織斑一夏とセシリア・オルコットの鍛錬により、自身の実力を思い知る事になる一夏。
だが、意識を狩られる時、自身の忌々しい記憶を思い出す。それは、自身の誘拐事件。
自身を誘拐した謎の組織。自身が信じれない彼の理想。
そんな彼らの状況とは逆に、新川絆は篠ノ之箒に鍛えられていた。
「ここは胴だ!」
「は、はい!」
「そして、ここは面!いいな!」
「了解!」
2人の黒髪の少年少女は剣道場で胴衣を着用し、竹刀を持っていた。
…誰もいない静止の空間。だが、篠ノ之箒による判断力により…新川絆は劣勢となった。
「メェェェン!!」
「えっ!?」
揺れ動く程の声により、圧倒された彼は…面を当てられてしまう。その風景は、相碁井目…経験のない者と経験のある者による闘い。経験のない彼が防御しようとも、隙を見た経験のある彼女に負ける。
「まだやるぞ!」
「ま、待って!?そんな連続は…うおおおっ!?」
そんな声を出す新川と竹刀の捌きによる繊細な動きをする箒の姿は休むまで続けいていた。
「だから、シュンッ!とやって、ズドンッ!だ。」
「感覚系なのか…。慣れれば分かるのか?」
「慣れるのではない!竹刀と共にやっている。と思えばいいのだ。」
「竹刀と共に…?」
「ああ、確かに、感覚では分からないだろう。だが、すぐ情報を処理するには、竹刀の感覚、相手の動きという可能性に賭ける…ことだろう。」
「可能性に賭ける…か。」
「だが、まずは、可能性を賭けるより、瞬間的判断だな。」
「この全国優勝者め…!!」
そう話しながら、彼と私は剣道を続ける。全国優勝者でも、私には分かる。彼は段々と竹刀に馴染んでいる。それに、覚えるのは少し時間はかかるが、闘うという事に
暫く経ち、私たちは胴衣を脱ぎ捨て、寮に戻っていく。
「お前の腕力…人並み以上だな。」
「あ、分かるのか?」
「ああ、それに…重さも人じゃない様に感じる。」
「そ、そこまで分かるって、どれだけ闘い抜いてるんだ。」
そう言う彼の表情は図星を射抜いて、自分で答えを出している。…はぁ、少しくらい本音を隠さないのか。…いや、それがコイツの強さなのだろう。
本音を言う勇気と、自身の正義を揺るがさない芯のある固さ。そして…。
「箒さんは何か隠してるのか?」
コイツの信じる気持ちという弱さか。
「私が何を隠してると思ってるんだ。」
「わ、分かってないのか?最近、織斑さんと喋らないじゃないか。」
そういうと、箒さんは苦虫を噛み潰したような顔をする。だが、彼女は拒否する。
「別にいいだろ。私を心配するより…。」
「じゃあ、どうして…織斑さんと目を合わさないんだ。」
「…苦手だな。お前のタイプというのは。」
そう呆れる彼女。だが、俺は箒さんの目を離さない。逃げているのは確かに俺かもしれない。けれど、俺は…。
「お前だって、隠してるだろう。私を、
「…聞こえてたのか。」
「ああ…。だが、私に隠すのなら、何も話す権利など…。」
そう通り過ぎる彼女…。話せば、どうなる。俺が…彼女の力によって、俺はこの力を持っただなんて。
…だが、彼女は言った。彼女は闘いを活かす力に可能性を賭けると。
「俺は篠ノ之束にこの力を持たされた。」
「篠ノ之束にか…?」
「ああ、それが俺の隠してる事だ。箒さんは。」
そう伝えた時、彼女は何かを掴んだ。
「お前か…お前が、姉さんを!!」
「箒さん…!?」
その時、竹刀を持って、彼女は俺の身体を痛めつける。横腹、突き刺しを仕掛ける為、俺はそれを避けるしか方法がなかった。
「なんで、篠ノ之束を知ってるか、分かった。お前が殺したんだ…篠ノ之束を!」
「ど、どういうことだ!」
「…私は篠ノ之束の妹だ。だが、やっとわかった。姉さんが失踪したのか…、お前が殺したんだ!!」
「違う!!」
そう言っても、彼女は狂った様な怒りを見せる。篠ノ之束は確かに…彼処にいた。俺が目を覚した時も…彼女は…。
『新川絆っていうのはね、川の様に流して、絆を保ちながら、新しい絆を作るってことかな?』
そう伝えられた。それも…彼女は、
『もう来ないよ。君はもう、人間じゃないんだし。』
確かにそう言った。俺の目の前には彼女が…篠ノ之束が居たんだ。
「もし、俺が殺していたら…箒さんは、どうしてその時に殺さなかった!」
「…ッ!!」
その時、竹刀は止まる。だが、俺は死ぬ覚悟ができていた。
だが、一言だけ呟くと…完全に武器は静止する。
「…俺の力は、殺しに使っていない。」
その言葉と共に…時計の針は動く。箒さんと俺の針が、噛み合っていくかの様に…ズレていく。
━次回予告━
「姉さんを何故知っている。」
『私ね、箒ちゃん。』
『クラス対抗戦が開催されました!』
Type-11 彼と彼女の━━