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第1話

 近所にワンコインショップができた。店員の募集があったので応募してみたのだが、どうにもこのバイトの様子がおかしい。時給はべらぼうに高いしなんかよくわかんないものが置いてあったりするしお客が来ない。ここだけ聞けばいるだけで高時給な優良怪バイトだろう。少なくとも今日まではそうだった。

 

 

 あまりにも暇で床が常軌を逸した美しさになりかけた頃、それが現れた。

 人間に近いものの、タコのようでヒゲに触手。手には鉤爪、背中には蝙蝠の羽。身長は……2mぐらい。だけどこれってあれだ。絶対あれだ。1d10/1d100のSANチェックのやつだ。

 

カブトムシ用のゼリーを探しにきたんですけど……

 

「あっすみません人語でお願いします」

 

「Hello.guten Morgen……?你好.あ、あ、こんにちわ」

 

「何かお探しですか?」

 

「カブトムシ用の昆虫ゼリーを探しにきたのですが……」

 

「あ、ああ。でしたら通路三本向こうの夏特集コーナーに置いてあるかと」

 

「なるほどどうりで……ありがとうございます」

 

 1d100な生物達でも夏にはカブトムシを飼うんだなぁ。アホか。とりあえず店長には苦情を入れておかないといけない。そりゃあ誰もやりたがらないバイトだし様子がおかしい物も置いてあるよなぁ。

 というか、1d10/1d100生物を直視したのになんで発狂してないんだろうか。これが俗に言う『1クリを引いた』ってやつか。生憎と俺は特にクトゥルフ神話TRPGへの造詣が深いわけではないからな。とりあえず今ある命に感謝しながらレジに入っておこう。ワンオペ業務なのを忘れかけていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「サラ○ラップが1点、昆虫ゼリーが2点、じゃが○こが3点、ムーンビーストの物干し竿が一点、クトゥグアの炎のライターが一点で合計11462深淵ドルになります」

 

「これでお願いします」

 

「12000深淵ドルですね。では538深淵ドのお返しになります」

 

 なんか自分の知らない言語がスラスラ出てきて気持ち悪い。日本語でおk。というか日本にあるんだし日本円でいいじゃん通貨。もうどうにでもなれの精神で接客し切ったけど次のお客が来たらぼちぼち発狂しそうな気がする。これは別にお客の容姿がどうとかそう言う話ではなくてただただひたすらに頭がおかしくなりそうだ。

 なんなんだよ神話生物が昆虫ゼリーって。よくわかんない槍とか買って行ったし。なんであんなものがワンコインショップに置いてあるんだよおかしいだろホームセンターの管轄じゃん。なんならお会計はワンコインとは程遠い値段だったし。

 

 まぁもうなんでもいいや。とりあえず辞表を書いてこよう。


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