それでも君は「友達」だから。(妖ウォ×呪術)   作:ノーネーム

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これからは目安として週一投稿ぐらいに思っておいてください。…あくまで"目安"ですからね!





呪術師と妖怪

 

 

 

 

 

 五条とエンマが激しい戦闘を繰り広げている頃、呪術高専内にはひっそりと動くふたつの影があった。

 

「ケータきゅーん!!」

「どこにいるニャーーン!!」

 

 

 何を隠そうケータの相棒的存在、ウィスパーとジバニャンである。

 実はエンマ大王とぬらりひょんが、明日の決戦について会議を秘密裏にしている時、目を覚ましたウィスパーとジバニャンは今日起こった事について詳しく伝えようとエンマのいる部屋を訪れようとした際、その部屋の扉の前でたまたま聞いてしまっていたのだ。

 

 その話を聞きいてもたってもいられなくなった彼らは、誰にも口外しないからケータを助けるために参加させてくれと懇願した結果、戦闘を邪魔しない形でケータの安全を確保するなら付いてきてもいい、ということになっていたのだ。

 

 

 

「全然見つかんないニャ……敏腕有能執事ならケータの居場所ぐらい把握しておけニャン」

 

「そんな無茶振りされても無理でウィス……はっ! 今こそ、買い換えて手に入れた最新モデルの妖怪パッドに搭載されてる新機能、『YPS』を使うときでは?」

 

「何ニャンそのいかにも胡散臭そうな機能名は……」

 

「これはですね、付けておいた発信器から発せられる特殊な妖力を辿って、失くしたものがどこに行ったのかすぐに分かるという優れものなのでウィス」

 

「おぉ〜! ケータの妖怪ウォッチに発信器を付けておくなんて、ウィスパーもたまにはやるニャン♪」

 

 

「それでは早速地図アプリを開いて……」

「ケータはどこニャン!? ……って、画面には重なってるふたつの点しかないニャンよ?」

 

「あっ……そもそも妖怪ウォッチに発信器を取り付けてないんでした……」

 

「やっぱり使えないっニャン!!」

「へぶしっっ!!」

 

 

 

 

 久々に頼もしいとジバニャンが思ったのもつかの間、やっぱり役に立たないウィスパーをどこかから取りだしたハリセンで思いっきり叩き飛ばす。

 この瞬間だけは、五条の『赫』パンチと同じくらい吹っ飛んでいた。

 

 そして吹っ飛ばされて壁にぶつかると思われたウィスパーだったが、その姿が突然壁の中に消えていく。

 

「ニャニャ!?」

 

 

 急に起こった謎の出来事にビックリするジバニャンだったが、急いでウィスパーが消えていった壁の近くに寄り、恐る恐る壁を触ってみる。

 すると、まるでそこには何も無かったかのようにジバニャンの手が壁の中に入っていく。

 

 勇気を出して目をつぶり、完全に壁の中に入るジバニャン。

 

「ワタクシのこと踏んでるでウィス……」

 

 

 足元にふにゃふにゃした感覚を覚えつつ、目をゆっくりと開けるとそこには。

 

 

「すぅ……すぅ……」

 

 まるで考える人かのように美しく下を俯いたまま"眠っている"ケータがいた。

 

 

「なんでこんな状況でゆっくり寝てるニャン!!!」

「いったぁぁぁぁあ!!!」

 

 

「ちょっと! 何するのジバニャン……って、ジバニャン!?」

 

「ケータ!会いたかったニャーーン!!」

「ジバニャーン!!」

 

「ワタクシ、完全に忘れられてる……」

 

 

 

 

 ジバニャンと、ついでにウィスパーとも奇跡的に再会を果たしたケータはハリセンにしばかれつつも、2人に拘束を外してもらう。

 

 

「でも、なんでここに来たの?」

 

 

 キョトンとした顔で聞くケータに、ジバニャンとウィスパーは疑問を覚える。

 

 

 

「なんでって……どういうことでウィス?」

「誘拐されたんニャから、妖怪について吐け! とかこの腕時計はなんなんだ! とか拷問されてたんじゃないのかニャン?」

 

「……何か勘違いしてるみたいだけど……」

 

 

 ケータは、ついさっきまで五条と話していたこと、共有した情報をそのまま話す。

 

 

「それじゃ、あの目隠し野郎はケータを攫ったわけじゃ無かったのかニャン!?」

 

「マズイですよ……それなら今現在、エンマ大王様とぬらりひょん様が繰り広げている戦いは、全く無意味ということになるでウィス」

 

 

「え? もしかして先生が俺を置いてどっか行ったのって……」

「ははは早く伝えないとヤバいニャン!」

 

「でも、先生がエンマに事情を説明してる可能性とかだって……」

 

 

「エンマ大王様は多分話を聞けるような状態じゃなかったでウィス。それに、尋常じゃない戦闘の音が聞こえますよね!?」

 

 

「あぁもう分かったよ! ……はぁ、なんでこんなずーっと大変な状況なんだか」

 

 

 

 ケータは自分が閉じ込められていた部屋を飛び出して、廊下を走りながらそうジバニャン、ウィスパーと会話をする。

 とにかくエンマ、もしくはぬらりひょんを見つけないと大変なことになると血眼になって探す。

 

(くそっ、こんな時に妖怪ウォッチがあれば……)

 

 

 部屋から脱出して5分程度が経ち、なんの進展もなくふとケータがそう思った時。

 突然、目の前に左側の校舎の木の壁をメキメキと壊しながら……いや、吹っ飛ばされて壊すことを余儀なくされた、長身で金髪の特殊なメガネのようなものを付けてスーツを着ている男性が目の前に現れる。

 

 急な出来事に思わず足を止め、呆然と立ち尽くしてしまうケータ。

 

 

(五条さんが連れてきた子が脱走したと行ったところでしょうか? いや、呪霊を連れているということはあの人が見誤って呪詛師を連れてきた可能性も……しかし五条さんに限ってそんなこと……)

 

 

 そんなケータにすぐ気がついたその男は、受け身をとっていた体を落とした武器を回収しながら自然と立ち上がらせて、飛んできた方向に戦闘の構えを取りつつケータを見ながら様々な可能性を分析する。

 

(どちらにせよ、"アレ"は私に倒せるものでは無い。ここは生徒達を連れて逃げたいところですが……)

 

 

「あなた、敵と味方どちらですか?」

「え? えっと……」

 

「早く答えてください」

 

「少なくとも敵じゃないニャン!」

 

「……それなら、早くここから逃げてください」

 

 

「あ! ちょっと待っ……!」

 

 

 

 ケータが完全に言い切る前に、目で追えない速度で自分が飛んできた方向に高速移動をする男。

 一体何が起きているのか、ケータは急いで壊れた壁の奥を見てみると。

 そこにはケータが呪霊に襲われた時に助けられた虎杖、伏黒、釘崎……その他の色んな人やパンダを一人で相手取るぬらりひょんの姿があった。

 

 

「ぬらりひょん、やめて! その人達は悪い人じゃない!」

 

 その言葉を確かに聞いたぬらりひょんは、反射的に遠くからこちらを覗くケータの方を見る。

 ぬらりひょんは安堵したような顔をケータ達が気づかないほど一瞬でした後、すぐに厳格な顔をして口を動かし始める。

 

 

「ケータ、無事だったようだな。積もる話はあるが、まずはコイツらを動けなくしてからに……」

 

「待って! ぬらりひょんは何か勘違いしてる!! だからまずはその攻撃する手を止めて!」

 

 

「しかしこれは大王様からのご命令。それに背くことなど……」

 

「ぬらりひょん様も本当は気付いてたはずニャン、今のエンマ大王様はケータが攫われて冷静な判断が出来てなかったことに!」

 

「どうか一度、ワタクシ達の話を聞いていただけないでウィスか?」

 

 

「……お前達、手短に話してくれ」

 

「うん。実は……」

 

 ぬらりひょんは攻撃する手を止める。未だに戦闘ができるように構えてるが、それは虎杖達も同じだった。

 

 ケータは五条と共有した情報について話した。呪術師は妖怪を意図的に祓っていた訳では無いこと、もしかすると人間と妖怪は、両者にとって害である存在の呪霊を協力して祓う事が出来るかもしれないことを。

 話を聞いたぬらりひょんは、昨日エンマが言っていた言葉を思い出す。

 

『……いつかケータと呪術師が邂逅する、だから俺は彼らがケータと出会って妖怪に対する認識を変えてくれると思っていた。……』

 

 

 そのエンマの考えは確かに合っており、エンマが知らないだけでそれは成功していたのだ。

 そうであるにも関わらず、これから協力して憎き存在である呪霊を共に祓えるかもしれない人間達を自分は消そうとしていたんだと、ぬらりひょんは気付く。

 

 しかしいくら呪術師達に悪意や意思が無かったとはいえ、妖怪を祓ったという事実は消えないというのもまた事実であった。

 

 ここで罪を償わせるべきか、保留とするか。

 

 

(……本来のエンマ大王様であれば、ここでは呪術師を信じることだろう)

 

 

「そうなれば、エンマ大王様を一刻も早く止めなければいけない」

「協力してくれてありがとう、ぬらりひょん!」

 

「……どういう状況か分かんねーけど、とりあえずもう敵じゃねぇってことか?」

 

「虎杖君、油断は禁物です」「しゃけ」

「次瞬きしたらお前の頭が飛んでるかもしんねーぞ」

 

「「…………」」

 

 

 未だに戦闘の構えを崩さない、呪術高専の生徒達とその先生。それを見たぬらりひょんは左手に持っていた杖をケータに手渡し、両手を上げて敵意がないことを示す。

 

「まだ信用出来ないなら、縛りを結んでもいい」

「ほら、やっぱ大丈夫でしょ」

 

「それなら、早く縛りを結んでください。我々に危害を加えないと」

 

「"私妖怪ぬらりひょんは、エンマ大王様と今後の方針を話し合うまで、人間に危害を加えない"……これでいいだろう?」

 

 

「……信じましょう。(縛りの期間が不穏ですが)」

 

 

「縛りを結んだんなら、一応は安全ってことだな」

「わー!!? パンダが喋った!!!?」

 

「今はそんなこと重要じゃねぇだろガキンチョ」

 

 

「いやでもパンダが喋ってるんですよ!?!」

 

「というか、なんだかワタクシと声が似ているような……?」

 

 

(あの時の赤猫に白いソフトクリーム……呪霊が"友達"っていうのは本当なのか)

 

「この程度の呪霊なら、襲ってきても倒せそうね」

「ニャンですとー!? オレっちのこと甘くみてもらっちゃ困るニャン!」

 

 

「……時は一刻を争う。エンマ大王様のところまで行きたい人間は私に捕まれ」

 

「私はパスです。これ以上の時間外労働はしたくありませんから。それに、あの人が負けるとは到底思えません」

 

「すまん、仲裁するだけなら行ってやりたいところだが流石に休まないと、核が壊れちまいそうでな」

「たかな」

「……私もだ。想像以上に……疲れた……っ」

 

「真希!」「「「真希先輩!」」」

 

「……彼女達のことは私が見ていますので、五条さんのところに向かってください」

 

 

 

「そんじゃ、俺達は行くに決定だな」

「はぁ!? 何勝手決めて……」

「何言ってんの、先生が話聞いてくれるのは私達くらいでしょ」

 

 

 縛りを結び当分の協力関係となったケータ達は、今すぐにでも五条とエンマの戦いを終わらせようと戦場に身を乗り出そうとする。

 そして半ば強引に、呪術高専の1年生が仲裁に行くこととなったその時。

 

 

「この妖力は……!?」

「なんかヤバい感じがするニャン……!」

 

(この力は……!)

 

 

 突然、彼らのいる校舎中に妖怪のみが感じとれる、明らかに異質な妖力が飛び込んでくる。それはエンマ大王が"本気を出した"という合図だった。

 

 

「ジバニャン、ウィスパー、どうしたの!?」

「ヤバいニャマズいニャ、ただならない妖力を今感じたニャ……」

 

「これほどまで洗練された妖力は間違いなくエンマ大王様の力……」

 

 

「それってつまり先生とエンマ大王? ってのの戦いがヒートアップしてるってことだよな?」

「あぁ。めちゃくちゃマズい」

「そこの白髪呪霊! 早く先生のところに連れてってくれよ!」

 

「…………」

 

 釘崎がそう言うやいなや、その後は何も言わずにケータ達は示し合わせたように息を合わせて、同じタイミングでぬらりひょんの体のどこかに密着する。

 そして、なにか呪文のようなものを唱え始めるぬらりひょん。言い終わったと思った次の瞬間。

 

 

 ケータ達はいつの間にか空中にある五条の領域の、真下にまで移動していた。

 

「「はっや!!」」

 

「……ん? あれって先生の領域だよな」

 

 伏黒と釘崎が驚きつつ、辺りを見回した虎杖は、空を見上げながらそう呟く。

 すると途端に領域が崩壊し、五条とエンマの姿があらわになる。

()()()()()()()()()()()()()()()()()が。

 

 

 

フッハハハハハ! 自己を巻き込む指向を絞らない"虚式•『茈』"を使うなんて、流石現代最強の呪術師だな」

 

「そりゃどーも」

 

「俺も本気でお前を潰しに……って、ケータ!! 無事か!?!」

 

 

「エンマ大王様!」

「エンマーー!! 先生ーー!! 戦うのはやめて降りてきてーー!!」

 

 

「……一時休戦だ、五条悟」

「可愛い生徒の頼みだ、聞いてやらないとね」

 

(鶴の一声……)

 

 

 ケータの言葉を聞いた途端、かなり白熱していたであろう戦闘をすんなりやめる五条とエンマに呆れたような感情を抱く1年生。

 そんな彼らを横目にケータとぬらりひょんは、降りてきた五条とエンマにここまでの顛末を話す。

 

 

「もういい。五条悟、悪かった。これは話し合うことを放棄した俺の責任だ。呪術高専にいる全員にも伝えてくれ」

 

「ま、それじゃこの件は結果オーライということで。上層部の方には僕が適当に誤魔化しておくよ」

 

「あぁ、すまない」

 

 

 話しているぬらりひょんを遮り、五条に謝罪をするエンマ。

 

 

「とりあえず一件落着だな」

「あぁ。そうだな(妖怪とかよく分からない話は、後々先生に聞くとしよう……)」

 

「これ、私達が来た意味あった?」

 

「エンマ、その姿って……」

 

「ん? あぁ、アイツとの戦闘が思ったより激しくて全力を出したんだが……ケータが来てくれたから手を出さずに済んだ。あのまま行ってたら殺してたかもしれない、ありがとうな」

 

 

 ケータの目に映るのは、額に第3の目が開眼し、いつもとは違う雰囲気を纏ってオーラを放つエンマの姿。

 しかしそこには呪術高専突入前のような威圧感はなく、ただの優しい統治者の姿だった。

 

 

「それと五条悟、お前が呪術界で実質的なトップであることは知っている。これからの妖怪と呪術師の事について、改めて話し合いたいんだが……」

 

 

「まっかせなさーい! 呪霊を祓う奴が増えるのは大歓迎だよ」

 

 

 

 エンマは思わずフッと笑ってしまう。

 それは、ケータという存在によって人間との繋がりができただけでなく、妖怪を祓っていた呪術師とまで和解に成功したというのもあった。

 

(ケータ、お前はどこまで妖魔界に影響を与えるんだろうな)

 

 

「……先生待ってください、この"呪霊"と一緒に"呪霊"を祓うんですか?」

 

「呪霊じゃない、"妖怪"。君達の友達さ」

 

「先生質問!」「はい悠仁君!」

「妖怪ってなんですか!?」

 

「それは俺から説明しよう。まずお前達の言う呪霊だが……」

 

 

 ついさっきまでの殺気立った雰囲気はどこに行ったのかと思うほど、ワイワイと楽しそうに話す人間と妖怪。これから、人間と妖怪は呪霊を祓うために協力していくのであろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だがしかし()()()()()()()

 戦闘の影響により倒壊していた校舎が、完全に修復されている。

 戦闘により傷を負った真希の体から、傷跡が消えていく。

 そしてケータ達の目の前からは。

 

「先生?」「エンマ?」

 

 

 

 

 

五条とエンマは消えていた。

 

 

 

 

 






ケータの呪術高専編始まるのは、まだまだお預けみたいですね(暗黒微笑)


皆さんお気に入り登録高評価、そして何より様々なご感想ありがとうございます!めちゃくちゃモチベ高いです!!


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