高町なのはのIS学園見聞録外伝 我こそ、戦車道極めし者   作:ピロッチ

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と、言う訳で第二話です。
「このいきなり登場した『般若仮面』って誰やねん!」
の答え合わせから早速始めていきましょう。


第2話  本格参入の下準備です!

 その夜 IS学園学生寮前

 

 そこにはみほの元を辞した般若仮面の姿が。そして仮面を外すと…

 

「ふう…」

 

 その下からはなのはの顔が。この通り、般若仮面の正体はなのはである。

戦車道の概念を知ったその日に「戦車道を極めし者」を名乗るあたり、

やっぱりこいつは大概である。

尤も、この後大概で済まされない事態になるのだが。

 

「さてと…束さんに一報入れるか…」

 

 なのはは自室に戻り通信装置を起動させると、

早速通信相手が姿を現す。

 

『はーい、なーちゃんお疲れ~!』

 

 相手はなのはのパトロンともISの師匠とも言うべき

この世界のデア・エクス・マキナにして人類最大最悪の天才、

ISの創始者篠ノ之束である。

 

「どうも。彼女との接触は完了したの!

無事彼女も立ち直って、もう一度戦車道に戻る事を決意したの!

それで?そっちで何か分かった事は?」

 

『一つあるよ。こっちでDNA鑑定をやった結果だけど、

なーちゃんとあの一家は赤の他人だね。身内との他人の空似だったよ。』

 

「まあ当然なの!でも、なんでまあ国内に入れるななんて

ご大層な事を吐かしやがったのかな?」

 

『そっくりな身内に相当酷い目に遭わされたんじゃない?』

 

「まあ、あの怯え振りは尋常じゃ無かったからね。虐待でもされたのかな?」

 

『さあてね…なーちゃんが虐待しそうな顔してたんじゃない?』

 

「⌒*(◎谷◎)*⌒お~ん?」『アヒィーッ!』「口の利き方に気を付けるの!」

 

『ひ~ん、冗談にキレられた~!!』

 

「はいはいワロスワロスなの!」

 

『それにしても戦車道ねえ…

どんどん競技人口が減ってる落ち目の競技でしょ?

良く興味を持てたね。』

 

「まあね、どうも日本の戦車道は『競技者の技量は世界レベルだけど

制度や装備が遅れてる』だの何だの言われてるけど、何かおかしいの!

こう何というか…『意図的に遅れてる状況にさせられてる』みたいな?」

 

『そうだね。こっちで調べた限りじゃ、

高校の戦車道も海外のと比べると大分装備劣悪みたいだし。』

 

「絶対裏があるの!裏!暴かずには居られないのッ!」

 

『(ワァ…凄い闘志…)それで、これからどうする?』

 

「例えば、競技用車輌や装備の製造会社を立ち上げる…?

束さんの資金力なら、お茶の子さいさい…なんだよね?」

 

『そりゃもう!』

 

「こっちも戦車道部の創設を提案してみるの!

ISと戦車道の二足の草鞋を履ける子が何人居るかは

ちょっと分からないけど…。」

 

『只でさえ生徒数少ないからねぇ…あの子がいる大洗が

中高各9千人、全住人合わせて3万人なのに、

そっちは360人でしょ?』

 

「大会参加可能な最低の車輌数は5輛だから、

当時の戦車が4〜5人乗りが主流な事を考えると

最低20〜25人、整備要員も含めると30~35人は必要なの!」

 

『うーん、いっそ、大洗と同盟を組んで連合チームを結成するとか?』

 

「ああ、それはありなの!向こうも戦車道部を再建したばかりだから、

定数割れはまあ間違いないの!どうもルール上禁止もされてないから

今更後出しで禁止なんて真似は出来る訳が無いの!」

 

『おk、そっちも打診してみてよ。で、ちょっと聞きたいんだけど…

無事戦車道部を創設できたとして…何を装備する気なのかな?』

 

「やだなぁ…ウチはIS学園だよ?だからさ…分かるよね?」

 

『あ~…うん。レギュレーションの精査しておくね?』 

 

「宜しく頼むの!」

 

 かくして、この日の通信は終了した。

 

「さて、次は…あの子に話を付けるか。」

 

 こう言うと、なのはは英国貴族出身の同級生、

セシリア・オルコットの元へ向かうのであった。

 

 

 

 数日後…

 

 日本戦車道連盟本部 理事長室

 

 この日、日本の戦車道を総括する組織である

日本戦車道連盟(以下、日戦連)の総責任者、児玉七郎(コダマシチロウ)理事長の下に

学生服の少女が訪ねていた。

 

「ようこそ、お越し頂きました。私が、日戦連理事長の児玉です。」

 

「お初にお目に掛かります。ワタクシ、こう言う者でして。

本日は理事長自ら応対して頂き、感謝に堪えません。宜しく、お願い致します。」

 

 そう言って学生服の少女が差し出した名刺にはこう書かれていた。

 

『株式会社東雲特殊車両 共同出資者兼筆頭株主 セシリア・オルコット』

 

「株式会社…東雲特殊車両?はて、聞いた事のない企業だが…ん?……んん?

まさかとは思うが…ひょっとして…君は、

商談で…此処を訪ねてきたと言う事…なのかな?」

 

「如何にも、その通りですわ。弊社はつい数日前創立した

『戦車道競技用車輌及び専門機材の製造』を専門とする会社でして。」

 

「はあ…しかし、制服を見る限り、君はIS学園の生徒と見受けするが…」

 

「はい、確かにワタクシはIS学園に籍を持つ学生ですわ。

生まれは英国で本国では伯爵の爵位と代表候補生の地位を賜った身の上でして…。」

 

「伯爵…?!いやはや本物の貴族のご令嬢とは…

それで、戦車道競技用車輌及び専門機材の製造専門会社を創設したので、

是非当連盟の指定を受けたいと…?」

 

「はい、社長にしてワタクシの後見人でもある篠ノ之が多忙につき

筆頭株主のワタクシが名代として本日申請にお伺いした次第でして…」

 

「いやしかし、君はまだ高校生……………篠ノ之?」

 

「はい、弊社の代表取締役社長にして

ワタクシの後見人は篠ノ之束と申しますが。」

 

「……えっ?あ、あの…篠ノ之束って…あの…『ISの母』…篠ノ之束博士?」

 

「如何にも、その通りですが。」

 

「あ、あ、あ、あの篠ノ之博士が自ら社長を務めて競技用機材を提供したいと?!」

 

「はい、その通りです。」

 

「ぁああぁあああぁああぁぁぁああああぁぁああ~!」

 

 いきなり椅子からずり落ちる児玉理事長、

思わぬビッグネームに腰が抜けてしまった様だ。

 

「だ、だ、だ、大丈夫ですか?!」

 

「い、いや失礼!余りのビッグネームに少々腰が抜けてしまった様だ…

しかしあの泣く子も黙る大天才篠ノ之博士が…戦車道に興味を持つとは!」

 

「はあ…車輌自体はまだ暫く時間がかかりますが、

競技用機材でしたら一つ売り込みをさせて頂きたい物品がありまして、

それが…こちらとなります。」

 

セシリアが持ち込んだ鞄から取り出し、児玉理事長に掲げて見せたのは

一着のツナギであった。

 

「こちらが、弊社製の『冷暖房付き競技用装甲服』となります。

聞けば全国大会は夏期に行われるそうなので、高温になる戦車内で

脱水症状等命に関わる症状等の対策として

弊社社長の篠ノ之自ら試作致しました。篠ノ之曰く、装甲服の素材の炭素繊維は

『同じ厚さなら、貴連盟が現在競技用車輌に装備している

特殊カーボン製内貼り(ライナー)の倍の強度』との事でして…。」

 

「に、二倍?!!」

 

「競技者の安全性向上は至上の命題ですので…それと、ここだけの話ですが…。」

 

「ま、まだ何か?」

 

「聞けば戦車道では長年『外部視察の為ハッチから身を乗り出した者に

流れ弾や跳弾が命中する事態』が危惧されているとか。

幸い実際に起きた事は未だ無いそうですが…。

 

そこでISの絶対防御の技術を応用した防護バリアーをキューポラに装着し、

より安全な競技中の外部視察を可能とする防護装置が、

近日中に完成すると篠ノ之が申しておりまして…」

 

「????!!!!!!!!」

 

 児玉理事長がまたもや腰を抜かして床にへたり込んだのは言うまでも無い。

 

「い、いいいいいい一度この案件は理事会に諮るとしよう…!

それ程の技術を導入できれば、更なる安全性向上と戦車道の隆盛に

多大な追い風と成る事は間違いない。

必ずや御社を指定企業に加えられる様取り計らわせて貰おう…。」

 

「それは何より!良いお返事を頂ける事を期待しております。

では本日はこれにて…。」

 

 数日後、セシリアの元に児玉理事長自らこの様に連絡が来たという。

 

『今し方理事会にて、御社を当連盟指定の機材製造企業の一つに加える事が

正式に決定致しました。天下の篠ノ之博士が当連盟に

お力を貸して頂けると言う事であれば、願っても無い事!是が非でも

「御社には戦車道隆盛の為、お力添えを」と篠ノ之博士に伝えて貰いたい!』

 

「有り難う御座います。早速その様にお伝え致しましょう。ああ、それと…」

 

『何か?』

 

「2つほどお話ししたい事が御座います。

一つは、我がIS学園も近々戦車道部を創設する予定がありまして…

部員の確保と部活動の創設が無事成った暁には、

連盟に加入申請にお伺い致しますわ。

 

それともう一つ。実は『定数割れを起こしている学校同士で同盟を組み、

連合チームを結成する事を検討している学校がある』とか。

そういった行為の是非に関して、ご回答を頂きたいのですが。」

 

『分かりました。後者にはルール等確認の上、

御回答致しましょう。では、これにて。』

 

 通信が終わるや否や、セシリアはなのはに

「全て予定通り」と伝えるべくなのはの部屋の戸を叩いたのであった。

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