高町なのはのIS学園見聞録外伝 我こそ、戦車道極めし者   作:ピロッチ

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と言う訳で、第一話冒頭でお知らせした通り、
オリジナルの悪の組織が今話から本格登場します。
その半グレ以下の屑過ぎるDQN振りで苛つかせて、
最後に報復を喰らって皆がすっきりできたら…良いなぁ…。


第13話  鬼皇の生贄、決定です!

「……誰なの?この偉そうな奴。」「声が高い!古馬塚の家元だぞ!」

 

「フルボッコ?」

 

「違う、古馬塚だ!あの一族は東日本最大の武道の宗家一族。

西日本最大の磯鷲一族と対を為し、日本武術界に重きを為す名家だ。」

 

 三悪魔のヒソヒソ話など目もくれず、

古馬塚の当主、富栄が西住親子と千代にこう切り出した。

 

「して、西住の者共よ。此度の件、貴様等はそこな島田の小娘共々、

勝手に我が傘下ならざる東雲特車なる小物の造物の普及に

賛意を表しおった事、どう責任を取る積もりじゃ?」

 

「……御前に要らぬご迷惑をお掛けした事、誠に申し訳ございませんでした。」

 

「ふん、口だけの謝罪など結構です。聞けば十連覇を棒に振り、

古馬塚の顔に泥を塗ったお前の娘が粋がって鬼皇流家元などとほざき、

更にはIS学園などという女尊男卑を掲げる気狂い学校と

同盟を組んだそうな。まるで反省が見られませんね。」

 

「既に大洗にはあの出来損ないめの学籍抹消を命じてある。

……西住りほ、貴様の孫みほの勘当を命ずる。

奴はワシの力で血縁も無かった事にして孤児としてやる。

そして本日を以て我が養孫とし、18歳を以て西の磯鷲めの

適当な分家に嫁がせる故、結婚するまでの間、

当家にて預かる故、身柄を早急に引き渡せ!」

 

「なっ!? そんな、無茶な!」

 

「何が無茶じゃたわけ者、古馬塚の分家風情が逆らうのか?

古馬塚一門と連枝においてワシの言葉は絶対だ。

逆らうなら即刻この場にて勘当するぞ!貴様の意見も意思も存在も必要無い!」

 

 富栄はこう言っているが、実は大洗女子学園の所属する

茨城県の教育委員会は彼を一切相手にしていなかった。

何故ならIS学園は三悪魔の入れ知恵により

高木理事長自ら県教育長と大洗の校長に

 

「我が校戦車道部員との同盟終了まで、大洗女子学園戦車道部員に対しては、

IS学園関係者と同等の干渉規制が与えられるものとする。

もし破ればISを動員しての実力行使も厭わない」

 

と明言しており、結果、茨城県教委と大洗女子学園はIS学園を取ったのだ。

 

「御前、もうそんな物が通用する時代では……」

 

「なんだ、ワシの言葉に何ぞ言いたい事でもあるのか?

何の武技も持ち合わせぬ手弱女風情が。ねじ伏せられたいか!!!」

 

 この通り、この古馬塚富栄なる者、こんな文章をタイプするのが嫌になる程の

稀代の大老害なのだ。既に21世紀も半分近く経ったこの時世においても

常軌を逸した権威主義思考に凝り固まっており、

自分が我を通せば通用すると思っており、

実際にある程度本当に通用させる力を持っていたのだ。

 

 それを可能にしていたのが、アジア一のスポーツ用具メーカー

「薄田社」会長としての顔である。

即ちこの国で戦車道を含めた数多の武道家が薄田社なしには

鍛錬もままならない状況故、この一族の意に反しよう物なら

顧客となる武道家の多くを敵に回す事になる。

 

 それでも勇気を出して逆らおう者なら相手が誰だろうと

合計段位50を超える自慢の武芸で問答無用に手を上げ、

徹底的にねじ伏せる等、最早武道家失格として

段位剥奪の上破門レベルの暴力的で品性下劣な一面も持ち合わせている。

 

 兎に角人のやる事為す事気に食わねば何でも頭から否定して怒鳴りつけ、

旧家の当主の威光を笠に着て誰も逆らえず逃げられず

権力的にも物理的にも戦車道関係者は誰も止める事が出来ないヤクザ者…

否、半グレ以下の大悪党なのだ。

 

「さあ、さっさと出来損ないを呼びつけて身柄を渡せ!」

 

「致しかねます。既にみほは携帯電話を解約し、連絡の手段はありません。」

 

「貴様…夫を懲戒解雇して、もう一人の娘の学籍を消してやろうか!!!」

 

 しほの夫、常夫(ツネオ)は競技用戦車を含む車輌整備会社で

車輌整備工を務めているのだが、その会社の筆頭株主は富栄である。

つまり、富栄の気分次第で夫を追い出す事は造作も無い。

おまけにこの男、黒森峰にも出資している以上顔が利くので、

まほを追い出す事もやろうと思えば出来てしまう。

 

「卑怯なっ!それが武道家のなさる事ですか?!」

 

「ふん、卑怯?何を言うか、古馬塚に連なる全てはこのワシに服従の義務がある。

古馬塚の血を引く者は全てこのワシの支配下、

ワシの意思に反する者はワシの武技でねじ伏せる!」

 

 最早半グレ以下の大悪党に身を堕とした本家当主に、

りほはただ黙って従うしかなく、しほも内心では嫌悪感を隠せない。

今や古馬塚一族はアジア一のスポーツ用具メーカーの支配者という権力と財力、

そして合計段位50を超える当主の武力…否、暴力を持ち合わせる

日本武術界最悪の暴力集団と成り下がっていた。

 

 しかし、この外道を前に抵抗できる者は誰一人として居ない。

この一族がここまでつけあがり、偉ぶれるのは、江戸時代から受け継いだ

「国を揺るがし、あらゆる権力を屠り得る究極の切り札」を持っているからだ。

 

「ああ、そうだ、卑しくも家元後見人を名乗る高町なる小娘にも

制裁を加えねばならぬな。彼奴めは彼の白騎士事件の実行犯であるとして

ワシの方から報道機関に圧力を掛けて報道させ、

学籍抹消の上、全国の高校に入学拒否させておかねばならぬ。」

 

「何と!IS学園の生徒にその様な事をしたら…。」

 

「当然です。年長者のアドバイスは素直に聞くのが若者の義務、世の正義!

この私が年長者としてアドバイスをしてやろうと言うのを、

素人呼ばわりして切り捨てるなど、制裁されて当然です…不敬ですよ!」

 

「お、恐れながら…IS学園には…当人の合意なき干渉は厳禁との

国際的な取り決めが御座いますれば…御前が如何なるコネクションを用いようが、

IS学園にその様な行為を働いたが最後、御前は全世界から犯罪者と見做され、

国際警察IS犯罪対策課より縄を打たれましょう。」

 

「ふん!気狂い学校の生徒如きがこの古馬塚富栄に逆らう等無礼も甚だしいわ!

合意なき干渉厳禁なら直ちに呼びつけ、

学籍を放棄する様合意を取り付けさせてくれる!

逆らうのならワシ自ら武技を以てねじ伏せ、力尽くで辞めさせてくれるわ!」

 

 さも当然とばかりに言い放つ。だが、それもここまでだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「馬畜生が…古馬塚、女房の躾一つ満足に行えぬか?」

 

 いきなり富栄を呼び捨てにする女の声。声の主は言うまでも無いだろう。

 

「誰じゃ?!!」

 

「高町なのはとは、この私…我こそ、戦車道を極めし者!!!」

 

「せ、戦車道を極めたじゃとぉ!!」

 

 真っ先に突っかかったのは主家の跡取り兼甥を秒で敵に売りそうな顔をしている

富栄の嫡男宗繁だ。

 

「勘違いしてんじゃねぇぞテメェ。何を極めたって言ったんだコラ。」

 

「戦車道とIS。」

 

「舐めてんだろ?舐めてんだよな!舐めてるって言えよ!

フルボッコしてやるから!なあ!なあ!!

 

 命知らずにもなのはの胸倉を引っ掴んで目の前まで顔を近づけて凄む。

だが、なのははまるで動じていない。当たり前だ。高町なのはとは

数多の猛者を擁する惑星間軍警察において魔王呼ばわりされるエース級幹部。

時には罪無き命を屠る凶悪犯を狩ってきた殺しの経験者だ。

 

 下手なシリアルキラーより多くの命を屠った彼女にとり、

高が武道の有段者如きに胸倉引っ掴んで凄まれた位、

羽虫が何かが粋がってる様にしか見えない。

そして、この女が粋がった羽虫をどうするかは決まり切っていた。

 

「誰が手を触れて良いって言った?」

 

なのはは専用機ヤマトの腕部を展開。

宗繁にアイアンクローを仕掛け、力尽くで引き剥がす。

 

「ふごっ?!ふがもがけだぁ~あ!!!」

 

 いくら東日本最大の武道の家元嫡男にして相応の有段者でも、

いきなり顔をISの腕で掴まれてはどうする事も出来ない。

 

ドガァッ!!

 

「ぐは!」

 

 なのははそのまま俯せにして宗繁を床に叩き付けると…

 

 ズンッ…!!

 

「ふご?!!」

 

 後頭部を思い切り踏み付けた。

 

「勿論心の底から舐めているの!だって…お前等弱いから。」

 

「貴様!!倅に何をするか!!!ねじ伏せるぞ!!!」

 

「 目 の 前 で 縊 ろ う か ? こ の 馬 畜 生 を 。 」

 

「ヒィ!!!」

 

 そしてこの威圧である。これが、殺しの経験がある武道の素人と

殺した事が無い半グレ武道家の差なのだ。

 

「き、君!!御前様の御嫡男たる宗繁様に何て事を…」

 

 見かねた児玉理事長が咎めるが、なのはには通用しない。

 

「駄馬風情が魔王の身に許し無く触れた。そんな奴の扱い等、これで十分なの。」

 

「ま、魔王って…」

 

「(ノ▽`)アチャー あーあ、なーちゃんがキレちゃった。もう知ーらない。」

 

「あ、あの…篠ノ之博士?あれ、何とかなりませんか?」

 

「無理無理。あのね、なーちゃんはちょっと前にもフランスのロスチャイルドこと

ドニ何とか言うこいつらなんか鼻で笑える位権力と財力と武力を持った

超旧家相手にもこの態度で通したガチモンだよ?

誰が、どうやって、止めろって言うのさ?」

 

「フランスのロスチャイルド…ドニ何とか…

ま、まさかフランスのドニエール大統領の事か?!」

 

 そうなのだ。古馬塚一族など鼻で笑えるフランス一の大富豪一家相手だろうと、

この女にとっては敵に回しても物の数ではない。

高町なのはに取っては、自分に突っかかる相手は

自分が殺せるか、殺せないか、それ以外の全てがどうでも良いのだ。

 

「そうそう、そのフランスの大統領のご実家だよ~ん!」

 

 束はそこまで言うと、急に真顔になり富栄に詰め寄った。

 

「おいジジイ、ここにいる西住みほの代理人を差し置いて、

与しやすい分家の女衆を権力で甚振るクッソ汚い馬畜生…

生きてて恥ずかしくないの?こっちに向き合う気が無いなら、

この場にいる資格は無い、消えろ。」

 

「貴様ぁ、誰に口を利いておるか!!ワシを誰だと思っておる!!」

 

「ボケ老人!って言うかさ、お前クッソ生意気にも

家元を除籍しろって大洗に命じたんだって?

全部無視させたよ。IS学園の意向でね。」

 

ここで束のネタばらし。

 

「我が古馬塚の顔に泥を塗った出来損ないに夢を叶える資格なんぞ無い!!!

貴様等ごとワシの力で潰してやるわ!!」

 

「はい!お前オワタ確定!秒で潰すから覚悟しとけ!」

 

「知らんのか?子供の願いは未来の現実。それを夢と笑うなら、人に非ず。」

 

「つが余計だからさ…改名してよ。フルバツカならぬ古 馬 鹿(フルバカ)に。」

 

「なぁにぃ!!この古馬塚富栄を罵ると、どうなるか分かっておるのか?!!」

 

「う~ん、全然わっかんないなぁ~!おせ~ておせ~てぇ!」

 

「では教えてやろう!!ワシが率いるのはアジア一のスポーツ用具メーカー、

株価は1株1,250円、発行株式は驚異の12億株!!

その総資産は何と3兆円になんなんとする天下の薄田社じゃ!!

これに唾吐くと言う事は、薄田社の顧客である全ての流派に唾を吐くのと同じ事…

ワシが一声掛ければ、いかな権力者とて、

たちまち武技にてねじ伏せ不具にしてくれようぞ!

どうじゃ、恐ろしかろう!!

貴様等は日本はおろかアジアの武術界全てを敵に回そうとしておるのじゃぞ!!」

 

「あっそ、束さん…やれ。」

 

「おk。ポチッとな。」

 

 束がスマホを取り出し、画面をタッチ。

 

「人が話をしているときに何を触って居るのです!!不敬ですよ!!」

 

「はいはい不敬不敬。で、何処をどう敬えって?

敬って欲しいなら相手選びなよ。この零細。」

 

「貴様、薄田社を零細じゃと!!何様の積りじゃ!!!」

 

「 御 社 の 親 会 社 社 長 様 で す 。」

 

「…は?」

 

 直後、束の言葉の意味が出席者中に知れ渡った。

 

「か、会長ぉぉぉぉおおおおお!」

 

「何じゃ、騒がしい!」

 

「大変です!たった今、我が社の、我が薄田社の…

12億株全て、何者かに買い占められてしまいましたぁーっ!!」

 

「な、何じゃとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

 

 古馬塚家の執事が大慌てで駆け込んで告げた知らせ。

それは薄田社が完全に乗っ取られたという一族にとって最低最悪の凶報だった。

 

 言うまでも無いが、会社が株式を全て買い占められると言う事は、

買い占めた奴に会社を思うがままにされると言う事である。

そう、例え社長だろうが会長だろうが、

買い占めた奴の心次第で簡単に首に出来ると言う事である。

 

「誰じゃ!!よくもワシの権力と財力の源を!!!誰がやった!!!」

 

「じゃじゃじゃじゃ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ん!!!」

 

 ここでベートーヴェンの運命のイントロを口ずさむのはなのはそっくりな声。

声の主はいわずもがなこいつだ!

 

「ざ~んね~んで~した~!株を上場してたのが徒になっちゃったね~!!

1株1,250円が12億株って事は、1兆5,000億円あれば

株を一人占め出来るって事でしょ?と、言う訳で1兆5,000億円ブチ込んで、

この束さんが東雲特車の名前でお前の会社の株を一人占めしちゃいました~!!」

 

 何とこの女、スマホ操作で薄田社の株式を全て東雲特車の名で買占め、

完全子会社化してしまったのだ。

 

「な、な、な…」

 

「あれれ~?ひょっとして聞こえてなかったのかな古馬鹿ちゃ~ん!

この束さんこそ『ISの母』篠ノ之束でーす!!!」

 

「き、貴様…貴様貴様貴様貴様貴様貴様貴様貴様貴様貴様貴様貴様貴様貴様ぁ!」

 

「何て事をするんですか!PTAの最大手後援企業を、

お前達みたいな小物が子会社化する等…不敬ですよ!」

 

「馬鹿か貴様等、こ奴は世界長者番付でも3本の指に入るアジア一の大富豪だぞ?

その総資産は貴様等の10倍では済まされん。それだけの金が有れば

株価総額1兆5,000億円のスポーツ用具屋なぞ買収は容易。

で?誰が小物だって?」

 

「いや~、人に傲慢かますなら相手を選ぼうよ~。と言う訳で、

この束さん率いる東雲特車はたった今から薄田社の完全親会社で~す!

では改めて…株式会社東雲特殊車両・代表取締役社長の篠ノ之束が命ずる!

古馬塚富栄、薄田社代表取締役会長と戦車道後援企業連絡会会長を解任する。

一生戦車道と関わるな。素人は黙っとれ。」

 

「私も東雲特車の株主として賛同する。貴様はやり過ぎた。

篠ノ之束という巨龍の逆鱗に触れた報いだ。この程度で済んで有り難く思え。」

 

「私も賛成するの!私と千冬先生は東雲特車の株を23%ずつ保有する大株主…

束さんの24%と合わせて株式70%分の賛成票が集まれば、

最早文句は言わせないの!残り30%を持つセシリアにも関わるんじゃないの!

下手に手出ししたら…分かるよね?」

 

「なっ…何じゃその無茶振りは!貴様誰に口を利いておるか!!」

 

「何が無茶か愚か者が、薄田社の株式は全て我等の物。

逆らうなら即刻この場にて懲戒解雇だ、貴様の意見も意思も存在も不要だ。」

 

「黙りなさい!!お前達無礼者に薄田社の経営に関わる資格はありません!!

不敬ですよ!!!」

 

「ほーん?私達に、完全親会社の社長と大株主にそんな態度で良いの?

家族が路頭に迷う事になっても構わないんだ~。

お前もお前のガキも纏めて束さんの首の一言で無職になっちゃうよ?」

 

「ひ、卑怯者!!貴様も篠ノ之流の…

武人の子なら、卑怯を恥とは思わんのか!!」

 

「卑怯?何言ってんの?この惑星の全ての命は

天皇、教皇から虫けらに至るまでこの束さんの言いなりでしかない、

この束さんに逆らうなら縊るだけだよ。」

 

 富栄が西住親子に言った事を意趣返しの様にもじって突き返す三悪魔。

そして、束からトドメの一言が告げられた。

 

「その束さんが明言しよう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お前等と交わす言葉など、

 

最早天下の那辺にも無い!!

 

「貴様ァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアア!!ねじ伏せる!!!

ワシの武技でねじ伏せ、潰し、二度と逆らえぬワシの婢となれぇぇぇい!!!!」

 

 とうとうキレた富栄、並みの有段者なら太刀打ち出来ない武芸により

意に反した多く者のを力尽くでねじ伏せ、

服従させてきた半グレの本性を露わにした瞬間である。

だが、三悪魔には届かない。

 

「ああ、それと…」

 

 千冬がそこまで言いかけた瞬間、富栄の目の前に床が現れ、

頭を物凄い力で抑え付けられる様に顔を床に叩き付けられる。

 

「ぶぎゃ!!!」

 

「私が嫌いな物は『冤罪』だ。」(CV:鬼舞辻無惨)

 

 何が起きたのかと言うと、

富栄が土下座の体勢で後頭部をヤマトの脚部で踏み付けられていたのだ。

ご丁寧に妻子も抵抗させない様にアイアンクローで吊り上げている。

 

「自由…財産…生命…あらゆる罪には贖う手段がある。それが真理。

だが冤罪に贖罪の手段は無い。有りもしない罪は、永遠に贖い様が無い。

ついこの間も同級生の冤罪を晴らしたばかりで私は不快の絶頂だ。

贖い様のない罪を、嬉々として人に着せようとするな。」

 

 ゲシッ!! 「ぎゃ!」

 

 そのまま富栄を蹴り転がして顔にトーキックを叩き込み、

会議室の外まで蹴り飛ばす。

 

「これからは我等の目を意識した方が良い…

私は、先に生まれたという理由だけで誰も敬ったりはしない。」

 

 こうして、あれだけ威張り腐っていた稀代の半グレ大老害古馬塚富栄は

一瞬で薄田社という権力と財力の源を失い、

そして東日本武術界最大の名家の家元としての武力すら無力化され、

只の老いぼれ道場主に貶められたのであった。

 

「ハッ!全く興が醒めたの!!早いとこ家元への接近禁止令出させないと…」

 

「もういいや、この束さんも忙しいし、今日はもう帰るね。」

 

「おい、待て!聞きたい事があったんじゃ…やれやれ。」

 

 結局、束はやる気を無くしたのか、「あの子」の事を聞こうともせず

千冬の制止を無視して、さっさと立ち去ってしまった。

 

「はぁ…御夫人、最後にお聞きしたい。御存知かとは思いますが、

私は以前、当流家元と似た様な事をした事があります。

決勝戦直前に掠われた弟一夏を救うべく、私は連覇を放棄して弟を取った。

しかし後悔は有りません。今でも誇らしく思います。アナタの御感想は如何に?」

 

「…そう堂々と言えるアナタを羨ましく思います。

当流には許されない贅沢を心得ている。本当に…羨ましい限りです。

みほとてあの時当流の者ならざれば…私もあの一件、

素人が助けに行く無謀は責めこそすれ、寧ろ褒めてやりたかった…。」

 

「そうですか。それでは改めて当流家元西住みほに対し、

一人の家元としての付き合いの程、重ねて宜しくお願い致します。」

 

「ああ、それと…さっき舐めた口利いたそこの監督…!」

 

 今度はなのはが宗繁の胸倉をヤマトの遠隔部分展開で引っ掴み、

引き寄せてこう告げた。

 

「5日後カチ込む。鬼皇を見もしないで勘違い野郎とほざいた仕返しなの。

どこがどう勘違いなのか薄っぺらい言葉だけで凄むフリしてないで戦車で語れ。

勝てば今束さんが買った株式は4分の1だけ返してやるの。

負けたら残りの古馬塚一族も薄田社から末代まで正式に首で。

大人しく戦車道業界から撤収するの。戦車道チームはどうなるかって?

使えそうな奴は鬼皇流の門下生決定。じゃ、首洗って待ってるの!」

 

 それだけ言うと、なのはは宗繁を杏手夫人ごと会議室の外に放り投げた。

 

「はぁ…それじゃ、今日はこの辺で勘弁してあげるの!!!

後スポンサー共!!今度変な事したら、

今束さんが古馬鹿にした事を同じ事するから、大人しくするの!!!」

 

 かくして、なのはもテレポート機能「ヤマトワープ」で消え去った。

 

「何て事だ…わ、私は…私は…こんな筈じゃ無かった…よかれと思ったのに…

私は…とんでもない暴君を戦車道に迎え入れてしまった…。」

 

「戦車道が…戦車道が終わる…終わりじゃぁああああああ~~~~~~~っ!!」

 

「みほが…みほが悪魔に魅入られてしまった…どうして…どうしてぇぇぇ!!!」

 

「う、薄田社が…PTA最大の後援者が…ふひ、フヒヒヒヒヒヒヒ!!」

 

 後には児玉理事長が戦き、りほが嘆き、しほが号泣し、

PTA関係者が発狂するカオスが残った。

 

 

 

「という訳で、本家のフル○ッキ家は潰してあげたから、これで安全なの!!」

 

『ふ、フルボッ○じゃなくて古馬塚ですよぉ!

なのはさん、下ネタ過ぎますよ~!!』

 

「何だって良いの!!!さっき裁判所にみほちゃんと実家の皆への

接近禁止令を申請したから、それが通ればより安全に成るの!!」

 

『だと良いんですが。』

 

「それと、5日後に奴等の戦車道チームと戦うから、しっかり訓練してね!!

こっちも頑張って鍛えるから、旗揚げ戦きっちり飾るの!!」

 

『本当にやるんですか?薄田社の戦車道チームは社会人最強、

実質日本最強チームって呼び声高い所なんですが…。』

 

「鬼皇流が日本最強チームでなくしてやるの!!

勝って親会社権限で纏めて門下生にすれば、体裁も整うし。」

 

『そうですね!「武者の西住」「忍者の島田」に続く「亡者の鬼皇」の戦、

然と見せてあげましょう!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、数日後…

 

 長崎県 学園艦専用泊地 

 

「WTF…」

 

 朝食時、米国ニミッツ級型学園艦「サンダース大学附属高校」

内部で戦車道広報片手に呟くブロンドの女生徒がいた。

彼女の名はケイ・シマバラ。名前こそ一応日本風で国籍も日本人だが、

どう見てもコーカソイドにしか見えない容姿の通り、

実態は米系一世同士から生まれたこの高校の戦車道部隊長である。

 

「もしかして今年の全国大会、コレと戦わないといけない訳?どうしよう…。」

 

 なんてぼやいていると、不意に背後から声が掛かる。

 

「隊長、何見てるんですか?」

 

 声を掛けたのはアリサ・イサハヤ。ケイと同じ出自の同高戦車道部の副隊長だ。

 

「わっ!…何だアリサか。ねえ、ちょっとコレ見てよ。」

 

「え?………………………………………………………………ナンデスカコレハ?」

 

 ケイに見せられた広報には以下の様な文面が踊っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「前代未聞!社会人最強チーム、戦車道歴1ヶ月の高校生チーム相手に全滅!!」

 

「3倍の数など有って無きが如し!!!これが高校生家元の本気なのか?!!」

 

「鬼皇流、恐るべし!!!10対30で事実上日本最強チームを完封!!!」

 




また、やっちゃった…
・西住家をも従える名家
・世界的大企業のオーナー
・圧倒的武芸者の当主
・国を揺るがす切り札持ち
これだけの要素を揃えた見るからに強そうな悪の組織なのに、
こんな馬鹿にしか書けない…。


原作未登場のAFV紹介 その10

パンターⅡ

今作の大洗の主力、44Mタシュの参考となった
御存知ドイツのパンター中戦車の後継車輌。
よく主砲は8.8㎝ KwK43の予定だったと言われるが、
予定していた新型砲塔には大き過ぎて載せられなかったらしい。

※下記の数値は作中世界でのみ通用する数値で、史実と同一とは限りません。

寸法   車体長7.22×車幅3.60×全高2.90㍍
機関   マイバッハ製 V型12気筒ガソリンエンジン
     「HL234」 900馬力
最高速度 55㎞/時
重量   55㌧
乗員   5名

武装
主砲:70口径75㎜砲「7.5㎝ KwK44/1」×1
機銃:7.92㎜機銃「グロスフス MG42」×1

装甲(単位:㎜)
防盾   150
砲塔    前面 側面 後面 天板
     125/60/60/40
車体    前面 側面 後面 天板 底板
  60~100/60/40/40/25
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