カタコンベは不思議のダンジョン


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第1話

 

 

ランタンの灯りしかない暗い廊下を歩く。

右を向けば棺が朽ちた跡。左を向けば額に穴の空いた銃を抱える髑髏(しゃれこうべ)

 

見れば悲鳴を上げたくなるような光景が広がるこの場所は、トリニティ総合学園の地下にあるカタコンベ。一定の周期で様相が変化する不思議なダンジョンである。

 

そんな場所に何で私がいるかと聞かれれば、宝探しだろうか。

私の所属する組織、シスターフッドというのだが、尊敬するその首長から「かつてのユスティナ聖徒会の遺産を探してきてほしい」との命を受けこうして一人彷徨っているというわけだ。

 

最初は一人ではなかった。十人はいたと思う。

でも職場がこんななので二日と経たず同僚はこなくなった。

唯一適性のあった私だけを残して皆ギブアップしよった。

 

あいつら呪ってやろうかとシスターらしからぬことを思っていれば、ポケットに入れた携帯端末からタイマーが鳴る。そろそろ引き返さないといけない時間だ。

 

さっきも言ったがここは時間経過で中身が変わる不思議のダンジョン。時間内に帰らないと出口がなくなってしまう。

でもなぁと私は未だに軽いバッグを見ながら思う。

 

今日の成果はゼロなのだ。

 

いつもなら潜ればガラクタくらいは拾えているけど、ここ四日はそれすらない。連日ボウズはさすがに避けたい私。

あの仏さんから銃もらって帰るか?供養って言えばなんとかなるだろ、なんて思いながら引き返そうとした。

 

その時。

 

まだ見ぬ廊下の先からガシャリガシャリと音が響く。

あの音は間違いない、オートマタだ。

 

ニヤリ、と自分の口角が上がるのを感じながらバッグを下ろし、声に出して確認作業に入る。

大昔のオートマタの頭部と胸部には希少なパーツが組み込まれているから高く売れるのだ。

 

 

「弾倉確認、よし。セーフティ解除、よし。標的目の前、よし。」

 

 

取り出したのは上下二連式散弾銃─ソードオフと呼んでいるそれの弾丸を確認し安全装置を外した。

 

そうしている内に音の主が姿を現す。

手足の外装が所々朽ち配線がむき出しになっている、どうやって動いているのか分からないくらいボロボロになった人形。それが何やら長物を背負っている。あれは──

 

 

「お宝みーつけた♡」

 

 

あれは、ユスティナの遺産だ。

長物の正体に気づいた私は一気に距離を詰め、引き金を引いた。

 

 

 

 

「──で、こうなってしまったと。」

 

 

はい、私です。

今、首長である歌住サクラコさまから有り難いお言葉を頂いている最中です。

 

あの後撃破したはいいのだが、勢い余って撃ちすぎてしまい回収予定だった『ユスティナの狙撃銃』、そのストックに弾が掠り、経年劣化もあってか真っ二つになってしまったのだ。

その狙撃銃は何処かって?いまサクラコさまがお手にお持ちだ。

 

私はと言うと滝のように汗を流しながら床に手をつき頭を下げ、いわゆる土下座をしている。

 

 

「処分は如何様にも・・・・・・。」

 

 

震える声で私は言う。

 

ここ数日の戦果数、そして本日の不始末。

調子に乗ってテンション上げるからこうなるのだ。

 

絶対怒ってる。最悪の場合、失望なさっているだろう。

簡単なお使いすらできない駒なんて、何の役に立つのだろうか。

 

怒られるのはいい、その怒りが私に向いているから。

殴られるのは構わない、それで気が済むのなら。

 

でも、失望されるのは嫌だ。

その人にとって私は無価値なモノになってしまうから。

 

 

カツンカツンとこちらに足音が近づく。

 

 

「顔を上げてください。」

 

 

そっとサクラコさまの手が私の肩に触れた。

ビクリと体が震える。

次は何を言われるだろうか。

 

ネガティブな想像が頭を巡る。

だがサクラコさまの言葉は優しいものだった。

 

 

「何を言っているのですか。この程度の破損ならどうとでもなります。それより貴女が無事に戻ってきてくれて私は嬉しいですよ?」

 

 

普段と変わらぬ口調に私は思わず顔を上げた。

 

不思議そうにこちらを見るサクラコさま。

その顔には怒りも失望もなかった。

 

怒って、いないのですか。

失望していないのですか。

 

 

「何故怒る必要があるのでしょう。貴女はよくやってくれています。その御蔭で、こうしてユスティナ聖徒会の遺産があるのではないですか。」

 

 

もちろん、失望もしていませんよ?と微笑むサクラコさま。

 

何と器の広いことか。

叱るどころか心配してくださるとは。私の選択は間違っていなかった。いい方に巡り会えた。セイアさまに誘われていたティーパーティーと迷っていたが所属先をシスターフッドにしてよか「ですが」え?。

 

 

がしりと強く肩を掴まれる。

痛くはないがその力はまるで逃さないと言わんばかりである。

あのぉ、サクラコさま、これは一体?

 

 

「二日に一度と約束したにも関わらず連日カタコンベに入った悪い子には少ぉしお話があります。」

 

 

「あ、あはは。あの、お手柔らかに。」

 

 

 

 

 

その日、長椅子の上で正座させられお説教を受けているシスターの姿が目撃されたという。

 

 

 

 

 





仮称─私ちゃん 名称未定
尊敬する相手はサクラコとセイア。
怒られるのも殴られるのも構わないが失望されるのは嫌。
あの後二時間くらい正座させられ足が大変なことになった。


サクラコさま
初めてわっぴーと挨拶したあの日、ノータイムで返してくれたのが私ちゃんだけだったのでそれ以来とても可愛がっている。それはそれとして心配させたのは許さない。


お説教を目撃したシスター
私ちゃんがお説教されてるのはよくあることなので気にせず掃除してた。


続かない

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