ブラックルームの最高傑作 山内春樹   作:たかきょう

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7月.暴力事件

 

 

7月1日になったのだが、なぜかプライベートポイントが振り込まれていなかった。確認して見たところ、中間試験のボーナスによってDクラスのクラスポイントは87になっていた。つまり、8700プライベートポイントが支給されていなければおかしいのだ。

 

 

茶柱曰く、トラブルが起こったとのこと。

 

 

(十中八九、志保が言っていたように龍園が須藤に何か仕掛けたんだろうね...俺の推測だと明日辺りに全てが明かされるはずだ...)

 

 

俺の推測は正しかった。翌日になるとその全容が明かされた。

 

 

何でも、特別棟にて須藤とCクラスの石崎、小宮、近藤とかいう奴らとの間で暴力沙汰に発展して須藤がCクラス側に訴えられたらしい。その際に双方が先に手を出して来たのは相手側だと主張した事で白黒をはっきりさせるための審議が開かれる事になったらしい。

 

 

須藤はさっきから『相手は三人がかりだぞ!?』だの『正当防衛だ!』だのと喚いているが本人が無抵抗だったのならともかく、お前だって反撃したんだろ?とツッコミたい。コイツは過剰防衛という言葉を知らないのだろうか?

 

 

(それはともかく、このままだとまずい...)

 

 

石崎、小宮、近藤の三人が怪我を負ったというのに一方の須藤の方はピンピンしているし、おまけに須藤は4月から問題行動が目立つ人間だ。このままでは勝算は低い。

 

 

下手をすれば度重なる問題行動も相まって須藤に退学処分が言い渡される可能性すらもある。前にも言ったように暴力沙汰といった犯罪による退学はブラックルーム生としてのペナルティには引っ掛からないとはいえ、汚点の一つになるのは事実だ。

 

 

HRが終わった後の教室内の空気は最悪と言っていいものだったが、人気者の平田と櫛田が須藤への協力を表明すると次第に落ち着いていった。

 

 

えっ?俺はどうするのかって?俺はとりあえず、【櫛田ちゃんがやるなら俺も!】みたいなスタンスで行こうとは思っている。

 

 

それに実は俺には今回の件の目撃者の目星はついているのだ。

 

 

(佐倉の奴、目が泳いでいたな...俺は見逃してないぞ。)

 

 

『告白されたけどブスだから断った』だのと普段から俺が見栄を張るために利用させてもらっている佐倉愛里という女だ。さらに俺の直感だと櫛田も佐倉が目撃者だと気づいているはずなのでこの後にも接触を図るはずだ。

 

 

ちなみに実はこの佐倉愛里の正体は人気グラビアアイドルの『雫』で間違いないのだが、本人が明かすつもりがないのなら俺からも言及はしないでおこう...いや、万が一の話だが櫛田が動かなかった場合はこの事をネタに脅迫して無理矢理にでも協力させて俺の手駒にするつもりでいる...

 

 

 

 

...なんて、考えていたが結局は万が一の事態にはなる事もなく、櫛田や綾小路が佐倉と接触を図ろうとしているのを目撃した。

 

 

(佐倉は人見知りで面倒事を嫌う性格...果たして協力は得られるだろうか?)

 

 

まぁ、そこのところはホワイトルームの最高傑作が何とかしてくれるだろう。これで俺が動く必要もなくなったし、後はあいつらに任せて元の日常に戻るとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・

 

 

そして、後日。何とCクラス側が訴えを取り下げるという謎の展開で暴力事件は幕を下ろす形となった。

 

 

(大方、カメラのない特別棟に偽の監視カメラを仕掛ける事で『実はカメラがあったのを見落としていた』と錯覚させたところで脅しを仕掛けたってところか?一回目の審議では優勢且つ、強気だった石崎達が再審議になる直前に急に訴えを取り下げたとするならそれしかあり得ないからな。綾小路も中々やるな...)

 

 

自分の部屋でそう考えながら、俺は早くも次の事について考えていた。

 

 

(夏休みか...バカンスに連れて行くだの言っていたが、そう甘くはないだろうな...まさか、無人島なんかに連れて行かれてサバイバルなんて事もあり得るか?普通なら考えられないが【希望の進路に応える】なんて謳っておきながら、Sシステムなんていじわるな制度を作るこの学校の事だからな...)

 

 

歴代のブラックルームの先輩方も俺のような苦悩を抱えた学校生活を送っていたと思うと、少しだけ可哀想になってきたな...

 

 

 

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