高町なのはのIS学園見聞録外伝 我こそ、戦車道極めし者 作:ピロッチ
無線傍受幾を持ち込んだサンダース大付属高だが、
大洗・IS学園連合チームに事前に察知され、ネイティブのハンガリー人が作った
ハンガリー語の命令マニュアルで連絡を取り合うという
シンプルにして覿面な対抗策であっさり突破されてしまう。
偽命令に騙されて主力を見当違いの方向に向かわされたと察した隊長のケイは無線工作を放棄、
鈍足故谷間に立て籠った本隊に襲い掛かる隙に呼び戻したキメラ・ジャンボに
挟撃を仕掛けさせる魂胆だ。果たして、連合チームはどう対応するのか?
視点・大洗・IS学園連合 隊長車「あんこう号」
「いよいよ敵本隊との直接対決ですね。敵のT28とT29の105㎜砲は
高速徹甲弾を使えば聖王の正面装甲も射貫く超高貫通力砲。
ISー4に壁に成って貰わないと損害続出は必至か…。」
『それに、生き残ったキメラ・ジャンボも心配なの!早い所片付けないと…
敵の配置は谷間の手前側をT28とT29が塞いで、
その奥にフラッグ車のT28が後方を警戒しながら隠れてるみたいなの!
西住流なら損害やむなしと遮二無二突破して守りの脆い横に一発打ち込んで終了だけど、
鬼皇流はそうはしない、もっと頭を使って勝って見せるの!』
「ええ、その為に会得した技が有ります、
「任せろ、やり果せて見せる。」
視点・サンダース隊長車・T29
「いよいよ敵がやって来るわ、特に気を付けるべきはISー4ね。
砲塔正面は合計400㎜、矢面に立たれるとニッパチもT29も射貫困難な最強の壁…
足回りを狙って動けなくなった所をキメラ・ジャンボにトドメを際して貰うしか無いわ。」
『そして、生き残ったキメラ・ジャンボは後4輛…
兎に角彼女達がどれだけ早くここまで戻って来られるが勝負だ!』
「That's right! アリサ、こっから先は小細工抜きの射ち合いよ!
傍受機に齧り付いてないで、後方をしっかり見張りなさい!
アンタがやられたらGame Overなんだからね?」
『アッハイ…しっかり見張らせて頂きます。』
「さあ来なさい、連合チーム!戦いはここからよ!」
視点・大洗・IS学園連合 隊長車「あんこう号」
「総攻撃は今だ…全隊、進め!」
みほの号令一下、連合チームはISー4を先頭に押し立てて一斉突撃。
『
『『『
何と、ここでみほはイシュトヴァーン3輛に反転を命じた。
キメラ・ジャンボへの警戒の為とは言え、敢えて敵前で敵に背を向けるこの行為に
一瞬サンダース側は思考が止まってしまう。
そして、これが連合チームのトドメの一撃への布石となる。
視点・サンダース隊長車・T29
「What?!この状況で反転?反転ナンデ?!」
『確かにキメラ・ジャンボへの警戒は必要なんだろうけど…
まあ良い、装甲の薄い後方をこちらに向けるのなら、そこを衝く!』
何はともあれ、聖王小隊の反転はサンダース側にとっては格好の隙にしか見えない。
早速ナオミ車が105㎜砲をカモ号に向けた瞬間…。
BLAAAM!!
「「「「「ンアーッ!」」」」」
ナオミ車にいきなり強い衝撃が来た。
何が何だか分からない内に被撃破判定を示す白旗が上がる。
「や、やられた?!一体誰に?!」
『What?!向こうにニッパチを正面から仕留められる砲は無かったんじゃ無いの?!』
混乱しながらナオミ車の乗員が脱出する。
よく見ると、ISー4の1輛が主砲から白煙を上げていた。
「馬鹿なーっ?!ISー4の主砲ではニッパチの正面装甲は貫通出来ない筈!
一体、何処を撃たれた?!」
「! 先輩、ちょっと、此処…これ見て下さい!」
「え?何?!」
ナオミ車の操縦手が何かに気付き、T28の車体床の一点を指し示す。
「これ…此処の底板がボコって膨れてるの…まさか…。」
「………! そう言う事か!わざと地面に跳弾させて底板に当てて…!
(…負けた!こんな芸当を一発成功させる奴が居る所の相手、端から勝ち目は無かった…!)」
高校戦車道において全国でも最高峰の一角と目される
砲術の技量で知られるナオミだからこそ、なのはの人類卒業級の砲術が
どれ程の物かが良く分かる。彼女はこの時点で、自軍の敗北を察知してしまった。
「………おや?何かおかしいな…?」
そして、その敗北の時は既に来ていたのだ。
視点・大洗・IS学園連合ISー4・1号車
「これぞ鬼皇流射法奥義『
正面装甲のガチさが売りみたいだけど、手が無い等と誰が言ったのかな?
ぶっつけ本番だったけど、無事に一発成功させてやったの!」
「…その…えーと…お師様…。」「何なの?」「何ですか、その仰々しい技名?」
「これは私のオリジナルじゃないの!西住輝鳳が命名者なの!」
「…マジですか?」「大マジ。」「……アウフ!」
「…さて、そろそろ時間なの。彼女は上手くやれるかな?」
視点・大洗・IS学園連合 隊長車「あんこう号」
その頃、居なくなった族長ことあんこう号は谷間を大回りして
崖っぷちへ向かって全速で突き進んでいた。
「
「みぽ…隊長、本当にやるの?」「どうなっても知りませんよ?!」
「やるよ…鹿が通れるなら、馬だって通れる…馬が通れるなら…戦車だって通れる!!
あんこう号、全速前進!眼前の崖を…」
視点・サンダース隊長車・T29
「○uck!ナオミまでやられるなんて!でも負けた訳じゃ無いわ!」
「隊長、族長が1輛居ません!いつの間にか逃げ出したんでしょうか?」
「ええ?こんな時に…?何か仕掛けて来るのかも…。」
『こちらジャンボ1、隊長、遅くなりました!!
キメラ・ジャンボは間もなく敵の後衛を射程圏内に捕捉します!!』
「Wow!!正に騎兵隊到着ね!!…って、こうしちゃ居られない!!
ジャンボ1、敵後衛のHoly Kingはそっちを見てるわ!!二手に分かれて横から…」
ギュイイイイイイイイイイイイイイイイイイ…ドゥルルルルルルルルルルルルルルルル!!
「!!…後ろ?!!拙い!!」
その時、突如後方からエンジン音が響く。
アリサ車の異変を察し慌ててハッチを開けて振り返った瞬間、ケイは思わず無線に叫んだ。
「え?上…?」
無線から響いたケイの大声にハッチを開けて上方を見たアリサが見たのは…
「………………は?」
こちらに主砲を向けながら急斜面を横滑りしながら斜めに駆け下りるあんこう号の姿であった。
視点・大洗・IS学園連合 隊長車「あんこう号」
「これが鬼皇流走法奥義、
今だ
「はい!…ここだ!!」
みほの号令一下、華が照準器一杯に迫るアリサ車の天板に向けてトリガーを引き、
80㎜弾を叩き込んだ。
BLAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAM!!
弾丸は過たずアリサ車の機関室天板を直撃、貫通撃破判定が下り、その証の白旗が上がった。
『そこまで!サンダース大学付属高校、フラッグ車撃破判定!勝者、大洗・IS学園連合!!』
「Oh、Noooooooooooooooooooooooooooooooooo!!!」
かくして、連合チームは4強の一角サンダース大付属高を破り、
ベスト8進出を決めたのであった。