「お、おはようございます!」
まだ若く汚れ一つないスーツを着た今年涼風若葉が社長をやる『デンドログラム社』に入社した青年は緊張した顔で歩いてこちらに近づいてくる〈
「・・・」
〈管理者〉は無言のままぺこりと頭を下げるとまた歩き始め青年を通り過ぎる
「はあ、緊張した「多分あれ偽物だぞ?」うわあ!?」
いつの間に近づいたのか、青年の上司が後ろから、それに驚いて青年は情けない声を出してしまった
「先輩!びっくりするじゃないですか」
「すまんすまん、別にそんな気は無かったんだがな」
「まったく。それで、偽物ってどういうことですか?〈管理者〉の正体は社長だって入社式の時に聞きましたよ?」
青年は入社式の事を思い出す、たしかに社長本人から自分の正体は〈管理者〉だと言っていたはずだが
「まあ、社長の安全のためだな。入社してまだ一か月程度だが、分かるだろ?この会社のヤバさが、ここはただのゲーム開発会社じゃねえ」
先輩はそういうとスマホを取り出しあるアプリを見せる、シードグループの社員のみがインストールできるサポートAIアプリだ
「社長はAI関連がシードグループの中で一番強くてな、このアプリも社長が個人的に作って社員にのみ配信しているものだ」
「はい、それは知っています。自分も作っているので。凄い便利ですよね」
「ああ、噂では社長はこれよりも凄いAIを作っているらしくて国が頭を下げてまで自衛隊なんかに配備しようとしているらしい」
「え、そうなんですか!?」
「まあ、あくまで噂だ。でももしかしたら、って思うだろ?それくらいの才能がある上にこの会社の社長だ。昔に色々あったのもあって本物の社長がどこにいるのか気づかれないように影武者が動いてるのさ。知っているのはごく少数だけ・・・って噂だ」
「・・・噂なんですね」
「ああ、あの人悪戯好きだからな。ただ単に偽物を放ってこっちの反応を楽しんでるって可能性も大いにあるのさ・・・まあ」
俺は前者の可能性が高いと思ってるがな
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「おっはようございまーす!」
自分の会社内にて重めの話をされているとも知らず若葉はシードグループの会社地下、転生組しか存在を知らない『原典閲覧室』の扉を元気に開けた
「あ、おはようございます」「おはよう」
「お疲れ様です。今日は菊さんに茅場の二人だけですか?」
「ええ、三人は忙しいようでして」
「まあシャンフロは正式稼働したばかりですしユグドラシルも「永劫の蛇の指輪」を出現させてましたからまた無茶な要求が飛んできたんですかねえ」
「・・・茅場さん、何か涼風さんのテンション高くありません?」
「なんでも昨日、青葉ちゃんが初お給料でケーキを買ってきてくれたらしいですよ」
「ああ・・・それで」
「あいつ、妹大好きですから」
「あんなに小さかった青葉が、俺の後をひょこひょこついてきたり皆とゲーム作ってる所にみんなと遊ぶと乱入してきていた青葉が・・・ッ!」
「うわあ、泣き出しちゃった」
「もともと「NEW GAME!」も私たちの中で一番好きな人でしたから。こうなると長いし俺は自分の社長室に戻って今後のALOに実装する予定のクエストを確認してきます」
「それでは私も、次のBoBの準備しなくちゃ」
二人はすたすたと部屋を出ていく、しかし若葉は自分の世界に入り気づかずにしゃべり続けている
若葉がそのことに気づくまで、あと12分
どういう風に進めていくか悩む~