それでも君は「友達」だから。(妖ウォ×呪術) 作:ノーネーム
あの…自分が書きたいところまで書いてたらこんなに長くなって投稿遅れちゃいました……すみませんでした!!
激動
「先生?」「エンマ?」
目の前から消える五条とエンマ。あまりに突然の出来事に、思わず思考を停止してしまうケータ達。
「エンマ大王様!?!」
「「ど、どどういうことニャン(でウィス)!?」」
「……おい、周り見てみろよ」
釘崎のその声に反応して、一旦冷静になって辺りを見回す一同。全員が己の感じる違和感に気が付く。
さっきまでぬらりひょんとの戦闘で倒壊していた高専の建物が、まるで"何も起こっていなかった"ようにそっくりそのまま在るのだ。
「あ! 俺の妖怪ウォッチがいつの間にか戻ってきてる!」
ケータの左腕には、本来なら五条がどこかに保存しているであろう妖怪ウォッチが装着されていた。
「おかしいでウィス、妖怪ウォッチはさっきまで付けてなかったはず……」
「時間が巻き戻ったのか?」
「いや、それなら私やケータがここにいるのはおかしい。第一五条悟の呪力を感じるはずだが、ここにあの者の呪力を感じない」
「じゃあ一体何が起こったんだ?」
ここに残っているメンバーは虎杖、伏黒、釘崎の呪術高専1年と、ジバニャン、ウィスパー、ぬらりひょんの妖怪陣営、そして妖怪ウォッチを持つこと以外はごく普通の一般人であるケータである。
「……考えても埒が明かない。一旦真希先輩達のところに戻るぞ」
「ナナミンも消えてなきゃいーけど」
──────
「一体何がどうなってんだよ!」
七海達の所へ戻ろうと校舎の中には居るケータ達。
しかしそんな彼らの行く手を阻んでいたのは、本来ここにいるはずのない"呪霊"だった。
ケータは妖怪ウォッチから出る光で虚空を照らすことによりその存在を視認をする。
「ねぇウィスパー、あれも妖怪?」
「ちょっと待ってくださいね、えぇっと……特に載ってな、あじゃなくて記憶にないのでおそらく妖怪ではないでウィス」
「妖魔界では怪魔の種族に分類される」
「ウィスパーよりもぬらりひょんの方が頼もしいや」
「ぐぬぬ……」
「【ひゃくれつ肉球】!」「言うほど百烈か?」
「お前ら、口動かす暇あったら頭動かせ」
「あのウニ頭うるさいニャンね」
「誰がウニだ」
「アンタまで話に参加してどーするよ」
幸い徘徊しているのは3〜5級程度の呪霊であり、虎杖伏黒釘崎や、ぬらりひょんの相手ではなかった。
そして一通り襲ってきた謎の呪霊達を討伐すると、急いで七海達がいるであろう場所へと向かう。
「っていうか、なんで先生とかエンマさんは消えたのに俺達は消えなかったんだろうな」
「知るか。ここの角を曲がったら真希先輩達がいるはずだ」
廊下の角を右に曲がるケータ達。
だが、そこには誰もいなかった。特に目立った痕跡もなく、全員の脳裏には想像もしたくない最悪のパターンが浮かぶ。
(全員が消えた……?)
「おい」
何も無い廊下をじっくり見る彼らの背後から聞こえる声。当然皆驚くが、その声には聞き覚えがあった。
「てめぇら誰だ。……って、お前らか!?」
「気でも触れたか?」「しゃけ」
「「「(真希)先輩!!」」」
振り返るとそこには、傷なんてどこにもない呪術高専2年生達……真希、狗巻、パンダがいた。
「消えてなくて良かったです」
「ナナミンは大丈夫っすか?」
「こんぶ」
「? 消えてないって、俺たちはずっとここら辺にいたぞ? それにどうして急に先生のことになるんだ?」
「……そんなことよりお前ら、聞きたいことが沢山ある。まず、そこにいる非術師と呪霊は何者だ」
「そりゃケータ達は……俺らもよくわかってねぇな」
「私らが擁護できなくてどうすんだよ」
(もしかして、記憶を消されてる?)
「あっ、えっと! 俺、呪術師と妖怪が仲良くするためにいるんです。さっきぬらりひょんが襲ってたのを止めたし……」
「
「しかもお前達、なんで呪霊祓ってるんだよ」
「呪術師は呪霊祓うのが普通だろ」
(((てか、またパンダが喋ってる……)))
「そりゃそうだけど、いくら1年だからって学長の呪霊だってことぐらい知っててくれないと困るぜ」
「ねぇ、ここの学長って呪霊と友達なの?」
「まあ、人形となら友達だな」
「それってただのヤバいやつでウィス……」
(なにかがおかしい。夜蛾学長は作った呪骸を操る術式である傀儡操術、さっき戦ったのは明らかに呪霊だった。俺らが1年生として通ってるのも考えて、タイムスリップしたとは考えにくい)
「そういや、先輩達は五条先生知りません?」
「は?」「なんでお前が知って……」「つなまよ?」
(先生を知らない……記憶の改竄か? いや、ここで改竄してもメリットはほとんどないはず。つまり1番有り得るのは)
「なんで先生が禁句n……」
「先輩達、俺の勝手な推測ですが多分合ってます。
『は?』「ニャ?」「ウィス?」
「まずはこの世界について教えてください。校長先生って誰なんですか?」
「よく分かんねぇけど、校長先生なら……」
「お前達」
話せば話すほど会話が噛み合わなくなる両者、伏黒はそれを見て、歴史改変が行われたと結論づける。
何が起きたか核心に迫ろうとしている、その時。
ぬらりひょんの一声で、全員また何者かが迫ってくるのを理解する。ケータ達が倒した呪霊の方から、廊下をゆっくりと歩いてくる、袈裟を着ている人物。
「そんなところで井戸端会議だなんて、何を話してるんだい?」
それは、1年前に敗れたはずの史上最悪の呪詛師。
額に縫い目のない正真正銘の、五条の親友。
さっきまで屈託のない笑顔をしていた彼の目にケータが映った途端、それはハリボテとなる。
「……それと、そこにいる猿と呪霊は一体?」
夏油傑。
────────
(どうして夏油傑がここに!? 奴は去年の百鬼夜行にて敗れたはず……まさか歴史改変の地点は)
「ケータ、こいつは史上最悪の呪詛師だ下がれ」
「呪詛師?」
「呪詛師は悪事に己の力を使う呪術師のことを指す。我々妖怪の敵でもある」
「夏油傑って……」
「五条先生の昔の親友だったっていうアイツか?」
「ケータ、あいつは呪霊を使役する術式を持ってる。友達としてじゃない、言うならしもべとしてだ。そして、妖怪もその使役対象となる」
「ぬらりひょん、それ本当!?!」
「伏黒君釘崎君虎杖君、いつの間にか歴史についての勉強を頑張っていたみたいだね。
しかし、そんな優等生とはいえ私の呪霊を祓うことはおろか……猿を連れてくるなんて、いくら優しい私でも見過ごせない」
「ケータ君、あーたあの人に猿って言われてるでウィスよ?」
「また戦闘ニャンか!?」
ケータを守るように自然と前に出る伏黒。虎杖と釘崎、ぬらりひょんも夏油と対峙するように構える。
「……学長お話が」
「大丈夫。見ていたから、君達が彼らの起こした行動と何の関係もないのは私も知ってるさ」
いやそういうことでは、と否定しようとする真希だったが、それを言葉も発さずに圧をかけて発言を遮る夏油。
真希、狗巻、パンダはただ黙っているしかなかった。
「君達、校則違反だ。でも、ここじゃやりづらいだろうからまずは外に移動しようか」
「そんなの俺達が従うとでも?」
「いや、従ってもらう必要なんてないよ」
そう夏油が話すと同時に突然、真希狗巻パンダを除く全人間全妖怪が校庭に強制的に移動させられる。
それが夏油を知るものにとって、彼の術式による影響……彼の持つ呪霊の術式の影響であることを理解するのは容易だった。
「それじゃ罰を執行させてもらうよ。……とは言っても私は優しいからね、挽回するチャンスも同時に与えるとしよう。
ルールは簡単、今から私は君達を倒しにかかるから、もし君達が勝ったら、このことは無罪放免としよう。その猿も見逃してやる。だけどもし私が勝ったら……あとは分かるね?」
両者の距離は50mほど。
夏油は1人堂々と、両手を広げながらそう話す。
ケータ達は全員息を呑みながら、ゆっくりと戦闘態勢を取る。
「やるしかねーんだよな?」
「……あぁ」
「私らのこと舐めてもらっちゃ困るぜ」
「ケータ君、もしかして人間と戦うおつもりで?」
「ウィスパーの言う通りニャン、今まで妖怪としか戦ってこなかったのに……」
「大丈夫、もう二度と友達を失いたくないから」
「準備は出来たかな? それじゃ始めようか」
────────
ケータ達の構えを戦闘開始の合図と受け取った夏油は、自分の足元からおびただしい数の呪霊を顕現させる。
現れたと同時にケータ達に襲いかかる呪霊。
「【裁きの超波動】」
ぬらりひょんはそれを自分の術式によって、広範囲に妖力を放出することにより呪霊を一網打尽にする。
「「おぉ!」」
思わず感心してしまうケータと虎杖。
だが次にケータが瞬きをする頃には、周りには誰もいなくなっていた。
「猿のくせに呪霊を連れているとは興味深い」
「……! みんなは!?」
「さぁ? 今頃私の呪霊に殺されてるんじゃないかな? 少なくとも、君は今からそうなる」
突然孤立してしまったケータ、そしてそのケータにゆっくりとなんの備えもなくただ歩いてくる夏油。
ケータはいつも妖怪と戦う時のように、夏油の方に向き直っていた。
「っ!」(隔離されたお兄さん達のために、ぬらりひょんはあの場に残しておくべき。それなら俺の召喚できる友達は!)
目の前にいる人間と戦うという覚悟を決めたケータは、左腕を夏油の方へと見せる。
左腕から7色を出して光るは、ケータの持つ妖怪との友情の証である妖怪ウォッチ。そのまま5枚のメダルを取り出すケータ。
「オレのともだち! 出てこいジバニャン! キュウビ! オロチ! ロボニャンF型! ブシニャン!」
妖怪ウォッチにメダルをセットし、己の知る最強の妖怪達を一斉に召喚するケータ。
その召喚している隙をつこうと、間合いに入りそばにいる呪霊から呪具を取りだし1発入れる夏油だったが、その攻撃がケータに通じることは無かった。
(……この領域はまさか)
「ジバニャン」
「キュウビ」
「オロチ」
「ロボニャンF型」
「ブシニャン」
「それなら、こちらも全力で相手をするとしよう」
そう言った夏油は一旦下がり、相手の妖怪に対抗するように4体の呪霊を足元から顕現させる。
頭が火山のような一つ目の呪霊。
全身が木でできており、体の左側が赤黒く変色している呪霊。
筋骨隆々で、口が触手のようになっている呪霊。
身体中がツギハギな見た目でできた人間のような呪霊。
「みんな、あの呪霊をやっつけて!」
「漏瑚、花御、陀艮、真人。やっていいよ」
「「「「領域展開」」」」
ケータの司令を聞き各自呪霊を倒そうとしていた妖怪達は、それぞれの呪霊が展開した領域内へと閉じ込められる。
キュウビは漏瑚、オロチは陀艮、ロボニャンF型は花御、ブシニャンは真人。そう呼ばれる呪霊の領域内へと。
「さて、邪魔者はいなくなった。それじゃ、私も戦闘といこう」
「ジバニャン!」
「先手必勝ニャン! 【ひゃくれつ肉ky】っ!!?」
夏油は、ジバニャンを攻撃の予備動作を見るやいなやすぐにジバニャンを吹き飛ばしてしまう。
「ジバニャン!!!」
「んー、やっぱり呪霊とはちょっと違う存在もいるみたいだよね。低級呪霊にここまで攻撃が通らないのはおかしい」
急いでジバニャンに駆け寄ったケータは夏油のことなど忘れ、無我夢中になって抱き抱えながらジバニャンの名前を呼ぶ。だが、その目が開くことは無い。
さっきケータ達が倒したであろう呪霊は、恐らく夏油の呪霊であることをケータは理解していた。
ケータは見た。
自分の呪霊がやられてもなんとも思っていなかったこと。残念がってはいたが、それは使える呪霊が減ったことに対するものであり、呪霊自体を思っての感情では無いことを。
「……っ!! 学長にとって、呪霊は単なる道具なの!? 簡単にいなくなってもどうでもいいの!!?
ジバニャンやウィスパーは俺を助けてくれた……そんな心優しい存在を使い捨てにするなんて……俺は、俺には到底理解できません」
「"心優しい"? 呪霊が??」
ケータの言葉を聞き、突如声を上げて笑い出す夏油。
「これだから何も知らない
「俺は信じてます。妖怪はもちろん、呪霊も!」
「それに、今君がやってることは分かるかい?
"友達"を救うという君一人のエゴのせいで、他の"友達"が深い傷を負った。それに関しては?
今も君のために"友達"が命を懸けてくれているというのに、君自身はその"友達"のために何もしてあげてないじゃないか。全く、ヒーロー気取りも程々にして欲しいね」
ケータははっとする。
さっきまでジバニャンとウィスパーがかけてくれていた言葉が、頭の中で何度もこだまする。
(2人とも、俺のことを心配してくれていた。ぬらりひょんがいたんだから、逃げることも出来た。
ついこの間失いそうになったのにも関わらず、俺は懲りずに全てを選ぼうとした。
最悪の呪詛師と呼ばれる存在を倒して、呪霊も妖怪も人間も救って、ハッピーエンド。
そんな俺の安直な、実現性のない子供らしい夢のせいで、妖怪達や、お兄さん達にまで迷惑を掛けた……)
「全部……全部……俺のせい……?」
「おいケータ! 僕といい勝負をする怪魔と対峙するなんて、運がいいね!」
ジバニャンを抱いたまま俯くしか無かったケータだったが、その聞き覚えのある声を聞いて顔を上げる。
そこには崩壊した領域から出てきた、九尾の狐の妖怪……キュウビの姿があった。
「キュウビ!!」
「ふん、この程度で苦戦するなんてまだまだだな」
「オロチ!!」
「……別に苦戦してるわけじゃないさ。ただ、落ち込んでいたようだから気を紛らわせてあげようと思ってね」
「それがしに斬れぬものだとないでござる!」
「解析完了、反撃を開始する」
「……オレっち達がこんなんで負けるハズないニャン」
「ジバニャン!! みんな!!!」
全員が崩壊した領域の中から次々と出てくる。
しかしそれは妖怪だけでなく呪霊もであったが。
そして再び目を開けたジバニャンは、この間の小学校でのように呪力に溢れて背が高くなり大きな体となった見た目をしていた。
「彼らが一瞬で決着をつけれないなんて、ちょっと予想外だったね。でも、やっぱり君一人じゃ何も出来ない。いつも助けられてばかり」
「…………」
「おーいケーター! 無事か──?」
戦闘が終わったのか、急いでケータの方に走ってくるぬらりひょんと虎杖、そして虎杖におぶられている釘崎。
そして、空中には鵺に捕まる伏黒が。
ケータのそばに合流した彼らは、4体の呪霊と並んでいる夏油の方を見る。
「げっ、なにあの呪霊ヤバすぎ」
「……呪力量から察するに、特級相当4体か!?」
「私に任せろ。この程度の呪霊なら、妖魔界にもゴロゴロいる」
両者の間にしばらく流れる沈黙。
お互いがお互いに現状取るべき最良の選択を吟味していた。
妖魔界でも指折りの妖怪6体と、一級相当術師3人。
それに相対するは、呪術界でも指折りの呪霊4体と術師一人。
どちらが有利であるかは明白だった。
「一気に決着を付ける!」
「はぁ……後処理が面倒だから使いたくなかったんだけど……」
「……!! 奴は切り札を持ってる! 気をつけ」
「"里香"」
このままでは敗色濃厚、もし勝利できてもかなりの損害が出ると判断した夏油は、4体の呪霊を黒くなった足元に戻らせると、一体呪霊を顕現させる。
たかが一体。しかし大きな一つ目が特徴の
「「!!!?」」『!!!』
(里香!!? ってことはやはり乙骨先輩の)
「(もう、何も失いたくない……)皆逃げて!!!」
「ケータ、だが」「いいから!! 早く!!!」
ケータの声を聞いた妖怪達のみならず、勝てないと判断した虎杖は伏黒、釘崎、ケータを抱え、すぐに逃走して1度体制を立て直そうとする。
「もう遅いよ」
その言葉を聞き、思わず夏油の方を向いてしまうケータ。その"里香"と呼ばれる呪霊は、口元と思しき場所に普通では無い呪力を溜め込み、今にも放出しようとしていた。
次の瞬間、音を置き去りにするほど大きな爆発が発生する。辺りが呪力に包み込まれると同時に、遅れて爆発音もやってくる。
煙が上がった校庭には、粉々になり倒壊した建物。えぐれている地面。
そして、黒焦げになったままケータの足元付近に横たわる虎杖伏黒釘崎に、そこらじゅうに倒れている妖怪達。見渡せば広がる地獄絵図。
それを認識できるのは、無傷のまま立ち尽くす夏油とケータだけだった。
あまりに悲惨な光景に、全身の力が抜けて膝から崩れ落ち、地面を見ながらブツブツと呟くケータ。
夏油は里香を手で抑制した後、まるでそんな事情を知らないかのようにケータに呪具で頭を殴ろうとする。
だが攻撃は弾かれ、ケータに通ることは無い。
「おかしいな……それじゃ」
そういうことなら、とケータの前から歩き出す夏油。
ここで死ぬと思っていたケータは、突然の夏油の感情の変化に驚き、思わず顔を上げる。
向かった先にいるのは、満身創痍のぬらりひょん。
しゃがんだ夏油がぬらりひょんと触れると、彼は触れた手の中にどんどんと吸い込まれていき、次第に1つの玉となる。
「……っぬら……り……ひょんっっ……?」
思わぬ事態に困惑するケータは、ぬらりひょんの言葉を思い出す。
……「ケータ、あいつは呪霊を使役する術式を持ってる。友達としてじゃない、言うならしもべとしてだ。そして、妖怪もその使役対象となる」
「ぬらりひょん!!!!」
夏油はその言葉を聴きながら、手に持つ玉を飲み込む。
そして、ケータの叫ぶ声を無視しながら次々と倒れる妖怪に触れ、玉にしては飲み込んでいく。
ケータとして何がなんでも止めたかった。やめさせたかった。だが、ケータの体をそれを許してはくれなかった。
最後の妖怪である、ジバニャンが変化した玉を飲み込んだ夏油。またしてもゆっくりとケータに向かって歩き出し、目の前にいる夏油を見上げる形になる。
「それじゃあ、今度こそさよなら」
高く振り上げた呪具は、今度こそケータの頭に直撃した……かと思われたが。
「……はぁ。いい加減しつこいんだけど」
「ケータ君は……殺らせません……!!!」
その間に割って入ったのは、妖怪パッドで攻撃を防いだウィスパーだった。
「ウィスパー……逃げて……お願いだから逃げて!!」
「逃げません! ワタクシはあなたの妖怪執事なのですから!! 逝く時は一緒でウィス!!!」
「はいはい、お涙頂戴、友情展開からの逆転勝利…。どれもありきたり、面白みがない」
「おや、少なくとも僕は可能性を感じたかな」
「……! なぜ君が?」
更地となった場所を空中から見下ろす存在に、夏油は思わず言葉を漏らしてしまう。
「誰……?」
助けが来たことを悟ったケータは、安心したのかはたまた精神がすり減っていたのか、どちらにしろドサッという音を立てて気絶してしまう。
夏油の目に映るは亡霊の姿。
夏油の使役する里香に呪いをかけた張本人。
額にはまるで見せつけるような縫い目。
「人間と妖怪、その二つに」
乙骨憂太。
〜〇〇呪具:妖怪ウォッチ(術式名:----)〜
…
…
────、─────────────。
─また、妖怪メダルをセットすることで妖怪を一度に6体まで召喚可能。
妖怪が勝利か敗北するまで、妖怪ウォッチに刻まれた術式により閉じない領域が展開され、召喚者に対する術式・呪力妖力全てを無効化、一切の攻撃を受けることはない。──
───、───────────────。
─────────。───────────。
…
──────────
さて…一体今は何が起こってるのでしょうかね?