高町なのはのIS学園見聞録外伝 我こそ、戦車道極めし者   作:ピロッチ

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第52話  合同演習開始です!

 

「か、勝った~!」「まさかIS学園の助け無しで全員無事のまま勝てるなんて……」

 

 準々決勝、大洗女子学園はIS学園の助勢無しでアンツィオ高を破り準決勝進出を決めた。

今回自分達の力だけで勝てた事で、大洗側のメンバーも自信が付いただろう。

 

「トホホ…折角真面な戦車で出られたのに~!」「マンマミィアァァァァァ~…。」

 

 敗れたアンツィオにしてみれば漸く今までの貧弱な装備から卒業して揃えた真面な装備で

長年の悲願だったベスト4進出を果たす筈が最後の最後で阻止された形になる。

その嘆きは一入だ。そして、試合終了後の挨拶で双方の隊長が再度言葉を交わす。

 

「やれやれ、まさか1輛も倒せないまま敗れるとはな。これが茨城の魔人の実力と言う奴か…。

どうして高校生が自分で流派を興せたのか良く分かったよ。だが、見事な勝利だった。

高校最後の相手が鬼皇の家元だった事は、進学先での自慢話に取っておこう。」

 

「は、はぁ…でもまだ大会は続きますし、戦った事が自慢になる様な存在にはまだ遠いので…」

 

「それもそうだな。準決勝の相手は前回の優勝校プラウダだ、

社会人相手にパーフェクトゲームが出来るならまあ勝てるだろう…そうだよな? 」

 

「……そうですね。」

 

「さて、堅い話はここまでだ。ここからはアンツィオ名物の時間だ、皆、準備は良いか?!」

 

「「「おおぉーーー!!」」」

 

 アンチョビの声で他の生徒が一斉にテーブル、椅子、そして大鍋を用意し始めた。

 

「え?え?」「ナンデスカコレハ?」

 

「何が始まるんです?」「第三次たい…」「いや、それはない。」

 

 大洗側が何事かと戸惑っている間に、

あれよあれよという間に食卓が用意され、両校の出場者全員分の食事が並べられる。

 

「大洗の諸君、試合が終われば相手も含めて食事会をするのがアンツィオの流儀だ!

我が校は食事の為ならどんな苦労も惜しまない!…その熱意が試合に活かせれば

勝てていたんだろうけどなぁ。と言う訳で…。」

 

「「「「頂きます!!」」」」

 

 かくして、アンツィオ名物試合後の食事会が開かれる。何故か審判も紛れ込んでいるが、

見て見ぬふりをする情が大洗、アンツィオ双方の生徒達に存在した。

 

 

 

一方その頃、日米合同訓練で渡米したIS学園サイドはと言うと…。

 

 アメリカ合衆国 ワシントン州ヤキマ郡ヤキマ市郊外「ヤキマトレーニングセンター」

 

「気を付け!」

 

 訓練場に気迫の籠った声が響き渡る。

声の主は身の丈180cm、胸囲も120cmは下らないグラマラスな軍装の金髪美女だった。

 

「よく来たな、IS学園の小娘共!私は合衆国国家代表IS操縦者にして、

合衆国海兵隊第11MEU(海兵遠征部隊)隊長、ヤークトパンテル・貌丹邑(バクニュウ)大佐である!」

 

 ヤークトパンテル・貌丹邑。米海兵隊一の美貌を誇る日系4世の女将校である。

彼女は別件で不在の代表操縦者イーリス・コーリングと並ぶ

米国国家代表操縦者にして現役最年長の国家代表IS操縦者であり、

2,000人を超える海兵遠征部隊の隊長を務める。

そんな彼女の前には戦車道部に志願入部あるいは各クラスから特典と引き換えに

選抜して徴集しIS学園の生徒総勢24人が集められていた。そしてその中には…

 

「(何で私まで戦車道やらされる訳…?地味に簪ちゃん居るし…。)」

 

 今月一杯で生徒会長をなのはと交替する事が内定している現生徒会長の2年生で

日系1世のロシア人更識楯無が居た。そして、彼女の横には妹の簪も居る。

 

「今回私がこの訓練場に来たのは他でもない!

毎年恒例の日米国家代表IS操縦者合同演習の為で有る事も勿論だが、

高校戦車道全米大会の優勝校隊長経験者として合衆国戦車道連盟(以下、米戦連)

公認指導員の一人としてブリュンヒルデを通じて米戦連の正式な依頼を受け、

諸君等を鍛え上げる様依頼を受けたからである!5日間だけではあるが、

現役海兵隊の将校として海兵隊仕込みの訓練にてきっちり鍛え上げる所存なので、

心して鍛錬に臨むが良い!」

 

「「「「「はい!!!」」」」」

 

 貌丹邑大佐はそこまで言い切ると、

楯無に気付いたのか彼女に向き直り不思議そうに一言問う。

 

「………貴様、タテナシ・サラシキだな?ロシア連邦の代表操縦者の貴様が何故ここに居る?」

 

「な、何故と言われましても…生徒の代表たる者、女子向け競技への知見を深めろと言われて

半ば強制的に連れて来られまして…。あ、一応クレムリンとホワイトハウスと永田町で

同意していると言う話なので、直にペンタゴンから通達が来ると思います、はい。」

 

「…良くクレムリンが許した物だな。まあ良い。上が良いと言ったのなら何も言わん。

日米露の三国代表合同演習に変わったと考えておこう。さて…久しいな、チフユ・オリムラ。」

 

「こちらこそご無沙汰しております。カーネル・バクニュウ。」

 

「よもや、奴が新たな国家代表とはな。まあ実力的には妥当なのだろうが、どうも…。」

 

「でしょうね。私ですらこの様ですから…」「………。」

 

 千冬はなのはが登校初日に自分に付けた額の傷を見せた。

 

「まあ良い、それにしても戦車道の稽古も付けてくれとは、今年は随分妙な事を頼むのだな。」

 

「アナタだから頼むんです。高校戦車道全米大会の優勝校隊長経験者ですから。」

 

「うむ。一応私の指揮下のエイブラムス1個小隊を連れて来てはいる。

が、IS操縦者の一人として言うが、国家代表とはいえ一介の高校生を

軍籍に在る事前提で行う海兵隊仕込みの訓練で万一壊してしまっては一大事だと思うのだが。」

 

 この期に及んでなのはの心配をする貌丹邑大佐。何を馬鹿な事をと思うかも知れないが、

なのはの実情を正しく知らないとこんな物である。

 

「心配は無用です。現役軍人と言うだけで手に負えるなら、私がどうにか出来てます。

あの『束が直弟子として雇った』その事実がどれ程の事か、よくよくお気を付けの程を。」

 

「…良かろう。で、肝心の奴は…。」「やあ。」

 

「…むっ!」

 

 突如背後から聞こえる声、しかし振り返っても誰も居ない。

そして正面に向き直ると、さっきまで居なかったなのはがそこに居た。

 

「……………!!!」

 

 一瞬たじろぐ貌丹邑大佐。当然だろう。ある一定の期間以上戦車道に携わる者に取って、

なのはの「顔」は恐怖と絶望の象徴その物と言って良い。

 

「どうも、私が新代表のナノハ・タカマチなの!

海兵隊の高級将校ともあろう人が、人の顔を見るなり随分大仰に怯む物なの!」

 

「むむ、それは失礼した。…もう二度と見る事がないと思っていた顔を見てしまったのでな。」

 

「その顔って言うのは…キホ・ニシズミの事かな?」

 

「ほほう…その名を知っているのか?」

 

「それは勿論。アナタ彼女に手も足も出なかったんだって?」

 

「ほほう、言うでは無いか。」「それはもう、そっくりなのは顔だけじゃ無いの!」

 

┣¨┣¨┣¨┣¨~*(◎谷)(谷◎)┣¨┣¨┣¨┣¨

 

 流石の鬼神、身長差20cm、本来の職場で三階級上の一佐に相当する

海兵隊高級将校の威圧を物ともせず正面切って受け止めている。

 

「な、何だこの睨み合いは…」「凄ぇ…2人ともまるで動じてねえぞ…。」

 

「「「「「(隊長/なのはさんと睨み合って動じない女がこの世に居るなんて…)」」」」」

 

 その迫力に海兵隊の強者もIS学園の生徒もただただ恐れ戦くばかりだった。

程なく、2人は同時に威圧を解く。

 

「中々やるな…仮にも国家代表、この程度では欠片も動じないか。」

 

「当然なの。対等なのだから、怯む要素がまるで無いの!」

 

「気に入った、もし戦車道の稽古で私の部下のエイブラムス小隊に一度でも勝てたら

家に来て私をファ○○しても良いぞ。」

 

「勿論!但し私は女なので、代わりに一夏君に○○ックして貰うが良いの!」

 

「ほほう、面白い!ならばあの小僧に処女をくれてやろうではないか。

…私の処女は安くないぞ?もし叶わなければ相応の見返りを請求させて貰う。」

 

「そうだなぁ…なら、

『タバネ・シノノノ直筆のファング・クェイク強化案設計図』なんてどうかな?」

 

「ほう、タバネ・シノノノ直筆の…何ィィィイイイーッ?!!」

 

 ファング・クェイクとは米国製の第3世代ISである。その強化案をISの「家元」である

束が直々に設計する。それがどれ程の価値があるかは国家代表なら誰でも知っている。

貌丹邑大佐の反応は当然の事と言えるだろう。

 

「コレをペンタゴンに献上すれば准将昇格は間違いなし、下手すりゃ少将になれるかもなの!

晴れて貌丹邑閣下の爆誕なの!」

 

「貌丹邑閣下…だと…ゴクリ!…よし、話は纏まった。貴様等は海兵隊遠征隊長の名にかけて

鍛え上げてやろう。精々気合いを入れて着いて来る事だ。」

 

「上等なの。途中で息切れなどしない様に気を付けるの、オバサン。」

 

「(ムカッ…コイツ絶対私を舐めているな。後悔させてやろう。)」

 

 尚、この会話は英語で行われている上、

距離が離れているのが幸いし、他の生徒には聞こえていなかったと言う。

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