人魚島と自衛隊   作:蟹アンテナ

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佐渡島は佐渡弁という訛りがあるらしいですが、未習得なので脳内変換していただくとありがたいです。(ぺこり


海の民との邂逅

新潟県佐渡島沖にて、未知の島を発見したという報告が地元の漁師から齎されたことで騒動となり、少し前に空が極彩色に染まる天変地異の件も兼ねて有志によって調査が行われることとなった。

 

「本当に島がある…普通はこの距離だったら絶対に誰かが気づいている筈だ」

 

「この前、変な空になったが妖怪か何かに化かされたんじゃないだろうな?」

 

「今朝のニュースでは本土の方でも、ああなったらしい」

 

「とにかく、あんな島があるんだ。今までの海図が役に立つかわからんぞ、暗礁に乗り上げないように注意しろ」

 

漁船の船団が未知の島に近づくと、それを見ていた小さな影が岩に隠れつつ水沫を上げて水中へと潜る。

島へ近づいた船団は一度島周辺で停止し、上陸の前に周辺の地形の安全確認をして上陸できそうな場所を探した。

ウェットスーツとゴーグルを身に着け、海に潜る準備をしているその時だった。

 

『~~~~!!!~~~~~~~!!!!!!』

 

「うわぁ!?な、なんだぁ!!!?」

 

漁船の船団を取り囲むように色鮮やかな髪色をした人影が水面に飛び出し、槍の様な物を構えるのであった。

 

『~~~!!!~~!!』

 

「な、なんだコイツらは!」

 

「まて、よく見ろ!に、人間じゃない!」

 

「人魚だ!本当に居たんだ!お伽噺じゃない!」

 

『~~~~ッッ!!!!』

 

ずいっと、魚の骨などで作られた槍の様な武器を漁師たちに向ける彼らに思わず後ずさるが、言葉の様な物を喋る彼らを刺激しないように慎重に対話を試みた。

 

「何か喋ってる、日本語じゃない」

 

「問答無用で襲ってくるわけでもなさそうだな、でも俺英語喋れないんだよ!」

 

「阿呆!英語でもないだろが!ええと、あれだ。外国人に道を尋ねられたみたいなもんだ」

 

「ええと、あれか?ほらボディーランゲージってやつ」

 

「あー、はろー?ないすとぅみーちゅー?」

 

『・・・????』

 

お互いに全く言葉は理解できないが、漁師側の身振り手振りで何か意思を伝えたえようとしている事は分かるので、武器を構えつつも人魚たちは漁師たちを観察した。

 

「おーい、地図を持ってきたぞー!」

 

「助かる!」

 

『???・・・~~!!!?』

 

海藻ではない何かヒラヒラとした薄い物体には、彼らが住む陸地の様な絵が描かれているが、素人目にでも分かる精度で描かれている事が解り、彼らが思っているよりも大きな勢力である可能性が浮かんだ。

 

「ええと、ここがウチの漁港で、我々はこの島に住んでるの」

 

「アンタらの島は多分位置的にここら辺で、ええ~~と、知らない島だったから見に来たの」

 

地図を指でなぞりながら、未知の島から母港までの道のりを示す。

 

「アンタら、あの島に住んでる島民の人?なら、ウチらのご近所さんって事かな?」

 

身振り手振りで人魚たちに説明し、時には簡単に紙に絵を書き殴り、なんとか意思を伝えようとする漁師たち。

 

『・・・・~~~~』

 

「お、矛を収めてくれたか?」

 

「・・・・え?まさか、もしかして、俺らについてくるってか?」

 

「どうしよう、流石に得体のしれない連中を連れ帰ったら不味いんじゃ」

 

「下半身がヒレだから自力で泳いでこれるかもしれないけど、これって密入国扱いになっちまうのか?」

 

「なんにせよ、こんな近くに未知の民族が住む島があると判明したんだ。非常事態って事で通してもらわんとな」

 

「よし、帰港するぞ!連中をスクリューに巻き込まないように注意しろ!」

 

腕を回して母港のある場所に指を指すと、船のエンジンを始動させて帰路につく漁船の船団。

それに、慌てたようについてくる人魚たち。

 

『本当についていって大丈夫なのか?騙し討ちにあったらこの人数ではひとたまりもないぞ?』

 

『あの船という乗り物も話に聞いていた物とはまるで違う、まさか海で速度負けするとは思わなかったぞ』

 

強力なエンジンで海をかき分けて進む漁船は、途中で速度を緩めて人魚たちに合わせるが、その行為が人魚たちの顔をしかめさせる。

 

『そうか、あの船の後ろについているやつが高速で回転する事で推力を得ているのか』

 

『巻き込まれたらサメに食いちぎられるのと同じくらい重症を負いそうですね』

 

『なるべく近づくな、しかし見失うなよ』

 

『海の民が陸の民に海中で遅れを取るとは屈辱だ』

 

漁師と人魚という奇妙な集団が佐渡島の母港に近づきつつある頃に、島民がいつのも様子とは違うことに気づき始める。

 

「あれ?知らない島が見つかったから様子見に行くって話だったのに、もう終わったのか?」

 

「ん?なんか変だぞ?なんか違和感が」

 

「まって!なんか漁船についてきてるぞ!?なんだあの生き物は!」

 

「は?いや、嘘だろ?」

 

まず先に漁港で家族を待つ島民たちは、漁船の背後に泳ぐ影を見つけ、それが丁度人間くらいの大きさの生物である事が分かった。

しかし、船が近づくにつれてそれを追尾している生物の姿が顕わとなり、漁船が停泊した時点で海面から上半身を出したことで、その全貌が確認された。

 

「に、に、人魚ぉぉぉ!!??」

 

たまたま携帯端末を持参していた漁師の娘がホームビデオのつもりで撮影していた帰港の様子が未知との遭遇に早変わりしてしまった事に驚き、思わずそれをネット上に公開してしまった事で大騒動となるのであった。

 

それからが早かった。

国が正式に未知の島の調査を行い、佐渡島に訪れていた人魚の集団の元に言語学者たちが集まり言語の翻訳と相互理解を深めるために日本紹介の映像を見せ、未知の島の発見と同時期に確認した未知の大陸との接触を行うなど怒涛の勢いで情勢は動いた。

 

人魚たちからしても、ただでさえ接触の少ない陸の民の住居の様子が伝え聞くものと全く別物で、明らかに異質な存在であることが判明し、そんな住民たちと思いの外近くに隣接してしまった事実に顔を青くした。

不幸中の幸いか、陸の民は排他的でもなく、意思創通の意思がある事は初遭遇時に分かっていたので、彼らの言語を理解し自分たちの言語を教えようと努めた。

どの道この得体のしれない連中と敵対する事になれば、小さな島の海底洞窟にひっそりと居を構える自分たちなどひとたまりもないだろう。

何よりも、彼らが見せてきた魔術に映された光景は圧巻のものだった。

石材を積み上げて雲にも届かんばかりに伸びる建物と、奇妙な模様が描かれた道を小魚の群れの様な数の陸の民が行き交う異常な光景だったのだ。

彼らに案内された島もかなりの人数が暮らしているように見えたが、彼らの本拠地とも言える場所に比べたら辺境の小さな部落に過ぎないのだろう。

そんな圧倒的な格差に人魚たちは恐怖にも似た感情で狼狽えていると、桟橋の上から声をかけられる。

 

「人魚さん達今日も来てくれたんだ」

 

子供、そう、最初に彼らに案内された海と陸の境界線で驚きの表情で固まっていた彼らの家族と思われる陸の民の娘。

 

(思えば、そうか…陸の民にも子供が居るのだったな)

 

陸地に住む人間たちは、自分たちとは違い二股に別れた器官で体が重くなる陸地でその体を支えて歩くと言う奇妙な生態をしていると聞いた。そしてそれは事実であった。

どこか自分たちとは別種の生物で理解できない存在とみなしていたが、問答無用で襲ってくるわけでも、身動きの出来ない陸地で一方的に捕食されてしまうわけでもない。

むしろ、住む世界や体の勝手の違う自分たちに相当気を遣っているのは見れば分かる。

海よりも上にある世界、そして雲ほど高くもない世界に住む異界の住民、その様な存在であった。

過去の歴史では海中で襲われたり陸に同胞が攫われたりする事件が度々発生していたため陸の民に良い印象は持っていなかったが、ニポンと名乗る集落は他の陸の民とは伝え聞く印象とは全く違っていた。

そして海の民は、あまり良くわかってない陸地の中で運悪く攻撃的な住民に目をつけられて襲われていただけだったかもしれないと思い直し、なんとなくニポンの民を隣人として迎えても良いように感じていた。

 

『アー…、キタ、ミナット。ニポン フムッ、いム・へァ・イル・ニポン』

 

「おー!いる・にぽん!」

 

黄色い被り物と赤い箱を背負った幼い陸の民が手を振って答える。

 

(未知のものに好奇心旺盛なのは陸の民の子供も同じか、いや、大人と思われる陸の民も終始友好的な態度で接してくれる。これで騙してくるなら壮大な物語を作る技量はあるだろう)

 

「お父さん呼んでくるね!」

 

『グら・ぐラ』

 

(本島も目と鼻の先だ。何故今まで見つかってなかったか不明だが、彼らと隣人となるならば他の攻撃的な陸の民の隠れ蓑になってくれれば上々だろう。いや、むしろ彼らの庇護下について後ろ盾となって貰うべきか?)

 

既に何度も交流会は開かれており、時折彼らの本土の者と思われる黒い装束を身にまとった者が現れるが、主に接するのはこの島の島民であった。

驚くことに、彼らは陸地の生物を食べるだけでなく、自分たちと同じ小魚を食べる文化まで持っていたのだ。

自分たちの食べているものと近い物を食べ、赤き揺らめきに晒して魚を熱して調理する未知の調理方法により、見知ったものが全く別の姿で食べられている事に驚かされる。

食べ慣れた小魚なのに知らない調理方法があることに思わない事もなかったが、それでも小気味よくサクサクと崩れる黒茶色がかった鰭や皮の食感は好みであった。

小魚を高温にさらして調理する方法は海の民にもあるが、あの赤き揺らめきに晒すのと熱水で茹でるのでは仕上がりが違うのだ。

 

(今まで度々陸の民の仕業と思われる行方不明事件が発生していたのだ。海流の強い海域の洞窟に住居を移したここ最近は、数百年ほど奴らの襲撃を受けていないが、またいつ捕捉されるか分からん)

 

(それに、この島の住民たちは陸地の地図だけじゃなく海底の地図まで完成させている。今更別の場所に身を隠しても無駄だろう)

 

「おう!また来たか!」

 

『いム・へァ・イル』

 

(彼らが誠意で答えてくれるのならば、こちらも誠意で返すのが筋というもの。これはそう、賭けではないのだ)

 

それから日本政府は人魚たちの他に未知の大陸の住民たちとも接触を果たし、翻訳作業と並行して言語解析を進めて行くうちに未知の大陸の言語と人魚の言語に共通点が有り、ごく最近に分化が進んだ可能性があると判明した。

そして、ある程度双方の翻訳が進んだ頃に、佐渡島に[上陸]した人魚の代表者の口から未知の島…人魚島を日本に譲ると同時に日本の傘下に降る意思があると発言があり、初遭遇時と同等かそれ以上の衝撃を与えるのであった。

 

 

 

 

 

 

異世界人

 

地球人類と酷似した姿をした知的生命体であるが、細かい部分が人間とは違う部分もあり、注意深く観察なければならないが骨格も僅かに違う。

解剖例が現時点ではないために、詳細は不明だが未知の器官がある可能性がある。

 

人魚

 

一見人間に近い姿をしているが、その下半身は魚や海豚などに近いヒレ状の構造になっており、その姿はまるでお伽噺の人魚伝説に酷似している。

異世界の大陸に住む民と共通の骨格が有り、信じ難いことに生物として分化したのはごく最近、1~2万年以内での事と推定されている。




1死に至る病に侵された帝国の皇帝が治療薬を求めて周辺国を好き放題→
2技術力に優れた国をガンガン取り込み医学知識も蓄積されるが治療薬見つからず→
3人魚の肉が不老不死の効果あり(とされてる)→
4日本列島まるごと異世界転移→
5日本海側に人魚島があり人魚達が亡命することで日本領土に編入される→イマココ!
6沿岸部のまだ帝国に侵略されてない国に接触、異世界の大陸の橋頭堡として沿岸部の国と国交を結ぶ、海の向こうから島国が接触してきたという噂→
7交渉中に人魚島関連で領土問題に、沿岸部の国々が実効支配出来ていないことから正式に日本領土と認められる→
8人魚島と日本の噂が流れ帝国に察知される→
9恫喝めいた領土交渉と生殺与奪の権を侵害する気満々の態度で交渉決裂→
10帝国が戦争ふっかけてくるも返り討ちに→
11帝国撃破、皇帝陛下しにたくなーい!(絶叫)→
12結局皇帝は末期がんで死亡、普通に国交結んでいたら手術が間に合ったかも知れない→
13大陸の国々や人魚を初めとした亜人達と交流を結び、共に発展していく(完)
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