高町なのはのIS学園見聞録外伝 我こそ、戦車道極めし者   作:ピロッチ

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 さあ、いよいよ全国大会の前哨戦となるリーグ戦が開幕です。
全試合自軍を1輛もやられずに戦いぬくと宣言したみほは
こんな所で躓いては居られない。果たして、どこまで行けるのか?


第21話  リーグ戦、第1試合開幕です!

 三千里高校への使用車両開示直前…

 

 三千里への潜入任務から帰還した優花里が

薄田社訓練場の宿泊棟の食堂にて待つみほと杏に結果報告に赴いた。

 

 「西住殿、秋山優花里、三千里農高への潜入調査を終え、

只今帰還致しました!」

 

「ああ、帰ってきたんですね。お疲れ様!」

 

「ご苦労さん。それじゃ、結果を聞かせてくれないか?」

 

「では、早速報告します!」

 

 優花里は一言そう言うと、書類を机の上に置いた。

 

「まず、車輌は事前調査通りナウエルDL43を使っています。

ですが、主砲はこの写真の通り連盟の許可を得て米国製M3に換装済みです。

足回りもエンジンのチューンで出力90馬力増強の上、

変速機の改修により最高速度は1.2倍の48㎞/時に増速したとか。」

 

「へえ、たった90馬力増やしただけで二割も増えるんだ…。」

 

「元々出力重量比は毎㌧14馬力超ありましたからね。

それでⅣ号と同程度の速度だったから余り効率が良くなかったのかも?

でもこの改装で毎㌧16馬力にパワーアップして効率も改善されましたから、

この位の増速は考えられますね。

これが東雲特車がやった事ならば、50km/時超も有り得ますよ。」

 

「ああ、開発国のアルゼンチンってこの戦車が開発初挑戦だったんでしょ?

技術的に未熟だったのが、現代技術で再生産してマシになったと言う事かな?」

 

「確かにそれは考えられますね。

そうそう、改修を行ったのは西住殿のお父様が勤務して見える

肥後重機という所が行ったとか。」

 

「肥後重機かぁ…黒森峰時代はお世話になってたなぁ…。」

 

「向こうのマルコ隊長曰く、

『娘の成長を喜ぶべきか、家族を引き裂いた事を怒るべきか』って、

凄く複雑な気持ちだって仰っていたそうで…。」

 

「そう、なんだ…。絶対に正気に戻さないと…。」

 

「よし、ハード面はこの辺で良いだろう。問題はソフト面だ、練度は…」

 

「乗員の練度ですか。高いとは言えませんね。今まで10輛分の部員が

4輛の車輌を使い回して訓練していたのを今年から人数分揃えた事で

改善はされていますが。マルコ隊長曰く

『静止目標に安定して命中弾を見込める交戦距離は最長7~800m程度』と。」

 

「行進間射撃は?」「『近代FCSくだしあ』レベルでした。」

 

「では、隊長や副隊長はどういう気質なのかな?」

 

「マルコ隊長はだらけてますが、何か面白い事があると好奇心旺盛になります。

で、それを真面目なタマ副隊長が支えるという状況です。」

 

「では、残りの各車車長の気質は…。」

 

 こんな感じで収集した情報を報告していく優花里。

そして、それを基に作戦が組み立てられ、IS学園側にも伝えられる。

 

『よく分かったの!後、こっちからも伝えたい事が一件あるの!』

 

「何でしょう?」

 

『ISー4の1輛を、ISU-122BMに変更するの!』

 

「ISUー122BM?」

 

「ISー2の車体にISー2、3、4が搭載する

122㎜砲の原型となったA-19カノン砲を

固定式で搭載した自走砲…事実上の駆逐戦車です。」

 

「え?じゃあISー2の車体にISー2の主砲の原型になった砲を

固定式で搭載してるって事?それって作る意味有る?」

 

「安く生産出来て、訓練も短時間で済むんですよ。」

 

『そうなの!但し、BM型は一味違うの!

主砲は60口径で初速も1km/秒を超えるBLー7に替えてあるの!』

 

「初速1km超え…あっ(察し」

 

『尚、ISUー122BMは5人乗りで装填手が2人要るので、

織斑一夏を第二の装填手として加え、

ISー4側の装填手として新たに布仏本音をスタメンに加え、

以下の者で試合に出場するの!』

 

「分かりました。では、当日は宜しくお願いします。」

 

 こうして、IS学園側の試合当日の参加メンバーは以下の通りとなった。

 

ISUー122BM          

・車長  ラウラ・ボーデヴィッヒ(副隊長補)

・砲手  高町なのは(隊長)

・装填手 篠ノ之箒

・装填手 織斑一夏

・操縦手 シャルロット・デュノア

 

ISー4

・車長  コヴァーチュハーズィ・キンガ(副隊長)

・砲手  セシリア・オルコット

・装填手 布仏本音

・操縦手 鳳鈴音

 

 

 

 一方、公式大会初挑戦の未熟故簡単にスパイされた三千里農高サイドは…

 

「全く、何やってたのよっ!」

 

 コーチを務めるOGでマルコの姉、サキコに一喝されていた。

 

「御免よ~!あんなに堂々と入ってくるスパイなんていないと思ったんだよ~!」

 

「まあ、そう言う事されるのを十分教えなかったアタシにも非があるけど…。

それにしたって身元確認するなり、やる事があったでしょう!

こうも見事にすっぱ抜かれるなんて!」

 

「姉ちゃん、説教はもう沢山だよ~!」

 

「はぁ~…。それで、どういう作戦で戦う気?」

 

「それがさ…正直、打つ手が全然浮かばないんだよ!」

 

「はぁ?」

 

 三千里に限らず、全ての高校チームに言える事だが、

西住流直系のまほを除いて鬼皇流が薄田社チームを

どうやって完封したかの詳細は誰も知らない。分かっているのは、

広報に記載されていた3km先から初弾をぶち当てる

とんでもない長距離狙撃と偽兵と目眩まし等の裏技を用いた事だけである。

 

「はぁ?じゃないよ!

兎に角『3km先から初弾を当ててくる』ってのが全ての作戦の障壁なんだよ。

史実でそんな芸当出来る戦車が出て来たのって冷戦末期くらいでしょ?

向こうは半世紀先の戦車を持ち込んで来る様な物じゃん!

姉ちゃん、そんなのと戦って勝てる訳?」

 

「そ、それは……。」

 

「もうさぁっ、無理だよ!有効射程が4倍なんだからさぁっ!

鬼皇流チーム相手は捨てて良いよね?

試合場も隠れる所殆ど無いし、あんなのと真面に戦うなら、

第3世代MBTか、最低でもTAM戦車が無いと無理だって!」

 

「簡単に諦めちゃ駄目よ!聖グロは4強だし、

コアラの森だって大会出場経験持ちって事だけでうちより格上なんだから、

ここで格上だからって逃げてたら、どこにも勝てないわよ!」

 

「へ~い…。」

 

 こんな感じで、兎に角なのはの悪魔的狙撃に怯えながら

作戦会議を始めるのであった。果たして、どんな作戦となっただろうか?そして…

 

 

 

 第94回全国高校戦車道大会 グループリーグ戦 第4試合会場

 

 遂に試合当日。今年は東雲特車=束が運営資金をバックアップしている事から、

例年に比べて設備の充実が著しく、特に戦車道史上初となる

外部視察用防護バリアーを、それもいきなり全車輛への導入に加え、一部の学校は

強化特殊カーボン繊維製の競技用防護服(競技用装甲服から改称)も導入し、

その安全対策の充実振りに国外の戦車道関係者も堪らず観戦に訪れる等、

他国の戦車道先進国の試合に勝るとも劣らない大盛況となった。

 

 当然ここ大洗・IS学園連合対三千里農高の試合も例外では無い。

何しろ生放送で独自の流派創立を宣言し、国中の既存の流派を無価値と断言する

前代未聞の暴挙を働いた高校生家元西住みほ率いる鬼皇流の公式デビュー戦なのだ。

その実力は薄田社戦で証明済とは言え実際の戦いが一般公開されるのはこれが初めて。

観客席には同じグループのコアラの森と聖グロリアーナの選手も観客として観戦、

相手の戦い振りを観察するべく目を光らせる。そして、彼女達も…

 

「遂にこの時が来た…あの子が茨城に去って以来、直接会うのは初めてになりますね。」

 

「うん、分かってるよしほ。試合が終わったら、あの子と直接話し合おう。」

 

「左様。彼奴の暴挙を終わらせる為にも、如何程奴に近付いているか見極めねば。」

 

 何と西住夫妻と家元のりほもお忍びで観戦に来ていたのだ。

果たしてみほと顔を合わせた時、何を語る積りなのだろうか?

そして遂にその時が来た。

 

「それでは、大洗・IS学園連合対三千里農業高校の試合を始めます、一同、礼!」

 

「あれが噂の高校生家元か…、

防護服で目元しか見えなかったけど、目だけでも気迫が違い過ぎるよ…。」

 

「ホントだよ、あれが20年振りに再建されたばかりの

戦車道部だって、信じたくないよ!」

 

「で、作戦はアレで良かったんだよね?」

 

「うん。1輛毎に分進してフラッグ車を見付け次第

呼び出した車輌に合流して合撃する。もうコレしか無いよ!」

 

 尚、この試合共にフラッグ車=隊長車であり、

みほ車かマルコ車、どちらかの車輌を先に撃破した方が勝者である。

 

「皆、今回は相手が悪過ぎる。負けたかないけど、負けても仕方無い、

勝ったら儲け物の積りで思いっきり突っ込もう!!」

 

「「「「「おおおおおおおおおーーーーー!!」」」」」

 

 まさかあんな結末になるとは、三千里側は思いもよらなかっただろう。

 

『試合、開始!!』

 

 そして審判長の号令一下、号砲が鳴り響く。

遂に鬼皇流の公式戦デビューの時が来たのだ。

 

 視点・三千里フラッグ車 マルコ号

 

「こちらマルコ号、各車、状況報告!」

 

『タマ号、敵影見ず!』『クックック…エミコ号、敵影見ず…。』

 

『トシコ号、敵はまだ見つからないよ。』『ヒメコ号、敵は見えませんわ。』

 

『カズコ号、敵影見えません。』『ハナコ号、敵は見えないわ!』

 

『ヒロミ号、まだ見える訳ないでしょ!』『ミスズ号、敵影なし。』

 

『カヨコ号、敵影見ゆ!…基、戦車じゃなかった…!』

 

「もーう、しっかりしなよ!兎に角1秒でも先にフラッグ車を見付けないと…。」

 

 三千里側は各車を○○(車長の名前)号と呼び、各車長は双眼鏡片手に

ハッチから身を乗り出し、大洗・IS学園連合の車輌を血眼で探し出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この時点で、もう手遅れとも気付かずに。

 

 

 

「何処だぁ~?何処に居るんだぁ~?」

<前方に発砲炎…? ! マルコ隊長!!

「え?何?!」

 

 操縦手に呼びかけられ、思わずそちらを向いた瞬間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

BLAAAAAAAAAAAAAAAAAM!!!

 

 いきなり猛烈な衝撃が来て、砲塔前面が激しく凹む。

 

「何?!何が一体…?!!!!」

 

 直後、シュポッと音を立てて撃破を示す白旗が上がる。コレの意味する所は一つ。

 

『さ、三千里農高フラッグ車…砲塔貫通、撃破判定…しょ、勝負ありぃぃっ!!

勝者、大洗・IS学園連合!!!』

 

「え?決着?勝負あり?…負けた?いや待って!!まだ1発も射ってない…

ていうか、まだ5分も経ってないんだけど?!」

 

『け、け、け、け、け、決着~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~?!』

 

 審判長が戸惑いと驚きと恐怖の混じった声で決着を宣言する声は

スピーカー付き監視用ドローンを通じて試合場全てに響き渡った。

直後、実況が突然の出来事に吃りながら勝敗が付いた事を告げ、次の瞬間…

 

えええええええええええええええええええええええ

えええええええええええええええええええええええ

えええええええええええええええええええええええ

えええええええええええええええええええええええ

えええええええええええええええええええええええ

えええええええええええええええええええええええ

えええええええええええええええええええええええ

えええええええええええええええええええええええ

えええええええええええええええええええええええ

えええええええええええええええええ?!!!!!

 

 観客の地を揺るがす驚愕の声。余りにも早過ぎる決着に

その場の誰もがただ只管魂削るばかりであった。

 

『何と言う事でしょう?!!!距離5,000を!!5km先を!!

一発で当ててしまったぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああ!!!』

 

 かくしてこの戦いは後に鬼皇伝説パート2「三千里瞬殺戦」と呼ばれる

高校戦車道史上最短決着記録を樹立した戦いとして歴史に名が残るのであった。




原作未登場のAFV紹介 その16

ISUー122BM 

ソ連製ISUー122の主砲を46.3口径122㎜砲Aー19から
60口径BLー7に換装した試作駆逐戦車。
史実では不採用となった。

※下記の数値は作中世界でのみ通用する数値で、史実と同一とは限りません。

寸法   車体長6.77×車幅3.07×全高2.47㍍
機関   ハリコフ機関車工場製 V型12気筒ディーゼルエンジン
     「Vー2ーIS・束カスタム」?馬力
最高速度 ?㎞/時
重量   46㌧
乗員   5名

武装
主砲:60口径122㎜砲「BL-7」×1
機銃:12.7㎜機銃「DShK」×1

装甲(単位:㎜)
防盾  65+60
戦闘室 前面 側面 後面 天板
    90/75/60/30
車体  前面 側面 後面 天板 底板
    90/90/60/30/20

本作での変更点

 束がエンジンを手ずからチューンしたらしい。
だが、具体的な出力と最高速度はまだはっきり判明していない。
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