人魚島と自衛隊   作:蟹アンテナ

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ひゅうが、みょうこう、あたご、すずなみ、まきなみ、ふゆずき、しらぬい、ゆうだち、はやぶさ辺りが出港してます。


激突!魔導艦隊

ガルチェア大陸・東ガルチェア方面 

大陸東海岸。

 

ネフィリア帝国の外交使節が帰路につく頃、東ガルチェア沿岸部で一部の中小国を除き日本主導の集団安全保障が結ばれ、異例の速さで法整備が進められた。

既にガルチェア大陸に進出し、コロポニア王国に橋頭堡を築いていた日本国は、コロポニア王国の許可のもと自衛隊の駐屯地を建設し、ネフィリア帝国の襲撃に備えた。

 

基本的に、この世界では宣戦布告が行われること自体少なく、あったとしても奇襲攻撃を行った後に宣戦布告をするのが主流である。

それ故に、ネフィリア帝国の艦隊の襲撃と同時に宣戦布告がされると予想しており、既に東海岸の中小国の要所に自衛隊の施設科が派遣され、防衛用の拠点が幾つも建設された。

即席の拠点とは言え、コンクリートで固められた現地国の下手な砦よりも頑強で、実際に一部の既存の要塞も現地国の依頼でコンクリートなどで補強される事もあった。

 

ネフィリア帝国は陸路と海路の両方から攻めてくる事が予測され、中央ガルチェアと東ガルチェアを結ぶチョークポイントである峡谷に陸上自衛隊を、コロポニアを直接狙う海路のボトルネックである暗礁地帯に海上自衛隊を派遣した。

 

 

ガルチェア大陸・東ガルチェア方面

群島国家ミニマニア共和国

 

コロポニア王国の隣国であり、中央ガルチェアと東ガルチェアを結ぶ海路の通り道に位置し、暗礁地帯の多い海域の安全な航路を使わせる代わりに、通行税と交易品で利益を得ていた国であったが、ネフィリア帝国の日本とコロポニアとの交渉が決裂した際の帰路に、一方的にネフィリア帝国の侵略宣言が布告され、東ガルチェア統一の際の取るに足らない小国として扱われた。

東海岸の集団安全保障にコロポニアに次いで食いついた国がミニマニア共和国である。

偶然にも地球で言うところのフィリピンに近い緯度に位置し、温暖な気候から日本も地球原産の亜熱帯植物の苗を輸出する予定だった重要な国であり、そこがネフィリア帝国に抑えられるのは日本の生存戦略からも看過できない事態であった。

 

群島国家故に異次元惑星エルメチス基準でも強力な海軍を持つが、ネフィリア帝国海軍の魔導艦隊相手では分が悪かった。

ミニマニアが得意とする各島からの小舟による波状攻撃もネフィリア帝国の物量の前では押し負けるし、海岸要塞も魔導爆裂砲を一撃でも浴びれば間違いなく瓦礫の山になる。

また、恐ろしいことにネフィリア帝国にはまだ驚異的な部隊が存在した。

決して人間の手には届かない領域からの攻撃、即ち空軍の存在である。

中央ガルチェア平定の際に研究が進められていたワイバーンの家畜化と軍事利用が実を結び、航空勢力を得たことでネフィリア帝国の覇権主義はより勢いを増すことになる。

即ち、ネフィリア帝国を止める者はこの世の何処にも存在しなかったのである。異世界からの来訪者が現れるまでは…。

 

ガルチェア大陸・東ガルチェア方面

群島国家ミニマニア共和国・ウチノ海、上空。

 

遥か高空から、電子の目を持ってウチノ海を見張る者が存在した。

ミニマニアの小島に建設された航空基地から離陸したRQ-4Bグローバルホークが哨戒し、ミニマニアの領海を丸ごと覆うほどの広範囲に睨みをきかせていた。

 

ネフィリア帝国の艦隊がミニマニアを通過することが予想され、早期発見するために派遣されたが、既にネフィリア帝国とは無関係の海賊を何度も摘発する実績を得ており、ミニマニアはその哨戒の範囲の広さに驚き、自衛隊の働きに高評価を与えている。

そして、遂にグローバルホークは本命のネフィリア帝国魔導艦隊を捕捉した。

 

 

ガルチェア大陸・東ガルチェア方面

ウチノ海沖。

 

風を受けて大きく膨らんだ帆が有機的な形状をした巨船を動かしていた。

ネフィリア帝国海軍、ガルチェア統一軍東ガルチェア遠征隊・魔導艦隊。

ネフィリア帝国直属先進魔導開発局により試作艦が作られ、その性能から既存の軍艦の全てを旧世代と化した最新技術の投入された魔導船は、皇帝を大いに満足させ、ネフィリア帝国の持つ力を総動員して量産化される事になった。

そして現在、魔導機関を搭載した魔導船の総数は50隻。

植民地を幾つか使い潰すことで資源を確保し建造されたそれは、正に無敵艦隊と言えるものであった。

しかし、数においての主力は前の世代で主力だった魔導機関を搭載していない戦列艦であった。

50隻の魔導船と450隻の通常帆船、合計500隻からなるネフィリア帝国最強の海上戦力である魔導艦隊は、コロポニア侵略の為の前哨基地としてミニマニアを制圧するつもりであった。

 

ガルチェア統一軍東ガルチェア遠征隊・魔導艦隊・旗艦ギガノト

かつてネフィリア帝国が王国だった頃に打倒した列強国ギガンティアの名を冠した魔導艦隊最大最強の旗艦であり、ネフィリア帝国の叡智の結晶である。

魔導障壁の強固さは元より、魔導爆裂砲を2門と通常の魔導船の倍の重武装であり、生半可な船では接近すら困難である。

なお、旧ギガンティア領は好立地な為に、ネフィリアが周辺国を吸収し帝国になる際に遷都され現在の帝都となっている。

 

『提督、いよいよ東ガルチェアの蛮族に神罰を下す時が来ましたね』

『うむ、我らこそこの世を統べる神に等しき高等民、我らの慈悲を無碍にする劣等民には裁きを下さねばならぬ。哀れではあるがな』

『全くです。素直に軍門に降れば痛みは最小限だっただろうに』

『さて、そろそろ暗礁地帯に入る、座礁に注意しつつ蛮族共のねぐらを叩くぞ!』

旗艦ギガノトの大銅鑼が打ち鳴らされると、他の魔導船も大銅鑼を打ち鳴らし、指示が伝播していく。

上級魔導兵が魔導器具を操作し、魔力の波を発生させ、地形に当たり跳ね返ってきた魔力波を感知する事で大まかな地形を読み取っていた。

それはさながら人力のソナーの様であった。

 

その時、暗礁に乗り上げないように速度を落とした艦隊に、奇妙な物体が飛来した。

 

『方向、東!何か接近してきます!』

『な、何だアレは!?』

『何と面妖な!!』

 

それは海上自衛隊のSH-60Kヘリコプターであった。

『警告する!貴艦らはミニマニアの領海を侵犯している!即刻進路を変更し、立ち去るべし!警告を無視した場合、貴艦らを撃沈する!』

 

魔導艦隊は、異形の羽虫に驚き狼狽えるが、大音量で響き渡る警告文に逆上した。

『我らを撃沈するだと!?生意気な!』

『あの胴体に描かれている赤い丸、報告にあったニパンとやらか』

『丁度よい、魔導砲の的にしてやれ!』

 

魔導船に搭載されている突起物が異形の羽虫に向けられ、突起物に接続された魔法陣が眩く輝き、青白い閃光が放たれる。

しかし、羽虫は思ったよりも軽快な動きでそれを回避して海の向こうへと消えていった。

 

『ち、空中目標に対する命中精度に課題があるな』

『そもそも我が帝国以外に航空戦力を持つ国が存在するとは、ニパン国を少々侮りすぎたかも知れませんね』

『弾速の早い魔導砲でも当たらぬか、今後相手側もワイバーンを使ってくる場合も考えて対策を練らねばな』

『破壊力に優れるが弾速の遅い魔導爆裂砲は更に当たらんだろうな、こちらは対艦兵装としてより特化するべきか』

『空の敵には空の兵力だ、竜騎士団よ、出撃せよ!!』

 

比較的大きな甲板を持つ軍艦に描かれた魔法陣が光り輝くと、強力な上昇気流が発生し、ワイバーン竜騎士部隊が次々と発艦していく。

 

DDH-181ひゅうがの戦闘情報室で艦長は、レーダーに敵艦隊から発艦したと思われる航空勢力が護衛艦隊へ接近中との報告を受ける。

オペレーターが慌ただしく動き始め、まるで一つの生物のように振る舞う。

モニターにはレーダーに補足された輝点が規則正しく編隊を組み始め、警告文を発信したSH-60K哨戒ヘリを追尾するような軌道で護衛艦隊へと接近しつつあった。

 

(遅いな、だが敵が何を仕掛けてくるのか未知数な以上は、接近される前に撃墜させてもらう)

 

ひゅうがの艦長は、自分の指示一つで索敵情報端末に表示される命が失われる事を自覚しつつ、重い口調で攻撃指示を下す。

 

「SAMを発射せよ!」

「まきなみ、すずなみSAM発射しました!」

「目標敵航空機、ロックオン、迎撃準備完了!」

「発射!発射!目標7機、いえ、14機撃破!」

「ふゆずき、ゆうだちSAM発射!!」

 

(彼らは祖国のために我らに挑んできたのだろう、きっと過酷な訓練を積んでいたに違いない。だが、我らの後ろには守るべき民が居るのだ。許せ)

ひゅうがの艦長は席で手を組み、まるで祈るように暫く目を瞑った。

 

 

ガルチェア大陸・東ガルチェア方面

ウチノ海沖上空。

 

それは目の前に唐突に現れた。

編隊を組んでいた僚機が、赤々と輝く火の玉に包まれて跡形もなく爆散したのを目撃した竜騎士は、回避軌道を取る。

 

『何だ!一体何が起きてる!?』

『何かが飛んできて、ぎゃあぁぁっ!!!』

『誰か助けてくれ!!』

『死にたくないっ!!』

 

竜騎士団隊長は、次々と撃墜されていく仲間たちを尻目に東に向かって飛び続けた。

その時、彼は確かに目撃したのだ。鈍色に光を反射する槍のような物体が火を吹きながらこちらに向かって飛来するのを。

 

『光の・・・・槍っ!!!!?』

 

東の空より飛来したそれとワイバーンの影が交差する瞬間、赤黒い炎が花咲く。

元より航空機を想定した対空ミサイルは、大型とは言え人1名を載せられる程度の動物には過剰火力であり、それは正に一撃必殺であった。

 

『隊長!?ちっくしょう!!殺してやる!殺してやるぞ!』

『後に続け!かたきを討ってやる!!』

 

次々と仲間が撃墜されていく竜騎士団は残り僅かとなっていた。

だが、一部の隊員は偶然にもレーダーに補足されづらい低空を飛行していたため、ギリギリまでミサイルの標的にされていなかった。

 

「敵航空機2機本艦に接近中!」

「何っ!?」

 

DDG-175みょうこうの戦闘情報室に緊張が走る。

「迎撃しろ!急げ!」

「回避!回避!」

 

みょうこうの前面のCIWS高性能20mm機関砲が獣の咆哮の様な射撃音が響き渡り、甲高いガスタービンエンジンの音と共に船体が大きく揺れる。

 

『アレが!ニパンの船!!』

『射程外だろうが構うものか!撃てぇぇ!!』

 

竜騎士が手綱に魔力を送り、相棒に合図を送ると、ワイバーンは口を大きく開き紫煙が喉の奥から漏れ始める。

数種類の分泌腺から分泌液が噴射され、空気中の酸素と反応することで発火した高温のガスは、竜騎士の操る魔力の力場に包まれることで火球となり、高速で射出されたそれは輪郭があらわとなった、みょうこうへと直進していった。

 

『当たれ!』

『燃えつきろ蛮族め!』

 

だが、みょうこうへ届く遥か手前で魔力の力場が途絶え、火球はその形を維持できずに鎮火する。

僚機のブレスも海面に着弾し命中しなかった様だ。

 

『もっと近づいて、もっ…』

『あっ』

 

せめて一撃だけでも与えようと接近した竜騎士2名と2匹のワイバーンは、タングステン弾の嵐の前では無力であった。

鋼鉄のカーテンに阻まれるように、故郷から遠く離れた海で砕け散った彼らは、誰にも看取られることなく海へと沈んでいった。

「状況を報告せよ!」

「みょうこう健在、被害なし」

(レーダーに写りにくい性質か、偶然かも知れないが厄介だな)

 

「っ!!敵艦接近してきますっ!」

「SSM発射準備!」

SH-60Kヘリからのデータリンクで伝わる情報から敵艦の位置を確認し、対艦ミサイル発射の準備が整う。

「先頭の奴を狙うぞ!SSM発射せよ!」

「SSM発射!!」

「はやぶさ、SSM-1B発射!」

 

 

ネフィリア帝国海軍、ガルチェア統一軍東ガルチェア遠征隊・魔導艦隊。

竜騎士団を発艦させた彼らはもう既に勝利した気になっていた。

対空手段を持たない蛮族の船は、ワイバーンの放つ灼熱の吐息に焼かれて、水兵達は悶え苦しみながら海へと飛び込んでいくのである。

極東の蛮族ニパン、彼らも誉れ高き帝国海軍の糧となる存在であった。海の彼方から飛来する光の槍が飛来するまでは…。

『!?』

 

彼らに死は唐突に現れた。

電子の目と知性を持った異形の大槍が大気を引き裂き光の尾を引きながら飛来し、次々と魔導艦隊へと突き刺さり、天高く登る黒煙と火柱を立てて魔導船を原型もつかないほど木っ端微塵に粉砕したのだ。

『な、何だこれは!一体何だこれは!!!』

 

彼らの目に映るのは、海を叩き割り、噴き出す炎が天盤を焦がし、まるで炎の魔神が燃え盛る手で船を握りつぶし海に引きずり込む様な光景であった。

『状況を報告せよ!』

『巡洋艦ジャイノス戦闘不能!』

『装甲艇ブロッケン、大破した巡洋艦ギガスに巻き込まれた模様!』

『あの位置には、エレファンが居た筈だ。やられたのか?』

『魔導船ネフィウス、火災発生中!!』

 

次の瞬間、旗艦ギガノトの背後に居た僚艦グリズが青白い閃光を放つ。

 

ーー……轟音。

近くに居た巡洋艦の爆発に巻き込まれ、飛散した破片をまともに浴びた僚艦グリズは魔導砲の動力炉に致命的な損傷を受け、行き場の失った魔法エネルギーが暴走して、船体が自己崩壊を起こしたのである。

『障壁最大出力!』

『う、うわあああぁぁ!!』

 

旗艦ギガノトは常に展開している魔導障壁の出力を上げて辛うじて僚艦の連鎖爆発から身を守ると、改めて戦況を確認する。

『確認出来るだけでも魔導船の大凡6割が撃沈、戦列艦にも被害が広がっています』

『一体何が起きているんだ?』

再び遠く後ろの戦列艦が爆散する。

『我らは、我らは一体何を相手にしているというのだっ!!』

 

ガルチェア統一軍東ガルチェア遠征隊・魔導艦隊を地獄の業火に叩き落しつつ第3・第7護衛隊は、そのまま敵の方向に直進していた。

「地獄絵図とはこの事だな」

 

レーダー画像に映されていたそれは、既に肉眼でも確認できる距離へと接近していた。

どういう原理が働いているのか、赤に混じって青白い色の炎が吹き出しており、時折爆発閃光が敵艦隊から発する。

「酷い有様だな、まるで海上油田の火災の様だ」

「更に悪い、しかも燃えているのは人間だ」

「相手がまともなら、ここいらで降伏してくれると有り難いんだがな」

「っ!敵艦発砲!」

「そう簡単には行かないかっ!」

「敵砲撃、本艦の遥か手前に着弾!」

「射程距離外なのにぶっ放したのか?ヤケクソだな!」

 

ガルチェア統一軍東ガルチェア遠征隊・魔導艦隊は、今まで一方的に嬲りものにされていた謎の敵の姿を遂に発見し、激しい憤りと怒りによって我を忘れて対艦兵装の中でも最大威力の魔導爆裂砲を次々と発射したのだ。

高密度に圧縮された魔法エネルギーが放物線を描いて放たれ、重力に引かれて海面に落下すると大爆発を引き起こした。

「大した威力だな。日露戦争時代の戦艦くらいは火力があるんじゃないか?」

「それにしては射程距離が短すぎる。とは言え、あんなものを食らったらひとたまりもないな」

「砲撃戦も射程距離ではこちらの方が上だ!」

「オート・メラーラ 127 mm 砲、射撃用意、発射!」

「みょうこう、すずなみ、砲撃戦開始!」

「撃て!撃て!」

 

 

ガルチェア統一軍東ガルチェア遠征隊・魔導艦隊は得意分野である魔導砲撃戦ですら、第3・第7護衛隊に敵わなかった。船員達に恐怖と絶望が広がってゆく。

『魔導爆裂砲、命中せず』

『くそぉぉっ!射程まで奴らのほうが上だとは!』

『魔導爆裂砲ではなく、魔導砲に切り替えるべきではありませんか?』

『駄目だ、奴らの船は見るからに金属で出来ておる!弾速と射程が多少伸びたところで威力が足りなければ、あの装甲に弾かれるのが落ちだろう!』

『っ!!』

彼らは勘違いをしているが、現代軍の巡洋艦は第二次世界大戦程装甲が分厚い訳でもなく、基本的に攻撃を受けるよりも先に相手を仕留めることに特化している。

当然ながら軽量かつ丈夫な新素材が使用されているものの、一定上の火力の砲撃を喰らえば被害が発生していたかも知れなかった。

だが、それは無防備に魔導砲を浴びた場合の話である。

『ぐわああぁぁぁ!!!』

『装甲艇マジロ、轟沈!!』

FCSと高性能火薬によって優れた弾速と高い命中精度を誇る護衛艦隊の砲撃は、さながら厳しい大自然の嵐の如く、威容を誇った魔導艦隊を木の葉の様に沈めていく。

『あの、あのデカブツだ!あいつだけも道連れに!!』

『魔導機関最大出力!2連魔導爆裂砲、発射準備!!』

旗艦ギガノトの上部に設置された魔導機関に、ありったけの魔石がかき集められ、本来の想定出力を超える量の魔力が注入される。

魔導士の杖を巨大化したかのような、独特の形状を持つ砲身が赤熱し始め、各所から黒炎が吹き出し始める。

『ふは、ふはははははぁっ!貴様らのせいだ、貴様らが我らを此処まで追い詰めたからこうなるのだ!』

『そう、全ての責任は偉大なる神国ネフィリア帝国をここまで追い詰めた貴様らニパン族に帰すべきなのだ!』

『2連魔導爆裂砲、発射っっ!!』

 

DDH-181ひゅうがを狙った超高密度エネルギー砲弾は、海面を眩く照らしながら直進する。

構造限界を超えて放たれた砲弾は弾速と射程距離が伸びており、第3・第7護衛隊に届かんばかりの勢いで放たれたが、高性能レーダーとFCSに管理された電子の目と火砲によって、無慈悲に、合理的に彼らの最後の悪あがきは相殺されるのであった。

DDH-181ひゅうがを守るために放たれたオート・メラーラ 127 mm 砲は、見事に空中で火球を撃ち抜き、海面の水分を蒸発させながら大爆発させた。

 

旗艦ギガノトの船員たちにはまるで意味のわからない光景だった。

砲撃を砲撃で狙って撃ち落とすなど、神業を実現する技術など想像の埒外であったのだ。

『魔導爆裂砲が…墜とされた?』

『あ、ありえぬ』

『敵艦発砲!』

『先程の魔導爆裂砲撃の使用で、魔導回路が損傷!障壁を展開出来ません!』

『こんな、こんな現実があって溜まるか!』

『提督!』

『認めぬ、認められぬ許さんぞぉぉ!!』

『総員、何かに掴まれ!!』

 

『そんな馬鹿なっ!!!!』

 

次の瞬間、鋼鉄の砲弾が旗艦ギガノトの喫水線に命中する。

ネフィリア帝国が誇る最先端技術で建造された人の手で作られし海魔は、ウチノ海に2つ目の太陽が出現したかの如く眩い閃光を放ち、爆沈した。

 

後にミニマニア海戦と呼ばれた日本国側の一方的な蹂躙劇は、極東の新興国の圧倒的勝利という日本を知らぬ殆どの国の予想外の結果となった。

この海戦から少し遅れて起こった陸上での戦いと合わせて、ネフィリア崩壊の序曲と歴史に記されることとなる。

 

ガルチェア統一軍東ガルチェア遠征隊・魔導艦隊、ミニマニアの海に散る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔導船

主に通常の帆船同様、風を捉えて推進力にする帆船であるが、魔導機関を用いた水流操作技術で任意の方向に小規模な海流を発生させ、船ごと押し流す事ができる。

また、バリスタや艦載用投石機が主流の異次元惑星エルメチスでは破格の破壊力を持つ大型の固定式魔法陣があり、魔導機関の出力を回路に回す事で炸裂魔法を発射することが出来る。その威力は戦艦三笠の12インチ砲に匹敵する破壊力で着弾時に爆発する。

特に旗艦ギガノトは最新鋭の2連魔導砲を2門搭載している。

仕組み自体は魔法陣の上で魔導士が詠唱して杖先から魔法を発射する儀式魔法の単純なスケールアップ版の為に、この世界では普遍的な技術であるが、それを実現する財力を持つ国はネフィリア帝国くらいしかない。しかし、射程距離は短く照準は人力なので命中精度を高めるためには至近距離まで接近する必要がある。

更に恐ろしいことに、魔力伝導性の高い希少な木材と大型の魔物の鱗や外殻をフレームに補強することで薄い魔力障壁が装甲を覆い、圧倒的な防御力と魔法出力上昇を実現している。

しかし、それは異次元惑星エルメチスの一般的な海軍の船が相手の場合であり、自衛隊のあらゆる重火器の前ではどちらも大差ない。防げたとしても対物ライフル数発程度。

 

ワイバーン(海洋種)

主に大型の魚を専門とする肉食の大型爬虫類で、馬と同程度の知能がある。

家畜化には長い年月がかかり、比較的温和な陸生種と掛け合わせる原始的な品種改良で最近になって人を載せて人の指示を受ける程度の温和さを獲得した。

野生下では近縁種である陸生種と度々縄張り争いをし、進化の過程で毒腺が変化した発火液噴射口から火炎放射を浴びせ翼膜を焼失させ落下させる苛烈な生存競争をする。

発火液は逆流を防ぐために体外で点火し、数種類の分泌液を別々の分泌線から噴射することで霧状になりながら大気中で混合し、空気中の酸素と反応することで自然発火する。分泌腺の1つでも不具合があると発火するプロセスが崩れて発火しないが、可燃物なので注意が必要。

毒腺が変化して火炎放射を獲得したのがごく最近の期間であり、ワイバーン自体の熱耐性は然程高いわけではない。

魚を捕食しては小島の巣に持ち帰り、幼竜に餌を与える生態を持ち、ネフィリア帝国が大型船を小島に見立てて飼育するには都合の良い性質であった。

また魔導士が特殊な顔料で魔法陣を翼膜にペインティングする事で、風魔法を利用した補助推進力を得てるので、鎧を着込んでいても裸のままとほぼ変わらない軽快さで飛行可能となっている。約100~140km/hキロ程度の速度で飛行可能

しかし、訓練を積んだ精鋭部隊のワイバーンともなると1匹当たりの予算でも小国ならば王城が建てられるほどにかかり、現状ネフィリア帝国を含む僅かな列強国くらいしか運用できていない。

 




1死に至る病に侵された帝国の皇帝が治療薬を求めて周辺国を好き放題→
2技術力に優れた国をガンガン取り込み医学知識も蓄積されるが治療薬見つからず→
3人魚の肉が不老不死の効果あり(とされてる)→
4日本列島まるごと異世界転移→
5日本海側に人魚島があり人魚達が亡命することで日本領土に編入される→
6沿岸部のまだ帝国に侵略されてない国に接触、異世界の大陸の橋頭堡として沿岸部の国と国交を結ぶ、海の向こうから島国が接触してきたという噂→
7交渉中に人魚島関連で領土問題に、沿岸部の国々が実効支配出来ていないことから正式に日本領土と認められる→
8人魚島と日本の噂が流れ帝国に察知される→
9恫喝めいた領土交渉と生殺与奪の権を侵害する気満々の態度で交渉決裂→
10帝国が戦争ふっかけてくるも返り討ちに→イマココ!
11帝国撃破、皇帝陛下しにたくなーい!(絶叫)→
12結局皇帝は末期がんで死亡、普通に国交結んでいたら手術が間に合ったかも知れない→
13大陸の国々や人魚を初めとした亜人達と交流を結び、共に発展していく(完)




…流石に長いので海戦と陸戦は分割します。
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