退治人マリア、退治人ターチャン、退治人ショット、更に吸血鬼対策課の半田隊員、ヒナイチ隊員、最後はなんとただ1人の一般人、武々夫氏。この合計12名で競っていただきます!」
スクリーンの大画面に順に映し出されると各々手を振ったり恥ずかしそうに顔を背けたりしていた。
そんな中、祖父と孫が勝負後の話をしていた。
「ドラルクが勝ったらさっき言ってた景品とは別に何か欲しいゲームでも買ってあげるね。」
「本当ですか!…ではもし万が一私が負けたら?」
「んー、その時は世界一周旅行にでも行こうか。」
負けたら世界一周旅行(ミニゴジラとの過酷な旅)が待っている、その事実にドラルクは戦慄を覚えた。
「さてそろそろ始めようかドラルク」
「分かりました、負けませんよお祖父様。」
ファンファーレが鳴り響き、大歓声が湧き起こる。
『さぁ、ヴァリカー大会Inシンヨコ、いよいよスタートです!!』
ゲームの結末は皆さんのご想像にお任せします!