高町なのはのIS学園見聞録外伝 我こそ、戦車道極めし者 作:ピロッチ
だが、家元は自分だけ居れば良い宣言なんかして大丈夫なのか?
「な、何て事を…。」
「『家元は私一人居れば良い』って…じゃあ…西住流も島田流も、
日本中の流派と言う流派を、全部潰す宣言って事?!」
「こうしてはいられない、すぐにお母様に連絡を…」
と、ここでまほのスマホが鳴り出す。画面を見ると、
丁度良い事に母しほからの電話だった。
「もしもし、私です。今、TVでみほが…」
『もう見ました!!…まさかここまで大それた暴挙をやらかすなんて!!』
電話の向こうのしほの声は怒りと狼狽と呆れその他諸々の感情が混ざった様な
混乱している事が明白な声色だった。
「あの、私は最後の『家元は私一人居れば良い』
の部分からしか見ていないのですが、みほは…何故新流派の創設宣言を?」
『「犠牲無くして勝利無し」をお題目に
西住流を「常勝無敗、勝利が全ての鉄の流派」と過剰に祭り上げたマスメディアと、
それらと結託し、先に生まれたと言うだけで己が本家よりも目上と思い込み、
本家への敬意を忘れて流派の在り方に口を挟み、親姉妹を勝つ事しか考えず
人命より連覇を優先する三文安の乱心者に貶めた分家親族、
そしてそんな連中を持て囃し、支援するPTAやOGを絶対に許さない。
本家を正気に戻す為、自ら興した流派で西住流を数多く有る流派の一つに蹴落とし、
それらと絶縁させる。序でに島田流を含む残る諸流派も蹴散らして
日本全ての流派を統一し、今ある戦車道に替わり自分が新たなる戦車道の祖となる…
あの子…否、奴はそう言ったのよ!!』
「さ、三文安の乱心者?!本当に、みほが私達を…西住家をそう罵ったのですか?」
『そうよ…!口では西住本家に責任は無く、周囲が貶めたと言っているけど…
本心ではそれが奴の我が家への評価なのでしょう。』
実の娘を奴呼ばわり。それ程みほの行為が許し難いのだろう。
「それで、家元は…お祖母様は?」『倒れました。』「倒れた?!」
『ええ、会見を見たショックで卒倒して…今も意識が無いわ。
さっき救急車を呼んで、救助待ちの状態よ。』
確かにスマホの向こうからは西住家女中頭、
「大奥様、お気を確かに!」という声が聞こえている。
「何て事を…そうだ、みほに連絡は?」
『無理です。携帯が解約されていました。直接会うしかありません。』
「そんな…何故、どうして…。ああ、お母様。最後にみほが言っていた
戦車と共に散って尚、戦いを求める亡霊云々は一体…」
『止めて!!』
今までに無い強い口調で言葉を止めるしほ。
『もう聞きたくないわ…まほ、二度とその言葉を母の前で口に出さないで!!
もし家元が聞いたら、いくらアナタでも破門は免れないと思いなさい!!』
「…出過ぎた言葉でした。それで、こんな時に言うのも何ですが…
東雲特車から本日車輌の寄贈が…。」
『どう使うかはアナタの裁量に任せます。しっかり習熟し、
必ずみほを、あの裏切り者を…そして大洗・IS学園連合軍を潰しなさい。
末代まで戦車道に関わる気も起こらない位に。
奴は戦車道に関わる全ての者に中指を立てた。
永遠に戦車道に関わる資格無き外道に堕ちた…そう考えなさい。』
「…分かりました、全力を尽くします。ですが一つお願いが。」
『何ですか?』
「私が勝ったら、何故そこまでみほのした事に憎しみを露わになさるのか…
説明して頂けますか?」
『…良いでしょう。奴に勝てたら全てを話しましょう…では。』
通話を終えると、しほは本邸の奥へ歩み出す。
向かった先は本邸の最奥部、開かずの間と呼ばれる物置だった。
「(『あの子』がかつて語ったあの子の戦車道は
あの日あの女…高町なのはが、戦車道のせの字も知らない人間が
『戦車道とは何か』に対し、何の予備知識も無しに叩き出した答えと全く同じ…。
何故…彼女は当家と何の血縁もない筈…何故?どうして全く同じ答えを?
そして、どうしてみほにそれを吹き込んだ…高町なのは!!)」
その扉を開け、中に入ると奥に紫の布で隠された扁平な何か。
しほはその布を取り去ると、現れた何かに一言恨み言をぶつけた。
「何処まで我が家を、戦車道を呪うのよ…そんなに我が家が嫌いなの?…■■!!」
布の下から現れたのは一枚の実物大の顔写真。その髪はしほより黒い全くの漆黒。
亡者の如き蒼白の顔に、殺意に満ちた漆黒の眼光。そして何より、
その顔はなのはに瓜二つ。正に「闇のなのは」と言うべき一人の女の遺影だった。
群馬県 島田邸
一方、こちらは東日本最大流派、島田流の宗家本邸。
「やってくれたわね…。」
宗家に仕える女中からみほの会見を聞かされた現家元の千代が画面の前で
怒りに打ち震えていた。
「我が島田流を『序で』?ええ、そうでしょうね…『彼女』にとって、
我が一族はいつも眼中にすらなかった…今も変わりは無いと言いたいのね…■■!」
その足下には折れた扇子。憤りの余り折ってしまっていた。
「奥様、お嬢様からお電話です。」
「愛里寿から?すぐにこちらへ!」「はい!」
別の女中から自分宛の電話の知らせが届く。相手は千代の一人娘の
13歳ながら既に小中高を飛び級で卒業し、現役大学生として、
そして次期家元として天才の名を恣とする次代である。
『お母様…今の会見は一体、何?…島田流は価値が無いってどういう事?』
「愛里寿、落ち着いて聞きなさい。あれは、
…知ろうとする事すら決して許されない、戦車道に関わる人々全てを敵に回す
冥府魔道の流派が蘇ろうとしているのよ。」
『冥府魔道の流派…?』
「そう、西住家がかつて『戦車道その物に犯した最大最悪の罪』の証…。
今不完全な内に、島田の看板を賭けてでも、鬼皇流を…西住みほを
二度と戦車道に関わる気にならなくなる位徹底的に叩きのめさなければならないの。
さもなくば…日本から、否、この世から戦車道は消えて無くなるわ!」
『戦車道が…消える?!』
「例え消えずとも、私達の知る戦車道とは別物に成り果てる。
あれは…そういう物よ。」
『………………………………。』
「近い内に、私は彼女に真意を問い糺します。
事と次第によっては、一戦交えなければならなくなる…
それだけは、頭に入れておきなさい!」
『はい…。』
一方、会見をした側はどうなったかと言うと…
「…………ねえ、西住ちゃん?」
「何でしょう。」「その…何と言うか…ちょっと言い過ぎじゃなかった?」
「…どこら辺がですか?」
「『日本戦車道に、家元は私一人居れば良い』は流石にヤバいだろう!
今ある流派全部に喧嘩売るのはどう考えても無謀過ぎる!!」
「これで良いんです。
どの道鬼皇流が流派として確立したら、二大流派すら完封される。
それならそれ以外の諸流は完全に存在する理由が無くなる。
だから、ひと思いに『消す』って宣言した方が良いんです。」
「わぁ…豪快だなぁ(棒」
「言ってる場合か?!大洗町の学園本部には
抗議やら事情の説明を求める電話が引っ切りなしに掛かってきて、
学園長から『何て事をしてくれたんだ!』って怒られたんだぞ!!」
「まあ、覚悟の上です。」
「この前も西住ちゃん家の本家筋って名乗る
東京の偉い武道の家元さんの所からもお叱りの電話が来てたけど…
確か…何て言ったっけ?凄い聞き慣れない名字だったんだけど…。」
「それって…
「古馬塚家?」
「はい、古馬塚家はアジア最大のスポーツ用具メーカー
戦車道を含めた武道の機材も手懸ける東雲特車以前の日本戦車道最大手スポンサーなんです。
血縁的には私の実家西住家の初代の兄の子孫にあたる方々…所謂本家筋の一族で、
西住と言う名字も九州…向こうから見て『西』に『住』家を構えた所から来てるんです。」
「…あっ(察し」
「シェアをウチの
「『今すぐ撤回して謝罪なさい』『年長者のアドバイスは素直に聞く物ですよ』
だの、相当上から目線だったのに腹を立てた家元後見役のなのはさんが
代理で『素人は黙っとれ』でバッサリ切り捨てたけど、
向こうは相当お怒りみたいだよ。『分家の分家がどこまで傲り昂ぶるか!』
って剣道の広報で家元さん相当怒ってたよ。」
「分かってます。そんな人が居るから、西住家は駄目になったって事も。
絶対に縁切りさせて、二度と口出し出来なくする。その為の鬼皇流です。」
「あの~、お話の途中申し訳無いんですけど…。」
「んん?どっかした?」
「西住殿って…例の旗揚げ宣言の件で
今日日戦連本部に呼ばれてませんでしたっけ?」
「マジで?!」
「おいおいおい!ドタキャンはまずいぞ、今から行って間に合うのか?!」
「大丈夫です。後見人の方々に代わりに行って貰ったんで。」
「方々…?」「ええ。なのはさんと……さんと…さんの3人に。」
「「「げっ!!!」」」
日戦連本部 大会議室
「「「「「………………………………………………………………………。」」」」」
この日、日戦連本部の大会議室には鬼皇流旗揚げと全流派への宣戦布告に対する
事情説明を求めてみほを呼び出した二大流派の家元を初め
PTA、文科省、日戦連の主要メンバー総出で迎撃態勢を固めていたのだが…
そこにやって来た思わぬ来訪者に一同何も言葉が出ない状況だった。
「その…何故、お三方がこちらに?」
「見て分からない?鬼皇流家元後見役にして
パトロンとして代わりに来てやったんだよ!」
「家元は本拠地選定で忙しいので、要件は我々が代わりに承ろう。」
「それで?今日はどこのどいつが当流に文句があるのかな?」
そこに現れたのは、高町なのは、篠ノ之束、織斑千冬の3人。
後年、鬼より怖い大魔王3人衆と全人類が戦いた
極悪トリオがよりによって集結してしまったのだ。
原作未登場のAFV紹介 その8
FCM F1
ドイツ軍の要塞線突破用のフランス製試製超重戦車。
量産命令が発令された戦車の中では史上最重の戦車。
※下記の数値は作中世界でのみ通用する数値で、史実と同一とは限りません。
寸法 車体長10.53×車幅3.1×全高4.21㍍
機関 ルノー製 V型12気筒ガソリンエンジン
「KGM・束カスタム」×2
合計1,500馬力(史実:1,100馬力)
最高速度 40㎞/時(史実:20㎞/時)
重量 145㌧
乗員 9名
武装
主砲:50口径90㎜砲「DCA30」×1
副砲:53口径47㎜砲「SA37」×1
機銃:20㎜連装機銃×1、7.5㎜機銃「MAC31」×6
装甲(単位:㎜)
防盾 120
砲塔 前面 側面 後面 天板
120/120/120/30
車体 前面 側面 後面 天板 底板
120/120/120/30/40
本作での変更点
開発中、前面120㎜、それ以外は100㎜だった装甲厚を
全周120㎜に増厚する事を上層部から要求された史実から、
装甲をその要求を満たした形に増厚。
序でに束手ずから主機をチューンした事で出力400馬力増しに加え
変速機の調節も行われ、最高速度が何と2倍に跳ね上がった。