高町なのはのIS学園見聞録外伝 我こそ、戦車道極めし者 作:ピロッチ
谷間に立て籠って主力との挟撃を狙うサンダース大付属高本隊への正面攻撃…と見せかけて
みほ自ら乗車のあんこう号で大回りして崖を駆け下り、相手車輌の天板を狙う
急斜面斜滑降突撃走法、その名も「天魔豪斬空」で見事フラッグ車を撃破。
無事に1輛の損害も出さずサンダースを下して見せたのであった。
「そこまで!サンダース大付属高、フラッグ車撃破判定!勝者、大洗・IS学園連合!!」
「あ、アヒィィィィィイイイイイイ~…。」
崖を駆け下りながら上から天板を狙うという予想外の攻撃に、
フラッグ車を指揮していたアリサは腰砕けになって戦闘室に引っ込む始末。
「やった、フラッグ車撃破!これで決着が付きました!」
一方、あんこう号は何とか無事に谷底に着地して停車。
みほ以下乗員が一斉にハッチを開け、互いに無事を喜ぶ。
「た、助かったぁ~!」「何とか上手く行きましたね!」
「やりましたね、お陰で今日も味方を1輛もやられずに勝てました!」
「ああ、何とか最後までやりきれた…。正直、二度としたくないな。」
「そ、そうですね。流石にこんなシチュエーション二度も三度もあったら困りますし。
それじゃ終了の挨拶があるので、待機地点に集合しましょう!
と言っても、前も後ろも塞がってるので、道が空くのを待たないといけないけど。」
(輝鳳叔母さん、叔母さんが編み出した技でまた1輛もやられずに勝ったよ!
…でも、何でこんな仰々しい名前を付けたのかな?)」
視点・観客席
「た、隊長?…ナンデスカアレハ?」「こ、これは…。」
黒森峰から観戦に来ていたまほとエリカはみほが仕掛けた逆落としの奇襲、
その名も天魔豪斬空を決めて勝負を付けた瞬間をモニター越しに目の当たりにし、
唖然呆然としていた。よくよく周囲を見渡すと他の観客もこの攻撃は予想していなかったのか、
決着が付いたのに歓声が聞こえない。余りに予想外の攻撃に声が出ないのだ。
「確かに正面装甲が堅固なT28、T29が側・後面を崖で塞いで立ちはだかれば
狙うのは底板か天板位しかないだろうが…」
「いくら何でも…無謀も無謀ですよこれは。
義経なんですか?源義経の逆落としの真似なんですか?」
「…有り得る。どう言う考えでああしたのかも分かる。
例のIS学園の悪魔の様に跳弾で底板狙いを喰らわせた所で、
撃破した車輌が障害物になってフラッグ車には近づけない。
だから崖を駆け下りて強引に背後に回って尻を蹴り上げるか、
天板を射貫けば族長でもT28に勝てる、大方そう考えたのだろう。」
「成程…それも姉妹故の為せる事…で良いんですよね。」
「そう思ってくれて良い。まあ答えはいずれ本人に聞くとして、
勝負が付いたからには長居は無用だ。我々は引揚げて次の試合に備えよう。」
「そうですね。こうしちゃ居られません、早く行きましょう。」
一方、聖グロからの観戦者トリオは…。
「ワァ…(怖気」「あ、相も変わらず突拍子も無い事を…。」
「『戦いの半分は敵の確信を覆す事である』こう言う時にピッタリの格言ね。」
「あんなの私達でも同じ事をされたら、一堪りもありませんよ。
出来る事なら、絶対にぶつかりたくないですね。」
「…ペコ、トーナメント戦でぶつからない方法って言ったら、
『どちらかが何処かで負ける』しか無いわよ。」
「あっ…。」
かくして、決着が付いた事で双方は撤収に移り、
そして双方の選手が集結し、試合終了の挨拶に臨むのであった。
「以上を以て、大洗女子・IS学園連合と
サンダース大付属高の試合を終了します!一同、礼!」
「はあぁ~…負けちゃったぁ…やっぱり慣れない事はする物じゃないわね。
…ってか、いくら何でも崖を駆け下りての奇襲は流石に予想出来ないわよ…。」
「ケイ、嘆いてる暇は無いわよ…ほら、あれ。」「え、何?」
まさかの…否、ある意味必然と言うべき1回戦敗退に嘆くケイだが、
ナオミから声を掛けられ、彼女が指差した方を見ると…
「親方ぁ!空から戦車がー!」「ちょ、副長?! 隊長ー!副長が壊れましたぁ~!」
「Oh…。」
何故かアリサがパズーになっていた。流石のケイもこれには言葉が出ない。
流石にこれは放置出来そうにないと、みほが見かねて声を掛ける事態に。
「あ、あの!何と言うか、その…大丈夫ですか?何かこっちの強襲で
おかしく成った人が居るみたいですけど…。」
「え?い、いや、大丈夫よ、ちょっとショックを受けただけだから!と言いたい所だけど…。
聞いてるわよ。日本中の流派を潰して戦車道を終わらせる宣言した
とんでもないクレイジーでビシャスでアウトローな高校生家元が現れたって。」
言うまでも無い事だが、みほの一連の行為の本心を知ってるのは連合チームや
実家位であり、他校の人間からみたみほは
今ケイが言った通りのヤバい奴としか認識されていない。
「あー、やっぱり?そっか、こっちの本心は身内にしかバラしてなかったから
私、世間からそう思われてるのか…、まあでも、これで良いんです。
私達がやりたい放題すればする程、連盟は私達に対策しないといけなくなる。
ルールを近代化したり、装備の悪い学校に梃子入れしたりして、
戦車道をクリーンにしないといけなくなる。
そう考えれば、今となっては他校にどう思われるかはもう気にも留めてません。
そもそも、鬼皇流のセコさの原因は100%IS学園ですよ?
向こうのモットーは『ルールを守ってド汚く』なんで、
こればっかりは私に文句を言われても何も出来ません。」
「…ええぇ。」
「そ、そう。訳あっての行為なのね。…って何そのモットー?!」
「まあ一応向こうの言い分だと、
『世界一のエリート校である自分達がルールの穴を衝く戦い方を繰り返せば、
日戦連は嫌でもルールを近代化して穴を無くす努力をしない訳にはいかなくなる。』だそうで、
これも戦車道近代化の為にやってる事なので文句はIS学園側に言って貰わないと。
ほら、あそこに隊長さんが…。」
そう言ってみほが差した方向を見てみると…
じぃ~~~~~~~~~~~~~~~⌒*(◎谷◎)*⌒~~~~~~~~~~~~~~~っ…
なのはがじ~っとこっちを見ていた。それも、夜叉般若の形相で。
「で、何かクレームでも入れてみます?」
「「 絶 対 ム リ 。 」」
「まあ、こっちの最良のタイミングとそっちの最悪のタイミングが重なったのが
敗因の全てだと思いますよ?ウチのパトロンから送られた
今強化改装中ですよね?『どうせ同じ4強と序盤でぶつかる事なんか無いんだから、
その前に限界まで強化して後半に備えよう』って考えて。」
「あっ…。」
「で、よりによってそっちより後に籤を引いた私達が
緒戦でぶつかる番号を引き当ててしまって…。」
「な、何でこっちの事情が筒抜けになってるのよ…。」
「そりゃ、スパイ位送り込みますよ。まあ、送ったのはIS学園で、
しかも現役の陸軍特殊部隊の将校なんですけどね。」
「「はぁ?!!!」」
「現役軍人を送り込んだですって?!何て人間送って来るのよー!もう最低!!」
「こっちの事情ぜーんぶバレてたって訳か?!
それじゃ始めから負けてるのと同じじゃないか!で、そっちの最良のタイミングって一体…。」
「実は私達、2回戦と準決勝はIS学園の人達抜きで戦う事になってるんですよ。」
「…Huh?」
「もう知ってますよね?IS学園側の隊長さんが今度国家代表操縦者になったって事。
で、毎年恒例の日米合同演習と車輌更新が重なって、
私達2回戦と準決勝はIS学園抜きで戦わないといけなかったんですよ。」
「え?じゃ、じゃあ…私達、ここでぶつかってなかったら…勝てた?」
「もしかしたら、勝ててたかも知れませんね。特にこっちにIS学園が居なくて、
そっちがキメラ大元帥を完成させる予定の準決勝でぶつかった時なら、
一番優位に戦えてたと思いますよ。」
「「………………。」」
ケイとナオミは顔を見合わせると…
「「Noooooooooooooooooooooooooooooooo!!!!!!」」
どこまでも籤運の悪さに泣かされたサンダースであった。
そして翌々日…仮校舎に帰還した連合チームだが、IS学園側は事前に連絡した通り、
ここで日米合同演習と装備更新の為渡米するべく一時戦線離脱する事に。
会議室として使っていた食堂で簡単な壮行会を行い、
最後にIS学園側を代表してなのは、キンガ、ラウラの3名が出発の挨拶を行う事に。
「では私達はここで一時戦線離脱なの!後は任せるの!」
「大洗の諸君、我等が帰ってくるまでの武運を祈る!見事勝ち残って見せるが良い!」
「次の試合相手は栃木のアンツィオ高だそうでス。主にイタリア製AFVを使用する所だとか。
かなりオープンな気風の学園艦で、観光名所としての人気も高い所なので、
観光序での事前偵察をお勧めしまス。」
「任せて下さい、必ず勝ち残るので、決勝で会いましょう!」
「ああそれと、私達が戦線離脱する替わりに
戦線に加わってくれる人達が合流してきたの!それでは…カモン!」
なのはの呼び声に合わせ、ぞろぞろと入ってきたのは5人の女生徒だ。彼女達の正体は…
「小梅さん…。遂に訓練が終わったんですね!」
「はい!報告します!赤星小梅以下5名、鬼皇流への流派転換基礎訓練が終わりました!
これより先、皆さんと合流致します!一緒に戦いましょう!」
入ってきたのは元黒森峰の生徒、赤星小梅以下の5人だ。
大会開始前にみほを慕って大洗に転校し、タシュ6号車を任された元黒森峰チームが
遂に西住流から鬼皇流への流派転換訓練を終えて合流したのだ。
「ご苦労様です。
小梅さんは大洗では貴重な高校進学前からの戦車道経験者かつ車長経験者なので、
今年度で卒業見込みの角谷さんの後任候補として副長補佐の役職に任じます。
同時にウサギ号とアリクイ号と共に3輛で小隊を組むので、小隊長も併せて務めて貰います。
IS学園の皆さんと入れ替わりという形にはなりますが、
あの人達が一時戦線離脱した穴は我々全員で埋めるので変な気負いはしない様にして下さい。
去年の様な目には、もう二度と遭って欲しくないし遭わせません。」
「はい!赤星小梅、謹んで副長補佐兼任の小隊長の任を承ります!」
かくして、タシュ6号車「トラ号」を担当する元黒森峰チームの5名が合流。
次の対アンツィオ高以降の試合に参加する事となったのであった。
そしてタシュ6号車「トラ号」乗員の名と担当は以下の通りとなる。
・車長 赤星小梅
・砲手
・装填手
・通信手
・操縦手
2025年最初の投稿、やっと完成しました…。
この調子だと外伝なのに100話を軽く超えそうかも…早く本編に戻りたい…。