Who reached Infinite-Stratos ?   作:卯月ゆう

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今咲き誇る

ドイツのフュルステンベルク別邸地下、束の研究室には桜色のISが繋がれていた

 

「さくちん、会社の方は大丈夫なの?」

 

「サクの所まで来る案件はだいたいYESって言っておけばいいようなものばかりだから大丈夫。いまはこっちに集中したいからさ」

 

「ママさんからの電話もあったみたいだけど」

 

「え、ああ。ローゼンタールが独自IS開発したってアレね、ある意味、あれは企業連の技術の集大成みたいなものだから、今の企業連としての技術力の確認も兼ねてOKしちゃったよ。ローゼンタールらしいものを作りなさい。って言ったら無難なの作ったし」

 

「なるほどねぇ、さくちんは策士だなぁ」

 

「まさかムッティが乗るとは思わなかったけど……」

 

「それは束さんもびっくりだよ、ママさんに適正あったんだね」

 

「ムッティに乗れないものなんて無いんじゃないかな?」

 

「冗談に聞こえないよ……」

 

「ささ、束お姉ちゃん、最後の仕上げだよ!」

 

「おう!」

 

夢見草のコアをベースに作られた第三世代実証機、夢見草・八重

イメージインターフェイスを利用した兵器の実証試験を兼ねた夢見草の進化版だ

 

 

「よっし、後は動かしながら微調整だね」

 

「そのまえに一眠りさせて~」

 

「しかたないなぁさくちんは」

 

「適当な時間に起こしにきて……すやぁ」

 

「早いよ! まだ言い切ってないよ!」

 

その場で立ったまま寝るという芸当を見せた櫻を抱きかかえて簡易ベッドに寝かせる

 

「いろいろ忙しいんだろうなぁ」

 

幼き社長さんの身を案じつつ、また別の機械へと向かう

束がコンソールを操作すると中から純白のISが現れた

 

「さぁ、こっちも仕上げだね」

 

にひひっと笑う束は子供のような無邪気さにあふれていた

 

 

 

 

 

それから何時間立っただろうか、櫻に取り付けたバイタルメーターが脳の活性化を示すと束は白いISを隠し、櫻を揺さぶり起こした

 

 

「さくちん、おはよ」

 

「うん? 束お姉ちゃん……」

 

「とりあえずなんか飲んで目覚して?」

 

「うん、そうする」

 

目元をくしくしこすりながら冷蔵庫へ向かう櫻は小動物的で束は思わず飛びつきたくなったが、プラスチックの精神で自制した

束に鋼の心はさすがにない

 

「夢見草ぁ、完成させる~」

 

「はいはい、持ってるもの飲んで、しゃきっとしよ?」

 

「お姉ちゃん飲ませてぇ」

 

寝起きの甘えモードな櫻に束のプラスチックのハートは早くも崩壊寸前だ

 

「ココは、グッとこらえて、こらえて……」

 

オレンジジュースをカップに注いで渡す

両手で持って飲む姿がキュートだ

 

「ぶはっ……」

 

「お姉ちゃん?」

 

「なんでもない、大丈夫だから」

 

鼻を抑えながら束が返事をしても、やはり怪しい

 

「お姉ちゃん、まさか……」

 

「ま、まさか、さくちん、があまりにも可愛くて鼻血だしたなんてことは……あっ!」

 

「自白したね」

 

「おのれ、謀ったな!」

 

「頭も身体もシャッキリしたからね。お姉ちゃんが鼻を抑えて悶えてれば何かあると思うよ」

 

「くっ、我一生の不覚なり……」

 

「ほら、そんなこと言ってないで血止めて、夢見草飛ばすんでしょ?」

 

「うむ……ちょっとばって」

 

紙縒ったティッシュを鼻に詰められ

 

「しばらく押さえてればいいよ」

 

「さくちむ、じゅむびしておいて」

 

「言われなくてもやっておくから」

 

櫻はテストの準備を始めた

 

数分で血が止まったのか、束がやってきて、そそくさとモニターを展開していく

 

 

「それじゃ、さくちん、行ってみようか!」

 

「あい!」

 

 

天井が開き、空が見える

縦に敷かれた電磁式カタパルトがまるでどこかの新東京を思わせる

 

「カタパルトロック!」

 

「おっけ~、じゃぁ、夢見草、リフトオフ!」

 

地上まで一気に加速し、そのまま空中に放り出される

 

「じゃあ、基本動作なんてかっ飛ばして、さっそくアレ使おう!」

 

「束お姉ちゃんはせっかちだねぇ、まぁサクも早く使いたくてウズウズしてるけど!」

 

「アレを展開して、まずは50%くらいなイメージで使ってみてよ。的は出すからさ」

 

「あいあい!」

 

空中に展開されたのはただのコンテナと小さい飛行船のような的

 

もちろん束謹製のものがただのコンテナであるはずもなく、外壁が外れると中から一斉にミサイルが飛び出したその数およそ250発。一つ一つのサイズは大きくないが、その速度と数は圧巻だ

 

 

「いやぁ、壮観だね!」

 

「ミサイルばらまいて一つ一つを頭で操作するとか誰が思いつくだろうね」

 

「できないから誰も考えないよ。数発程度を勝手に追わせるのが関の山の連中だよ?」

 

「だよね~」

 

「いまので稼働率46%だよ、次はフル稼働行ってみよ!」

 

「あい!」

 

再び空中に現れる的、ただし数は10ほど、それも散り散りに展開している

 

「さあ、さくちん、今度は難しいかな?」

 

「らくしょーだもんね!」

 

コンテナを今度は2つ展開し、ミサイルを発射、それぞれにAIが積まれているかのような合理的展開で的を吹き飛ばした

 

「おお、89%、さすがだね!」

 

「コレってAIである程度の傾向決めておいて、自分で操るものを何発かに抑えれば、抑止しながら攻撃できるね」

 

「そうだね~、でもそんなありきたりなの面白く無いじゃん?」

 

「ならなんで作ったの……」

 

「大爆発はロマンだよ! さくちん!」

 

「はぁ……」

 

「さ、さくちん? まだとっておきが残ってるから!」

 

「ん? なにこれ」

 

「束さんの技術の粋を合わせた、その名も、ドッペルゲンガー!」

 

「そっくりさん?」

 

「そーだよ、さくちん。自分の周りにそっくりさんをいっぱい用意するんだ」

 

「この棒で?」

 

「それはISコアと同じ素材のジェネレーターが入ってるから、コアとおんなじ反応をするんだよ!」

 

「面白そうだね! 試しにそこらに撒いてみてよ!」

 

「そういうと思って、ちゃんと用意したよ! 発射ぁ!」

 

地下から飛び出す銀色の棒。大きさは1m程だろうか、人が持てそうだ

 

 

「うわわ、オーギルがいっぱいいるよ……」

 

「でしょでしょ? でも、ハイパーセンサーを切ると?」

 

「ただの棒きれが浮いてるね……ってあれ?」

 

「ふっふ~ん、もちろん肉眼対策にホログラム内蔵だよ! ちっちゃい銃くらいなら仕込めるからデコイには持って来いだね!」

 

「面白い! もうインストールしてあるよね!」

 

「もっちろん! 手元に展開して投げるもよし、ミサイルみたいに撃つもよし。なんでもござれだよ!」

 

試しに手に持つイメージでドッペルゲンガーを展開する

確かに大きいが、ISのパワーアシストのおかげか、重くはない

 

「これを槍みたいに……」

 

振りかぶって投げる、そして電源を入れるイメージをすればドッペルゲンガーは空中で停止、幻覚を見せる

 

「で、次はミサイルっぽく」

 

ハンドランチャーを展開、その弾としてドッペルゲンガーが入っていることを確認すると、タイマーをセット

発射、飛び出して1秒ほどで電源が入る、そこには飛び去る夢見草の姿が見えた

 

「おおぅ、大成功だね」

 

「もっと褒めて!」

 

 

まるで姉妹のような2人を怒らせる出来事が、1年後に迫った第2回モンド・グロッソで起きようとしていた

世界はISをスポーツを見る目で見ていたことを後悔する

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