高町なのはのIS学園見聞録外伝 我こそ、戦車道極めし者   作:ピロッチ

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 三千里農高との試合は、なのはが5km先への狙撃を一発成功させ、
5分とかからず一撃必殺で決着が付いた。観戦していた西住流家元のりほと
娘夫婦はその一方的戦い振りに恐れを為し、
みほの本心を直接聞こうと彼女を探すのであった。


第23話  親子の対話です!

「さて、決着も付いたし長居は無用。次のコアラの森対策を考えないと…。」

 

 引揚げの準備を終え、セーラー服に着替えて帰ろうとするみほに声を掛ける者が。

 

「みほ!」

 

 母や夫と手分けしてみほを探していたしほが、みほを見付けたのだ。

 

「………やっと会えたわ。茨城に去って以来ね。」

 

 しかし、みほは素っ気なく一言こう返した。

 

「すいません、何て呼べば良いのか分からないので帰って下さい。

ほら、私誰かさんに勘当されたんで。」

 

「良いのですよ、母で。熊本で一緒に暮らしてた時と同じで構いません。

まほも姉で良いと言った筈です。」

 

「必死なんですね。この世全ての戦車道関係者に中指を立てた輩に、

戦車道に関わる資格の無い輩に向かって。で、そんな私に何の用なんですか?」

 

「………うっ。…確かにまほや織斑教諭にはそう言いました。

ですが、本心は違うのでしょう?茂武姉妹にそう語った事、まほから聞いています。

あれが本音なら、家元は無理でも私達親子はまだやり直す余地が有る筈です。」

 

「そうですねー。で、具体的にどうやり直すんでしょうね?」

 

 あくまで挑発的に問い返すみほ。みほ自身、今のしほの本音には興味がある。

次期家元として、現家元に最も近い女が今どう考えているかを知るべく、

敢えて挑戦的な態度を崩さない。

 

「それは…当流代替わりの際、望み通り分家を許しましょう。

己の戦車道の何たるかをはっきりと言葉に出来るまでに確立し、

薄田社戦車道チームをパーフェクトゲームで破る実績を挙げたからには、

最早アナタを一人の家元として認めざるを得ない事は誰の目にも明らかです。

 

それならば、いずれこの母が西住流家元となった暁にはその権限で

勘当も破門も無かった事にして、分家の許しを与えます。

その替わり、西住姓は返して貰います。

自ら流派を立てたアナタにとって、最早西住姓は枷でしか無い筈。

 

娘としてでは無く、自分の戦車道を確立した一人の家元として向き合ってくれれば

それ以上を求めないと言うのなら、これでアナタの望みは叶うでしょう。

もう親子が互いを目の敵にしなくても良い筈です。」

 

「うーん…IS学園式で計算するなら…49点。」

 

「49点…?何がですか?」

 

「IS学園の及第点は50点なんだって、つまり惜しいけど不合格!って事だよ。」

 

「これでもまだ、足りないと言うの?」

 

「あともう一歩かな?で、改めて聞くけど何しに来たの?」

 

「本音が聞きたかったのです。

人からの又聞きじゃないアナタ自身の口から、西住みほがしたい事の本音を。」

 

「今更?…まあ良いや。じゃあ全部言うね。私が戦車道に戻ったのは、

般若仮面って人から私に危機が2つ迫ってるって教えて貰ったからだよ。」

 

「般若仮面?…例の東雲特車のマスコットの?」

 

「そう。『戦車道を極めし者』なんだって。その人が言うには、

一つはまず大洗が廃校になるって事。もう一つが、お母さん達は

この国から戦車道を無くそうとしている悪い人に狂わされて、

勝つ事しか頭にない乱心者に貶められてるって事。」

 

「戦車道を日本から無くす?!そんな大それた企てが…?

(戦車道を極めし者、般若仮面…みほを戦車道に引き戻したと言っていた事と言い、

やはり、般若仮面=高町なのはで間違いはなさそうね…。)」

 

「うん。その悪い人がこの国から戦車道を廃絶したら、

西住家は用済み家に成り下がって私や門下生ごとこの世から消されるんだって。」

 

「当家を門下ごと?!では、常夫さんもまほも一緒に…。」

 

「間違いなくね。でも私だけがそれを無に帰せる。その為にまず戦車道に復帰して、

天下に覇を唱えろって、般若仮面さんから教えられたんだ。

ねえ、その悪い人って古馬塚家の事でしょ?

薄田社のオーナーだった西住家の本家筋の。」

 

「そんな話は聞いた事がありません。ですが、あの家の横暴は目に余る物があり、

そして家元が逆らおうとしなかったのは事実です。

 

でも、もうその心配は無くなりました。

古馬塚家は薄田社からも戦車道からも追放されました。

それに、薄田社の戦車道チームに勝った実績が文科省に認められ、

大洗女子学園の廃校は撤回が決定したのでしょう?

 

母も見ました。戦い方自体は邪道を極めた様な到底見られた物ではありませんが、

それが鬼皇流だと言うのならこれ以上文句は言いません。

『戦車道にまぐれ無し、あるのは実力のみ。』をモットーとする身としては

あの勝利が紛れも無い実力に依る物である事は認める所です。」

 

「そうだよ。鬼皇流が国に認められた証拠だよ。」

 

「それなら、もうアナタに迫る危機は無くなった筈です。まだ足りないのですか?」

 

「まだ残ってるよ。悪い人が。西住りほって言うんだけど…知ってる…よね?」

 

「…………!やはり、この母に実の親を蹴落とせと言うの?」

 

「そうだよ。それと、分家親族の年寄りの人達も叩き出さないと。

だってあの人達じゃ西住流が勝つ事を全てに優先する流派から脱却させられないし、

古馬塚家への反抗心も無い。こんな人達が居座ってるんじゃ、

古馬塚家が生きてる限り、また同じ事の繰り返しだよ。それが出来て初めて家元。

こんな事は、私みたいなまだ後見人の要る未成年家元でも分かるよ。」

 

「やはり、そうしなければいけないと言うのですね?そしてアナタは

この母が西住流の全てを専決し、勝利至上主義を捨てるまで当流と戦い続けると。」

 

「そこで躊躇うの?…そんなだから家元に成れないんだよ…島田さんと違って。」

 

 思い切り挑発するみほ。「アナタのライバルの島田千代は既に家督を継いで

家元の務めに勤み、自分も家元として国の中央省庁に流派の実力を認めさせた。

だがアナタはどうだ?私の親の癖にまだ次期家元に甘んじてるのか?」

そう言わんばかりの、どちらが上かは明々白々だと言わんばかりの一言である。

 

「…………良いでしょう。それが本音だと言うのなら、

アナタが本懐を遂げる前に必ず代替わりを達成して見せます。

その上で『西住流が試合での勝利より優先すべき物は何か?』を見つけ出し、

そして何時の日か、鬼皇流に真正面から一局相手して貰いましょう。」

 

「へぇ…随分素直なんだね。あっさり勝つ事が全てじゃ無いって認めるなんて。」

 

「あの一撃が、母の目から鱗を引き剥がしたのです。あれは当流への究極の問い。

『これぞ勝利至上主義の完成形。西住流の掲げる戦車道の究極はこんな物か?』と。

あんな味気ない物を完成形と掲げていては、戦車道が衰え滅ぶは時間の問題。

そんなのは余りに沙門しく、惨め過ぎる。」

 

 しほのその一言に、みほは目を丸くする。

 

「………………!」

 

「?」

 

「何だ、お母さんやっぱり凄いんだね。私全然気付かなかった。」

 

「と、当然です。この母が何年戦車道に携わってきたか、

知らぬアナタでは無いでしょう。」

 

「言い換えると、それ以外何にも勝る所がないって事だけどね。

まだまだ沙門しさが抜けてないなぁ…。でも、それで良いんだよ、

自覚があって変えたいって思ってるなら、絶対やり直せる。仲直りできる。

西住流だって、鬼皇流と共存できる。」

 

「……前半はともかく、その言葉が聞きたかったわ。」

 

「分かったよ。今のお母さんがそのままで居てくれたら、門下の皆も正気に戻せる。

だからさ…次は家元に成ってから出直してきて。その時は…あっ。」

 

「?」

 

「しほ、こんな所に居たのか!ほらトメさん、しほとみほが!」

 

 ここで常夫とりほが合流した。西住流対鬼皇流、

遂に両流派の家元が直接相対する時が来た。




 そりゃね、勝つ事を全てに最優先するのなら、
あの勝ち方こそ文句なしのナンバー1と言う他無いでしょう。
しかも、「如何にもその通り」等と開き直ったら…。
今度は自分が三千里と同じ目に遭わされる事が分かり切ってると来てる。


原作未登場のAFV紹介 その2・改

44M イシュトヴァーン 大洗・IS連合カスタム

44M イシュトヴァーンに前話のタシュ改と同じ改装を行った出力強化版。
前話のタシュ改もそうだが、実は束がもう一つルール上合法かつとんでもない
改修を施しており、対戦相手を恐怖のどん底に蹴落とす事になる。

※下記の数値は作中世界でのみ通用する数値で、史実と同一とは限りません。

寸法   車体長6.8×車幅3.45×全高2.3㍍
機関   マイバッハ製 V型12気筒ガソリンエンジン
     「HL230・束カスタム」900馬力
最高速度 70㎞/時
乗員   4名

武装
主砲:71口径88㎜砲「8.8㎝ KwK43」×1
機銃:8㎜機銃「ゲバウアー 34/40AM」×1

装甲(単位:㎜)
防盾  120
戦闘室  前面 側面     後面 天板
    120/50/   100/20
車体   前面 側面     後面 天板 底板
    120/50/75~100/20/20
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