高町なのはのIS学園見聞録外伝 我こそ、戦車道極めし者   作:ピロッチ

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 社会人リーグ優勝チームの薄田社戦車道チームに
10対30の殲滅戦を仕掛けた鬼皇流。
3倍の数と社会人リーグ優勝と言う実績を誇る薄田社も
口だけの無能者をコネでトップに据えた歪さが災いし、
冷戦末期レベルの長距離砲戦でエース二枚看板の連携を初手で潰されるわ、
虚実織り交ぜた戦法で一瞬の隙を突かれて全力全開の火力を叩き込まれるわ、
まるで良い所が無く、終わってみれば30対0の完封負けを喰らうのであった。


第17話  廃校、撤回です!

視点・審判他ベンチ

 

「うわぁ…本当に勝っちゃった…。」

 

「高校生でオリジナルの流派立ち上げるのも納得ね…。」

 

「と言うか、あのISー4の砲手ヤバ過ぎるわよ!何あの狙撃?

一人だけ世紀末レベルの戦いやってるじゃない!!

あんなの居たら3倍の頭数もひっくり返るわよ!」

 

 まさかの完封勝ちに審判もドン引き。

特になのはの長距離砲戦には引く所か殆ど怯えていた。

そりゃ一人だけ半世紀先の射撃精度で狙撃してくる奴がいたら、こうもなろう。

 

「う、嘘だ…嘘だ反則だチートだズルだ!!10対30だぞ!!!

何で負けるんだ!!何で1輛もやれないんだ!!」

 

 他方、薄田社チームの監督、古馬塚宗繁は自軍の完敗に

やれ反則だチートだと騒ぎ立てているが、今更何を言った所で無駄である。

 

「そりゃ決まってるじゃない、お前等が弱かったからでしょ?」

 

「全くだ。コネで馬鹿をトップに据えた当然の報いだな。」

 

「こ、この野郎ぉーっ!!」

 

             ∩  ∩

「(◎谷◎)あ~ん?(◎谷◎)」

 

「ヒイイイイイイイイイイ!!」

 

 

 そして、双方のプレイヤーが帰還する。

 

「ヒャッホーイ!旗揚げ戦完勝おめ!」

 

「皆、ご苦労だった。今夜は束の奢りで祝勝会と洒落込もう。」

 

「「「「「有り難う御座います!!」」」」」

 

 と、そこに何やら不穏な姿が…。

 

「待てっ!」

 

「あん?どちら様?」

 

 そこに居たのは、相当文句がありそうな顔の茂武姉妹だった。

 

「私は薄田社戦車道チーム副長の茂武長代と言う。そして、こっちは妹の継代だ。

社長と監督と隊長があの様なので代わりに挨拶させて貰おう。」

 

 茂武姉妹が指し示す方向を見ると…

 

「あばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばば(発狂)」

 

「おびょびょびょびょびょびょびょびょびょびょびょびょびょびょびょ(錯乱)」

 

「きょぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺ(精神崩壊)」

 

 監督の宗繁、社長で宗繁の母の杏手、

そして隊長の乙骨が奇声を上げて狂っていた。

 

「あ~、どうも。対戦感謝するの!結果はともかくお疲れ様なの!!」

 

「そちらこそ、今回の戦い見事だった。完敗を認める…と言いたい所だが…。」

 

「だが…?何?何か文句有るの?」

 

「何を積んだ?」

 

「何とは?」

 

「とぼけないで貰いたい!はっきり見ていたぞ…

聖王が出力を考えて明らかに有り得無い高速で逃げていく姿を!

隊員の中には我々の乗っていたⅤ号F型と

同型の機関を用いていると予想する者も居たが…それでも辻褄が合わん!

聖王の機関に何を使った?!」

 

「ああ、分かる?エンジンをHL230に替えて、ちょっと改装したんだ。

審判には今日も試合直前に見て貰って、これで良い、ルール上OKって事で

話が通ってたんだけどなぁ…。」

 

「何?」

 

「ほら、審判連れてきたの!さあ審判!キリキリ説明するの!」

 

「えーと…イシュトヴァーンの不整地速度が異常ありと言う件ですが、

大洗・IS学園連合チームの車輌は日戦連の許可を得て、

機関を以下の通りに改装してありまして。」

 

 そう言って審判から見せられた改装の内容と結果は以下の通りである。

 

IS-4

 

篠ノ之束によるチューンにより、最大出力を330馬力増強。

 

整地43km/時、不整地20km/時

       ↓

整地55km/時、不整地40km/時に増速。

 

 

44M タシュ&44M イシュトヴァーン

 

機関をZーV8Hー4×2基からマイバッハHL230に換装、

篠ノ之束によるチューンにより、最大出力を200馬力増強。

 

整地45km/時、不整地20km/時

       ↓

整地70km/時、不整地50km/時に増速。

 

「つい最近の話なのですが、族長の開発元が戦時中に作った

マイバッハHL230のデッドコピー計画書が洪国防省の資料保管庫で見つかって、

コレを根拠として族長と聖王は日戦連からHL230の搭載を認められまして…。*1

 

「むほほほほほほっ、そしてこの束さんにとって

100年前の旧式ガソリンエンジンなんて

パーツ交換無しでこの位の出力増強は出来て当たり前なのだー!!」

 

「篠ノ之博士手ずからチューンを?ぐっ、それなら…!」

 

「確かにそれならあの大出力もあり得る…あり得るのだが…。」

 

「だが?」

 

「だからといって、ここまでの出力増強が罷り通るのか?!

700馬力に200も上乗せしたら900馬力だぞ!

試作HL234と同等の出力では無いか!

ISー4に至っては1,080馬力もある!!」

 

「まあ、ルールブックは篠ノ之博士誕生前から内容が変わってませんし、

篠ノ之博士レベルの天才的技術者の存在は想定していませんから…

あくまで現行ルール上は…その…合法と言う事で既に答えが出ておりますので…

ここは一つそういう物だと御納得を。」

 

「「そ、そんな馬鹿なぁ~!」」

 

 審判がOKと言った以上、選手の茂武姉妹に口を挟む余地は最早無い。

姉妹はへなへなとへたり込んだ。

 

「で、そこの姉妹!」

 

「な、何だ?」

 

「ねぇ…あんな雑魚ザマスの下って正直やり辛いでしょ?」

 

「そ、それは…。」

 

「雑魚ザマスは『頭数3分の1の高校生に負けた失態』の責任取らせて

引退に追いやるから、代わり務めてくれない?」

 

「代わり? 私に隊長をやれと?」

 

「そうそう。東雲特車直属って事にしてあげるからさ。」

 

「それはつまり、西住流師範である私達に

鬼皇流のパトロンの下で戦車に乗れと?」

 

「そうだよ。」

 

と、そこにいつものセーラー服に着替えたみほが戻ってきた。

 

「ああ、茂武師範!お久しぶりです!」

 

 茂武姉妹は西住流師範の免状持ち。当然、みほとも面識があるのだ。

 

「お久しぶりです、お嬢様…

いや、鬼皇流の家元を自称し、西住流を無価値と切り捨てた裏切り者…

日本中の流派に中指を立てた邪道の戦い振り、

嫌という程味わわさせて頂きましたよ、ええ。」

 

「笑止…元より地に道ぞ無し。者の歩みこそが、道と成らん。」

 

「「ヒィ!」」「?!」

 

「??? あれ?私、何か怖い事言いました?」

 

「えっ」「えっ」「えっ」

 

「???????????????????」

 

「まあ良いや。師範のお二人にはこの際はっきり言っておきます。

私は西住流をこの世から消し去りたい訳じゃないんです。

西住流の在り方の決定権を宗家に…

いや、厳密には母に独占して欲しいだけなんです。

 

勝利至上主義者の周囲が祭り上げたイメージに踊らされる事のない、

西住宗家だけで組み立てた流派に立ち戻って欲しいだけなんです。

だから、今の風潮に慣れ切った祖母はもう要らない。

ケジメを付ける意味でも祖母は叩き出して、母に代替わりして貰わないと。

 

それさえ成れば、鬼皇流は西住流所か島田流とも並立共存の道を選びます。

国内二大流派に『現代戦車道』での居場所は十分存在します。

統一なんて、私達がこの世から居なくなった後でも出来るじゃ無いですか。」

 

「現代…戦車道?」

 

「そう。現代戦車道。今有る戦車道を終わらせて、取って代わるべき物。

本当なら、私が生まれる前に戦車道は完結していた。

なのに、まだ終わり切れていない。だから、本来の姿に戻す。

今有る戦車道を完結させ、私と、あの人の構想した『現代戦車道』で置き換える。

その上に、私が見出した私の戦車道をやり切りたい。

そう、■■■■■■■■■■■戦車道を!」

 

「…………少なくとも、この試合でそれは叶わないでしょう。

当方にそんな物を認める者はおりますまい。」

 

「そりゃそうですよ。だって薄田社チームの誰も、師範含めて

戦 車 道 を や っ て な い んだから。」

 

「…………。」

 

 酷い言い方である。みほに「お前の戦車道を認めない」と言ったら、

逆に「そもそもお前等を戦車道競技者と認めない」と返されたのだ。

 

「まあ、お二人はともかく、他の真面目に競技やってる人達の居場所は

東雲特車が確保してくれるとの事なんで、そっちで戦車道を磨いて、

また挑みに来て下さい!」

 

「良いでしょう、お嬢様…いや『家元』。姉妹共々、暫く厄介になりましょう。」

 

「そう言って頂けると思ってました!宜しくお願いします!!」

 

 かくして、茂武姉妹は鬼皇流陣営の下を立ち去ったのであった。

 

「な、何だったんだあの声は…。」

 

「でも、あの感じには覚えが有ります。間違いなく『彼女』と同じ威圧感です!」

 

「ああ、覚えている。思い出したくも無いが。

我等が高校生だった頃も黒森峰は10連覇を賭けて戦っていた。

なのに『彼女』によって10連覇は潰され、

黒森峰は2年にわたって一回戦負けの屈辱を味わわされた!」

 

「一体…何が起きると言うんだ?西住流存続の為、

彼女達の視点から見定められる西住門下の誰かが入り用になるだろう。」

 

「私達が、それをやろうと言うのですね、姉上。」

 

「…如何にも。」

 

 で、最後にこいつらの処置だが…

 

「と、言う訳で宣言通り、薄田社社長・古馬塚杏手及び

副社長兼戦車道部監督・古馬塚宗繁。完全親会社たる

東雲特殊車両・代表取締役社長、篠ノ之束の名において

以上の者を現役職より解任の上、同社を解雇とする。お情けで懲戒じゃなくて

諭旨って事にしといたから退職金はちゃんと振り込んだよ!

今後はその金でちまちま生きてね!はい、さっさと帰った帰った!!」

 

「お、覚えてろよ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!」

 

「キーッ!!不敬ですよ!!不敬ですよ!!大不敬ですよおおおおおおおお!!」

 

「お、奥様、坊ちゃま、ここは穏便に…」

 

「お二方、もう手遅れです!大人しく退きましょう!」

 

「今逆らったら、奴等にISを持ち出されてしまいます!どうかお退きの程を!」

 

 かくして杏手と宗繁親子は一族に仕える

黒服の男達に引きずられ、薄田社を去って行った…。

 

 その後、宗繁は戦車道チームメンバーへの一連のパワハラ行為が発覚し、

傷害容疑で逮捕。その煽りでチームメンバーも

隊長の乙骨以下古馬塚一族のシンパは粛清され、

チーム自体も束から親会社社長命令で無期限の活動休止に。

 

 茂武姉妹以下残ったメンバーは薄田社の戦車道部門ごと

東雲特車に引っこ抜かれ、東雲特車の戦車道チームとして再出発する事となった。

尚、茂武姉妹はそのまま束の命令で大洗女子学園とIS学園の戦車道部に

コーチとして出向させられる事となる。

 

 

 

そして数日後…

 

文部科学省 学園艦教育局 局長室

 

「…以上が、我が鬼皇流対薄田社戦車道部の試合となります。」

 

「こ、これは…こ れ は ひ ど い … 」

 

 社会人リーグ優勝チームを3分の1の数で完封勝ちで飾った

鬼皇流旗揚げ戦の記録映像をなのは、束、千冬の三悪魔に見せつけられているのは

この部屋の主である文科省の大幹部、学園艦教育局長辻廉太(ツジレンタ)だ。

 

「これでおわかり頂けたでしょう?

鬼皇流は『たった数日学んだだけで、初心者の高校生が

西住流師範の免状持ち2人を含む社会人最強チームを

3分の1の頭数で殲滅する事が出来る完成度の流派』であると。

さて、この事実を如何に受け止めて頂けるんでしょうね?」

 

「何が言いたいのでしょう?」

 

「『社会人リーグ優勝チームを初心者が3分の1の頭数で完封できる流派の創設』

この事実は高校生全国大会優勝以上の実績がある…そうは思いませんか?」

 

「え?それって…」

 

「IS学園と合同とは言え、これだけの完成度の流派を成立させた功績…

十分廃校撤回の理由になりますよね?大洗女子学園の。」

 

「あっ(察し」

 

「お宅、向こうの生徒会長に言いましたよね?

『大洗には目立った部活動の功績が無い』って。

じゃあ、この戦車道部の功績で前提、ひっくり返りますよね?ねぇ?」

 

「え、えーと、その…

偶然という可能性も考えられますので、これだけでは何とも…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                 ∩ ∩

(◎谷◎) ⌒*(◎谷◎)*⌒ (◎谷◎)

 

ハァ?!

 

「ヒイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!!」

 

「ねぇガネメ…薄田社はこの試合の5日前に

この束さん率いる東雲特車の完全子会社になったんだ、つ・ま・りぃ…

ウチの子会社の戦車道チームは、社会人リーグ優勝チームは、

高校生が3分の1の頭数でまぐれ勝ち出来る程度の雑魚って言いたいんだぁ…。

それ、どういう意味か分かってるんだよね?」

 

「この試合結果を認めないって事は、

薄田社戦車道チームに負けた残りの社会人戦車道チームの立場はどうなるのかな?

『学園艦教育局は日本中の社会人チームを高校生以下のゴミとしか認識しない』

って明言するのと同じ事だと思うの。

それって許される?許されない?どっちなの?」

 

「良いのか局長殿?いくら中央省庁の大幹部でもそんな事言ったら、

所属先の企業から何を言われるか…分かるよなぁ?」

 

 社会人リーグの所属先には、それこそ戦前は財閥を為す程の

超大物企業も名を連ねている。

そんな会社のチームを舐めた物言いがバレでもしたら、

局長級の高級官僚とて只では済まない。間違いなく今の椅子には居られない。

 

「うぎぎぎぎぎぎ…ですが、いくら学園艦教育局の責任者を任された身とは言え、

私の一存では決められませんな。大臣の裁可を必要としますので。」

 

「そうかそうか。それがルールなら、まあ大目に見よう。」

 

「ホッ…」

 

「では大臣にもこの映像を見せ、その上で決めて貰う。構わんよなぁ?」

 

「えええええええええええええええええ!」

 

「んん?文句があるのか?」

 

「…も、もうお好きな様に…。」

 

 

 そして、三悪魔は文部科学大臣にも同様にO☆HA☆NA☆SHIに持ち込み、

数日後の放課後、遂に大洗に運命の日がやってきた。

 

「はい、こちら大洗女子学園生徒会の角谷です。」

 

『もしもし、文部科学省学園艦教育局の辻です。』

 

「お世話になります。例の件…ですよね?」

 

『如何にも。結論だけお伝えします。

先の薄田社戦車道チームとの試合結果を考慮した結果…

つい先ほどですが…文科相の決定により、大洗女子学園は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

廃校予定校一覧から校名を無期限削除とします。

コレを以て、大洗女子学園の廃校は撤回します。』

 

 やった!

そう叫びたい衝動を抑え、杏はできるだけ冷静にこう答えた。

 

「分かりました。では、関係者の方々に見せる為にも

正式な文書で通達をお願いします。文部科学大臣のサイン入りで。」

 

『も、勿論です。…では、確かに伝えましたので!』

 

それだけ言うと、電話は切れた。直後、杏は居合わせた桃に命じた。

 

「かーしま!すぐに機甲科の生徒全員招集!!」

 

「分かった!すぐ連絡する。」

 

 そして、みほ以下戦車道部の全部員が招集された前で、

杏は全員に電話の件を告げた。

 

「今、学園艦教育局の辻局長から連絡があった。先の対薄田社戦の結果、

新流派創設が部活動の功績として認められた。よって…大洗の廃校は撤回だ!」

 

ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

 

「後日正式な文書が届く。そしたら、全校に公表して、皆で思いっきり祝おう!

と言う訳で、それまでは皆には内緒にして欲しい。イイネ?」

 

「「「「「ハイヨロコンデー!!!」」」」」

 

「やりましたね西住殿!これで大手を振って西住殿の戦車道がやれますよ!!」

 

「大洗・IS連合軍で堂々と胸を張って全国大会で暴れまくってやろう!!!」

 

「はい!」

 

 

 

 一方、既存の二大流派はと言うと…

 

熊本県熊本市 西住家本邸

 

「う、うげぇぇぇぇぇぇえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛っ!!」

 

「若奥様、大丈夫ですか?!!」「しほ、しっかりするんだ!!」

 

 しほは鬼皇流対薄田社の試合の映像を見終わった直後、

顔面蒼白でトイレに駆け込み激しく嘔吐。女中頭の菊代と

休みで家に居た夫の常夫に介抱される始末だった。

 

「ゲホッ、ゲホッ…はぁっ…はぁっ…ごめんなさい常夫さん、

見苦しい所を見せてしまいました。」

 

「大丈夫かい?何か、酷いトラウマでもあるのか?

その…話して貰えれば、力になれるかも知れないんだけど…。」

 

「それは…できません。いくら夫のアナタでも『絶対に教えるな』

とお母様から釘を刺されているのです。もしアナタが知ったと知れば、

お母様は今度は私を勘当した挙げ句、ありとあらゆる手を使って

私達を離婚させるでしょう…。常夫さんが信用ならない訳ではないのです。

でも、まほの為にも今そんなリスクは冒せないのです。…ごめんなさい。」

 

「そうか…。」

 

「いくら次期家元にして筆頭師範とは申せ、私など未だ分家親族の前では

不惑を迎えたばかりの小娘でしかない…私の立場は決して強くないのです。」

 

「分かってる…分かってるよしほ…。」

 

「若奥様、こちらでお口を。」

 

 菊代が持ってきた水で口を漱ぎながら、

しほはみほの戦い振りに恐れを為していた。

 

「(みほ…お前は本気でこの家を潰す気なのか…

あの日の事をそんなに恨んでいたのか?)」

 

 

群馬県 島田家本邸

 

「う、嘘よ…もう、こんな所まで再現が進んでいるなんて…。」

 

 こちらでも、家元の千代が試合の記録映像を見て戦き、

椅子からずり落ちていた。

 

「あああっ、奥様、お気を確かに!!」

 

「有り得無い…一体どうして…どうやってアレを再現したと言うの…。

彼女の記録は、完全に消えて無くなった筈…もう二度と…蘇らない様に…

跡形もなく…消し去った筈…なのに…どうして…」

 

そして熊本と群馬、離れた別の箇所でしほと千代が同時に

その忌まわしい名を叫んだ。

 

「あの戦い方…まだ不完全とは言えあの子その物…何故…。」

 

「帰って来る…奴が…あの女が…。」

 

 

「大洗の黒鬼」「戦車道の亡者」「魔人」「連隊殺し」「地球無双」そして…

 

「「『戦車道を終わらせた女』…その名は…」」

 

西住輝鳳(ニシズミキホ)

*1
勿論、フィクションである。現実世界にはそんな文献の類いは一切残っていない。




 とうとう、「奴」「あの子」「彼女」の名前、公表です。
彼女が何をやったのか、どうしてここまで恐れ戦かれるのか、
いずれ当時を知る者の口から、明らかになるでしょう。


原作未登場のAFV紹介 その14

Eー100

Eシリーズの超重戦車担当。しかし、これでもⅧ号戦車より
34㌧も軽量化されていたりする。

※下記の数値は作中世界でのみ通用する数値で、史実と同一とは限りません。

寸法   車体長8.69×車幅4.48×全高3.29㍍
機関   マイバッハ製 V型12気筒ガソリンエンジン
     「過給器付きHL234」1,200馬力

最高速度 30㎞/時
重量   154㌧
乗員   5名

武装
主砲:55口径128㎜砲「12.8㎝ KwK44」×1
副砲:36.5口径75㎜砲「7.5㎝ KwK44」×1
機銃:7.92㎜機銃「ラインメタル MG34」×1

装甲(単位:㎜)
防盾    250
砲塔     前面  側面     後面 天板
      220/210   /210/40
車体     前面  側面     後面 天板 底板
  150~200/120+55/150/40/40~80
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