高町なのはのIS学園見聞録外伝 我こそ、戦車道極めし者 作:ピロッチ
そして…
「それじゃ、私はここでアンツィオの生徒に変装して戦車道部員に紛れ込みます。
カエサルさんは例の向こうの副長と接触してそれとなーく情報を聞き出して下さい。」
「任せろ。」
そして、屋台でキッチンを担当していたペパロニこと唐井紗良実なる女生徒の言う通り、
コロッセオ型訓練場に戦車道部員と出発を見送る生徒や聴衆が集結し
隊長であるアンチョビの到着を待っていた。
その中には貴子と一旦別れてこっそりアンツィオの制服に着替えていた優花里も居る。
「(まだ、向こうの隊長は来てないみたいですね。
何はともあれ『秘密兵器』を見てみましょう。
それに、どういう作戦で向かってくるのかも、手がかりを掴まないと。)」
そうこうしている内にコロッセオに隊長のアンチョビが到着し、歓声が巻き起こる。
暫く経って歓声が治まると、キャンバス地で隠された5つの車輌らしき何かが運び込まれ、
アンチョビがマイクを取って聴衆に話し始めた。
「諸君!我らの悲願であるベスト4進出の最大の山場が来た!
今度の相手の大洗・IS連合は鬼皇流を創始して日本中の流派を全て潰すと宣言した
『茨城の魔人』西住みほが率いる文字通り鬼を束ねる悪魔のチームだ!
奴等は頭数3倍の社会人リーグ優勝チームを一方的に殲滅して以来、
今まで1輛も味方を撃破された事が無い!
まずもって、ちょっとでも隙を見せれば数㎞先から超超長距離連続狙撃が飛んで来て
忽ち
逆手に取られて一巻の終わりだ!聞けば同盟相手のIS学園在校生の中には実戦経験者や
現役の陸軍士官が居て、その生徒が容赦の無い裏工作を仕掛けて来るらしい!」
「ゲゲェーッ!現役軍人に実戦経験者?!」「ヒィィィィ…ダメだ、とても勝てない!」
「もうお終いだあああああぁぁぁぁぁ~!」
その陣容に一斉に怯えて悶え出す聴衆。実戦経験者と現役軍人が誰を表してるのかは
今更記すまでも無いとして、こうして他校からの評価を改めて聞き、
自分達が如何にとんでもない連中だと思われてるかを思い知る優花里。
よくもまあこの反則すれすれの戦力で高校生大会に殴り込んでしまった物だと思い知らされた。
まあ、そのIS学園側は今新装備の訓練の為米国に赴いている所なのだが。
「だが、今年は般若騒動やら鬼皇流創設やらで高校戦車道に注目が集まり、
日戦連でも財政改革が行われ、新たな後援企業である東雲特殊車両の参入により、
各校の部費は大きく増額した!当然我が校もだ!
苦心惨憺してやっとの思いで調達したP26/40より更に強い
P43bis、セモヴェンテDa75/46、そしてM16/43サーリアノが寄贈された
我が校に恐れる者等最早無い!
そして!ベスト4進出に向け購入したP26/40は
この度増額された部費で強化され、つい今し方到着した!
見よ!これが我々の新兵器『セモヴェンテ Da105/25 OTO社設計版』
そして我等の秘密兵器、その名も105㎜成形炸薬弾『
アンチョビの声でキャンバス地が取り払われると、
その下から現れたのはP40から砲塔を取り払い、どの車輌よりも大口径の砲が
車体から直接突き出た様な外観の自走砲が1輛と砲弾らしき鋼の塊が。
その名はセモヴェンテDa105/25「バソット」。
そしてその傍らに置かれた鋼の塊の名は「EPS M43」。
その正体は所謂
当たればどれ程距離が離れていようとも12㎝の装甲を貫通し得る。
決して初速が高くない105㎜榴弾砲を用いるバソットにとっては
徹甲弾以上の高貫通力を持つこの砲弾こそが主力なのだ。
「(おお、矢張りバソットを持ってきたのか!史実ではP40の開発遅延で
M15/42中戦車の車体を基に新たに車体を作る事になったけど、
26/40のシャシーを用いた初期設計案が遂に発見され、形を得て姿を現す事になるとは。
そして新型カーボンライナーのお陰で今年から競技に使用可能になった成形炸薬弾!
確かにあれなら横から当てれば族長や聖王とて一撃で仕留められる威力が有りますね。)」
「そして、既存のDa75/18もまた強化され、今此処に到着している!
これぞDa75/18に替わる新戦力、その名は『セモヴェンテDa75/34』!
そして75㎜成形炸薬弾『EPS M42』だ!」
そして残る4つはDa75/18の車体を若干拡張し、
砲身を1m以上引き延ばした様な見た目の自走砲4輛と砲弾らしき鋼の塊だった。
正体はアンツィオ高がなけなしの部費で熊本の装軌車専門整備会社「肥後重機」に依頼し、
Da75/18の車体を拡張して主砲を同径ながら18口径から34口径に延長するという
大手術の末完成した自走砲「セモヴェンテDa75/34」そしてその75㎜砲に用い、
射距離に関係なく10㎝の貫通力を発揮するHEAT弾「EPS M42」だ。
「(はえ~、決して部費が潤沢では無いアンツィオも思い切った事をしたなぁ…。)」
「対して奴等は成形炸薬弾を持ち合わせていない、間合いを取れば取る程威力は落ちる!
そして、それは新生アンツィオの車輌が最も得意分野とする所だ!
機動力で距離を保って逃げ捲り、弾切れを狙って一転攻勢でEPSを喰らわせれば
いくら茨城の魔人率いる鬼皇流とてタダでは済むまい!」
「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」」」
新兵器のお披露目で勝ち筋が見えてきた事に、コロシアム中に歓声が響き渡る。
「(成程、確かに弾切れで射る弾が無ければ試合には成りませんね。
それにウチにHEAT弾が無いのも事実。まあ厳密には有るには有るんですが、
徹甲弾の方が貫通力が有るので使い所が無いだけなんですけどね。
何せ族長のメーカーが作った80㎜砲用の高速徹甲弾の青写真が
ブダペストで見付かって、対装甲攻撃力が格段に増える見込みですから。
惜しむらくは、アンツィオ戦に間に合わない事なんですが。」
こんな感じで、連合チームも着々と強化が進んでいるのであった。
「これで茨城の魔人も怖くない!」「アンツィオの未来は明るいぞ!」
「「「「「
とまあこんな感じで、ノリと勢いだけは何処にも負けない
アンツィオの士気は最高潮に達するのであった。