KV_another_Archive 作:器具類プロジェクト
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学校の敷地内に既に侵入している外敵達を追い出すために行動開始した。
バリケードもあり、ある程度の遮蔽物も存在しているが正面玄関から出るのは危険という事で、先生からの提案でホシノ委員長を残して残りのメンバーは左右に分かれて、勝手口や窓から外へと飛び出すという手筈となった。
とてもシンプルながらも有効な手段ではあるが、ホシノ委員長は一時的にとはいえ、相手の攻撃を一手に引き受けることになる。楯があるといっても限度があるのではないかと疑問を呈すると、口角を上げながら目を細めて私をなだめる。
「うへ~大丈夫、大丈夫。こう見えておじさん頑丈さにだけは自信あるからさ。」
他のアビドスの面々も問題ないといった態度の為、信用して囮をお願いする。
私は比較的コミュニケーションを取れるシロコとコンビを組む事になり右側から回り込む。
所定の位置に到着すると、先生から突撃の合図があるまで待機する。
シロコがドローンの操作準備を済ませると、1分もせずに連絡が入る。
〔ホシノ先輩に注意が集中しました!待機組の突撃まで10秒!〕
〔10.9.8.7.6.5…〕
銃撃音が更に過激になり、爆発音も聞こえてくるが一向に勢いが衰えることはない。
しっかりと委員長は役割を果たしているようで、緊張が幾らか和らぐ。
〔4.3.2.1…突撃!!!〕
アヤネさんの号令と共に私達は飛び出し、ドローンもスタンドアローンとなる。
委員長の様子を見ると傷一つなく、全く問題なさそうだが流石に攻勢に回る程の余裕はないようで
シールドで射線を切る事に集中しているようだ。
銃口を侵入者へ向けて発砲すると、何発かは命中したようで意識の外からの攻撃に
モロにダメージを受けている者も確認できた。
反対側も無事に奇襲できたようで、集団に混乱が巻き起こった。
あまり練度も高くなく、連携も薄いようでパニックを起こしている者もいる。
「なんで左右の警戒してないんだよ!」
「そんなもんお前がしとけよ!」
「争ってる場合か⁉早く陣形を整えるぞ!」
「なんでお前が指示出してんだよ!」
ある者は委員長への攻撃を続け、ある者は私達から身を隠そうとして委員長に撃ち抜かれ
またある者は後退を始めていた。奇襲を受けた暴徒達は蜂の巣をつついたように混乱している。
当然その隙を見逃す理由もなく、三方向からの掃射を開始した。
特にその中でも、離れた位置だが十六夜さんが持つミニガンは圧倒的な火力なようで
遮蔽物の無い位置にいる者にとっては、一撃が致命傷に成りうるようだ。
バタバタとミニガンの犠牲になったヘルメットが地面に倒れ伏していく。
「銃弾があればアンタたちなんか‼」
黒見さんは余程フラストレーションが溜まっていたようで
弾倉を入れ替える手にも力が入っており、その気迫が弾丸に籠っているようだった。
「怯むな!あいつらの物資はもう雀の涙だ!」
「やけ起こしやがって…!」
「状態良好、行くよ。」
持ち主によく似た色合いのアサルトライフルを構えながらシロコは引き金を引き絞る。
平静のように感じるが声色に怒気が滲んでおり、確実にヘルメット団を制圧して行く。
本格的な銃撃戦に意識が散漫になっていたのか、こちらを狙う銃口に気づくのが数瞬遅れる。
「ヒャッハー!くたばりやがれぇ!!!」
頭部を庇いつつ、反撃の為に照準を向けるが、相手の方が断然早い。
だが、相まみえた私達のどちらよりも早く、ショットガンが彼女の身体を吹き飛ばす。
出所に目を向けると今尚銃弾の雨に晒されている委員長がこちらから銃口を正面へ戻すところであった。
「お客さん怪我させて帰らす訳にはいかないからねぇ~」
あんまりよそ見しちゃ駄目だよ、と手をひらひらさせる委員長に小さく礼をして、挟撃に再び参加する。
「一旦引き返すぞ‼B地点で立て直す、負傷した奴に肩を貸せ‼」
「お前たちはここで牽制して時間を稼げ!」
混乱から直ぐに立ち直ったリーダーらしき少女は、ヘルメット団へと命令を出した。
それに追随するよう次々に侵入者達は一部を残し、撤退していく。
追撃を加えようとするも、残った数名は弾薬を気にせず、牽制するように弾幕を張り始めた。
委員長が見事なヘッドショットで1人を気絶させるも銃弾の雨は勢いを落とさない。
物陰に隠れてやり過ごしているが、このままではヘルメット団に撤退されてしまうだろう。
何とか反撃しようとしても、鼻先を銃弾が掠めてくる為、顔を出すのも難しい。
横の様子を見やると他のメンバーも中々攻勢に出られていないようだ。
ドラム缶の裏で機会を窺っていると、近くの横積みされたロッカーに隠れたシロコも同様らしい。
先程の者達と比べて、彼女達は練度、連携共に出来ており、隙を突くことが難しい。
委員長は楯を駆使して反撃を試みるが、相手も心得ているのか。委員長を狙う弾幕は一段と濃い。
支援に来るドローンも、弾幕に気圧され近づくのも難しいようだ。
こうなれば多少の被弾も覚悟して突っ切るべきだろうか、と考えていると。
先生からの通信が入りインカムを押さえる。
「先生!何か解決策はありませんか⁉」〕
〔『取り合えず皆の状況を確認させて欲しい。』〕
〔バリケードに隠れながら攻撃されているせいで反撃が難しいですね…〕
〔あいつら私達の位置からだと射線が通らない!〕
〔グレネードが残ってたら良かったんだけど。〕
〔こっちは顔出すのもやっとです!〕
〔おじさんも、このままだと反撃はちょっ~と厳しいかな?〕
あちらからでは陰になっていいるようで一方的に攻撃されているようだ。
こちらからはある程度姿が見えるが、その分相手からも射線が通ってしまっている。
〔『今ホシノに向いている攻撃が何十秒間か減ったら、どうにかなるんだね?』〕
〔『もし、敵の意識をもう一人引く人が居たらどう?』〕
〔もし一人分も減ったら何十秒と言わず、3秒で全員倒せるよ。〕
うへ~と呻きながらも今尚敵の猛攻を凌ぐ委員長が返事をする。
このタイミングで先生が何を提案するのか、何が言いたいのか理解できた私は布の巻かれた持ち手を触る。
まだここに来て数刻も経っていないが、この学校に通う彼女達の人柄と学校を守りたいと意思を知った。
命を助けて貰った恩人への恩返しという理由がない訳では無い。
だけどシロコは私に来てとも、恩に感じろとも言わなかった。
最初は困っている誰かがいると聞いて、先生に一歩でも近づけるようにとそんな下心が無かった訳じゃない。
だからこそ私は、私自身の意志で彼女達の助けになりたいと思ったんだ。
〔先生、皆さん…私が注意を引きます!〕
〔後の事はお任せします!〕
そんな唐突な私の提案に困惑する奥空さんの声がインカムから流れる。
〔えぇ…‼こはねさん大丈夫なんですか!?〕
〔何か作戦があるの?〕
黒見さんが私の提案に懐疑的な姿勢を見せるが、私の身を案じてくれているのが伝わってくる。
そのことに喜びを感じつつ、返事を返す。
〔奥の手って訳じゃないんですけど、10秒ぐらいなら防げる手段があります。〕
〔…分かった。但し、絶対に無理はしない事が条件だよ?〕
ホシノ委員長がそう言うと皆納得したのか、反対意見は出なかった。
心の準備を終えて、行動開始へのカウントダウンを始める。
〔『…5、4、3、2、1、開始!』〕
「援護お願いします!」
湯ノ花をホルダーに仕舞い込み、刀剣の柄に手をかけて突貫を行う。
先生の号令と共に弩のように遮蔽物から踊りだして、敵の視線を一身に背負った。
傍から見れば、ただの自暴自棄、悪く言えば自殺行為だろう。
だが、私にはこのキヴォトスに来てから長い時間を過ごした、この相棒が居た。
あの銀行強盗の後、咄嗟の事でなあなあで流れ掛けた私の曲芸染みた刀剣捌きがなんだったのか。
自衛能力の有無といった点も確かめる為、再度銃弾を切り落とす事が出来るか
シャーレの練習用の施設で、(当然だが)訓練弾を使用して検証を行った。
結論から言えば、再び銃弾を捉える事が出来た。
というのも抜刀から銃弾を捉え、逸らすまでの行為を反射、無意識のうちに行っていた。
決して意識を失う訳では無く、寧ろ思考が何処に向けて如何振るえば良いのか
それが一瞬のうちに浮かび上がり、その動作を完了している。
別人の思考というよりは、単に脳に刻まれた反復動作を繰り返しているようで
先生も私も記憶を失う前の私は一体どのような生活を送っていたのか頭を抱えたものだ。
つい思考が横道に逸れてしまったが、今この場で重要なのは
秒間70発を30秒間、防ぎ続ける事が出来た事である。
検証では、これ以上は危険と判断して速度を上げる事は無かったが、今は3秒も稼げばアビドスの方々が
解決してくるから気安いものだ。当然の事だが、遮蔽物から飛び出た私に銃弾の嵐は集中する。
集中している事は集中しているが、面での制圧を意識しているのかはたまた銃の特徴なのかは分からないが
密度はそこまでのものではない。
「これならッ‼」
脳幹の命令に身体を預け、銃弾を捌く事だけに意識を割く。腕が凄まじい速度で動き、銃弾を無力化させていく。
身長ほどの日本刀で銃弾を切り落とすという超常現象に衝撃が走っている暴徒達を視界の隅に捉えながら
意識と動体視力を前方から私に牙を剥く鉄の礫に全集中させる。
袈裟切り。というのだろうか薙ぐ様に刀を振り、時には弾くように角度を着けて刀剣を振るう。
きっと今の私は地面と平行に振る雨の中で傘を差しているように見えるだろう。
高速で刀を振るっていると、何時だったか早打ちをすると何Gもの負荷が手首に掛かるということを思い出す。
未だ弾丸を身体に受けた事は無いが、この分ならきっと手首は最低でもキヴォトス準拠であろう。
永遠にも等しい3秒間が過ぎると宣言通りに、否、もう少し早かったかもしれない。
殿を務めた暴徒達は、アビドス高等学校の面々に制圧されていた。
足元に伸びているヘルメット団を放置して、心配そうに私達の命の恩人はこちらを見つめていた。
「クリア。…こはね、無事?」
「うへぇ~お説教二人目かなこれは。」