高町なのはのIS学園見聞録外伝 我こそ、戦車道極めし者 作:ピロッチ
社会人リーグ優勝チーム、薄田社戦車道チームに完封勝ちした。
その結果、文部科学省は部活動の功績としてこの事実を認めざるを得ず、
大洗女子学園の名は廃校予定校一覧から無期限削除され、廃校撤回が決定。
そしてこの試合結果が戦車道関係者に広まった事で、新たな動きが巻き起こる。
黒森峰女学園 通学路
「隊長、聞きました?例の鬼皇流と薄田社との試合の件。」
「ああ、聞いている。………正直、複雑だな。」
「…………そうですよね。みほさんは西住流を…」
「みほが己の戦車道を見付けたのは嬉しいが、
その『西住みほの戦車道』が国中の流派全てを否定してこの世から消し去り、
戦車道その物の本質を書き換えてしまう代物なら話は別だ。絶対に止めねば。」
「でも、勝てるんでしょうか?社会人リーグ優勝チームでもああなるなんて…。」
「そこが頭の痛い所だ。みほはまだ底を見せて居ない。
大洗のメンバー自体も練度という面ではまだまだ初心者と言った所だろう。
だが…言い換えれば、そんな状況でもここまでやれる。
この先もっと強くなれば…どこまで行くか見当も付かない。
何より、同盟相手のIS学園の高町なる隊長…凡そ人とは思えん。
彼女の担任が母に語って曰く、
『10分でISを極め、3日で戦車道を極めた戦闘民族』との事らしい。
お母様は『悪魔』と評していたが、私も同じ意見だ。試合の映像を見たが、
あれは酷過ぎる。一人だけ半世紀先の戦いをやっている様な物だろう…。」
「確かに…あんな長距離狙撃に怯えながらじゃ、真面に戦えませんよ。」
「お祖母様も『西住流最大の敵』としてみほと、いや鬼皇流と全面対決の構えだ。
『とんでもない大悪党と親交を結び、御本家様を没落に追いやらせた上、
本家筋の御嫡男が監督を務めるチームを完封し、戦車道界から永久追放するなど
戦車道に関わる全ての者に合わせる顔が無い。』と本気でお怒りだ。」
「でもその御嫡男様って、傷害で逮捕された監督の事ですよね?自業自得じゃ…」
「隊長ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」
と、ここでまほの所にエリカが血相を変えて駆け寄ってきた。
「エリカ?何かあったのか?!」「逸見さん?!どうしたんですか!」
「ハァッ…ハァッ…こちらに…居たんですね?…大変な…事に…なりま…した!」
まほを探して駆け回っていた様だ。相当息が上がっている。
「分かった、取りあえず落ち着け、続きはそれからだ。」
そして、ある程度息が整ったエリカはまほに何かの文書を差し出した。
「小梅が、赤星小梅がコレを置いて出て行きました!」
「赤星が出て行った?! 見せてくれ。」
エリカから差し出されたのは小梅直筆の退部届だった。
そこには手書きで以下の事が書き記されていた。
「黒森峰戦車道部の皆様へ
全国大会直前で申し訳ありませんが、今日限りで退部します。
何故なら、私は大洗に転校して鬼皇流に入門するからです。
命の恩人のみほさんが自分の戦車道を確立して、
自分の確かな夢を持ってまた戦車道に帰ってきたのを
『戦車道に関わる全ての者に中指を立てた』
と勘当する様な家元の下で戦車道をやる気はありません。
ここに留まる位なら、私もみほさんと一緒に戦車道に中指を立てます。
次に会う時は敵同士です。相見えたら悔いの無い試合をしましょう。 赤星小梅」
「………………………………赤星さん………………………………裏切ったの?!」
「いや、見限ったのだろう、家元を…お祖母様を…。」
その場に膝を付いたまほであった。
そこに、まほのスマホにメール受信のコールが。
「んん?メール?茂武師範からか…。」
「茂武師範?確か、しほ筆頭師範の黒森峰卒業後の…」
「そうだ。お母様の後任だった方で、薄田社で戦車道チームの副隊長…あっ…。」
「まさか…、師範も鬼皇流に?!隊長、すぐにメールを!」
慌ててメールを読むまほ。
「何て…書いてあったんで?」
「………どうやら、みほがやりたい事は我々の予想とは違う様だ。」
「えっ?」
「エリカ、大会の抽選会は何時だった?」
「来週ですね。」
「恐らくはみほも出てくるだろう。直接真意を聞かなければ。」
「ええ、是非そうしましょう!」
尚、後でまほが実家のしほに連絡を取った所、
小梅は西住本邸に赴いて大洗への転校と西住流からの脱退を申し出、
引き止めようとした家元のりほにも
「みほが戦車道に関わる全ての者に中指を立てたと言うが、
その中指を立てられた者の中に勝手に自分を含めないで欲しい。
今後、自分にとって家元と言えばみほを指す言葉だ」
と啖呵を切り、それでも思いとどまらせようとしたので
踏ん切りを付けさせる為、宣言通りりほに中指を立てて本邸を去ったと言う。
勿論りほは脱退は許さず、破門と言う形で叩き出したとか。
そして、大洗女子学園では…
「西住ちゃん、急に呼び出して済まない。重要な話が有ってね!」
「重要な話?何ですか?」
「戦車道部への入部希望者が来てるんだ!それも5人!」
「何でも、私達の戦い振りを見て是非自分達もって、
態々転校して来たと言っているんだ!」
「しかも、全員戦車道経験者なんだって!すぐに面接する?」
「分かりました、呼んで下さい。」
そして入ってきた5人の女子高生。内1人はもう言うまでも無いだろう。
「小梅ちゃん…?」
「みほさん、お久しぶりです!」
「えっ?!知ってるの…?」
「はい、この人達は黒森峰で戦車道部員だった頃の同級生です!」
そこには大洗の制服を着た赤星小梅の姿が。彼女こそ、
みほが大洗に転校する切っ掛けとなった転落したⅢ号戦車の車長その人だった。
そして、残りの4人はその時同乗していた乗員達。
みほが居なくなった事で心を折られ、戦車道から離れていた彼女達だったが、
みほがTVで新流派創設を宣言し、既存の流派全てに宣戦布告する姿を見て、
彼女は間違っていない、今の西住流は歪んでいると思い直し、
今再び集結して5人連れで大洗に逃げ込み、機甲科の門を叩いたのだ。
「私、決めたんです!みほさんが自分の戦車道を確立して、
確かな目的を持って戦車道を再開したのを見て勘当する様な家元の下では
戦車道をやるのは真っ平だって!
だから私、家元に中指立てて、ここまで逃げて来ました!!」
「その後、私達は赤星さんから声を掛けられて、
『みほさんは正しい事をした、これを認めない西住流と戦おう』って
5人で話し合って決めて、家族に無理言って大洗に転校して来たんです!」
「お願いです、私達も入部の許可を下さい!
去年みたいに一緒に戦車道をしたいんです!」
「そして、みほさんが起こした鬼皇流に、入門を…」
「最後まで言わなくて良いよ!」
みほは涙目でⅢ号の元乗員の言葉を遮った。
「有り難う…!私なんかの為に、ここまでしてくれて…!」
みほは泣いて喜んだ。自分のした事は正しかったと
あの時助けた本人から改めて認められた。これ程嬉しい事は無い。
そして、改めて誓った。彼女達の行いに報いる為にも、
西住流を只の一流派に蹴落とし、家族を現実に向き合わせなければならないと。
「(待っててね、お姉ちゃん、お父さん、お母さん、
私達が全国大会を勝ち抜いてお姉ちゃんを破って、
周囲や分家親族に踊らされる西住流は私が終わらせる!
その上で西住流はこの先どうあるべきか、私とどう向き合うべきかも
西住宗家…お母さんが決定権を独占して、
お母さんが誰かに踊らされる事の無い家元として流派を再編できる様にする!)
こうして、38~42人目の部員が大洗にやって来た。
後日、彼女達には44Mタシュ6号車「トラ号」が支給され、
西住流から鬼皇流への流派転換訓練の為、大会には途中参加という事になる。
日戦連本部 第94回高校戦車道全国大会 抽選会場
高校戦車道全国大会の抽選会は毎年6月に行われ、
例年は16校によるトーナメントの割り当てとなるのだが、
今年の大会は一味違う。何しろ般若騒動により、
戦車道チームのある学校に束とセシリアが大量のAFVを寄贈した事で
大会参加資格を満たした学校が激増。その結果、33校32チームが出場する
史上最大の大会として、日戦連は以下の発表を行った。
「今年の大会は昭和25年の第1回大会以降史上最多となる、
33校32チームからなる大規模大会と成る事を踏まえ、
単一のトーナメント方式では無く、FIFAワールドカップに倣い、
グループリーグとトーナメントを併用する事となりました。
従って、まず4チーム毎に8グループを編成しての総当たり戦を行い、
各グループの上位2チームを選出します。
その上で決勝トーナメントの抽選を行い、勝ち残り型式で戦って頂きます!」
そして抽選当日、今年は日戦連本部の大広間で抽選を行う事と成った。
会場には各校チームの代表者が集結し、4チームずつ
A~Hと書かれた球の入った箱から球を1つずつ取り出し、
同じ文字のチームでグループを編成すると言う。
と言う訳で、大洗・IS学園連合はみほ、杏、なのは、キンガの4人が
会場に赴いたのだが…
「ねえ、あの子…」「うわ、やっぱり来たよ。」「あれが噂の高校生家元?」
「そうそう、例の自分で流派建てた茨城の…」
「で、近くに居るのってIS学園の…」「ヒェ~ッ!雲上人だよ雲上人!」
「で、あの子が例の流派全部潰す宣言したんでしょ?」
「そうそう、社会人リーグ優勝チームに完封勝ちしたんだって…ヤバくない?」
こんな感じで、周囲からヒソヒソされている。
「…………………………………………………………………………………………。」
「な、なのはさん…ひょっとして…怒ってまス?」
「大丈夫なの。噂されるのは仕方の無い事なの。」
「「「(絶対怒ってるよね…。)」」」
そして抽選が行われ、グループの割り当てが発表された。
「それでは発表します、グループリーグの編成は以下の通りとなります!」
グループA グループB
・サンダース大学付属高校(長崎) ・黒森峰女学園(熊本)
・長征高校(山口) ・グレゴール高校(奈良)
・青師団高校(和歌山) ・BC自由学園(岡山)
・マジノ女学院(山梨) ・ボンプル高校(福井)
グループC グループD
・プラウダ高校(青森) ・聖グロリアーナ女学院(神奈川)
・ベルウォール学園(広島) ・大洗女子・IS学園連合(茨城・東京)
・ケバブハイスクール(愛媛) ・三千里農業高校(静岡)
・風車学園(秋田) ・コアラの森学園(鳥取)
グループE グループF
・継続高校(石川) ・西呉王子グローナ学園(広島)
・ビゲン高校(新潟) ・ギルバート高校(大分)
・サロ高校(埼玉) ・ワッフル学院(兵庫)
・竪琴高校(鹿児島) ・トンブリ女子高(沖縄)
グループG グループH
・メイプル学園(北海道) ・
・知波単学園(千葉) ・アンツィオ高校(栃木)
・ヴァイキング水産高校(岩手) ・中立高校(長野)
・ヨーグルト学園(群馬) ・伯爵高校(福島)
「うわっ、サンダースと同グループだ!」
「黒森峰?!よりによって黒森峰と同グループだと?!何て所に当たるんだ!」
「わ、私の所為では無い!」
「去年の優勝校と当たっちゃった…どうしよう…。2位通過狙いしかない…。」
4強がいるA、B、Cグループに当たったチームはショックで固まり…
「やった!4強が居ない!これならウチでも決勝トーナメント位は…」
「強いのは継続くらいか…イケるかも!」
「助かったぁ…いきなり4強と当たらなくて良かったぁ!」
E~Hグループはまだ救いがあると希望を見出す。そして、この3校は…。
「ギャーッ!社会人リーグ優勝チーム完封した奴等と戦うのかよ!
地味に聖グロも居るし!!」
「マルちゃん、声が高いよ!!」
「隊長、如何致しましょう。」
「………………。」
「あ、あの…ダージリン様…?」
「相手にとって不足無し…と言った所かしら?」
「その割には手が震えてますが。」
大洗・IS連合と当たったDグループの3校、
三千里、コアラの森、聖グロリアーナ。4強&社会人最強チーム完封チームが
同リーグと言う事で、三千里とコアラの森の代表者は震え上がり、
聖グロリアーナ代表のダージリンも流石に動揺を隠せない。
そして、この後は各校合同の昼食会と相成って、解散と言う運びとなるのだが…
「さて、食事も済んだし、さっさと帰って相手チームの調査を始めるの!」
「そうですね!長居は無用ですし。」
等と帰路で今後の事を話し合っていると…
「みほ!」
「お姉ちゃん?!」
背後からみほを呼ぶ声、振り返るとそこにいたのはまほとエリカの姿が。
遂に数ヶ月ぶりに西住姉妹が再会したのであった。
原作の第63回大会とは違い、数字がやけに多くなっていますが、
作中の舞台は2043年と言う設定にしてしまった都合上、
今作のガルパン勢の皆には全員生まれるのを31年遅らせて貰う事になりました。
原作未登場のAFV紹介 その15
VK16.02 レオパルト
Ⅱ号戦車の最終進化形態。戦局悪化で結局完成しなかったが、
砲塔だけは装輪式装甲車プーマの砲塔に流用された。
※下記の数値は作中世界でのみ通用する数値で、史実と同一とは限りません。
寸法 車体長4.74×車幅3.1×全高2.6㍍
機関 マイバッハ製 V型12気筒ガソリンエンジン
「HL157P」550馬力
最高速度 60㎞/時
重量 21.9㌧
乗員 4名
武装
主砲:60口径50㎜砲「5㎝ KwK39/1」×1
機銃:7.92㎜機銃「グロスフス MG42」×1
装甲(単位:㎜)
防盾 50
砲塔 前面 側面 後面 天板
50/30/30/20
車体 前面 側面 後面 天板 底板
50/30/30/20/20