Type-00 彼の始まり
『初の男性操縦士織斑一夏さんをどう思いますか?』
『男性初のIS使用者という印象ですが、これから男性が使用出来る事が多くなればなるほど、女性の立場が無くなるのでは?と思ってます。』
テレビを垂れ流しながわ、少年は鏡を見る。短髪の黒髪、何も特徴がない平凡な少年。そんな少年は、手にあるワイヤレスイヤホンを耳に掛け、スマホを操作する。
その通知の中には、ある一通のメール。友人とのIS検査をする用事があった。
「絆、ここがIS検査で合ってるよな。」
「ああ、合ってる。最近は男性も多くなった様だし、長くなるからな。喋りながら順番待ちしよう。」
そう言って、高校生の男性たちは喋りながらふざけ合う。期間限定のIS検査が近くで行われる事が楽しみで、彼らはロボットの操作を楽しみにしていた。だが、彼の友人たちは資格がなかった。
「次の方〜。」
「はい!」
少年は黒のISに触れようとする。その時の光景は、ISを欲しがる子供の様だった。子供の様に、ロボットを欲しがる様なキラキラした目を持った少年の視界は…。
「え!?」
「これって…。」
「2人目!?」
その言葉と共に彼は目を開ける。視界に映るのは、幾つ物の武器が選択できるシステムらしき物。
彼の期待は裏切らなかった。だが、彼は期待を裏切ってほしいと逆の可能性を想像していた。
資格を持たなければ、彼らとの交流が途切れない。そう感じていたのに。
━━そう思っても世間は逃しはしない。世界は彼の思い通りに動かない。優秀な材料を得ようとする者どもに逃げる事など…出来ない。
「逃げるな!」
俺を追うヒトは、俺を目の敵の様に動く。ISの起動解除時に逃げた俺を抑えようとするヒトに捕まったら…俺は実験に使われる。そう思った時には遅かった。
「んっ…ぷはっ…!!」
ここは何処だ。今は何月…。その時に俺は見てしまった。ガスマスクを付けた人間たちが…俺を青い海に突き落とす。
「さぁ、これを装着するんだ。」
「や、め…。アッアアアアアアアアアアアアアッッ!!」
俺の言葉などただの空気なのか…俺の腹部に何かが着けられる。その音をよく聞くと…『ガヴッ!』と何かの生物の声が聞こえた。
そこから1ヶ月、24時間毎日日夜、研究をし続けられ、解剖なども至極当然の様にやられた。だが、俺を助けに来た人がいた。
「これで逃げれるな…。大丈夫か。」
「…はい。」
俺は黒のスーツ服の女性の手を掴む。その下には血が多く塗られた床。だが、俺の心は晴れない。彼らを殺したという罪悪感が胸を塗り替えていく。
「…弟に似てるな。」
「弟…?」
「ああ…お前もそこに通う。」
「…IS学園…ですか?」
「ああ…、大丈夫だ。お前を実験には使わないさ。」
「そう…ですか。」
その言葉と共に、俺の目は伏せられる。安心感と罪悪感に塗られた俺は、ただ寝ることしか出来ない。ただ、塗られてないのは、赤いガヴ…それだけは前を見つめていた。
「仮面ライダーだ…。」
テレビに映るヒーローは、俺の憧れ。ただ、今の俺はテレビと同じ状態だろう。今放送してるガヴもこんな状況だったけ。……そんな俺はIS学園に通う為に歩いていた。
「千冬さん、ほんとに行くんですか?」
「ああ、お前もそろそろ外を知るべきだろう。」
「そうですね…。俺ももう後ろを向いてる暇なんてないんですから。」
そう笑う俺の顔を見た千冬さんは、少し哀しそうに微笑んだ。多分、俺の表情を見て、少し心配したんだろう。
でも大丈夫。これから、前へ向いて歩くから。千冬さんに助けられた分、俺はその倍で人を助けるから。
ここからは本編です。だいぶシリアスですが、コメディになるのはだいぶ後ですね。