高町なのはのIS学園見聞録外伝 我こそ、戦車道極めし者 作:ピロッチ
いきなり装備大幅強化という禁じ手を投入していますが、
これも般若仮面と篠ノ之束って奴等の仕業なんだ!
なのはが束とセシリアを巻き込み、戦車道参入準備を進めていたその頃、
大洗女子学園の生徒会室では、4人の生徒が何やら悩んでいた。
「うーん…学園艦中に廃校の危機を訴えて
遅刻見逃し200日、通常授業の3倍の単位を
特典として用意したんだけどねぇ…」
こう切り出したのは生徒会長であり戦車道部再建の発起人、角谷杏である。
「集まったのは37人…車輌も…足りませんよね…」
隊長を務める条件で加入したみほも頭を抱えていた。
「どーすんだこれ!どーすりゃ良いんだよぉ!」
生徒会広報係の
「全国大会は予選は上限10輛、準決勝は15輛、決勝戦は20輛…
今のままじゃ予選の定数にも足りないし、頑張って準決勝以降まで進めても、
今度は数で負けちゃうから、いよいよ勝ち目が…。」
生徒会副会長の
完全にお先真っ暗状態の現状に打つ手が無い様子である。
「何はともあれ、学園艦中を根刮ぎ探し回って見つけた車輌はこれだけか…」
何しろ大洗女子校は20年戦車道から離れていた高校である。
学園艦中を探し回り、廃校の危機を訴えて部員を募集したが、
集まった部員は高等部9,000人中、約250分の1の以下計37人。
1年次 2年次 3年次 船舶科
そして、見つけた車輌は以下の9輛である。
ドイツ製 フランス製 旧チェコスロヴァキア製
・Ⅳ号戦車D型 ・ルノーB1bis ・LTー38B/C型
・Ⅲ号突撃砲F型
・
日本製 米国製 英国製
・八九式中戦車甲型 ・M3リー ・MK.Ⅳ
・三式中戦車チヌ
以上、国籍も製造された時代もバラバラの雑多な車輌が
スクラップ同然で放置されていた始末である。
「まあ、文句を言っても始まらないよ。
西住ちゃん、取りあえず見つかった車輌の説明。」
「VK4501(P)…所謂ポルシェティーガーは当たりの部類です。
但しモーター駆動なので信頼性に難があります。
Ⅲ突も戦力になります。チヌも数に数えられます。」
「ふむふむ。」
「Ⅳ号も性能バランスは良いですが、
支援用の前期型なのであまり過信は出来ません。
尤も、主砲や装甲を後期型仕様にできれば、
強豪校相手でもある程度は通用します。
ルノーB1bisは装甲はそこそこありますが、
火力が弱いので『やられないけど倒せない』戦車です。
尤も、強豪校の戦車相手だと一方的にやられます。
M3リーも一応75mm砲が付いてるのでまだ戦えますが
装甲はルノーB1bis以下です。
LTー38は信頼性も確かで偵察要員としては十分使えます。」
「…………。」
「で、問題はここからで、
八九式は歩兵退治用の戦車なので、戦車と戦う事を想定してません。
つまり、戦力としてカウントするのが難しいです。
あと、MK.Ⅳは…WW1当時の戦車なのでWW2までの戦車が参加する
戦車道で使うのはちょっと…」
「ワァ…。で、纏めるとどうなるのかな?」
「単純なハードの性能だけを考えた場合、
この戦力で戦えと言われれば1回戦、2回戦位は存分に暴れて見せます。
でも、使用可能台数の上限が増える準決勝以降となれば
全く確信は持てません。」
「はぁ…そうなるかぁ…。」
「も~駄目だあああぁぁぁぁ~!」
「桃ちゃん、まだ負けた訳じゃ無いから…。」
「そ、そうですよ!戦車道はハードの性能で負けてても
ソフト面…乗員の連携と腕があれば、
多少の性能差はひっくり返せる競技ですから!」
「そのソフト面だって、私等はお前以外未経験者なんだぞー!
今から大会までに練習して、
強豪校と渡り合えるまでになれる訳ないだろー!(涙」
まるで希望を見い出せない様子の生徒会執行部三人衆。
しかし、今のみほには奴がついている。
「ぬううううううううううううううううん!!!」
ズドォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!
謎の雄叫びと共に何者かが降ってきた。
「「「「わあああああああああああああああああああああ!!!」」」」
降ってきたのは黒尽くめに般若面の女、
先日みほに警告を与え、戦車道への復帰を決意させた
「戦車道を極めし者」
「また会ったな、西住の子よ!」
「え、えーと…お久し振り…で良かったんでしたよね?」
「うむ!」
「…ど、どちら様でしょう?」
「えーと、この方は般若仮面さんって言って
『戦車道を極めし者』…だ…そうです。」
「あ、ど、ドーモ…大洗女子学園生徒会長の角谷杏です。
で、こっちが副会長の小山柚子と広報の河嶋桃です。」
「我こそは戦車道を極めし者!うぬ等に救いを齎す者なり!」
「アッハイ…で、戦車道を極めた方が何の御用でしょうか?」
「話は全て聞こえていた…人も車輌も足りぬ事が嘆かわしいか?」
「まあ、それは…あ、あの!般若仮面さんは、
何かアテとか…そう言う物とかありますか?」
「ちょ、西住、お前いきなりそれを聞くのか…?」
「無論、ある!」「「「あるの?!!」」」「意外か?」
「うーん、戦車道を極めた人なら
『足りぬ足りぬは工夫が足りぬ』で一蹴しそうな気がしたんですけど…。」
「確かにこの世には左様な言葉がある。
我ならば、この戦力でも天下に覇を唱えるはいと易き事!
しかし、我は戦車道を極めし者である。
我に取り斯様な言葉を盾に手助けをせぬはこれ即ち怠慢なり!」
「え、えーと…それって…助けてくれるって事で良いん…ですよね?」
「左様。先の邂逅の際も言った通り、
我と志を同じくする心ある者が、うぬの救いとなろう!
まずはかき集めた車両を整備し、基本の操作を学びつつ
各々の適切な役割を見つけ出すが良い!
1週間待てば、うぬ等に救いを与えよう!!」
「ほ、本当か?!本当に助けてくれるのか?!」
「無論。他校と被らず、十分な戦力と成るであろう車輌を授けよう!」
その言葉と共に般若仮面は立ち去っていった。
「えーと、と言う事みたいなので取りあえず見つけた車輌を整備して
部員の適正を見てみましょう!」
「「「お、おう…。」」」
そして、一週間後…
「西住殿ー!輸送船が今横付け完了したそうです!」
「とうとう来たんだね…分かった、今行くよ。」
みほ車で装填手を担当する事が内定した戦車マニアの部員、
艦中央部のグラウンドに向かう。
「それで、その般若仮面とか言う奴は何を持って来たんだろうな?」
寝ぼけ眼を擦りながら同行するのはみほ車の操縦手、
「うーん、『他校と被らないけど、十分戦力になる車輌』
って言ってたからなぁ…見当が付かないけど、
相当マイナーな国の戦車が来るんじゃ無いかな?」
「もしかしたら、アルゼンチン製の
ナウエルDL43かも知れませんよ。私、この戦車が推しなんです!」
「まあ、行ってみれば分かるよ。」「うんうん。」
そして、グラウンドに集合した戦車道部員の前に、
東雲特殊車両(以下、東雲特車)のトレーラーが集結。
そして、一人の少女がトレーラーから降り、部員達の前に歩み寄る。
「皆様、お初にお目にかかります。この度、我が東雲特車から
皆様に寄贈させて頂く車輌の護衛として参りました、
東雲特車筆頭株主にしてIS学園所属のセシリア・オルコットと申します。」
「「「「「あ、IS学園?!」」」」」
降りてきたのはセシリア・オルコット。この度束と共同で出資して創設した
戦車道機材専門メーカー東雲特車の担当兼護衛として公認欠席の上
大洗に出向いてきたのだ。
「IS学園って、あの倍率一万倍超えの世界一の難関校の…」
「はい、そのIS学園ですが。」
「す、すげー…。」「あれが一万倍を潜り抜けた超エリートかよ…。」
「マジで住んでる世界が違い過ぎる…ヤバい、まともに顔見られないよ!」
「あの子、絶対凄い家柄の超お嬢様だよ、もう雰囲気違うもん!」
廃校間近の県立高校の生徒達にとって、
今や戦車道等より遥かに世を虜にするISを学ぶ学園の生徒は正しく雲上人。
ましてや目の前にいるのは本物の高級貴族の令嬢である。
戦車道部員は立ち居振る舞いに畏敬し、戦くばかりだった。
「ど、どうも…大洗女子学園戦車道部部長の西住です。
えーと、オルコットさんって、学生さん…で良いんですよね?」
「はい、今年度からIS学園に入学しまして。
社長兼後見人の篠ノ之の元で戦車道競技用の機材メーカー、東雲特車の
共同出資者兼筆頭株主として本日引き渡しに同行する事となりました。
何卒、宜しくお願い致します。(名刺をみほに渡す)」
「よ、宜しくお願い致します!(一礼)」
「弊社では、車輌のみならず競技用の装甲服や、
IS技術を応用した外部視察用の防護バリア等も
連盟から発注を承っております。
ゆくゆくは連盟を通じて皆様にも支給される事となりましょう。
より充実した安全対策の下、健闘して頂ける事を期待しております。」
「あ、有り難う御座います…。」
「では早速、皆様に引き渡す車輌をお披露目させて頂きます。
…各車、車輌を下ろしなさい!」
セシリアの声でトレーラーから計8輛の車輌が下ろされ、
みほ達の前に並べられる。
「こ、これは?!」「おお、強そう!!」
並べられた8輛の内、5輛は傾斜装甲を溶接で組み立てた車体と、
その上に載る八角形の砲塔から4mを優に超える長尺の砲身が伸びる戦車。
残った3輛は砲塔が無いが、その代わり更に傾斜の緩い車体の前面から
より長く大口径の砲身が直接生えていた。
「こちらが、今回皆様に寄贈させて頂く競技用車輌、
ハンガリー製試作重戦車『44M タシュ』5輛及び、
同国製試作駆逐戦車『44M イシュトヴァーン』3輛で御座います。」
37名という部員数で気づいた方もいるかも知れませんが、
本作の大洗戦車道部はこの時点でサメさんチームまで全員集結してます。
扱いとしては「生徒会が学校中に廃校の危機を訴えた上での募集の結果、
原作途中から加入したメンバーがこの時点で志願してきた。
車輌も生徒が人海戦術で探しだし、この時点で
原作で登場した9輛全てを発見した」という体を取っています。