高町なのはのIS学園見聞録外伝 我こそ、戦車道極めし者 作:ピロッチ
1、この作品は「魔法戦記リリカルなのはIS 高町なのはのIS学園見聞録」
の外伝作品扱いなので、そっちを閲覧しないと
理解できない点が多々あります。
2、以下のオリジナル要素があります。
・全国大会出場校
・西住一門
・悪の組織
3、人外化生が出ます。
4、本来レギュレーション外の戦車が
「とある理由」で使用可能とされています。
5、追記・修正はちょくちょく入ります。
6、なのはさんマジ戦闘民族
それでも良いという方は、続きをどうぞ。
「どうぞ、お掛け下さい。」
その日、IS学園に来訪した老婆と中年女性のとある親子連れが応接室へ通された。
応対するのは学園理事長の高木順一朗と学園長の轡木夫人である。
「では改めまして、私が当学園理事長の高木と申します。
こちらが学園長の轡木となります。どうぞ宜しく。」
「西住流宗家家元、西住りほと申します。こちらが娘で筆頭師範のしほになります。」
「宜しく、お願いします。」
「いやはや、まさか日本戦車道二大流派の宗家一門たるあなた方が
当学園にお越しになるとは!いや全く、同じ女性の競技を教える者として
一度お会いしたいとは予予考えておりましたが…」
「はぁ…左様ですか。何はともあれ、まずは本題から。」
戦車道とは戦間期に創始され、
「礼節に富み、淑やかで慎ましく、凛々しい婦女子を育成する事」
を目指し、徹底的な安全対策の下で戦車戦を行う淑女の競技である。
「分かりました。それで、その本題とはどういったご用件で?」
「はい。実は貴校のとある生徒について御相談がありまして…
その生徒と当家との血縁関係をDNA鑑定なり
何なりで確認を取らせて頂きたく、お願いにお伺いした次第でして。」
「とある生徒…?」
「確か…高町と言う名字だったかと…。」
「高町…、ああ、1年1組所属の高町なのはさんですな?」
「はい、その名前で間違いありません。貴校の関係者には
当人の合意なき干渉が禁じられているという事ですので、
何卒当人にも事情を説明し、合意を頂ける様話し合いをさせて頂ければ…。」
「成程。まあ当方は一向に構わないのですが…」
「何か?」
「該当の生徒は相当の問題児でしてな、
何しろ入学初日に担任と決闘騒ぎを起こして負傷させ、
担任の額にはその時の傷が残る始末でして…」
「「…………ワァ…(怖気」」
「それと、もう一つお伺いしたいのですが。
もし彼女との血縁関係があった場合、家元は如何なさるお積もりで?」
「二度と、国内に入れない様に取り計らって頂きたく。」
「「…………はい?」」
「信じ難い事なのですが、もし彼女と当家に血縁が有った場合…
となるのです。」
「どう言う事でしょうか?」
「申し訳ありませんが、戦車道関係者以外には
お教えする事すら憚られる程の重大事でして…
どうしてもと仰るのであれば、
当人同席の上でならご説明致しましょう。」
「は、はぁ…。それでは、当人を呼び出しても構いませんね?」
「はい、宜しくお願いします。」
ピーンポーンパーンポーン…
『こちらは学園理事会です。1年1組の高町なのはさん。
学園長がお呼びです。直ちに応接室まで来て下さい。
1年1組の高町なのはさんは、応接室まで来て下さい。』
と、言う訳で早速なのはを応接室に呼び出す為学園にアナウンスが。
そして、西住親子になのはの洗礼が降りかかる!
「なのおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」
ズドォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!
何者が謎の雄叫びと共に上から降ってきた。
「「「「うわあああああああああああああああああああああ!!!!!」」」」
いきなり上から降って来たその女こそIS学園が誇る恐怖の権化、
暴走核弾頭こと高町なのはその人である。
「そこの学園長…人を食事中に呼び出すとは…何なの?」
運の悪い事にこの時間は昼休憩中、なのはは食事を邪魔されて怒り心頭だった。
「ヒィ!全身殺意の塊!!」
「(お、お母様?何ですかこの殺意の塊は?!)」
「(わ、ワシは知らんぞい!こ、この者の殺意…やはり…『奴』の…)」
「た、たたたた高町さんお、おおおお落ち着いてききききき聞いて下さい、
ここここここちらは日本戦車道二大流派のいいいいいい一角、
ににににに西住流の宗家家元さんとととそのむむむ娘さんででででして…」
震えながら西住親子の素性を説明する轡木学園長。
すると、なのはが急に殺意を解く。
「戦車道…………ナンデスカソレハ?」
「はぁ?」
「いやだから、ナンデスカソレハ?」
そりゃそうだ。なのはは戦車道の概念がない惑星で生きてきた異世界人。
戦車道などという単語を急に出されたらこうなるのは当然である。
「えーと、高町さん?もしかして…戦車道を…御存知ない?」
「全く聞いた事もない単語なの!…戦車専用のインフラ?」
「え、えーと…その…御夫人、高町さんは戦車道を御存知無いそうなので、
ここは一つ、流派の宗家一門らしく簡潔にご説明を…」
「宜しいでしょう。戦車道とはWW2終結以前の戦車にて戦車戦を行う
女性の武道で有り、『礼節に富み、淑やかで慎ましく…。」
カツン!!
「!!」
しほがそこまで言葉を発した所で、なのははいきなり床を踏み鳴らす。
「ははーん、おばさん、さてはエアプ勢かな?」
「ちょ、え、エアプ?!」「き、君、何て事を言うんだ?!」
「え、えあ…ぷ…?」
「つまり素人と言った。」
そしてこの一言である。尚、言われた相手は国内二大流派の次期家元である。
「な、な、な、な、何て失礼な事を言うんだ!!」
「そうですよ!!こ、この方は国内二大流派の次期家元で…」
⌒*(◎谷◎)*⌒
肩書きに用は無いッ!!
「「「「ヒイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!」」」」
いきなりキレるなのは。彼女が暴走核弾頭という渾名を付けられる所以である。
「『道』の説明を請われて公式サイトに書いてある様な定義を語る奴は素人なの!
私なら…こう答えるの!戦車道とは…」
■■■■■■■■■、■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■だと!
「「ぴいいいいいいいいいいいいいいいいい~~~~~~~~~~~ッ!」」
なのはの言葉を聞いた瞬間、西住親子は腰を抜かし
涙目で抱き合い金切り声を上げて竦み上がった。もう滅茶苦茶である。
「ほ、ほほほ本日は是でし、し、失礼させて頂きます!!」
西住親子は逃げる様に応接室を去り、学園のある人工島を離れていった…。
「で?あの人達は何がしたかったの?!」
「え、えーと…高町さんとの血縁関係の確認の為、
DNA鑑定の同意が欲しいと言う事で御相談にいらしていたのですが…」
「はぁ~…まあ仕方ないからDNA鑑定くらいは受けるの!
それじゃ、私は食事中だからでこの辺で!」
こうして、なのはは食事に戻り、後日採血の上DNAのサンプルを
西住親子に送ったのであった。
「はぁ…酷い目に遭いましたねお母様。」
「全くじゃ!しかし、何をどうしたら
あそこまで殺意塗れになれるのやら…ああ、そうじゃ。」
(ここの生徒の一人が以前当家の門下生である姉に連れられて本邸に来た際、
偶々見てしまった『奴』の遺影にそっくりな生徒がいると聞いて来たが…
他人の空似であれば良いがのう…)
「何か?」「あ奴は今どうしておる?」
「あの子ですか?今あの子は茨城の女子校にいるそうです。」
「あの面汚しめ…そのまま大人しくしておれば良いのじゃが…。」
「そう…ですね…。」
「だが、今度戦車道に関わる様であれば…分かっておるな?」
「はい、その時はもう娘とは思いません。
徹底的に心を折り、飼い殺しも覚悟の上です。」
「それで良い…なんだかんだ言ってあれも一応は孫、死なせる訳には行かぬ。
今のワシ等があ奴を生かすには、もうこれしかないのじゃ。
婿殿にもしっかり念押しをしておく事、ゆめ忘れるでないぞ。」
「分かっております。」
(それにしても、戦車道のせの字も知らない人間が、
何故『あの子』と同じ答えを…?まさか私の一言だけでその答えに達したとでも?
だとしたら彼女は一体何者?とてもこの世の者とは思えない…
嫌な予感しかしないわ…もし、彼女が娘と接触してしまったら…)
帰りの車中で何かを相談する西住親子。
この一族も相当の訳あり、暗い事情を抱えている様だ。
だが、その全貌は未だ見えない…。
その日の夕方…
ここは太平洋上、夕暮れの海を旧日本海軍の翔鶴型空母に酷似した
一隻の艦が航行していた。しかし何かがおかしい。
それもその筈、その「翔鶴型」の全長は何と7.6km。
富士山の標高の倍を超えるとんでもない巨船である。
この巨大船の正体は学園艦と呼ばれる超巨大メガフロート型学園都市。
茨城県東茨城郡大洗町に本拠地を持つ女子校「大洗女子学園」である。
そして、その上をとぼとぼと学生寮の自室に戻る女生徒が約一名。
「はぁ…折角戦車道の無い高校に転校したのに…」
この女生徒は西住みほ。西住流家元りほの孫の一人であり、
しほの次女に当たる高校2年生である。
そんな名門の子が何故戦車道の無い高校に一人通っているのかと言うと、
実は彼女、以前通っていた戦車道の強豪校「黒森峰女学園」では
姉まほの指揮の下で副隊長をしていたのだが、
十連覇のかかった全国大会決勝戦で
増水した川に戦車ごと転落した仲間を救うべく川に飛び込み、
仲間は救えたがその隙を突かれてチームは敗北。
十連覇を棒に振った事を親や周囲から過剰なまでに責められ、
心に傷を負って実家のある熊本から家出同然に茨城へ逃げ、
今でもその事がトラウマとなっており、戦車道から身を退いていた…のだが…
「どうしてよりによって機甲科が復活するかなぁ…?」
何と、「とある理由」により今年度から機甲科が復活。
みほの元にも生徒会長の
機甲科に転属の誘いが来ていたのだった。
そんなこんなでその場は保留して、家路についていたみほだったが…
「見つけたり…」「……………えっ?」
突如聞こえる謎の声。その異様さに驚いて固まるみほ。
何しろその声は上空から聞こえたのだから。そして次の瞬間!
「ぬううううううううううううううううん!!!」
ズドォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!
何者が謎の雄叫びと共に上から降ってきた。
「ぴいいいいいいいいいいいいいいいいい~~~~~~~~~~~ッ!」
いきなり目の前に降ってきた何者かに金切り声を上げてへたり込むみほ。
その何者かは黒ずくめで、体型からして女である事は明白だった。
だが、その人相は全く分からない。何しろその何者かの顔は般若の面が覆っていたのだ。
そして、般若面の女はみほの方へ一歩進み出、みほに問いかけた。
「そこの者…うぬは、西住の子だな?」(声:安西光義)
「アッハイ…わ、私…西住みほと言います…。
えーと、その…どちら様でしょう?」
「我が名は般若仮面…我こそは…『戦車道を極めし者』!」
「せ、戦車道を…極めし…者?」
「戦車道を極めし者」。それがどれ程大それた肩書きであるかは
二大流派の一門に産まれたみほならよく知っている。
そして、だからこそ分かった。
「(この人、本物だ。絶対口先だけの人じゃない…)」
「西住の子よ、うぬに二つの危機が迫りつつある…
故に我はその警告を与えに来た。」
「危機…ですか?」
「左様。一つはこの学舎の消滅の危機なり!
本土の者共はこの学舎が今度の戦車道大会にて頂点に立たねば、
廃校とする事を決めたと言う!」
「ええええっ!!優勝しないと此処が廃校に?!」
(そうか、だから先輩は私を機甲科にスカウトしたんだ…。)
「左様。そして、もう一つもまた重大なり…!」
「ゴクリ…、な、何が起こったんですか?」
「うぬの母は呪われている。今、奴は気が狂っているのだ!」
「はいぃ?」
「なにいってだこいつ」と言わんばかりに呆れるみほ。当たり前だ。
般若面を被った黒ずくめの女が空から降ってきて
「お前のママがおかしくなった」と言われたら大抵の人間はこうなるのだ。
「え、えーと…それは…どういう事…なんですか?」
「言葉の通りなり。奴は、そしてその周囲は邪悪に魅入られ、
心を、流派を歪められておる!うぬは、それをどう思う?」
「じゃ、邪悪…?」
「奴等の目的は一つ…『戦車道廃絶』なり!」
「戦車道…廃絶…!戦車道が、無くなっちゃうって事ですか?!
それじゃ、お母さんは…お母さんだけじゃなくて、
お父さんも、お姉ちゃんも、お婆ちゃんも…」
「左様、『西住』は『用済み』と成り下がり、
うぬはおろか、門下ごとこの世から消されるであろう!」
「…………!!!」
般若仮面の宣言にとうとう言葉が出なくなるみほ。
家族と門下生ごと西住家を消そうとしている何かに
母の心が乗っ取られていると知らされ、
折角立ち上がったのにまたもやへたり込んでしまった。
「そ、そんな…消されちゃうの…みんな…居なくなっちゃうの…?
やだよ…そんなの…絶対嫌だよぉ…。」
「だが安心せよ。うぬは、その邪悪を無に帰し得る唯一の存在である!」
「無に帰すって…私が、皆を助けられるって事…なんですか?」
「左様。うぬは今一度戦車道に立ち戻り、天下に覇を唱えいっ!
救いの道は、そこから齎されよう…。」
「私が、戦車道で…天下に覇を…?でも、私は…」
「去年の事が気に掛かるか?安心せよ。汝に罪無し!!
素人が助けに行く無謀は責められて然るべきだが、
西住流が犠牲無くして勝利無しと説くのなら、
十連覇を犠牲に仲間の命と言う勝利を得た事を
どの口で咎め立て出来ようか!!
何より…半世紀前、蹴球で似た様な事をした者がかつていた!
その者はどうなったか知っておるか?
神と呼ばれし者ですら満点能わなかった批評誌が
史上初の満点を与えて是を評した。
戦車道より遥かに歴史長く、世に広まりし球技でもこれ位は弁えている!
だが、うぬの周囲も母もをそれを責めるばかり…
これ即ち奴等が悪に呪われ、気が狂った証…故に、正気に戻さねばならん!
本当なら我が片付けてやりたい所だが
困った事に我の姿はうぬの母を更に狂わせ逆効果なり!だが、うぬなれば…!」
「ゴクリ…でも般若仮面さん!それってつまり…
私は…西住流に…逆らわないと…いけないんですよね…?」
「ならば流派ごと打ち砕け!本物の西住ならば、それ位で斃れはせぬ。
それで斃れるなら、所詮うぬの母はその程度の女だったと言う事よ。
その上で堂々と看板を奪えば誰も咎めはすまい。
流派等、所詮誰かの我流を余人が有り難がっているだけに過ぎぬ。
気に入らぬのなら、創れる者が勝手に創って何ぞ咎められようか?」
「流派は誰かの我流…創れるなら創れば良い…
じゃあ、私が自分の戦車道を…自分の流派を…自分で創っても…。
私しか出来ないなら…なら、私、また戦車道やってみます!
そしてお母さんを…皆を正気に戻してみせます!」
「心は決まったな?良かろう。
我と志を同じくする心ある者が、うぬの救いとなるであろう。」
翌日、みほは杏の元に直行し、
自身が隊長を務める事、優勝しないと廃校になるという事実を公表し、
戦車道の部員を募集する事を条件に機甲科への転属を合意。
生徒会もこれを受け入れ、ここに20年振りに
大洗女子学園に戦車道部が再建されたのであった。
そして後世はこの日をこう伝えている。「戦車道の終焉と創始の始まり」と…。
本編そっちのけでまさかのなのは×戦車道。
でもやりたいからやる。ディス・イズ・ミー。
そして、早速しほママの不憫ポイントが溜まっていく…。