KV_another_Archive 作:器具類プロジェクト
何よりもまずはKVの二次が増える(一次でも良いですよ?)事が望みです
読者の方から一人でもKVの話を考えてくれる方が増えて下さるとモチベが
とても上がります。本当に。絵でも文字でも。
前書きが長くなったので初投稿です。
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黒見さんを見失った後、私達はその足で一旦本来の目的地であった
アビドス高等学校の校舎へと向かった。
どうやら先生は小鳥遊委員長に連絡を取っていた様で
部室にお邪魔すると机に寝そべりながらもこちらを待っていた様で
伸びながら挨拶をこちらに返してくれた。
「おはようございます、小鳥遊委員長。」
「うへぇ~おはよう、元気だね~こはねちゃん。
おじさんお昼になっても、まだ眠いよぉ~。」
『おはよう、ホシノ。』
『こんにちはの方が良かったかな?』
小気味の良い音を立てながら、伸び終えるとまたゆるーい恰好へと戻って
自分も席へ座りながら、私達に椅子に座る様に促してくる。
昨日出したパイプ椅子をそのまま残して置いてくれたようで
座ると軋み音が立つがそれでも据わり心地は悪くないもので
追跡劇を繰り広げて疲れた脚の疲労が抜けていくような気分になる。
これはしばらく立ち上がりたくないパターンだなと思いつつも会話に意識を向ける。
「いきなりスマホでセリカちゃんの居そうな場所って
聞かれた時には何事かと思ったけど」
「そっか~バイト先かぁ……」
『ホシノなら何か知ってるかもと思ってね。』
『何処か心当たりはある?』
「う~~ん、そうだねぇ…。」
「ねぇ2人とも、お腹減ってない?」
「お腹ですか?」
▷『お昼時だし走ったから、ペコペコかも……。』
「今みんなに連絡したからさ、折角だし全員でセリカちゃんの活躍見に行かない?」
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そんな経緯の経て、皆で移動した果てに辿り着いたのがこの柴関ラーメンであった。
どうやら中々人気があるようで、昼前という事もあって店内は盛況である。
店内には提灯が下がっており、清掃も隅々まで行き届いていた。
柴犬と思わしき大将に促されて、私達を席に案内する事になった黒見さんは
明らかに顔が紅潮しており、今にも憤死しそうな勢いである。
「はい、先生はこちらへ!私の隣、空いてます!」
「……ん、私の隣も空いてる。」
シロコと十六夜さんに同時に隣を勧められた先生は数瞬の逡巡の後に
どうやらシロコの隣に座る事にしたらしく、私は十六夜さんの隣に腰を下ろした。
「振られちゃいましたね。でもこの機会に、ことねちゃんとも~っと仲良くなっちゃいますよ☆」
「えーと、はい、頑張り?ますね。」
私が緊張して何処か頓珍漢な返事をしていると向かい側では
シロコが先生に殆ど密着する勢いで、先生に近づいており
その様子をお盆とメニュー表を持ってきた黒見さんにツッコミを入れられている。
「ふむ……。」
「狭すぎ!シロコ先輩、そんなにくっついてたら先生が窮屈でしょ!もっとこっちに寄って!」
「いや、私は平気。ね、先生?」
「何でそこで遠慮するの!?空いてる席たくさんあるじゃん!ちゃんと座ってよ!」
「わ、分かった……。」
メニューを受け取ると、奥空さんはこちらにも見やすい様に広げてくれる。
メニューを眺めると醤油、味噌、塩といった基本的なラーメンの他に
特製麺なるメニューがあり、名前からはどんな違いであるかは分からないが
多少値段が高い事から、ゴージャスな事は予想できる。
初めての店なのだからやっぱり醤油だろうか?などと考えていると
黒見さんに対する先輩方の絡みが始まってしまった。南無三。
「セリカちゃん。バイトのユニフォーム、とってもカワイイです☆」
「いやぁー、セリカちゃんってそっち系か。ユニフォームでバイト決めちゃうタイプ?」
「ち、ち、ち、違うって!関係ないし!
こ、ここは行きつけのお店だったし……。」
顔はどんどん茹で上がったかの様に赤くなっていく、制服を見ると確かにシンプルながらに
主張が激しすぎないリボンや腰紐も差し色が入っており、お洒落な感じがする。
大将のデザインだろうか?この前訪れたカフェの制服もお洒落だったので
飲食店を経営すると、センスが良くなるのかも知れない。
「ユニフォーム姿のセリカちゃん、写真撮ってけば一儲けできそうだねー。
どう?一枚買わない、先生?」
「変な副業はやめてください、先輩……。」
「バイトはいつから始めたの?」
「い、一週間ぐらい前から……。」
「そうだったんですね☆時々姿を消していたのは、バイトだったということですか!」
「も、もういいでしょ!ご注文はっ!?」
質問攻めにあった黒見さんは流れを振り切る様に、強引に質問を終わらせようとする。
実際問題、そろそろ注文を決めておかなければ、店側にも迷惑になるだろう。
あ、この特製醬油ラーメンというのも美味しそうだ。お腹も空いているし、何かトッピングも増やしたい。
「「ご注文はお決まりですか」でしょー?セリカちゃーん、お客様には笑顔で親切に接客しなくちゃー?」
「あうう……ご、ご注文は、お決まりですか……。」
「私は、チャーシュー麵をお願いします!」
「私は塩。」
「えっと……私は味噌で……。」
「私はねー、特製味噌ラーメン!炙りチャーシュートッピングで!」
「先生もこはねちゃんも遠慮しないで、ジャンジャン頼んでねー。
この店、めちゃくちゃ美味しいんだよー!アビドス名物、柴関ラーメン!」
「あ、私は特製醬油ラーメンで。トッピングは煮卵でお願いします。」
全員何だかんだしっかりと考えていたのかスムーズに注文をすると
すぐさまに切り替えて注文を書き込んでいく黒見さんだったが、
思い出したかの様に怪訝そうに質問してくる。
「……ところで、みんなお金は大丈夫なの?もしかして、
またノノミ先輩に奢ってもらうつもり?」
「はい、私はそれでも大丈夫ですよ☆このカードなら、限度額までまだ余裕ありますし。」
「いやいや、またご馳走になるわけにはいかないよー。きっと先生が奢ってくれるはず。
だよね、先生?」
いきなり高速パスを受けて明らかに動揺する先生に、視線を向けると首を横に振りながら
聞いていない旨を恐る恐ると、小鳥遊委員長に尋ねるがもう手遅れであろう。
先生がこの店に、いや小鳥遊委員長に連絡を取った時点で運命は決定づけられていた。
「……え?初耳だって?あはは、今聞いたからいいでしょ!」
先生はその返事を聞くと同時に席を立とうする。
が、先生とは真逆の位置に居た彼女は既にもう回り込んでいる。
最早先生が奢る事が確定した事より、どうやったのかの方が気になる。
「そうはさせないよー。」
「うへ~大人のカードがあるじゃん。これは出番だねー!」
「大人のカードを使うような場所でもなさそうですが……
先輩、最初からこうするつもりで、私たちをご飯に誘ってくれたんですね。」
「先生としては、カワイイ生徒たちの空腹を満たしてやれる絶好のチャンスじゃーん?」
小鳥遊委員長の思惑に気づいたらしい奥空さんが、呆れた様に先生を起こそうとするが
その前に流石に財布の中身をそのまま晒しておく訳にもいかないのか
小鳥遊委員長を注意しに行っている。入れ替わりに十六夜さんが先生を介抱している。
私とシロコは席から動かずにラーメンを待っている。
決して先生を見捨てた訳では無い。もし本当に小鳥遊委員長が強引に奢らせようとする
浅慮な人物であれば、既に財布の中身を抜いているだろうし
そもそもとして先生も借金事情を把握しているアビドスの面々に対して
少しでも負担を減らしてあげたいと考えるタイプの人物である。
だからこれは決してワンチャン昼食代が浮くかもしれない。
等という下衆な期待から来るものでは無いのだ。
「……。」
「先生、こっそりこれで支払ってください。」
「え……?大丈夫ですか?でも……。」
それでも、まあ流石に早瀬さんへの証言はしようと思っている。
なので、ここはカッコイイ所を見せて欲しい。南無三。
「ん、ラーメン楽しみ。」
「折角だし追加で餃子でも頼みますか?」
「名案。」
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「いやぁー!ゴチでしたー、先生!」
「ご馳走様でした。」
「うん、お陰様でお腹いっぱい。」
「今日はありがとうございます、先生。」
▷『あはは……みんなが満足してくれたみたいで良かった。』
『うん、良かった。良かった。』
若干顔がやつれた先生を見て、流石に帰宅したら先生を労おうと心に決めた私だったが
柴関ラーメンの余韻がまだ残っていた。名物と豪語する程の事はあった。
特製醬油ラーメンは食べたので、次は味噌に挑戦したい。
アビドスには暫く通う予定なので、次の機会は直に訪れる事だろう。
「早く出てって!二度と来ないで!仕事の邪魔だから!」
「あ、あはは……セリカちゃん、また明日ね……。」
「ホント嫌い!!みんな死んじゃえー!!」
「あはは、元気そうで何よりだー。」
店外に出た後も悪態を吐き続ける黒見さんに見送られながらも
満腹感いっぱいで帰路についた私達は、昨日と異なり平和なひと時が流れていた。
この後、あんな事が起こるとは全く予想していなかったのである。
5連休が終わってしまったので失踪します